3章 雨水(天水)利用の現状と課題
1.調査目的
水の使用量が問題とされる近年、また新たに雨水(天水)利用が見直されつつある。特に人口が集中している中部の沖縄市では盛んに推進されている。実際に個人の住宅で使用するにはどのような設備が必要で、どのような使用がされているのか。どの行政施設が中心となって推進し、対応に取り組んでいるのか。
2.調査方法
@沖縄市水道局に取材に行く
A紹介された実際に雨水(天水)利用をしている家庭に取材に行く
3.調査結果
(1)水道局にて、(沖縄市水道局総務課・桑江さん)
@
現在沖縄市で雨水(天水)利用を実践している個人住宅は何件くらいあるのか?
A:平成13年度6月、審査しただけで163件
A
どこの地域で最も普及しているのか?
A:美里
B
どのような仕組みの設備が多いのか?
A:一般家庭の屋上にあるタンクや、トイレの浄化槽を綺麗にしたものが多い
C
いつごろから注目されるようになったのか?
A:約10年前から
D
なぜ注目され始めたのか?
A:断水で水道が使用できないことがあったから
E
設備を整えるにはどの位の費用がかかるのか?
A:簡単なものだと50万くらい、100万くらいのものは十分にいい性能のものができる
F
6のために行政側から援助はあるのか?
A:新築の場合、50万ほど資金が多く借りられる
G
実践している家庭へ何か賞与はあるのか?
A:沖縄タイムスと共同でコンテストを開催している
H
最近の普及状況はどうですか?
A:順調に増加傾向にある
I
これからの改善策や、新たな企画などがあるのか?
A:地震などの災害時においてのトイレの水を市・県で確保する計画案がある
○個人的な意見
@ あなた自身は利用しているのか?
A:利用している
A どのようなことに?
A:畑や庭にまく水や、車を洗うときの水など・・・
(2)個人住宅にて、(美里在住・安里さん)
@ いつごろから使用しているのか?
A:平成11年に家を新築したときから
A なぜ始めようと考えたのか?
A:屋上にタンクを置くのが嫌だったので、置かずに済む方法を探してみたらこの仕組みを紹介されたのでとりいれてみた
B どんなことに利用しているのか?
A:庭や畑の水まき、家の外を掃除するときなど。簡単な浄化設備もついているので、トイレ、洗濯など飲み水以外のほとんどの生活用水をまかなっている
C 水道水とどんな点で違うのか?
A:思いっきり贅沢に使える
D どれくらいの量を貯えておけるのか?
A:3tのタンクを2つ(駐車場の地下)、2tのもの(以前利用していた浄化槽が、下水道が通ったのでいらなくなった)を1つ。で、計8t
E どれくらいでタンクはいっぱいになるのか?
A:大雨の時は一日であふれている。すごくもったいない。もっと大きなものにしたかった
F なぜもっと大きいものにしなかったのか?
A:最初は家の地下全体を貯水槽にする計画だったが、家を支えるための鉄筋か必要で工事が長引くことになった。しかし、土地の地盤が弱く、水がたっまった場合、家が沈む恐れがあるとわかったので、あきらめた
G どれくらいで空になるのか?
A:雨が降らなくても常に一定量水がたまって循環するようになっているので、空になることはない
H 天水利用が普及することをどう思うか?
A:これから家を新築される方には特に、またそうではなくてもすごくおすすめ。タンクは大きければ大きいほどいい
I これからも続けていきたいか?
