渡米後(2002年1月)
○ 2002年1月1日(火)
あけましておめでとうございます。今日は絵に描いたような寝正月。ようやく活動しだしたのが日付が変わろうとするころ。
昨年の渡米前までは夕方のバイト(塾講 いまどきの日本の若者を知ることが出来て貴重な体験だった)のみで自由な時間たくさんがあった。そこで、「普段出来ないことをしよう」ということで、語学の勉強したり、絵画(お絵かき)を習ったりとかなりリラックスしていた。
しかし、渡米後は予想外のTAの忙しさに、「研究をバリバリする」という目標はほとんど達成できなかった。でも、今振り返ると、アメリカの若者と仲良くなれたし、彼らが日本人の若者とどんな風に異なるのかも分かったし貴重な経験だった(彼らの勉強量は半端ではない)。
今年は、研究をバリバリして、論文をバリバリ投稿したい。また、TAをサクサクこなし、時間を作ってモリモリ遊ぶ。「よく研究し、よく遊ぶ(メリハリをつける)」 これが今年の目標。そういえば、私の周りのアメリカ人のライフスタイルがこんな感じだな・・・。
○ 2002年1月2日(水)
本日は雪。昼過ぎから大学に行ったんだけど、15時には学科のオフィスは雪のため閉鎖。明日も雪のため午後から開くそうだ。といっても、現在積もっているのは5cmくらいなので、「ちょっとオーバーじゃないの?」と思ってしまう。東京も雪が降ると電車が遅れたりして雪に弱いのを感じていたが、ここアトランタはもっと影響を受けるのかも?
そういえば、常夏バハマ出身の友人Adrianは、「生まれてこの方雪は見たことは無い」と言っていたから、今ごろは部屋で毛布に包ってガタガタ震えているだろう。金曜(4日)から授業が始まリその時会うので、はじめて見る雪の感想を聞いてみよう。
○ 2002年1月3日(木)
本日も雪のため学科のオフィスやブックストアーも閉まってた。積もったのは5cmくらいなのに、よわいな。これは車社会だからかな?
今日実験で使う試薬を購入するためにカタログを見ていたんだが、使う試薬にことごとく「どくろマーク(劇薬)」が出てきて、「こんなの買いたくないな〜」と思いつつも発注(まあ、毒ガスセンサーやるんだからあたりまえはあたりまえなんだけど・・・・)。極めつけは青○カリ、「どうすんねん?」 ほんとガスマスクは必須アイテムだ。
○ 2002年1月5日(土)
昨日の金曜日から授業がスタート。そして、TA(今回は3年生の実験指導のみで補習授業なし)は、再来週から始まる予定。前回までは、実験のマニュアルを読んでそのまま実験指導だったが、今回は事前にマニュアルを読んで、更に一通りの実験をしてから指導に望むというシステム。たしかに初見で実験指導できるようなレベルではないので、昨日の午後と今日は実験の予行練習(一通り自分でやってみる)。そして明日も行う予定。
何でこんなに時間がかかるかというと、一回の実験が5時間(だから一回予行練習するのに5時間くらいかかる)。しかし、指導するほうも大変だけど、こんな長い時間を毎週やらされるKIDSもかわいそうだ。
そういえば、金曜日に新ルームメイトが加わった(実は一人は卒業して、今ごろ就職前のバケーションを日本で楽しんでいる)。彼はフランス人である。フランス語といえば、渡米前のフリーターのときに国営放送のフランス語講座(テレビ)を見てたのだ!そこで、「挨拶をフランス語で・・・」 と思ったのだが、テレビを見ていた動機が「井川遥かわいいな〜」だったので全く何も身についていない。
○ 2002年1月6日(日)
今日も昼からTA実験の予行演習。しかし、手作りの実験器具は、「あっちを直したら、こっちが壊れて、そんでもってまた違うところが壊れて・・・」と、とてもデリケートで気まぐれに出来ていて、これを毎日メンテナンスするのは結構しんどいかも。
