ラサーノレ様が見てる
作:笹倉朔
<ぷろーろーぐ>
「おいーっす」
「おいーっす」
間違ってもさわやかとは言えない(注1)、絶対に、言えない朝の挨拶が澄みきった青空にこだまする。
ラサーノレ様のお庭に集う輩たちが、今日も天使のような残忍な笑顔(注2)で、橋本歯科(注3)の門をくぐり抜けていく。
(ある意味で)汚れを知らない心身を包むのは、思い思いの私服。
ジャージのジッパーは閉じないように(注4)、寮のサンダルは教師にばれないよう(注5)に、かつ、始業に間に合うように走るのが
ここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない(注6)。
私立ラサーノレ学園。
昭和 年創立のこの学園は、もとは鹿児島にあるT大にもがんがん受かる高校の分校としてつくられた(注7)という、伝統あるカト
リック系進学校である。
北海道H市下。北海道最南端で夜景とか、坂道とかで有名な地区とは全く別の所で、(邪)神に見入られ、中学から高校までの一貫教育
が受けられてしまう輩の園。
時代は移り変わり、元号が昭和から二回もと改まった平成の今日でさえ、六年間通い続ければ温室育ちの、粋培養自己中心で自分
の能力を過信して理系なら医学部、文系なら法学部を受けるような勘違いエリート(注8)が箱入りで出荷される、という仕組みが未
だ残っている貴重な学園である。
この物語は、そんなある意味で禍々しい学園に、何も知らない佐桜咲(ササクラサク)が入学するところからはじまるのだ。
<つづく>
<のか?>
<作者注>
※注1、「間違っても〜」:「おいーっす」ならよい方で、それすらないとか、にらむとかまで日常茶飯事でしたが。
※注2、「天使のよう〜」:きっと昨日の晩にエロゲーとかでもやってたのでは?因みに笹倉は朝4時起床でやった事あります。バカ。
※注3、「橋本歯科」:学校の正門前にでかい看板を立ててくれてたナイスな歯科。車の視界を遮る。教師に引かれそうになることも。
※注4、「ジャージの〜」:ジャージの足もとのジッパーを開けてた高校生いましたよね。危ないけど涼しいからついついやってしまいます。
※注5、「寮のサンダ〜」:本来は登校したときに寮生はサンダルから学校指定の上履きに変えなきゃなりません。でも、寮生活に慣れる とそれを無視することもしばしば。バレルと生活指導の教師に怒られます。何故か知りませんが寮生でない笹 倉もサンダル履きでした。てか、普通に寮にもぐりこんでましたし。
※注6、「遅刻ギリギ〜」:遅刻するくらいなら保健室でサボる。ある意味で潔い人たちでした。
※注7、「鹿児島にあ〜」:大抵初めてあった人にこの高校名を言うとビビります。で、真実を言っても半数以上がビビり続けます。
※注8、「純粋培養自〜」:多いんです、こういう人。
具体例:東京農工大→大阪府立大→(浪人)→東大文1→早稲田法→中央法→中央経済(2浪で入学)