渡米後(2002年5月)
○ 2002年5月4日(土)
先週の金曜、人生最後のファイナルテスト(期末試験)を終えほっと一段落。いくつになってもテストを受けるのは嫌なもんだ(そういえば今月で30歳か....)。これで卒業に必要な単位は揃ったと思うので、来学期からは授業を取る必要は無い。しかし、研究をする上で必要な授業がいくつかあるので聴講はすると思う。
嬉しいことに、TAも2度とすることは無いと思う(これはボスの財政力次第だが)。で、こちらでは毎学期の終了時、生徒による教授の授業評価があるのだが、もちろんTAの評価もある。先学期もKIDSが私の評価をしてくれたみたいだったが、小心者の私は「出来れば見たくない」と思い結局見なかった。
で、今回も見ることは無いだろうと思っていたのだが、担当スタッフから「これISAOのTA評価だから」と、KIDSの評価(無記名)が入った封筒を直接渡されてしまったので見る羽目に。
その中のコメントで嬉しかったのは、「Isao was better than any other TA.」だった。あとは、「Great」や「Friendly」など。反省するべきコメントは、「His accent was a little thick.(彼のアクセントはちょっと分からなかった)」があった。評価は、5人くらいがBで、他の全員はAだった(全40人)。
でも、一番嬉しかったのは、「次の機会があったらまた同じTAに習いたいか?」という質問に、全員が「Yes」だったということ。まあ、アメリカ人もお世辞を言うのは知っているが、やはり嬉しい。これを機会にきちんと通じる英語を勉強しなおそうと思ったのと同時に、多少の言葉の壁があっても、「教えたいという気持ちがあれば伝わる」というのを実感した。教えること自体は好きなので、ほんと良い経験をさせてもらった。
で、これから本格的に研究が始まるのだが、先週は今度使わせてもらう機械の講習会を半導体用のクリーンルームで。もちろんクリーンルームだから、埃や塵を出さないように全身を作業着(もちろんマスク、手袋、靴袋?、頭袋?)を着て。実は、3週間くらい前からこちらでの花粉症にかかりひどい目にあっているが、さすがクリーンルーム。鼻水がぴたりと止まった。これからは毎年この時期はクリーンルームで仕事するに限る。
○ 2002年5月5日(日)
そろそろ、アトランタもクソ熱い夏が始まる。だだっ広いキャンパスを歩いていたのでは汗だくになってしょうがない。ということで、先日「ちゃりんこ」を買いに出かけた。その時は一人で電車(MARTA)で行ったのだが、とある駅で乗客の乗り降り後、扉が閉まり電車が発車した直後、ホームにいた若い白人の女の子2人が発車している電車に向かってTシャツを肩くらいまでまでガバッ(もちろんノーブラ)。
それを、電車のドアに寄りかかっていたためにモロにみた高校生くらいの男の子が大興奮。その友人(窓を背に座ってた)に、「今のみたかよ!」と息荒く尋ねるも、見てない友人達は信用しておらず、乗客の私らにまで「今の見たよな!」と同意を求めてきた。そしたら、私の隣にいた中年くらいの南米出身と思われる口ひげを蓄えたセニョールは、嬉しそうに、「うんうん」とうなずいていた。もちろん私も。あ〜、夏近しアトランタ。
○ 2002年5月9日(木)
日本では春(冬?)が卒業だが、こちらでは夏が卒業。私の所属している研究室の9人いる学生のうち、5人が卒業でいなくなる。学生が半分以下になるのは、研究室の活気が一気に下がることもあるし、実にさびしいものだし、夏に別れがあるというのは非常に違和感がある。
ただ、この事は前々から分かっていたが、実はEun Hooがトランスファーするそうで、6月末にはアトランタを去る。これは急だったので結構ビックリした。まあ、前々から、「自分の好きな研究ができるところが無い」と言っていたし、「トランスファーするかも」とも言っていたし、この選択は彼にとって当然の成り行きだが。
というわけで、最近は研究に対して(というか全てに対して)テンションが低い。数ヶ月前には、「授業は終わったら、朝から晩までバリバリ実験するぞ!」と思っていたんだが、フタを空けてみると、昼くらいに起床し、14時くらいから実験を始めている。夜は寮に帰り、自分のパソコンでプログラムをつくったり(計測装置をパソコンで動かすためのもの LabVIEW)、図面を描いたり(これも実験に必要なもの)、ネットサーフィンをしたりして朝5時くらいにベッドに入る。まあ、今週はファイナル後のブレイク週間(テスト休み)なのでこんな生活も許されるだろうが、来週からはきちんとした生活に戻さないと。
