4 年 生 引 退 特 集


10月26日の法政戦を最後に引退した4年生達。4年間住み慣れた合宿所・明和寮を出て新しい生活をスタートさせている。プロへ行く人、社会人で野球を続ける人や、普通に就職する人、そして教員を目指し勉学に励む人・・・。進む道は様々だが、野球という絆で結ばれ共に過ごした4年間。彼らは何を想い、今までを過ごしてきたのだろうか。そしてそれは、彼らのこれからにどうつながってゆくのだろうか・・・。  

 
第1回 呉本 成徳 主将 
 第2回 小林 真也

トップ
信じ想い続けて

呉本 成徳主将 (政経4)


 ”俺変わったんだよ”。主将になりたての春。呉本主将(政経4)は、その変化を楽しんでいるようにも見えた。「いい経験させてもらってるよ」。今春は早稲田三連覇で幕を閉じた。「主将としてチームを一から作り直す」。このころから、とにかく「姿勢で示していく」ことを心に決めていた。

温度差
  「あと一歩だった。その一歩を並んで追い越す!」(川内学生コーチ・商4)。8月の高森合宿は例年になく厳しかった。朝から晩まで野球漬けの日々。炎天下の長野。初日から「マウンド上で吐きそうになった」(和田・政経4)。早くもバスの中でグチがこぼれる。『今日はホント疲れただけって感じだな』。「おい!そういうこと言うなよ!!」。呉本が叫ぶ。『うっせ〜な・・・』。同じ4年生だった。このとき、まだ呉本の想いは伝わりきってはいなかった。その夜、「この合宿キツイけど、やらされてるって気持ちがダメ。1000本振ってから寝るわ」。ただ自分を信じ、ひたすらバットを振り続けた。合宿が終わっても、その姿勢は変わらなかった。「クレ(呉本)はホント努力しとる」(田中(之)・営4)。徐々に変わりつつあった勝ちへのこだわり。実に5年振りとなる優勝へ向けて、4年生の最後のシーズンが始まった。

 背中で
  開幕戦。東大相手にまさかの苦戦、2−2のまま試合は延長に入るかと思われた。しかし、9回裏。チームを救ったのは呉本のバットだった。明治1000勝を飾るメモリアルアーチ。「やっぱりコイツしかいないな」(川内学生コーチ)。呉本についていこうと思わせた。さらに、プロ入りがかかっていた今シーズン。普通なら自分の結果を出したいところ。「チームのために平気で四球選ぶんだよ。俺らだってやらなきゃ」(小林(真)・文4)。チームが一つになっていく。一試合ごとに勢いが増して言った。・・・しかし、またも優勝はできなかった。

  笑顔で
全日程終了後、バスの中でグチをこぼしていた選手が言う。「悔しくないわけはない。だけど、呉本を中心にまとまってこれて、良かったと思う」。呉本は確かにチームを動かしていた。「嫌われていいやって、やってきたけど、みんなは思った以上についてきてくれて、嬉しかった。ありがとう」。最終戦試合終了後行われた引退セレモニーで、呉本は涙まじりの笑顔をして、強く言った。

 【本紙硬式野球部担当・村田孝介】

上へ


手にした大切な宝物

小林 真也 (文4)


 「メイジの絆っていいよな」(小林(真)・文4)。正捕手として大学球界屈指の投手陣を好リード。そして副将としてもチームを支えた小林(真)が歩んだ4年間。優勝という大きな目標は果たせなかったが、それに勝るかけがえのないものを手に入れた。


  埼玉の強豪・浦和学院高から明治に入学。入学以来、打撃力不足で出場機会に恵まれないでいた。しかし、3年時の秋季リーグで転機が訪れる。「打てなくても打てる選手のように使ってくれた」故・斉藤監督の抜擢。試合に出場し、マスクをかぶることで成長を遂げ、打撃面でも勝負強さを見せる。信頼を得た小林(真)は、正捕手の座を勝ち取り最後のシーズンを迎えた。

 
  「一人一人違っていてみんな個性が強い」新チーム。しかし「打倒早稲田」という共通の目標に向かって、呉本主将(政経4)を中心に一つになった。副将を任された小林(真)も「やらないと言えない。説得力が出るような行動」でチームの雰囲気作りに尽力する。しかし、春季リーグ戦で早稲田に敗北。さらに秋季リーグ戦で苦戦を強いられる中、衝撃的な知らせが入る。「何から何まで教えてくれた」恩師・斎藤監督の急死。「監督に優勝をささげよう」。よりまとまりを増したチームと共に、不振に陥っていた小林(真)も本来の調子を取り戻す。だが再び早稲田に栄冠の座を阻まれた。それでも「目標は達成できなかったけど、やることはやった。胸張れるよ」。

  
引退セレモニー後の打ち上げでチームメイトから贈られた色紙。そこには仲間が「心の中で想っていてくれてた」ことが記されていた。
・『ありがとう。ここまでこれたのは真也さんのおかげ』(一場・商3)
・『お前のおかげでプロにいけたよ』(佐藤(賢)・政経4)
・『お前が明るくチームをまとめてくれた』(伊藤・政経4)
チームメイトから贈られた、たくさんの感謝の言葉は小林(真)が明治に残し、同時に得たものの大きさを物語っていた。


「こんな熱い大学は無いよ、他に。明治でできてほんとに良かった」。これから別々の道を歩むことになる同期、そして将来の明治を担っていく後輩達。「みんないいやつばっかりで、これから一生付き合っていこうって思える仲間ばかり」。今後は社会人野球の名門・ホンダに進み、活躍の場を移す。当面の目標は都市対抗に「レギュラーで出る」こと。そして「岡本(文4)や牛田(商4)が2年後待ってるって言ってくれた」。プロ入りも視野に入れる。


「明治は熱い人たちが多い。人としての情もさ。家族みたいだな、そういう存在」。明治で得た”きずな”を胸に、新たな舞台へと進み行く・・・。

 【本紙硬式野球部担当・林直史】

上へ