『腕』



夜中にぼけ〜〜っと考え事をしていた。


窓の外は夜の闇だ。

闇に手を伸ばしてみた。

手が闇に吸いこまれて見えなくなった。


そして闇の中から手を戻す。

ヒジから先がなくなっていた。

「あれ?ない。。」と思っていると

ヒジから先の部分が遅れてもどってきた。


???

何が起こったのかよくわからなかった。

もう1度、やってみた。

手の付け根から遅れること5秒、

ヒジから先がもどってきた。



なぜ時間差があるのだろう?と考えた。

闇のなかでは時間が止まっていて、

闇のなかでは誰かが僕の手を帰すまいと引っ張っている。


そうすると、いま僕の体についている腕は、

実は5秒前の腕だということになる。

いや、2回やったから10秒前か…。





あるとき、僕は殺される。体じゅうをメッタ刺しにされて。

心臓は止まる。脳の働きも止まる。

しかし僕の腕はまだ生きている。あと10秒間。

殺人者は完全に油断している。

腕は考える。

こいつを殺そうか。それとも何かメッセージを残そうか。

瞬時に考え、選び、実行。

殺人者の首にナイフを一突き。 殺人者は死んだ。





10秒後、腕は死んだ。