とても繊細な装置とは知らず、力のあるアメリカ人が雑に使ったら一瞬にして壊れるだろうな。あ〜、装置をごそっと改造したい。私が学生の時、装置は正常に動いてあたりまえと思っていたけど、裏でメンテナンスをしてくれていたスタッフの人たちは結構大変だったんだなーというのを痛感した。
そして、寮に帰ってきたのは20時近く。すでに、「TAをサクサクこなす」という今年の目標が終わっている。金・土・日の大半をTAに使っちゃだめだよな。
○ 2002年1月9日(水)
昨日今日もTA予備実験。ようやく、教科書に出てくるような綺麗なデータが出てくるようになり、一安心。TA実験は来週火曜日から始まるので、あと2日くらい使って、問題が無いかをチェックするつもり。
実は月曜日にTAのミーティングがあったのだが、スケジュールを聞いてビックリ。以前にアドバイザーに聞い時は、「今学期のTAは3時間だけだから」が殺し文句だったのに、ふたを開けてみたら火・水・木・金の13時〜15時。合計8時間。どう計算しても3時間ではないんだけど・・・。後から聞いた話だと、今学期私がやるTAは院生は誰もやりたがらないから、どうもしても人が欲しかったらしい。侮りがたし、アドバイザー。
昨日今日と得意の夕寝をし、年末に届いた論文の査読結果を見ながらの修正。今日の朝までには終わらせたい。現在腹ごしらえのインスタントラーメンを食べ日記を更新しているところ。さー、やるか。
○ 2002年1月11日(金)
投稿論文の修正をし、修士の時にお世話になった先生にチェックしていただくために木曜の昼にEMSで郵送。チェックしていただいた個所を再修正して、上手くいけばパブリッシュされる。
最近は日記を書く暇がないわけではないのだが、書くネタが無いので困っている。ここ数日は、午前中に授業を受けて、午後からTAの予備実験そして帰宅後に勉強or爆睡。相変わらず自分の研究は進んでいない。
授業といえば、2科目を違う学科で受けている。一つはBiologyで、もう一つはEarth and Atmospheric Science(EAS)。この二つの学科の建物は
ボロイ趣があり、日本の大学の建物に似ている。あと、EASではタダでコーヒーが飲める。だから、授業中に眠りこけないよう、がぶ飲みしてから授業に臨むのが習慣(先生がぼそぼそしゃべるのですぐ眠くなる)。実は、渡米する前まではアメリカの大学の夏休みはなが〜いから、帰国してバイトでもと考えていた。しかし長い夏休みは学部生のみで、院生には無いらしい(友人談)。というのも今年のSummer SemesterからRA(Research Assistant)に切り替わり、その間研究をしなければいけない。なので私にある長期休暇は、セメスター間の短い1週間程度。しかし、「1週間ぽっち帰省しても時差ぼけが直らないままとんぼ返りみたいでいやだなー」と思っていると卒業まで帰省できないことになる。4年も帰らないと、成田に着いたはいいけど、「どうやって家に帰るんだっけ?」と帰り方を忘れそうで怖い。
○ 2002年1月14日(月)
渡米してちょうど5ヶ月。こちらに来て、「英語が上達したのか?」と聞かれると困る。「研究進んでるか?」と聞かれても困る。「じゃあ、いったい何が変わったんだ?」と聞かれたら、「水なしでキムチがバクバク食えるようになった」くらいか。
ということで、今日の昼は師匠(Eun Hoo)と韓国料理屋へ。やはり美味い(韓国人の作ったキムチは違う)。今日の店は、ほとんどの客が韓国人だった。前から思ってたんだけど、何で「韓国のおばちゃん」と、「大阪のおばちゃん」は、髪型が高木ブーの雷様なんだろう?
