代数学の参考書リスト



ここでは,「代数学」を学ぶための参考書を掲げ,極めて簡単な寸評を書きます.ですが, 本来,現代数学を「代数/幾何/解析」という3つに大別するのは,いわばナンセンスな感 もあり,ここでは,あくまでも,管理人葵玲の目にしたものを並べることしかできません. 当然のことながら網羅的なものではありえないことをお断りしておきます. なお,参考書リストに書き加えて欲しい書物,あるいは寸評などがありましたら,掲示板 もしくは,メールなどでご連絡頂ければ,こちらで追加していきます.なお,このページは 随時更新する予定です.いずれ幾何学/解析学関係もつくるかもしれません.


その他の寸評録:岩波講座現代数学シリーズ


一応,目次です.手っ取り早く跳びたい方はどうぞ.



代数学全般

代数学全般にわたる解説書としては以下のものがある.

[中島]『代数と数論の基礎』中島匠一共立講座21世紀の数学
[森田]『代数概論』森田康夫裳華房1987
[草場・渡辺]『代数の世界』草場公邦・渡辺敬一朝倉書店すうがくぶっくす
[永田・吉田]『代数学入門』永田雅宜・吉田憲一
[堀田1]『代数入門─群と加群─』堀田良之裳華房

[中島]は,群・環・体と初等整数論の内容を入門的に 解説した書物であり,共立講座21世紀の数学の進んだ分冊を読むための導入的書物である. 本格的に代数学を学ぶためには,さらに書物をひもとかねばならないかもしれないが, 群・環・体といったことになれていない初学者には良い入門書である.

[森田]は非常にコンパクトでありながら,群・環・加群・体の基礎理論と共にホモロジー代数の手法や 圏と関手にまで頁をさいている書物である.やや群論の部分が薄く,例もそれほど多くないが, 理論としては充分すぎるほどいろいろなことが書かれている.環の部分は標準的な内容である から,離散付値環,Dedekind環については,もう一冊書物を読む必要があるかもしれない.一方, 加群の理論は,単因子論や多元環・有限群の表現,ホモロジー代数などと説き及んでいる ため頁はやや多い.体論についてはGalois理論を中心に要領よくまとめられている. 最後に圏と関手について短い解説がついている.全体として記述は簡明なため,ある程度 行間を読まなければならないかもしれない.

[草場・渡辺] は余白も多く読みやすいレイアウトになっている.内容的には,群・環・体の基礎理論を 比較的平明な語り口で書いている.ただし,演習問題が多く付いているものの, 各問の難易度が高い.

[永田・吉田]は 極めて基礎的な内容に絞って代数学の基礎理論を述べた書物である.内容的には, 代数学を学ぶために1冊目としては適当なものであるが,本格的に学ぼうとすれば, もう1冊本格的な書物を読まねばならないだろう.

[堀田1] は,群・環・加群の基礎的な理論を展開した書物である.抽象的に書かれた書物で内容も 多いため,行間を読む努力が必要かもしれない.なお,解析学への接続として,ワイル代数 やベルンシュタイン多項式などについて触れているのは特徴的である.



群論

群論は有限群論と連続群論とに分けて参考書を掲げる.

有限群論

有限群論の書物としては,例えば以下のものがある.

[志賀]『群論入門30講』志賀浩二朝倉書店
[平井]『線形代数と群の表現』平井武朝倉書店すうがくぶっくす
[赤尾]『線形代数と群』赤尾和男共立講座21世紀の数学
[寺田・原田]『群論』寺田至・原田耕一郎岩波講座現代数学の基礎
[近藤]『群論』近藤武岩波講座基礎数学選書
[鈴木]『群論(上・下)』鈴木通夫岩波書店
[See]『有限群の線形表現』J.P.セール:岩堀長慶・横沼健夫訳岩波書店
[堀田2]『加群十話』堀田良之朝倉書店すうがくぶっくす
[原田1]『群の発見』原田耕一郎岩波書店
[原田2]『モンスター ─群の広がり─』原田耕一郎岩波書店

[志賀]は,群論初学者には定評のある書物である. まえがきにもあるように,群の構造決定という命題を重視せず,可解群や巾零群についての 記述を最小限に抑制しつつ,群のダイナミズムに迫ろうとする書物である.位相群についても 記述している.本格的に群論を学ぶためには,さらに書物が必要だが,大学2回程度の群論 初学者には読みやすい書物である.

