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2001年9月〜2002年6月まで通ったFoundaiotn Diploma for Postgraduate Studies(略してFDPS。大学院準備コース)での一年間を紹介しています。コースの内容を紹介しているというよりは、個人的にどんな風に過ごしたかに焦点が当てられていますので、参考にされる場合はその点に留意してください。 |
| 何故ファウンデーション・コースに行ったか? |
簡単に言うと「足りない」と思ったからです。英語力、学問的バックグランド、イギリスの教育機関での経験などです。
もう一つには(これの方が重要だったかも知れない)、恥ずかしながら当時自分でも「何がしたいのか分からなかった」という事実です。もちろん英文学がしたいのか、開発学がしたいのかというのではありません。漠然と「文化に関することがしたい」と考えていました。とりわけ、@日本文化とイギリス文化を比較したい。或いはAイギリス人がどう日本文化を捉えているのか、という2点に興味がありました。今もどんぴしゃなことをしているわけではありませんが、僕がしている社会人類学において「比較」及び「異文化表象」というテーマは非常に重要であり、興味も尽きないところであります。
| どんな風に過ごしたか? |
| 9月下旬 | オリエンテーション期間。コースの内容がどんなものであるのか教えてくれる。学校に行く日が2日に一回程度だったので楽だった。 |
| 10月 | コーススタート。 |
| 10月下旬 | ISP(卒論)で書くテーマを提出。殆ど思いつきで「文化相対論」について(が結局変更することになる)。スーパーヴァイザー(担当教官)はSOASのSocial Anthropologyで教えているDr Michael Richardsonに決定。 |
| 11月上旬〜11月下旬 | ターム1のエッセイを書いていた。European Studiesから始めたのだが、問題を間違って解釈、それでもまとめようとしたので泥沼化。提出日の3日前まであーだこーだ弄くっていたが纏まらず、適当に纏めて無理矢理終了。全く手をつけていなかったCultural Studiesの方は時間がないゆえアイデア勝負に。やはり質問に答えていないのでEuropean Studiesの方はかなり悪い結果に終わったが、Cultural Studiesは意外にいい点数だった(のでかなり驚いた)。内容的には自分でも気に入っていたので、ISP(卒論)の骨格になった。 |
| 12月上旬 | スーパーヴァイザーとISPについて話し合い始めた。当初は文化相対論について書こうと思っていたが、あまりに難しく広域的なテーマになりそうだったので、約3ヶ月後には変更することになる(変えといて良かったと改めて思う)。スーパーヴァイザーが親しみやすい方で本当に良かった。 |
| 12月中旬 | リサーチ・メソッドというクラスにてグループワーク。うちのグループのテーマは「日本人及び中国人留学生の比較・考察」。ギリシア人の生徒が、授業に来ないくせに内容に文句をつけてきたりしたので、一時期険悪な雰囲気になったが、プレゼン自体はうまく纏まって良かった。プレゼンのグループに色々な国の人間がいると、それぞれの国民性が垣間見られる(ような気がする)。折角イギリスに留学しているのになんだが、プレゼンは日本人のグループでやるのが、精神衛生上いいなというのが率直な感想。 |
| 1月 | 正月休み。ロンドンで一人で過ごした。勉強はいっこもしてない。 |
| 2月 | 2ターム目のエッセイを書いていた。途中リーディング・ウィークという1週間まるまる休みの期間もあり、この2ターム目のエッセイが一番納得いくものとなった。特にEuropean Studiesのエッセイは今まで書いたエッセイの中で最も納得のいくものになった。…けど点数はそんなに良くなかった。 |
| 3月初旬 | スーパーヴァイザーと話し合い、テーマを変えることに。エドワード・サイードの『オリエンタリズム』のにおける東洋的視点の欠落という批判から出発し、日本における西洋の表象とその政治的結びつきについて、Occidentalism in Japanと題して書くことになった。 |