明日からTAの実験指導が始まる。今学期は実験指導のみで授業はしないのでちょっとさみしい。「実験と授業どっちがいい?」と聞かれたら授業を取るだろうな。
○ 2002年1月15日(火)
本日からTAの実験指導開始。KIDSはまず誓約書にサインをする。多分内容は、「安全に実験をすることに協力し、それに反した場合に生じた事故についての責任は本人にある・・・」だと思う(長いので私は読んだことが無い)。
だから、こちらでは安全メガネを着けることは絶対である(日本にいた時は着けた記憶が無いが・・・)。で、先学期は、たまに安全メガネを嫌がって外しているKIDSがいた(特に女の子)。それを我々TAがしつこく注意して着けさせないと、万が一事故があった場合は我々TAが訴えられる。
だから、しつこいくらいに注意していたらと、KIDSは、「You are a Goggles Inspector !」とお褒めの言葉(?)をくれた。しまいには、「安全メガネつけろ!」と言わずとも、目があった(アイコンタクト)だけでメガネをさっと着けるまでに成長した(その点は、まだまだ子供だ)。しかし、さすが3年生ともなるとメガネを外すKIDSもおらず、その点は大人であるのでこちらも楽である。
先学期が1回の実験で30人を指導していたが、今回は2〜3人。その分内容の濃い指導が要求される(教授は、「KIDSに対して、君らは教授として接してくれ」と言っていた
けど、こんな安い給料の教授はいないだろう)。まあ、今日は自分でも納得いく内容だったと思う。今日のKIDSはかなりできる子達で、楽しいディスカッションができた。私は、はじめの2時間指導すればよく、その後は次のTAに引き継ぐのだが、あまりにも楽しかったので5時間ずーッと彼らと一緒にいてしまった。寮に帰ってきてから、夕寝をして現在起きたところ。実は、またオンボロ火災報知器で起こされた(訴えてやる!)。これから、来週の火曜日にある試験の勉強をするつもり。あと、明日は朝早めに言ってTA実験で使う試薬の準備(フラスコとか、全部1リッターとジャンボサイズ)。
○ 2002年1月19日(土)
来週の月曜日が祝日(Martin Luther King, Jr. Day)なので3連休。しかし火曜日に試験があるから全然嬉しくない。さて、前回の日記からだいぶ時間が空いたので、ここ数日を振り返ると、
16日(水) 朝食後、TA実験に必要な試薬をつくり授業へ。昼食後の13時から17時くらいまでTA実験指導をして夕食。その後うだうだして就寝(勉強等ほとんどせず)。
17日(木) 上に同じ。
18日(金) 上に同じ。
とまあ、日記を書くには楽な規則正しい(?)生活。しかし、自分の研究と勉強をほとんどしていないのが痛い。
自分の研究といえば、実験で使う器具を作るために図面を描こうと、先日久しぶりにAutoCADを使った。しかし、仕事ではあれだけ使っていて、渡米前のアルバイトでは「CADオペレーターでもしようか?」と思っていたくらいだったのだが、すっかり使い方を忘れてしまった。もう履歴書には「AutoCAD使用可」とは書けないな。
HPを見ていたら、日本ではセンタ-試験のようだ。渡米前のバイトで教えていた子達も受けているはず。どうか上手くいきますように。
○ 2002年1月23日(水)
テストを控えた前日の夜(21日)、コーヒー飲みながら勉強をがんばってたんだが、ついうっかりコーヒーをパソコンの上にしょぼしょぼじょぼーと溢してしまった。一時はパソコンが立ち上がらなかったが、泣きながらドライヤーで乾かした甲斐あってか(?)現在は立ち上がるようになった。
しかし、キーボードが完全に死亡。今は、友人から借りたキーボードをノートパソコンに差し込んで使っている状態。げんなり。いまだにパソコンを立ち上げるとブルーになる(皆さん気をつけましょう)。
3月の頭にSupring Breakと称して1週間の休みがあり、帰国でもしようかなと考えていたんだが、今回の事件のせいで(?)帰国を決意。パソコンの修理と、新しいノートを1台買うつもり。こうなったら、円安を利用してむちゃくちゃいいパソコンを買ってやる(防水加工済みのヤツ)。
○ 2002年1月24日(木)
新聞などでたまに報じられるが、日本人や韓国人のTOEFLの点数は世界平均に比べてかなり低い。なので、これらの国の人(私も含む)は基本的に英語が苦手とされている。
一方、お隣中国の平均は非常に高く、彼らはかなり英語が出来ると信じていた(中国語の複雑な発音に比べたら、英語の発音なんて簡単だろうと思っていた)。しかし、会話になると中国人も我々日本人と同じで苦手のようだ。
今日友人の一人Zhon(中国人)が、大学の英語のレッスンを取っていて、マンツーマンで発音の矯正を受けているらしい。彼曰く、「なんで”TH”の音を出す時に上の歯と下の歯で舌先をはさまなければいけないんだ、めんどくさい!」と激怒(?)していた。
私は舌先を挟んでも挟まなくても違いが分からないので、あまりこだわっていない。なので、「通じればいいんだよ」といったら、それはダメらしい。
というのも、マンツーマンのレッスン中に舌を挟まずに”TH”の音を発音すると、先生がご立腹。「何今の発音?何言ってるか分からない。もう一度言いなさい!」と、かなり厳しい指導を受けているらしい。
当然のことながら、舌を挟まないとアメリカ人にはもはや”TH”の発音ではないのだ。恐るべしアメリカ人、どうして違いが聞き分けられるんだ。私には全く同じに聞こえるのに。私には一生違いがわからないんだろうか?