[平井]は,I・IIの2巻からなる.最近出版された書物 であり,群論の初歩的なこと,線形代数の基礎的な事項をちりばめながら,有限群,連続群の 表現へと向かう書物である.I巻は,正多面体群とその表現を中心的な話題とし,群論や線形代数の 基礎的な内容を織り込んで進む.II巻は,連続群の表現論である.ローレンツ群やユークリッドの 運動群を扱いながら,SLやSOなどの行列群の表現を学びつつ,最終的には「群の無限次元表現論」 への導入を目指している.全体的に物理との関わりを意識し,物理的な内容からの例が豊富に 盛り込まれている.群論,線形代数の内容を扱いながら,ここまで物理的な例を導入した 書物としては,他に類書がない.1・2回生にとってはchallengingな内容であることは 言うまでもないが,上回生でも読み応え充分である.

[赤尾]は,線形代数上級の内容であるJordan標準形の理論 とその応用を述べた前半と群論について述べた後半の2部構成となっているのが特徴的である. 前半のJordan標準形については,単因子論による導入と,広義固有空間による導入を述べ, 応用として行列の指数関数や定数係数線形差分/微分方程式なども紹介している.
後半の群論部分は正統的な有限群論を展開している.群の定義や例から始めて, 最終部で群の作用を導入し,有限群の構造を解析することを目標に定めた書かれかたを している.群論部分は,極めて豊富な例と演習問題および解答が付されており, 非常に多くのことが書いてある.群論関係の書物で初等的にこれだけ多くの例を紹介している のは他に類書がなかろう.

[寺田・原田]は,群論への現代的入門を目指した 書物である.例も豊富で,群論入門と有限群の線形表現,対称群の表現および有限単純群の 最新の話題であるモンスターやムーンシャインについての解説が付されている.しかし, 全編にわたって行間が広く,初学者が一から読みはじめるのは非常に苦しいかもしれない. 群の定義のあとに群の作用を本格的に導入し,そのあと,群の作用の言葉で様々な基礎概念 を説明していこうとするスタイルは現代的だが,なおのこと敷居が高い. 表現論の部分も代数学の基礎的な言葉づかいになれていないと読むのは苦しい かもしれない.

[近藤]は,有限群論の代表的書物であるが, 有限単純群論を目指して書かれているので,やや古典的と言えるかもしれない. 群論の専門的な話題も扱っているが,後半の表現論の部分は,あえて初等的な書き方 をした感があり,ここは近づきやすいかもしれない.

[鈴木]は,有限群論の専門書として代表的な ものである.

[See]は,有限群の線形表現論の代表的入門書と してよく取り上げられる書物であり,最初の表現論入門の部分は初等的に書かれている. 誘導表現などになると群環などの概念が必要になるが,それでもわかりやすく書かれている. 但し後半にはモジュラー表現などについて書かれているため,非常に難しいだろう.

[堀田2]は,群の表現の格好の入門書として 良く紹介されるものであるが,群論の初学者が読むには若干の注意が必要である. 例えば加法群を扱うため,すべての部分群が正規となってしまう.最初はそうした ことを気にせずに読み,行列の標準形の節でJordan標準形と単因子論について学び 5節で可換ではない群について扱うまで,あまり先入観を抱かない方がよい. 6節以降では,有限群の線形表現について入門的な内容が述べられ,8節で 対称群の表現論が述べられる.一般化された差積を導入する方法は,案外初等的で あろう.最終部の9・10節は,D-加群を媒介して代数と微分方程式が結びつけられる という内容で,高級な内容であるが,非常に面白く,代数解析の真髄を感じさせて くれるだろう.

[原田1]は,最近刊行された書物であり, 「群」という概念が生まれてくる過程とGalois理論について述べた入門的 書物である.もちろん群論にせよGalois理論にせよ,本格的に勉強するためには, 続けて書物を読む必要があろうが,有限群論研究者特有の筆致が味わい深い.

[原田2]は,有限群論の最新の話題である モンスター群について書かれた本邦初の書物である.モンスター群は,最大位数の 有限単純群であるが,この群によって,物理学の超弦理論に起源を持つ頂点作用素代数(VOA) と伝統的な保型函数論が結びつき,非常に面白い話題を提供してくれる. この書物は,有限群論の立場から,そうした話題について述べた書物である.



連続群論

連続群論を「代数学」と呼ぶかどうかは微妙ではあるが,ひとまず参考書を掲げておく.なお, ここには,リー群論の本格的な書物も掲げているので注意されたい.