○ 2002年5月11日(土)
天気は良くなかったけど、Buford DamとStone Mt.に行って来たのでその写真。
この写真はBuford Damのもの。ちょうど上の写真は ダムの放水場からつながる川が流れているところ。
川沿いは、つりを楽しむ人々や、川原でBBQを人々
でにぎわう。
上の2枚は、Stone Mt.での写真。一枚岩の中央に彫刻がしてあり、毎週土曜の夜は、この岩をスクリーンにしてのレイザーショーが行われる。右の写真は、私より後方でレイザーショーを待つ人々を、私が仰向けになって取ったもの(だから天地逆)。
この時点ではまだ18時くらいで、これからどんどん人が集まってくる(ショーは22時くらいから始まった)。ショーは、なかなか良いものでした。一度機会があったら見る価値はあると思います。ショーの写真をとったのですが、残念ながら暗くて良く分からないのでカット。
○ 2002年5月14日(火)
2週間くらい前、食堂で夕食をたらふく食べ、ぱんぱんになったおなかを手でさすりながら、「生まれるー」とつぶやきつつ寮に帰る途中。目の前をメタリックシルバーのスポーツカーが信号待ちのため止まった。
「クソ-、学生なのになんでこんな良い車に乗れるんだ!」と思い、「どんなやつが乗っているのか見てみよう」と、運転席の人の顔を見ると、なんと金髪美人。「いや〜、スポーツカーに金髪、絵になる。これぞアメリカ!」と、感心しながら信号待ちの車の列が退くのを道路脇で待っていた。
すると、横に立っている私が視界に入ったのか、向こうの女性はこちらを見て、いきなり手を振ってきた。思わず「ラッキー」と、ぱんぱんのおなかを引っ込める。が、ニコニコこちらを見ている女性をよーくよく見てみると友人だった。「なーんだ」と、引っ込めた腹を元に戻し、こちらも挨拶。
で、今日の話。その友人に「みんなで今度の金曜映画に行かない?スターウォーズ」と誘われた。もちろん行かないはずは無いのだが、来週の月曜日にラボミーティング内での私のプレゼンの順番が当たっている。
前回発表したのは約1ヶ月前。先週はサボりまくって何もデータなし(一応、期末テスト休みだったのだが)。で、その前の2週はファイナル試験の準備のためほとんど実験せず。ということで、今週必死に実験しないと、来週の月曜日になにも発表することが無い。もちろん映画はお断り。
しかし、「なんか良い手は無いものか?」と、ぼけーっとラボにあるカレンダーを見ると、来週の月曜日ボスは出張になってる。「あれ〜、私にプレゼンを割り振ったけど、ボス出張で不在じゃぁ、ラボミーティング自体が無いんじゃないのかな?」と、不思議に思いその旨をボスに聞くと、「来週の月曜はミーティング無いからISAOの発表はずらそう」というお言葉。
そのお言葉を聞いて、「いや〜、日程がずれるおかげで発表する内容が増えてうれひいですよー」とお答えしておいたものの、内心は、「もう少し早くわかってればスターウォーズ行けたのに」と、がっくり。
○ 2002年5月15日(水)
実は、今週の月曜から夏学期がスタート。しかし、もうクラスを取ってテストに四苦八苦することや、TAのために長い時間拘束されることが無くなった。つまり、朝から晩まで自由!それと同時に、今月からはKIDSを指導するTAから、研究で成果を出すことで給料をもらえるRAに切り替わる。なので、先学期まではTAとクラスの時以外は基本的に何をしても良かったのに比べて、今学期からはいくら研究をしても成果を出さないとまずくなる。
ということで、要領の悪い私は長い時間をかけて研究することでカバーするしかない。だから、月曜からは、朝は7時くらいから夜は10時くらいまで、3度の飯で外に出る以外はずーっと研究室篭り。以前は夜遅い帰宅は危険なので早く帰っていたが、今はチャリがあるので大丈夫(でも、さすがにキャンパス周り以外はチャリでも危険なので行かない、まっすぐ寄り道をせず帰る)。
じつはこの間、師匠と夜中の12時くらいに肝試しドライブ(?)にいった。といってもお化けの肝試しではなく、ダウンタウンの危険とされているところを車で周回するもの。もちろん危険なので、ドアは閉め、ステレオも止めて危険を耳でも察知できるように。何かあったら即逃げる。
