Plato
プラトン(前428〜347)

「国家」:プラトンが考えた理想的な国家の仕組みと統治者について
「ソクラテスの弁明」「パイドン」:ソクラテスが死の直前に説いた魂の不滅の教えについて

理想の国家について:プラトンの目指した国家は原始共産主義体制とよく言われますが、
財産の共有のみならず妻子を共有するというおおよそ現実には考えられないシステムを考えました。
音楽や体育の教育が施されて、優秀な者はさらに哲学を学んで支配者となっていきます。
職業や結婚関係は国家によって統制されています。それは能力によって機械的に振り分けていく
世の中であり極端な全体主義体制といえます。プラトンはアテネの民主制や寡頭制の失敗から
そのような「理想国家」を模索し、シチリアにおいて「哲人政治」を実現しようとましたが失敗に終わりました。
これは神を考えに入れない限りどのような支配形態も失敗に終わることを示す一例に過ぎません。
そして理想の国に肝要なのは能力ではなく愛のような特質であることにも気づくでしょう。

何が徳といえるかについて聖書は「徳とされることを追い求めるように」奨めているが(Ph4:8)プラトンは
どのような事柄を徳とみなしていたのでしょうか?
プラトンは知恵(sophia、phronesis)、勇気(andreia)、節制(sophrosyne)、公正(dikaiosyne)を
徳であるとしたが(Rep4.6-10)、この4つ(四元徳)がギリシャ人にとっての基本的な徳となりました。

それは理想の国家をつくるのに必要な資質とされた。後にキリスト教世界はこれに信仰、希望、愛を加え
七元徳と呼びました。

魂の不滅について:ソクラテスは毒杯をあおいで死ぬ直前に魂は不滅であり死を恐れる必要はないと説いたが
その内容を「ソクラテスの弁明」と「パイドン」から知ることができます。(
Ez18:4)

「ソクラテスの弁明」においてソクラテスはまず、死は全く無存在、無意識になるか、魂が場所を移していくかの
どりらかであると述べる。(40)前者もすばらしいものの、後者はこの世の自称裁判官から解放され
本当の裁判官に会えたり、偉大な先人たちに会えるのでもっとすばらしいと言う。(41)(
Ec9:5,10)

「パイドン」において、哲学者は肉体による快楽や肉体を着飾ることを蔑むはずで(64)魂がそのような
肉的な事柄に煩わされないのはすばらしいことで(65,66)死んではじめてそのことが達成されるという。(67)
そしてプラトンは
魂が不滅である4つの証明を述べていく。それぞれを検証すると:

(1)死者の魂があることを証明するためには、生きる者はすべて実は死んだ者から生じていることを示せばよい。
そのことを示す原理は「相反するものはたがいに相手から生じる」というものである。
例えば熱くなるのは冷たいものがあるからで、冷たくなるのは熱いものがあるからだ。
「眠っていることから目覚めていることが生じ、目覚めるのは眠っていることから生じる」
だから同様に生きているものが死ぬように、死んでいるものから生きているものが生じることがある、という。(71)
→しかしエントロピーの法則ななどからも明らかなように物質は壊れる方向に向かうので、
 可逆でない現象もたくさんあり無理な論法である。

(2)前世があったさらに別の証拠として、産まれたときから人間は「美、善、正義、敬虔」などの特質を持って
いるのだから、それは前世からのものであるに違いない。(75)そして「魂は、人間の形をとって肉体に宿る以前に
肉体から離れて、しかも、知力をもって存在していたのだ。」(76)と結論づける。
→そのような特質は神が人間をご自分の像に造られたことによるもので、遺伝子に組み込まれて親から子へと
  伝えられていくものである。

(3)(4)イデア論による証明:私たちが天的な事柄を考えるのは、以前神々と天にいたからに他ならない。
→聖書は神が人間に神を崇拝したいという欲求を植え込んだためであることを示している。
  前世があったならなぜ人々はその生活を少しも(!)思い出さないのはなぜか!
魂の不滅に関するプラトンの「証明」というものがいかに貧弱なものにすぎないかは一般に認められている。