[熊原]『行列・群・等質空間』熊原啓作日本評論社
[佐武]『リー群の話』佐武一郎日本評論社
[杉浦・山内]『連続群論入門』杉浦光夫培風館新数学シリーズ
[江沢・島]『群の表現』江沢洋・島和久岩波講座応用数学
[島]『連続群の表現』島和久
[横田]『群と位相』横田一郎裳華房
[杉浦]『リー群論』杉浦光夫共立出版
[大島・小林]『リー群とリー環1・2』大島利雄・小林俊行岩波講座現代数学の基礎
[Pon]『連続群論(上・下)』ポントリャーギン:柴岡・杉浦・宮崎訳岩波書店

[寺田・原田]は,最近刊行された回転群・ユニタリ群・ ローレンツ群・SL(2,C)などの行列群を扱いながら,具体的な計算なども盛り込みつつ, 上半平面やリーマン球面,リー群の商空間として実現される射影空間・グラスマン多様体・旗多様体 などの等質空間,さらに対称空間やシンプレクティック群,球関数といった高級な話題までを 解説した入門的書物である.内容は豊富で,具体的な計算から導入されているので, 初学者にも近づきやすい書物である.

[佐武]は,リー群論の入門書としては定評のある 書物である.行列群のみを対象にしているが,リー群,リー環,1-パラメータ部分群, 指数写像といったリー群-リー環対応の基礎的な内容を扱い, Cartan分解やWitt分解などを直交群を例にとるなどして具体的な 計算を行いながら,不変微分作用素や展開環,対称リーマン空間まで説き及んでいる. 後半に,線形代数の発展的な内容,双対空間,テンソル積,標数2の線形代数,2次形式, 単因子論(PID上の自由加群),アーベル群の基本定理,Jordan標準形などの話題について 付録として述べられている.

[杉浦・山内]は,A5版で200ページに満たない極めて コンパクトな書物でありながら,連続群論への優れた入門書として定評がある. 線形写像の復習から始め,直交変換や行列の指数関数について論じたあと, II章では,回転群とその表現が詳細に議論される.回転群の既約表現を求め,不変積分や 指標を導入し,テンソル積表現の既約表現への分解を与えるクレブシュ-ゴルダン則までを 解説している.III章で線形リー群とそのリー環が導入され,連結成分,リー群・リー環の 表現,微分表現,随伴表現といった基礎概念が解説され,リー環su(2)の表現を求め, 局所同型群の立場からみたリー群-リー環対応について触れている. IV章ではローレンツ群の複素表現が詳細に議論されており,SL(2,C)が固有ローレンツ群 の二重被覆であることを証明し,ローレンツ群の既約表現を求める. V章では球関数が扱われている.豊富な内容を丁寧に解説した良書である.

[江沢・島]は,物理のための群の表現論入門を 意識した書物であり,連続群の表現を中心に扱っているが,例えば行列群の基底を 露にとって具体的にいろいろな計算を行うことをひとつの特徴としている. 物理からの例も多いので,こうした方面の読者には興味深い.

[島]は,連続群の表現への入門書として定評 がある.具体的な計算と理論的な側面とをうまく練り上げて書かれた書物である.

[横田]は,位相空間論と群論の初歩から 初めて位相群論を詳細に書き記し,後半は胞体分割などについて論じた書物で, わかりやすく書かれた入門書である.

[杉浦]は,600ページに及ぶ大部であるが, self-containedに書くことを強く意識した書物であり,多様体や指数写像などの ごく基本的な事項から初めてLie群-Lie環対応の理論を完全に書ききり, 同時にLie群の基本群などについての具体的な例も盛り込まれている. 5章はLie環の基礎理論としてLeviの定理まで述べられている.

[大島・小林]は,Lie群の表現論について本格的に 記述された書物である.1章では位相群とその表現について基礎的な事項を復習し, 2章ではFourier解析の表現論的視座からの解説が行われる.3章,4章は, コンパクト位相群の表現論について詳細に論じられており,ピーター・ワイルの定理が 目標となっている.5章はLie群を局所同型群の立場から定式化し, von Neumann Cartanの定理とAdoの定理を軸にLie群-Lie環対応について解説している. 6章は等質空間について論じ,7章で古典群のリストを掲げつつ,クリフォード代数や 球面の表示,SL(2,C)などを例にとって等質空間の具体例を扱う.8章以降がリー群の 表現論への本格的な入門となっており,8章ではユニタリ群の表現をWeylの積分公式, 指標公式,次元公式などから論じ,9章で古典群の表現論として,一般論が述べられている. 10章はファイバー束とリー群の作用,等質空間との関わりについて述べられている. ファイバー束に関しては平易な例と基礎的な定義から書かれていて読みやすいかもしれない. 11章は誘導表現と無限次元ユニタリ表現,12章でWeylのユニタリ・トリック,13章では Borel-Weil理論と,ハードな内容が盛り込まれている.全体として行間が広いので, 自主ゼミなどで読むのが好適かもしれない.

