高等教育の流れについて
LZ06 桔梗貴政
節魅力ある高等学校づくりと中高―貫教育の推進
高等学校教育の個性化,多様化を進めるために
(1) 改革の基本的方向
今田高等学校への進学率は約97%に達し,生徒の能力,適性,興味,関心,進路等
は極めて多様化している。このような多様な生徒の実態に対応し,各学校が生
徒それぞれの個性を最大限に伸長させるため,生徒の学習の選択幅をできる限
り拡大し,多様な特色ある学校づくりを行うことが大切である。
このため,文部省においては,平成3年4月の中央教育審議会答申及びこの答申
の具体化について検討を進めた「高等学校教育の改革の推進に関する会議」の
報告(平成4年6月〜5年2月)等を踏まえて,総合学科や単位制高等学校など新し
いタイプの高等学校の設置を始めとする特色ある学校,学科,コースの設置を
推進している。また,多様な科目の開設などにより,生徒の選択を中心とした
カリキュラムづくりを進めている。
特色ある高等学校づくりの推進
(1) 総合学科
総合学科は,普通科及び専門学科と並ぶ新しい学科として,平成6年度から設置
されている。設置校数は毎年増加しており,11年度には46都道府県,124校で設
置されている。
総合学科の教育の特色としては,普通科目と専門科目にわたる幅広い選択科目
の中から自分で科目を選択し学ぶことにより,生徒の個性を生かした主体的な
学習が可能となること,将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を
深めさせる学習を重視することが挙げられる。
総合学科には高等学校教育改革の中心的役割が期待されており,文部省では,
教育改革プログラムにおいて,「当面,総合学科を設置する公立高等学校が高
等学校の通学範囲(全国で500程度)に少なくとも1校整備されることを目標」
として,その設置促進を図ることとしている。
このため,文部省では,総合学科における産業教育施設,設備の整備に対し補助
を行うとともに,総合学科設置促進協議会を開催し,教育委員会等の関係者に
更なる理解を求めていくこと等,総合学科の整備充実に向けた取組を行ってい
る。
さらに,平成10年12月には協力者会議を発足させ,総合学科の今後の在り方に
ついて,実態調査を踏まえた検討を行っている。
(2) 単位制高等学校
単位制高等学校は,学年による教育課程の区分を設けず,かつ学年ごとに進級
認定は行わないで,卒業までに決められた単位を修得すれば卒業を認めるもの
であり,昭和63年度から定時制,通信制課程において導入され,平成5年度から
は全日制課程においても設置が可能となった。11年度までに47都道府県2市に
266校(うち全日制課程は151校)が設置されている。
単位制高等学校の特色としては,生徒の幅広いニーズにこたえる多様な履修形
態が可能となり,学期ごとの入学,卒業,転,編入学G)受入れ,過去に在学した高
等学校において修得した単位の累積加算などが認められることなどがある。今
後,総合学科と同様に,更に多くの単位制高校が設置されることが期待されて
いる。
(3) その他の特色ある学校,学科,コース等
以上のほか,従来のような学科の枠組みにとらわれず,生徒の多様なニーズや
社会の変化に柔軟に対応することを目的として,いわゆる総合選択制高等学校
(多様な自由選択科目やコース等による幅広い選択を可能としている高等学
校)や,情報化,国際化等の社会の変化に対応した様々な新しいタイプの高等学
校の設置,学科の新設,再編,コース制の導入など,特色ある学校づくりが進め
られている。
学校や生徒の実態に応じたカリキュラムの編成
(1) 高等学校学習指導要領
現行の高等学校学習指導要領においては,自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的
に対応できる能力の育成や,個性を生かす教育の充実に努め,人間としての在
り方,生き方に関する教育を充実することなどを主なねらいとし,生徒の多様
な実態や社会の変化に適切に対応できるよう弾力的な教育課程の編成を可能と
している。
また,平成11年3月29田こは,14年度からの完全学校週5日制の下,ゆとりの中で
特色ある教育を展開し,自ら学び自ら考える力などの[生きる力1を育成するこ
とをねらいとして,高等学校学習指導要領を改訂した。新しい高等学校学習指
導要領は,卒業に必要な修得総単位数や必修科目の最低合計単位数を縮減する
とともに,学校や生徒の選択の幅を広げ,生徒の興味,関心,進路希望等に応じ,
