あらゆるモノや場所、人にコンピュータがつくということは、流通はもちろん農業や建設業、運輸交通など、全業種のIT化だと考えることができる。そしてこの社会では、あらゆる空間がコンピュータによって監視、制御されるようになる。その監視の対象に、人や、個人の所有物が含まれる場合も考えられるので、プライバシーや個人情報をどう守るかが技術的にも非常に重要な課題である。
恐ろしいのは、誤った認識の技術者によって先走って実用化されてしまうことである。一度普及してしまうと後戻りできない事態は、どこの業界でもしばしばみられることだ。一般に、新しい技術を社会に導入しようとすると、技術を理解している人にしか予想できない脅威が生じえる。その危険性を事前に分析して提示し、解決策を準備しておくのが技術者の責務であろう。
これらの問題がクリアされれば、モノや場所の監視には大きなメリットがある。例えば落し物のインターネット検索である。すべてのモノにタグがついていれば、財布や部屋の鍵を落としても、道路や床に埋め込まれてたセンサーがタグの情報を読み取って位置を特定できるから、Webページだけでなく実物体が探せる検索サイトが登場するであろう。
こうした環境では、教育、娯楽、スポーツ、仕事、家庭、恋愛、生死、ファッション、アイドル、犯罪などなど、私たちの生活のありとあらゆるものが変化するであろう。そしてまったく新しい文化やコミュニケーションや社会が、ユビキタス・コンピューティングから生まれるであろう。