[Pon]は,リー群論の入門書として 古典的名著とされており,位相空間や群論から書き始め位相群,リー群へと 進むが,多少古くて言葉づかいが現在とは異なることもある.



環論

環論は可換環論と非可換環論とに大別され,それぞれの方向性も若干異なることがあるが, ここではまとめて掲げておく.

[堀田3]『環と体1』堀田良之岩波講座現代数学の基礎
[谷崎]『環と体3』谷崎俊之岩波講座現代数学の基礎
[山崎]『環と加群』山崎圭次郎岩波講座基礎数学
[酒井]『環と体の理論』酒井文雄共立講座21世紀の数学
[永田1]『可換環論』永田雅宜紀伊国屋数学選書
[松村]『可換環論』松村英之共立講座

[堀田3]は,前半の1章から5章までで, 可換環論の基礎事項を述べ,後半の6,7,8章でより進んだ話題に言及している. 1章で環を導入し,Euclid整域,PID,UFDなどの基本的な可換環のクラスについて述べ, 素イデアルや極大イデアルの性質などを見る.2章ではR-加群を導入し,自由・射影・平坦 などの加群のクラスやテンソル積,局所化といった「操作」,中山の補題や根基などの 基礎的事項を述べている.3章はNoether環とArtin環を扱い,準素イデアル分解やHilbertの 基底定理などの基礎的な内容を述べている.4章は環の拡大について述べており,整拡大や Noetherの正規化定理,Hilbertの零点定理,上昇・下降定理,および正規環について述べている. 5章はDVR,Dedekind環にうちて述べ,イデアル類群まで説き及んでいる.ここまででおよそ90 ページという極めてコンパクトな中に豊富な内容が盛り込まれており,行間は広いが 簡明な書き口には定評がある.5章はイデアルと位相と題され,I進位相と完備化について 書かれており,6章は次元論,7章ではCohen-Macauly環について述べられている. 全体として簡明ながら行間が広いため,入門書として1冊目に読むには骨が折れる かもしれないが,ある程度勉強した後ならば,読み応えがあろう.

[谷崎]は,非可換環論を扱っている.具体的には, フィルター環の理論である.フィルター環は,例えばワイル代数やLie代数の包絡代数など が重要な例であり,こうした非可換環についての具体的な考察を準備してから, 一般のフィルター環に対する包合性定理を目標においている.第1章で環論の基礎的な概念を 非可換環の場合で導入し,第2章ではホモロジー代数の手法を解説した上で,第3章の フィルター環の一般論へと進む.全体として丁寧に書かれた書物である.

[山崎]は,岩波講座基礎数学の分冊らしく, self-containedを重視し,演算とは何かあたりから書いてあり,そうしたことを とりあえず飛ばして第3章から読むこともできる.全体的には非常に多くのことが丁寧に 書かれており,非可換環論も群・多元環の表現論は触れられている.今,多くの書物で 採用されている順序とは若干異なるところもあるが,解説は丁寧である.しかし分厚いので 通読するには骨が折れよう.

[酒井]は,環論と体論の基礎を易しく解説した 書物であり,どちらかといえば,代数幾何的な方向性を意識した書物である.

[永田]は,可換環論の本格的書物として知られた名著 であるが,初学者には骨の折れる書物であることは言うまでもない.

[松村]は,可換環論の名著であり,英語にも 訳されていることから,例えばHartshornの"Algebraic Geometry"などでも, 可換環論に属することの証明は,この本を参照せよなどという形で引用されている. 代数幾何/整数論をやるためには必携の書物であろうが,レベルは高い.



体論

可換体論とガロア理論についての書物としては,例えば以下のものがある.

[永田]『可換体論』永田雅宜数学選書
[堀田4]『環と体2』堀田良之岩波講座現代数学の基礎
[藤崎]『体とガロア理論』藤崎源次郎岩波講座基礎数学

[永田]は,可換体論の名著として定評のある書物である.