それぞれの能力を十分伸ばす教育を展開することを目士旨している。
具体的には次のような改善を図っている。
(ア)卒業に必要な修得総単位数を,現行の80単位以上から74単位以上に改め
た。
(イ)各学校において,学校や生徒の実態に応じ,創意工夫を生かした教育活動
を行うとともに,学び方やものの考え方,問題解決能力などを育成するため,新
たに「総合的な学習の時間」を創設した。
(ウ)普通教科として「情報」を,専門教科として「情報」及び「福祉」をそれ
ぞれ新設した。また,必修教科として「外国語」と「情報」を加えた。
(エ)必修科目の設定に当たっては,複数の科目の中から選択的に履修できるよ
うにする選択必修の考え方を基本とし,必修科目の最低合計単位数を38単位
(普通科)がら31単位に縮減した。また,専門学科における専門科目の必修単位
数を30単位以上から25単位以上に縮減した。
(オ)各学校において,特色ある教育課程の編成に資するよう,学習指導要領で
定める教科,科目以外にも,各学校で独自に学校設定教科,科目を開設できるよ
うにした。
(カ)就業体験の機会の確保,ガイダンスの機能の充実,「総合的な学習の時
間」や「産業社会と人間」における自己の在り方,生き方の考察に関する学習
など,生徒に将来の生き方を考えさせる学習の充実を図った。
新しい高等学校学習指導要領は平成15年度に高等学校の1年次に入学する生徒
がら適用されることとなっているが,新学習指導要領の趣旨をできるだけ早く
生かすため,11年6月3日に移行措置を定め,「総合的な学習の時間」の導入,学
校設定教科,科目の開設などについては,12年度から実施できるようにした。
また,14年度がら完全学校週5日制が実施されることに伴い,同年度より卒業に
必要な修得総単位数などの縮減を図ることとした。
(2) 自校以外での学習成果の単位認定
生徒の多様な学習意欲にこたえて,選択学習の機会を拡大するため,他の高等
学校,専修学校における学習成果や技能審査の成果を自校の単位として認定す
る制度が,平成5年度から導入されている。また,10年度からは,中央教育審議
会の答申等を踏まえ,ボランティア活動や就業体験,スポーツ,文化に関する分
野における活動,大学等における科目等履修生等として行う学修等について
も,各学校の判断により,単位として認定することが可能となった。
平成10年度においては,以前から認められていた学校間連携や技能審査の成果
の単位認定は,数多くの高等学校において実施されたが,新たに可能となった
大学,高等専門学校等における学修や,ボランティア活動,就業体験等の活動に
関する学修の単位認定については,ごく―部の高等学校における活用に限られ
ており,今後,積極的な活用が期待される。
高等学校入学者選抜の改善
(1) 高等学校入学者選抜等の改善
高等学校の入学者選抜については,過度の受1験競争による人間形成への影響
や,学歴信仰に基づく偏差値偏重等が指摘され,従来から「選抜方法の多様
化」,「評価尺度の多元化」の観点から逐次改善の努力が進められてきた。
現在においても,この改善の方向性に基づいて,各高等学校の特色を生かしつ
つ,生徒の多様な能力,適性,意欲,努力の成果や活動経験などについて,様々な
観点から,優れた面や長所を積極的に評価することができるよう,改善が進め
られているところである。
具体的には,推薦人学の拡大,面接,小論文,作文,実技検査等の活用,調査書の
活用の工夫といった取組や,近年増加傾向にある不登校生徒の受入れについて
特別な扱いや配慮を行うなど,各都道府県教育委員会等において積極的な取組
が行われている。
また,高等学校の入学者選抜制度については,中高―貫教育の実施に合わせ,生
徒の多様な能力,適性等を多面的に評価するとともに,―層各高等学校の特色
を生かした選抜を行い得るよう,選抜方法について設置者及び各高等学校の裁
量の拡大を図るための学校教育法施行規則の改正を行った(平成11年4月1日施
行)。
具体的には,高等学校の入学者選抜は,従来,調査書その他必要な書類,選抜の
ための学力検査の成績等を資料として行うことを基本としており,特別の事情
のある場合には,調査書又は学力検査の成績のいずれか―方を用いないことが
できることとなっていたが,今回の改正により,調査書及び学力検査の成績の
いずれをも用いず,他の方法によることを可能にした。
さらに,平成10年度から特色ある入学者選抜や改善の取組等について関係者相
互の情報交換及び研究協議を行うため,全国6ブロックにおいて「高等学校入