A:もちろん!チャンスがあればもっと貯水できるものにしたい
<資料1>
「沖縄市水資源有効利用功労者表彰事業」
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1991年(平成3年)沖縄市水道局「水資源有効利用功労者表彰」事業開始
沖縄開発金融公庫「雨水利用施設設置割増制度(50万円)」開始 (資料3・資料4参照)
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1992年(平成4年3月)沖縄県水資源有効利用推進懇話会
「沖縄県は、水利用の合理化を推進し、節水型社会の形成を図る必要がある。水資源の有効利用を図る(提言)」ためとして提言。
○
沖縄市水道事業管理者への懇話会委員委囑
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1997年(平成9年8月)「‘97雨水フェアーinおきなわ」開催
「沖縄県の雨水利用に大きな示唆と勇気をあたえることとなった」
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1998年(平成10年7月)「水資源有効利用を啓発した功績」により、沖縄市水道局は、第42回沖縄タイムス賞(県内新聞社)(自治賞)を受賞。
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2000年(平成12年8月)「水資源有効利用功労者表彰制度を制定する等の啓豪活動の実施及び97雨水フェアーinおきなわ開催」により、国土庁(現国土交通省)から水資源功績者表彰を受ける
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2001年(平成13年6月)第43回水道週間までの水資源有効利用功労者被表彰累計71名
(内訳)
○雨水部門 36名 ○井戸水部門 28名 ○併用 7名
<資料2>
「水資源有効利用施設選考基準」(抜粋)
(1)水質(生活雑用水として)について次の条件をみたすものである。
@ 衛生上問題のないこと。
A 利用上不快感(外観・臭気等)を与えないこと。
B 設備に悪影響を及ぼさないこと。
(2)施設管理を充分に行うことができること。
(3)当該施設が現に水資源有効利用に寄与している施設であること。
(4)その他、水資源有効利用施設として認められるもの。
<資料3>
「公庫の融資制度」
沖縄振興開発金融公庫(沖縄公庫)では、1戸建て専用住宅において雨水利用施設設置工事を行う方や産業開発資金の対象者のうち水資源の有効利用を図るための雑用水利用施設を設置する方に対し次のような融資制度を平成3年度から設けている。
(1)個人住宅建設資金(雨水利用施設設置工事割増増加算制度)
沖縄公庫では、平成3年度より雨水利用施設設置工事を行う1戸建専用住宅に対し50万円の割増加算制度を設けました。
これは、逼迫する水需給関係を緩和するため、水洗便所等の用途について雨水を利用する施設を設置する際に割増融資をすることで、水資源の有効利用を促進する沖縄独自の制度です。
@対象とする地域:沖縄県全域
A対象とする住宅
平成3年4月22日以降の申込に係る個人住宅建設資金(一般住宅及び赤瓦住宅資金)で次の3に定める雨水利用施設設置工事を行う1戸建専用住宅
B雨水利用施設設置工事の用件について
(@)雨水利用施設の用途
イ) 水洗便所
ロ) 庭の散水
ハ) 雑用水
ニ) その他
(A)雨水貯水槽の設置方式
イ) 地下設置方式
ロ) 地上設置方式
(B)供給方式
イ) 高架タンク設置型(地下屋上2槽型)
ロ) 圧力ポンプ型(地下1槽型)
ハ) 重力落下型(中間階一槽型)
(C)貯水槽の内容
超水槽の内容は原則として6立方メートル以上とする。
なお、供給方式を高架タンク設置型とした場合における高架タンクの容量は問いません。
(D)貯水槽の構造
貯水槽の構造については、原則として鉄筋コンクリート造とし、地下貯水槽の場合の低盤部分は地盤面の反力をうけるため耐圧盤とし、その他については構造計算等に基づき十分な強度を有するものにすること。

資料:沖縄県企画開発部
(2)地域水資源有効利用促進基金(産業開発資金)
@貸付対象
沖縄における産業開発資金の対象となる者のうち水資源の有効利用を図るための施設を設置する者。