[堀田4]は,前半でGalois理論を極めて簡明に述べ, 後半では合同ゼータ関数まで説き及んでいる書物である.全体として行間が広いこともあり, 初学者には骨が折れようが,ある程度勉強したあとであれば,読み応えのある書物である.

[藤崎]は,分厚い書物であるが,Galois理論の解説 はもちろん,非常に多くの例と演習問題がついており,豊富な内容を備えた書物であるが, 通読するのには骨が折れるだろう.



代数幾何学

代数幾何学への書物としては,例えば以下のものがある.

[石田]『代数幾何学の基礎』石田正典培風館
[上野1]『代数幾何入門』上野健爾岩波書店
[上野2]『代数幾何1・2・3』上野健爾岩波講座現代数学の基礎
[Hart]『Algebraic Geometry』R.HartshorneSpringer(GTM52)
[Harris]『Algebraic Geometry A First Course』J.HarrisSpringer(GTM133)
[桂]『代数幾何入門』桂利行共立講座21世紀の数学
[川又]『代数多様体論』川又雄二郎共立講座21世紀の数学


代数幾何学を学ぶ場合には,可換環論に立脚しつつも穏やかに展開する書物と, 層を導入し,スキーム論的に展開する本格的な書物とがある.

[石田]は,可換環論の基礎から始めて, スキーム論的代数幾何へつなげるためのコンパクトな入門書である.

[上野1]は,可換環論に穏やかに立脚した 入門書として評価が高い.

[Har]は, スキーム論的代数幾何学の本格的入門書として定評があるが, 膨大な演習問題を後々利用したり,行間がやや広い.

[上野2]は, 和書でありながら非常に丁寧に層とスキームについて論じた書物であり, それ自体を読む価値は十分であるとともに,[Har]を読むために参照する 文献としても適切だろう.

[桂] もスキーム論的代数幾何の入門書として丁寧に書かれている.

[川又]は,特異点解消定理を主題として 書かれたもので読み応え十分な書物である.

[Harris]は,層やスキームを 本格的に取り上げて体系的に書かれた書物ではないが,代数幾何学に 登場する多くの対象を扱ったユニークな書物である.なお, "Using This Book"と 題された文章の冒頭の一節は,この書物の特徴を端的に示している.


整数論

整数論への書物としては,例えば,次のようなものがある.

[森田]『整数論』森田康夫東京大学出版会
[斎藤]『整数論』斎藤秀司共立講座21世紀の数学
[加藤・斎藤・黒川]『数論1・2・3』加藤和也・斎藤毅・黒川信重岩波講座現代数学の基礎
[Weil]『Basic Number Theory』A.Weil
[See]『数論講義』J.P.セール:彌永健一訳岩波書店1979


表現論・リー環論

「表現論は数学を包摂する」などという言葉があるように,表現論の裾野は広大で, 表現論の参考書としてここで掲げるものはごく一部に過ぎない. いわゆる表現論,リー環論関係の書物としては次のようなものがある.

[佐武]『リー環の話』佐武一郎日本評論社
[東郷]『リー代数』東郷重明槙書店
[松島]『リー環論』松島与三共立出版
[谷崎]『リー代数と量子群』谷崎俊之共立講座現代数学の潮流
[脇本]『無限次元リー代数』脇本実岩波講座現代数学の展開
[Hum]『Introduction to Lie Algebras and Representatiopn Theory』J.E.HumphreysSpringer(GTM9)
[FH]『Representation Theory A First Course』W.Fullton,J.HarrisSpringer(GTM129)
[岩堀]『対称群と一般線形群の表現』岩堀長慶岩波講座基礎数学
[Mac]『Symmetric Functions and Hall Polynomials』Mc.Donald
[Kac]『Infinte-Dimentional Lie Algebras』V.G.KacCambridge Univ.


その他

その他,上で書けなかった書物を掲げる.

[Shafa]『代数学とは何か』シャファレヴィッチ:蟹江幸博訳シュプリンガーフェアラーク東京


[Shafa]は,群・環・体といった代数学の基礎概念 から始めて代数学の様々な対象について述べた書物であるが,代数学に限らず,幾何学,解析学 からの例を含め,極めて豊富な例が述べられている.完全にフォローするのは,非常に骨が 折れようが,代数学の広がりと幅広く数学の話題に触れるためには格好の書物と言える.