学者選抜改善協議会」を開催しているところである。
文部省としては,こうした取組を通じ,各都道府県や各学校における入学者選
抜の―層の改善を促すこととしている。
(2) 保護者の転勤等に伴う転入学者等の受入れの推進
近年,経済活動の広域化,国際化に伴って,保護者の転勤や帰国など,やむをえ
ない事情に伴う転入学や編入学について,積極的な受入れの促進が求められて
いる。
また,高等学校中途退学者について,就職や他の学校への入学など積極的な進
路変更により中途退学するケースも相当数見られることから,高等学校へ入学
してから,生徒が積極的な進路変更を希望する場合には,学校間あるいは学科
間の移動を容易にしていくなど,高等学校教育への様々なアクセスを可能にす
ることも,これからの大きな課題となっている。
そのため,平成9年6月の中央教育審議会答申を踏えて,文部省では,同年12月に
各都道府県教育委員会等に対して通知を出し,転,編入学者の受入れのための
特別定員枠の設定を拡大するなど,より―層積極的な対応を促したところであ
る。
また,平成4年2月から国立教育会館と全国の都道府県教育委員会等の端末機と
をパソコン通信で接続した「高等学校転入学情報等提供システム」を開設して
いるが,10年度からは,インターネットにも対応したものに再構築し,広く―般
にも情報提供を行っている。これにより,各高等学校の最新の転入学情報等と
併せて,各学校の特色をリアルタイムに提供できるようになり,転入学者等の
受入れの円滑化に寄与するものと考えられる。
さらに,平成11年度には,各都道府県における,進路変更を希望する生徒に対す
る指導等や転入学,編入学等に関する取扱いについての実態調査を行うととも
に,生徒の進路変更に対す支援システムの在り方について,検討を行っている
ところである。
高等学校における進路指導の改善
高等学校における進路指導については,ややもすれば進学先の選定や就職先の
紹介,あっせんに偏りがちであるとの指摘がある。
高等学校においては,中学校における進路指導の改善を考慮し,生徒が自らの
意志と責任で進路を選択決定する能力,態度を育成することができるよう指導
していくことに重点を置くことが必要である。そのためには,自己の将来の進
路を主体的に選択することを目指し,働くことや社会に奉仕することの喜び
や,それによって得られる達成感を体得させることに留意し,教育を実施する
必要がある。
平成11年3月現在の高等学校卒業者の就職率(就職希望者に対する就職者の割
合)は89.9%で,昭和51年の調査開始以来最低を記録するとともに,卒業までに
就職が決定しなかった者は約3万人となるなど,高校生の就職は依然として非
常に厳しい状況となっている。
文部省では,このような状況を考慮し,新規高等学校卒業者の円滑な就職の促
進に役立てるため,「進路指導担当者研究協議会」を全国6地域で開催してい
る。
また,高校生の就職や転職に関する意識等について調査を実施し,高等学校に
おける職業教育及び就職指導の在り方等の改善方策を検討するため,「高校生
の就職問題に関する検討会議」を平成11年5月に発足させたところである。
高校生のインターンシップの推進
高校生のインターンシップは,生徒が学習内容や将来の進路等に関連した就業
体験を行うことにより,自分の職業適性や将来設計について考える良い機会と
なり,主体的な職業選択の能力や職業意識の育成が図られるなど,高い教育効
果が期待される。
平成10年7月の理科教育及び産業教育審議会答申では,高校生のインターンシ
ップの積極的な推進について提言されており,これを受けて文部省では,専門
高校生は全員,普通科,総合学科でもできるだけ多くの生徒がインターンシッ
プを体験することを目標に掲げ,インターンシップの推進を図っている。
新高等学校学習指導要領(平成11年3月告示)においては,各高等学校において,
就業体験の機会の確保について配慮することを規定している。
文部省では,平成10年12月に各都道府県教育委員会に対しインターンシップの
推進等について通知するとともに,経済団体や企業等に対しても,理解促進リ
ーフレットを配布し,積極的な協力を依頼している。また,インターンシップ
の推進体制としては,関係省庁連絡会議(厚生省,農林水産省,通商産業省,労働
省,建設省,文部省)を設置するとともに,インターンシップ推進のための全国
フォーラムを開催し,また,事例集の作成配布等を行うこととしている。
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