A資金使途
雑用水を利用するために必要な設備の取得資金。
B貸付限度額
総所得の70%以内
C償還期間
20年以内(うち据置期間3年以内)
<資料4>
沖縄振興開発金融公庫・雨水利用施設設置工事割増加算制度利用件数
平成13年3月31日現在
|
年度 |
個人住宅資金融資申込件数 |
雨水融資件数 |
雨水融資割合 |
|
平成3年度 |
3,904 |
45 |
1.15% |
|
平成4年度 |
5,078 |
67 |
1.32% |
|
平成5年度 |
9,391 |
218 |
2.32% |
|
平成6年度 |
5,368 |
97 |
1.81% |
|
平成7年度 |
7,771 |
195 |
2.51% |
|
平成8年度 |
6,828 |
92 |
1.35% |
|
平成9年度 |
4,336 |
70 |
1.61% |
|
平成10年度 |
5,576 |
72 |
1.29% |
|
平成11年度 |
3,319 |
27 |
0.81% |
|
平成12年度 |
3,240 |
17 |
0.52% |
|
合計 |
54,811 |
900 |
1.64% |
* 個人住宅資金融資及び申込件数は、マイホーム新築資金、建売住宅購入資金、マンション購入資金の申込合計。
<資料5>

(2001.6.1.沖縄タイムス)
<資料6>

資料:「雨水・井戸水有効利用について」2001年 沖縄市水道局
<資料7>
「水資源有効利用功労者表彰要網」改正 平成11年3月26日 水道局要網第4号
(目的)
第1条 この要網は、水資源の有限性に鑑み、日常的に水資源の有効利用を実践している者をたたえることによって、本市における多面的な水利用の普及を図ることを目的とする。
(表彰の基準)
第2条 市内にある水資源の有効利用施設のうち水源を雨水・井戸水とし、次の各号の生活雑用水として使用されている施設等で他の模範と認められるもの。
@ 水洗トイレ用水
A 空調用水
B 散水用水
C 清掃用水
D その他(防火用水等)
(推薦手続)
第3条 表彰候補者の推薦は、原則として当該表彰候補者が居住する自治会長、当該施設の設計・施行者またはその他関係者がおこなうものとする。
前項の規定により、表彰の基準に該当者があるとき推薦者は次により水道事業管理者に推蘭するものとする。
(選考)
第4条 水道事業管理者は、前条の規定により推薦書の提出があったときは、その内容を審査し適当と認めた場合は決定するものとする。
(表彰の時期)
第5条 表彰は、水道事業管理者が毎年「全国水道週間」期間中に行う。
(表彰の方法)
第6条 被表彰者に対し、表彰状及び記念品を授与する。
表彰が決定した場合は、遺族に前項の規定に基づき表彰状等を贈ることができる。
第7条 前各号に定めるもののほか、この要網の設行について必要な事項は管理者が別に定める。
附則
この要網は、平成3年4月25日より施行する。
附則
この要網は、公布の日より設行する。
4.考察
今まで昔のことだと思い込んでいた天水利用が、かなり画期的なものであることが改めて理解できた。私の家の一ヶ月の水道料金(約2万円)と、実際に雨水(天水)利用を行っている家庭の料金(1,827円)を比較してみると、なんと10倍もの差があった。家族構成はほとんど変わらない。このことから、普段何気なく使用している生活用水がどれだけ大量に使われてしまっているかということが実感できた。この機会に我が家でも水の使い方に気を使い始めるようになった。あまりの水道料金の差に、両親は今度雨水タンクを設置することを真剣に考えている。普段の水の使い方を振り返っても反省しなければいけない点が多々ある。以前よりは少しでも節約できるように心がけていきたい。
5.今後の課題
設備のさらなる向上や、行政からの資金面でのバックアップでさらに普及が促進されること。市民が天水利用の有効性や経済性を理解し、推進に協力できるようになること。そして今、県と共同で公共設備にもこの天水を利用する取り組みが計画されているということだ。大幅なコストの削減が期待されている。また、阪神大震災のような災害時での水の確保対策としても注目されている。
6.参考文献・引用文献
・(雨水・井戸水有効利用について)沖縄市水道局、2001,7,18出版
・沖縄タイムス、2001,6,1.