で、とある人気の無い薄暗い立体駐車場(5階建てくらい)の前で信号待ちをしていた時(夜なので駐車してある車はほとんどなくガラーンとしていた)。いきなりその駐車場のほうから「バーン、バーン」と、乾いた銃声のような音が立て続けに4回聞こえた。
「今の銃声?」と師匠に聞くと彼は即答。なんでも、韓国での徴兵時に何度も銃声を聞いているため、一発で銃声と分かったらしい。しかも、立体駐車場の中で発砲されたみたいで、少し音が「キーン」と反響していた。
実はこちらに来て銃声を聞いたのは2度目。1度目は寮にいたときにそれらしい音を聞いたのだが、周りに誰もいなかったので確かめられなかった。でも多分そうだろう。あーこわ。
○ 2002年5月19日(土)
今日は夏学期始まってから最初の休み。ということで、目覚ましなしで寝たいだけ寝て(寝貯め)、「さー、髪切ってさっぱりするぞー」と、昼からキャンパスにある床屋に行ったが閉まってた。先学期までは平日は込んでて土曜に髪きりに行ってた。たから今日もその調子で行ったんだが、さすがに学生の数が少ない夏学期の土曜は閉まっているのか、知らなかった。
で、その後は昼食を済ませ、仕事をしようと研究室へ。が、あまりにもやる気が無くて30分くらいして帰ってきた。そしたら、リビングで新ルームメイトがサッカーを見ていた。(彼はこの間の日曜日から来ている)。彼とは、挨拶ぐらいをしただけで、なかなかゆっくり話が出来なかった(私が起きる時は寝てるし、帰ってきたときはすでに部屋で勉強してるみたいだし)。
これはチャンスと、洗濯や掃除をパパッと済ませ、一緒にサッカー観戦。試合はフランス対ベルギー(日本が最初に対戦するところ)。彼に「サッカー好きなんか?」と聞いたら、「Addictive(中毒だ)」と言っていた。私が、「日本がHグループだ」といったら、「Hグループはベルギー、ロシア、チュニジアだ、楽なグループだな」と、どうやら彼はどこの国がどのグループに属しているか全て知っているらしい、
そして私が、「テレビでのワールドカップを見るのを楽しみにしている」と言ったら、彼も「俺もだ。ただ俺は今学期2クラス取ってて、毎日見るのは大変だけど(こちらでの放送は深夜過ぎ)、これだけは見逃せない。ISAO、一緒に見ような!」と、どうやら彼は全試合(これ)を見る気でいるらしい。いくら授業が無い私でも研究をしなければいけないので、毎日徹夜しては体が持たない。「俺は日本戦だけ見るよ」と丁重にお断りしていた。
で、試合のほうは始終押していたかに見えたフランスが(この時点では同点だったが、あまりにもフランスが押しているので、ベルギーってたいしたこと無いんじゃないの?と思ってた)、試合終了前に鮮やかなシュートを決められ負けた。あの、フランスを負かすベルギーって強いと思ったのと同時に、日本は大丈夫か?と心配してしまった。そしたら、ルームメイトが、「日本は初戦にこのチームと戦うんだぞ、覚悟しとけよ!」と、ついさっき、「楽なHグループ」と言っていたのとは大違い。もちろん突っ込んでおいたが。
○ 2002年5月22日(水)
日本のトイレに慣れていると、アメリカのトイレの個室の囲い(壁)の下がスカスカで気になる。下ろしたズボンとクツが隙間から丸見えである。だからクツとズボンを見れば誰が大をしている大体わかってしまう。
だからといって、個室に入っている私を発見するなり、外から「Hi, Isao.」と挨拶するのは止めてくれGreg。学校で大をしているのを見つかった小学校時代のトラウマがよみがえり、ドキッとするんだよ。さらに立て続けに、「調子はどうだい?(How are you doing?)」と聞くのもやめてくれ。私に「う〜ん、快便だぜ!」と答えて欲しいのか?(お食事中の方は失礼しました)
○ 2002年5月27日(月)
先週は誕生日ということもあり、普段はあまり見ない映画を2本も見てしまった。今話題の、「Star wars episode II」と、「Spider-man」。私個人的には前者のほうがぜんぜんよかったし、一緒に行ったアメリカ人でさえ(?)スパイダーマンには(期待していただけに)失望した(disappointed)と言っていた。ただ、「世界最先端の電子顕微鏡が異常にでかかったり」、「ナノテクノロジー」という言葉が無意味に出てきたのは笑えた(スパイダーマン)。あと、ヨーダが戦うときの変わりようが、亀仙人のじっちゃんのを見て感動して以来で懐かしかった(スターウォーズ)。