渡米後(2002年2月)
○ 2002年2月3日(日)
先日、友人が出産後まだ1週間しかたってないに実験していたので、「何やってんだ!病院にいなきゃダメじゃないか」と言ったら、出産の24時間後には病院を追い出されるらしい。さすがアメリカのかーちゃん。
出産と言えば、「出産のためしばらく休みます」と数日前に言われるまで気づかなかった。と言うよりは、こちらにいると誰が妊婦で、誰がそうでないのか分からない。日本の感覚でいるとアメリカ人の3割から4割は妊婦さんになってしまう。
で、産後の彼女、さぞかしすっきりしただろうと思って見たのだが、内心「まだ一人くらい入っているのでは?」と思ってしまった。しかし、そんなことは口が裂けてもいえない。
○ 2002年2月4日(月)
本日、私の今学期初めての中間テスト。教授が、教科書もノートも持ち込み可(Open to notes and text books)というから、特に勉強もせず臨んだ(授業ちゃんと出席して聞いてので)。しかし、テスト終了後にケアレスミスに気づき、ガックリ(勉強しなかった天罰!)。
午後、TA実験の予備実験。夜からTAレポートの採点。この採点、本当は日曜の夜に終わらす予定だったが、テレビを、報道2001、水曜日の情事、HEY!HEY!HEY!、ドラゴンボールZと3時間連続で見てしまったために出来ず。今夜中に終わらし、明日返却する予定。
しかし、こちらのKIDSは3年生ともなると一味違う。レポートで1点や2点マイナスすると、目くじらを立てて「何で、これマイナスなの!!!」と、猛烈な勢いで向かってくる(1年生KIDSは、点数が良ければ間違ったところなんか気にしなかった)。当然、そんなペースでまくし立てられても私には彼らの言っていることが分からないので、「まあ、まあ、まあ」と、もう一度ゆっくり話してもらい、それから私の理由を説明すると、「納得(Make sense)」と理解してくれる。
これだけの根性(?)、たいしたものだなーと感心していて、ある日KIDSに「何でそんな1点や2点にこだわるの?」と聞いたことがある。そうすると、「その1点や2点が成績に大きく影響するんだよ」と言っていた。やはり、成績は彼らに一生ついて回るもの、妥協は許されないのだろう。
その点は日本も見習うべきだと思う。とかく、卒業した学校で判断されがちで、その間の成績に関してはあまり重要視されていないような気がする。そのため、学校に入ってしまえば、あとは適当に卒業するだけと言う学生が多いのではないのだろうか?また、教科書もノートも持ち込み可と言われ、魔人ブウに夢中になり勉強せずにテストに臨む生徒が多いのではないだろうか?
○ 2002年2月9日(日)
私の日記で、アメリカの学生はよく勉強するし、成績にもこだわると書いている。その意味では、アメリカの大学はきちんと機能しているし、いつも感心させられる(授業料さえもらえば、生徒がどこで何をしてようがかまわないという短大が日本にあるらしいが....)。しかし、これが必ずしも良いこととは限らない。
先日の話。レポートを採点して生徒に返却後、怒りを顕わに私のところに詰め寄り、「何でこれは間違っているんだ!」と、いくつかの間違いの理由を聞いてきたので、「これこれだから違うんだよ」と説明した。そしたら納得したようで「Make sense」と一言(Thanksも言わずに)。まあ、これならたまにあることなのだが、その後の彼は、私から3mくらい離れたドアをおもいっきしガーンと殴りを入れて去っていった。勉強をするということの本当の意味を知らないのだろう。
別の話。私は来週からTAで新しい実験を教える。その実験装置は約1年ぶりくらいに動かす。だから、いろいろと不具合がある。そのため前もって自分で動作を確かめていた。何度やっても上手くデータが取れないので、何日もかけて原因を調べていた。どうやらソフト(何年か前のTAが作成した自作のソフト)がおかしいと言う結論に達した。
しかし、スタッフ、「去年と同じソフトを使ってるんだから、ソフトは間違ってない」の一点張り。仕方が無いので、他の原因を探したが、やはりソフトがおかしいいと言う結論に達した。こちらも遊んでるほど暇ではないので、作成者に頼んでソフトを1行ごとに見てもらった。
すると、何者かにソフトが書き換えられていたことが判明(しかも、パッと見には分からないような、明らかにソフトを使ったことのある者の仕業、つまり部外者が出来るような悪戯ではない)。当然、TAやスタッフがそんな悪戯をしても自分を苦しめるだけなのでやるはずは無く、実験室は常時カギがかかっており、部外者は入って来れない。とすると、残るは.......。
スタッフ(女性)に、ソフトが誰かに書き換えられていたと話したら、かなりショックだったようだ。そして、以前にこんな事件があったと教えてくれた。
