ぼくの夏休み その4




8月24日(日) 雨

冷夏だ。
クーラーがいらないから、うちは商売あがったりだ。
朝起きてキッチンに行っても、パキスタン人はいない。
机の上には『ニッキン』と書かれた新聞が置いてある。
金融関係の新聞らしい。聞いたこともない。
1、2枚めくると、
『今年じゅうにつぶれそうな会社30』
とかいう企画をやっていた。
おいおい、お前んとこは大丈夫なのかよ
と、聞いたこともない新聞社に対して心でツッコミを入れたあと、
その30社をひととおり眺めた。
新日鉄も石川島播磨重工も入っていなかった。
それを見て僕は、
もっとパキスタン人にやさしくしてあげるべきだったなぁ
と思った。

バイト先では新入りのパソコンおたくに
パソコンのレクチャーをされた。
べつに頼んでないのに。
とてもエラソーだったので
とても勘にさわった。


8月25日(月)くもり


朝起きて、台所に行くと
パキスタン人が『ニッキン』を読んでいた。
パキスタン人は僕に気付くと、こう言葉を発した。
「あやまりよー」 

僕「!!!!!??」

驚いた。パキスタン人が日本語をしゃべっている!??

パ「あんた悪いんやろー、はよあやまりよー」

何だかヘンな訛りがある。

僕「ご、ごめん」

パ「はよそないゆうたらええんじゃよ」

僕「・・・じゃよ?・・・?」

パ「なんなよー、なんか文句あるんかよー」

僕「いえ、べつに」

パ「ほいたらもうええやろがよ」

僕「うん・・・・」


家に帰ってきたパキスタン人は
日本語を話せるようになっていた。
でも語尾がちょっとおかしい。
どこの言葉だろうか。


8月26日(火)くもり


今日はパキスタン人と野球を観にいった。
パキスタン人は終始、機嫌が悪そうだった。

パ「なんで阪神ちゃうんなよ」

僕「え、だって人気ありすぎてチケットが・・・」

パ「そんなんわかっとんよ。でもそれぐらいなんとかせえよ。」

僕「ごめん・・・」

日本語を覚えたパキスタン人は、
性格がとても乱暴になっていた。

パ「ほいてよー」

僕「なに?」

パ「なんでロッテの応援席に座らなあかんのなよ」

僕「え、でもロッテの応援団はマナーもいいし・・・」

パ「んなこと言うとんちゃうんじゃよー
  あんたはロッテ好きかわかれんけどね、
  俺はなによ?俺はおまえ、阪神見たいんよ。
  そらユニフォームは似とらよ。だからなによ。」

僕「ごめん・・・。もう帰ろうか。。」

パ「あのよー、おらぁ別にそういうこと言いたいんちゃうんよ。
  なんでおま(は)んはいっつもそんなんなんよ?」

僕「はあ・・・」


しばらくパキスタン人の説教が続いた・・・。
僕は気が遠くなり、そのうち気を失った。