| 3月中旬 | Mock Examination期間。いわばテストのテスト。コースの多くの学生が、英国でしかも英語で試験を受けるのが初めてであり、最終試験での悲劇的結果を回避するために行われる練習用試験。点数には入らない(Academic Englishは別という噂)。最終試験で本当に悲劇的結果を取ってしまった生徒は、このモックの結果が適応されるらしい。僕の場合モックの結果が悲劇的であった為、その目的のためには使われない(いや使えない)ことが判明。特にEuropean Studiesはひっくり返るような点数だった。 |
| 3月下旬〜4月下旬 | イースターホリデー(1ヶ月学校は休み)。ISPを文字通り必死で書いていた。4月24日、提出日の朝にめでたく終了。 |
| 5月上旬〜中旬 | 3ターム目のエッセイを必死で書いていた。ウソ。上旬趣味に現をぬかし、後半焦りまくったというのが本当のところ。結果European Studiesの方は限りなく適当なものになってしまった。てか2日で書いた。でもEuropean Studiesで書いた3つのエッセイのうちで一番良い点数だった。嬉しいのやら悲しいのやら(2ターム目はとってもがんばったのに…)。Cultural Studiesの方も負けず劣らずかなり適当なものに。こちらはCutural Studiesで書いたエッセイの中で最低なものだった(てーかあの内容だったらもっと悲劇的な点数でもいいと思う)。 |
| 5月末〜6月上旬 | 補習期間。テストのヒントを集めた。また、この時期になってまともに出願を始めた。テスト前にオファーくれたらとても嬉しいかもと今更ながらに思っていた。 |
| 6月中旬及び下旬 | 試験期間中。一番初めのAcademic Englishの試験が一番神経使ったと思う。Cultural Studiesは結構準備した(というか解答を作ってそして覚えたという感じ)。European Studiesの方はモチベーションが下がり、あまり準備しなかった(というかそれなりに解答を作ってそしてそれなりに覚えたという感じ)。Cultural StudiesもEuropean Studiesも3セクションからそれぞれ一問づつ選択し、計3問答えるというものであったが、結局最初の2セクション分しか解答を用意していかなかったので、3セクション目はその場で考えた。かなり適当に書いたので、点数が引かれているとしたら3セクション目だと思う。また、Cultural StudiesとEuropean Studiesの試験の間にプレゼンテーションがあった。内容はISP(卒論)で書いたことについて。8分から最大で11分まで。これはかなり良く出来たと思う(自分で言うな)。 |
| 6月28日 | コース終了 |
| ファウンデーション・コースに行って良かったか? |
僕が通ったSOASのファウンデーション・コースの評価は結構意見の分かれるところのようです。僕は「行って良かった派」です(どんな派だ)。人によっては既に学部時代、もしくは大学院でしっかりと学問的基礎を勉強しているので、アカデミックユニットは無駄だったという人もいます。また英語の補強クラスがたんまりあるので、英語力が十分にある人にはしんどいかも知れませんね。
しかしながら、個人的に思うことですが、学問的基礎がしっかりしていても英語力があったとしても、この一年は無駄にはならないんじゃないかなーと思います。例えば、いくら日本の大学で学問的基礎をしっかり身に付けた人とはいえ、日本とイギリスでは異なった「言説」があることを考慮する必要があります。つまり、日本で当たり前として語られている学問的常識がイギリスでは受け入れられず、排除されてしまうという事実です。日本の大学或いは大学院で同じことを勉強したにも関わらず(むしろしてしまったからこそ)、このファウンデーションコースのアカデミック・ユニットで満足のいく評価を受けられなかった人が結構いるんじゃないかなと思います。
またいくら英語が出来たとは言え、それをイギリスの学問の中で使えるか否かという問題があります。イギリスの教育機関で評価の対象になるには、日本的な書き方ではなく、或いは独創的な書き方ではなく、イギリスのアカデミックライティングの様式にある程度従って書かなくてはなりません。エッセイの内容がいくら素晴らしいものでも、書き方如何によって、「内容が不明瞭」、「説得力に欠ける」、「内容が記述的過ぎる」、「質問にダイレクトに応えていない」などの評価を受けてしまうことがあります。
以上のような学問的言説に慣れるのによい経験となったと思います。まぁ僕の場合、英語力はないは、学問的基礎はないはで、慣れるというより学んでいったという感じですけど。
そうそう、このコースで何人かの親友も出来ましたよ。これは何ごとにも変えられないことですね。