実験で使う水は、蒸留後、更にフィルターで不純物を取り除いたものを使わなければならない。頻繁に使うものなので、5〜10Lの容器に常時貯めておいて使用する。ある日、実験をするが、どうもデータ-がおかしい。何度やっても以前と結果が違うので、「あーでもない、こーでもない」と、原因を探るも全く分からず。
結局、「まさかそんなはずは無い」と思って念のためその水のタンクを調べたら、何者かが違う薬品を故意に入れていたことが判明した。TAやスタッフがそんな悪戯をしても自分を苦しめるだけなのでやるはずは無く、実験室は常時カギがかかっているので部外者は入って来れない。とすると、残るは.......。
とまあ、こちらでのマイナス面を列挙してしまいしたが、誤解のないように言っておくと、ほとんど全ての生徒はきちんと勉強をしていて良い子ばかりです。ただ、ごく一部の人たちが、勉強もしないくせに、成績が悪いのを他人のせいにして、その腹癒せのためにしていることなのでしょう(これは私個人の意見です、くれぐれも誤解のないようにしてください)。
追記; 最近日記の更新が出来てませんが、そんな時は「ヤツはがんばっているんだろう」と、思って、更新を気長にお待ちください。
○ 2002年2月10日(月)
今日はちょっと、日記らしく書いてみよう。朝は9時と11時から授業があり(各1時間)、11時からの授業は”Remote Sensing and Data Analysis”と言うクラスで、主に人工衛星からのデータ処理がメイン。
今日はラボでの演習。どんなことをやったかと言うと、よく映画とかで、ある技師とFBI警官が人工衛星からのテロリスト演習上空の写真データを見ながら、
警官 「この部分を拡大してくれ」
技師 「分かりました」
ウイ-ン、ガチャガチャ
警官 「分かりにくいな、もう少し細かく見れないのか?」
技師 「分かりました」
ウイ-ン、ガチャガチャ
と言って、ピントが合って、あらまあテロリストがいるでわないか、というあれをやった。結構面白くて授業後もしばらく夢中になってしまった。
午後からは、明日から始まる新しいTAのための実験の準備。そして、実験室を出たのが0時近く。なんとか、明日から学生に見せられるようになった。
帰るときは0時近くだったので、さすがに帰るときは怖かった(よく22時以降にキャンパスを歩いていて、何者かに刃物で切りつけられたとか言う事件を聞いているので)。パトカーが傍を通った時によっぽど止めて乗せてもらおうかと思った(こちらに来てすぐに、パトカーをタクシーと間違えて止めた経験があるからどうってこと無いのだが、結局歩いて帰った)。
帰宅後、3時間を程寝て、現在朝5時。これからレポートの採点をして、朝8時半の授業まえに朝食を取るつもり。
今週の木曜日と来週の月曜日に試験があるのでその勉強もしなければいけないのだが、最近はずーっとTA実験の立ち上げに終われている。友人に、「お前、働きすぎだ!」と言われ、「じゃあ給料2倍もらわなければいけないな」といったら、「3倍でも少ないよ」と言われた。
確か、以前アドバイザーに、「今学期は週4時間だけだから」と言われた記憶があるが、「40時間」の間違いだな、あれは(給料も10倍か...)。
○ 2002年2月19日(火)
久しぶりの日記更新。昨日と今日で2個のテストが終わりほっと一息。特に今日あった”Electroanalyticalchemistry”と言う科目は、私の今後の研究で非常に重要な科目。しかも、以前から電気化学は苦手だったので、この際完全にマスターしようと一番気合が入っている(?)。
どれくらい気合が入っているかと言うと、2冊ある教科書のうちの1冊(簡単な入門書の方)は、学期が始まる前の冬休み中に1回読み終えたくらい。本当は2冊とも読もうとしたが、あまりの難しさに2冊目は断念("Electrochemical Methods",A. Bard and L. Faulkner, Wiley)。
もう一つ気合が入っている理由は、担当教授が学科内で1番厳しい(鬼)と噂で、誰に聞いても彼のテストは難しいと言われているから。しかも、通常のテストはノートと教科書は持ち込み不可で、これがいちばん簡単なテスト。次に簡単なテストが、1枚のカンニングペーパー(合法)持ち込み可の場合。そして、一番難しいのが、ノートと教科書持ち込み可。で、今回は両方持ち込み可で、みんなで、「どんな難しいいテストが出されるんだろう?」と、ちょっとびびってた。
なので、先週の金曜日には一通り範囲の勉強を終わらせ(普段は絶対ありえない)、研究室の先輩に過去問をコピーさせてもらって解いた(こちらに来てから、過去門なんて手に入れたのは初めて、日本にいた時はあたりまえだったけど)。この過去門は2年前に行われたものだったのだが、役に立つだろうと思って友人にもコピーをあげたら、その友人は去年の過去門を持っていた。