○ 2002年1月26日(土)
前回の日記では「英語の発音はあまりこだわってない」と書いたが、こんな私も渡米前や渡米直後は完璧な発音を目指していた頃もあった。
その時にいろいろ試したけど、一番役に立ったのは(いろいろなところで紹介されているのでご存知の方も多いと思うんですが)”30音でマスターする英会話”とそこで紹介されている本”UDA式30音でマスターする英会話 鵜田豊著 SSコミュニケーションズ”。
この中で一番感心したのは、”子音をはっきり速く発音する”ということ。これはかなり重要だと思う。というのも、先学期のTAでKIDSにMat(マット)とMac(マック)がいて、始めの頃は私がどんなにマットの目の前で、「マット!マット!マーーーット!」と読んでも一向に返事をしない。しつこく3回くらい呼んでいると、私の異変に気づいたのか、ようやくマットが、「あ、俺のこと呼んでるの?マックのこと呼んでるのかと思った」ということが良くあった。
多分私の子音の発音が弱すぎて彼に通じなかったのだろう。そこで、マットを呼ぶ時に最後の子音の”T”を、唾を飛ばさんばかりに思いっきり発音したらようやく一回で通じた。この時は、「な〜んだ、英語の発音なんて簡単?この調子だ」と思った。
しかし、そんな私がしばらくして発音へのこだわりを捨てたのだが、その理由はいくつかある。一番の大きかった理由は、前回の日記にも出てきた”TH”。
ある時、「本当にアメリカ人は舌先を上下の歯で挟むのかな?」と疑問に思い観察をしたことがある。すると、私の観察結果からは、「挟む」という
トロイ流暢なモノではないことが発覚した。観てみると、上下の歯の間から、舌先が出ては引っ込み出ては引っ込み忙しい。まるで爬虫類のヘビやトカゲのようにエレガントに動いているではないか。これ発見したときには感心したとともに、「ワシには出来ん!」と諦めたのであった。
○ 2002年1月27日(日)
来週の金曜日にある中間テストのため、昼から図書館で友人達と勉強。約2週間先なのでちょっと気が早いような気もするが、あまり授業内容を把握してないので、これくらいから準備しおくのが良いだろう。
勉強後に世間話になったのだが(こちらの方が勉強時間より長かったような・・・)、現在教わっている準教授が今年で31歳と聞いてビックリした(前々から若いとは思っていたが、私と1歳しか違わないとは・・・)。友人によると、飛び級もしているらしい。さすが、アメリカ!
○ 2002年1月28日(月)
本日夕寝して、25時からTAのレポート採点。先学期は1本あたり3分くらいで処理していたのだが、今回はそうも行かない。たった8本に昨日と今日で7時間くらいかかったから、1本辺り1時間弱か(かかりすぎだ)。これから毎週8本を採点することになるが、内容が同じなので時間短縮できるだろう。
昨日ネットで日本帰国の航空券を購入。往復で$653(デルタ航空;去年の盆の時に片道だけで10万円)。今年の日本は花粉が多いらしいからちょっと心配。滞在は3月頭の1週間。何をしようか考え中。
○ 2002年1月29日(火)
本日、「TAをしているKIDSのなかで、優秀な生徒を推薦してくれ」と教授に言われた。なんでも、優秀な生徒に奨学金を与えるそうだ。
金額はいくらか分からないけど、お金をもらうことで学生もやる気が出てくると思うし、良いシステムだと思う。
しかし、日本にはあるのだろうか、こういうシステム?無いだろうな〜私の知る限り。研究とお金を結びつけるのは邪道(?)という風潮もあるし、奨学金といいつつ卒業後に返さなければいけない
悪徳ローンがメインだし(育○会ってなくなるらしいが....)、院生が授業料払って研究しているようじゃ、まだまだ先の話かな?こういうシステムが浸透するのは。