西洋哲学のキリスト教への影響(概説)
ルネサンスや宗教改革は人類に新しい時代をもたらしました。
中世の迷信は科学の時代の到来とともに理性の目で見つめ直される
ことになりました。そのような「啓蒙」はキリスト教にも大きな影響を
与えました。西洋哲学の父と言われるデカルトは神の存在を理性的に
「証明」しようとしました。デカルトにはじまる大陸合理主義は
スピノザ、ライプニッツなどに受け継がれていきました。
スピノザはユダヤ人のみ使い、神の性質、魂の不滅などの教えに
異議を唱えユダヤ教から追放されましたが、彼独自の「神」を発見し
いわば自然を神とみなしていきました。(汎神論)
ライプニッツはデカルトのいう神の存在を認め、さらに全能の神が
おられるならなぜ悪が存在するのかという問題に果敢に取り組み
ました。(弁神論)
これらの理性を重視した哲学者とある意味で大極をなすのが経験を
重視するイギルス経験論者たちでした。ロックは経験論の立場から
神の存在を示し、またキリスト教の教義は理性ではその正しさを
示せないとしても道徳律などによりその正しさを示せることを強力に
訴えました。それに対しヒュームは日常の経験などでは体験できない
奇跡があまりにも多く聖書に収められているため、聖書の奇跡を否定
しました。このように合理主義も経験主義もキリスト教を擁護する
ものから否定するものまで様々であったことがわかります。
合理主義と経験主義を融合したのがカントでした。カントは伝統的な
神の存在証明を否定し、キリスト教を単なる倫理上の良い教えに
過ぎないものに引き下げてしまいました。このようにいわゆる
「啓蒙」は神の存在を疑問視する方向へと全体的には進んでいきました。
それはやがで「神は死んだ」と宣言したニーチェ、無神論を唱道した
マルクスなどを生み出していくことになりました。