そして、2人で2年分の過去門を見比べてビックリ。全くおんなじ問題。「なーんだ、今年もおんなじ問題じゃないの!」 この時点で私の頭の中では、「あれだけ勉強したのに、おんなじ問題出されて100点取ってつまらないな」と、緊張の糸がぷつりと切れてしまった(実は、私にとって過去門自体そんなに難しくは無かった)。この時、過去門を手に入れてしまったことに、罪悪感すら感じたくらい。
と言うわけで、切れた糸はくっつくわけは無く、あまり勉強せずにだらだらと週末を過ごし、本日を迎えた。「あ〜、今回は100点か、でも嬉しくないなー」と思いながらテストに臨んだ。しかし、幸いなことに(?)、今日受けたテストは過去門と全く違う問題。さすが、鬼教官!ちょっと嬉しかった。でも、かなり難しかったし、時間が全然足りなかった。でも、こっちのほうが全然良かった(点数は良くないだろうけど)。しかし、過去門など見ずに、週末きちんと勉強していたら、もっといい点が取れたんだろうな(天罰)。あと、月曜に受けたテストがちょっと問題があり、今度書こうと思っています。
○ 2002年2月22日(木)
本日、火曜日に受けた試験が返却された。結果は可も無く不可も無く。平均が50点台で、想像していたよりも低かった。授業後は、13時から始まるTAまで、寮でレポートの採点。この「寮で」というのがポイントで、そうナイナイのオールナイト聞きながら採点。
TA後、だらだらして、夕食後に、火曜日に試験があった科目の宿題。本当は先週の金曜に提出日だったのだが、ようやく先程メールで送信。この宿題、電気化学に関する論文を10報(ここ最近5年以内のもの)を読んで、その批評をレポートするもの。なにせ、10報で、合計が20点(100点満点)だから、1回遅れても2点減点だし、と思って宿題よりも試験勉強を優先させた。あと、9報読んで書かねば。先は長い。
帰国まで10日となった。知っている方も多いと思うが、実は、フリーソフトの付箋95と言うのを使っていて、覚えたい英単語をパソコンのデスクトップに貼って置けるので大変重宝するのだが、更にいいことに、デスクトップにカレンダーも置けて、更に日にちを指定すればカウントダウン(例えば、試験まであと10日とか)もしてくれる優れもの。と言うわけで、主要な中間テストが終了した私のもっぱらのスケジュールは、帰国のみ。
○ 2002年2月24日(日)
土曜日は昼から研究室へ。ポリマー(粉末)を酸に溶かしてスピンコーティングしようと思っていたのだ。前回溶液を作った時はサラサラ(thin)すぎて、今回はちょっと液キャベくらいドロットした(thick)溶液を作ろうと、ポリマーを3倍に増やす予定が、30倍にしてしまう。当然、ポリマーの量が多すぎて、ほとんど”ぱさぱさ”(液体の量が全然少ない)。もちろん実験に使えず。こんなことして遊んでたら、10年経っても卒業できない。
その後、テニスコートでうちの大学と他の大学が試合をしていルのを発見。あまりの上手さに思わず見いってしまった。女子の試合だったのだが、うちの大学が圧勝。でも、両方ともレベルが高くて、生で見たアマチュアのテニスでは一番上手かった。特にファーストサーブはおもいっきしひっぱたいて、きちんと入ってたし、「あんな小さい女の子が、よくサービス入るな!」と関心。しかし、試合後に私の傍を通った彼女らは、私より全然大きかったので納得。
その後、無性にテニスがしたくなり、そのまま同期とソフトボール。友人のアメリカ人の女の子が、ソフトのチームに入っていて、うちの大学でもチームを作り試合がしたいらしく私にも声がかかった。土曜日はその初練習。3時間くらいの練習だった。しかし、昨日と今日は筋肉痛で動けず、まるでおじいちゃんのような生活を送る。これから毎週練習するらしいが、今度の土曜(2日)は、残念ながらもう飛行機の中で参加できず(助かった、こんなの毎週してたら身が持たない)。
○ 2002年2月28日(木)
この日記、アメリカでの非日常を紹介しようと思って始めたが、最近こちらでの非日常な生活が、私にとっての日常になってしまい、何が日記のネタになり、何がネタにならないのかさっぱりわからなくなってきた。
例えば、このごろ朝食には決まって、はちみつでひたひたに漬かったホットケーキ+スプライトを食している(食堂に行ってホットケーキがないと朝の機嫌が悪い)とか、実験に必要なもを買うに当たって、30ドル差で高いだの安いだのとスタッフと口論になったりだとか、この間の14日に、とあるKIDからクッキーをもらったのだが、その時TAが忙しすぎた為にもらったのをすっかり忘れ、実験室に置きっぱなし、次の日に気が付いて取りに行ったら無くなってたりだとか(ほんと、申し訳ない)。
まあ、あと3日後には帰国なので、この機会にもう一度私の日常的感覚を取り戻そう。しかし、これだけ日記で「帰国をアピール」しているのに、某後輩の山本○男氏から、「ぜひ飲みましょう」というメールが来ないのは何故だろ(注:博士論文で忙しいのは分かってるので、別にこの場で催促してるわけではないよ)。