棟方志功

駆られる思い画面を疾走
際限なきエネルギー

 線が駆け、色が飛ぶ。
 その延々たる連なりである。
 墨線と色彩の混とんのなかから
太鼓の音が響く。人間のざわめき
が聞こえる。
 その騒然たる連なりである。

 人が出て、祭り提灯に灯が入る。跳人の群、ねぶた。人々は乱舞し、さざわめきは渦となり、見物人はたちまち巻きこまれ自分の位置を見失う。
 沸騰するエネルギーの際限のなさ
 棟方の奔放さ

『津軽』
 「青森の夏は短いんだよ」
 「ねぶたは一週間だけど、その一週間があるから一年中仕事に励めるんだよ」
 ねぶたの運行と人波
 狂乱が去って秋風が立ち、八甲田の山、浅虫の海が冬の暗さへと沈むまで
 夏から始まりねぶた中心にめぐる津軽の時間の流れ

棟方の津軽は中央など飛びこえてそのまま宇宙につながっている

。  

「棟方志功(1903-1975) 4」編集委員 芥川 喜好  読売新聞 日曜版2002.1.27より