千と千尋の・・・

先日、体育(スキー)の授業で長野県下高井郡、野沢温泉村へ行った。自由時間に村を探検してみると、そこには映画で観た世界が・・・!
一面石畳の小道、手入れの行き届いた木造の家屋、行く先々にある色彩豊かな神社・・・。それは、まさに、映画『千と千尋の神隠し』で観た、古くも新しい温泉街の姿であった。



小道の脇には水路があり、そこから出る湯気が辺り一面を包んでいる。湯気からは温泉の匂い。
幾つかの土産物屋には手作りの温泉饅頭があり、蒸し器から出る湯気は通った人を温かく迎える。湯気からは甘い匂い。




街には、少しも人間臭くない雰囲気があった。それは、都会のような生活の臭いを感じないことかもしれない。また、それは、お湯が醸し出す幻想であったのかもしれない。
私は薫りを楽しんだ。久しぶりに心が洗われた。都会では得ることのできないものを得ているような気分になった。
この貴重な体験も、都会に帰れば心身から失ってしまう気がした。抜け落ちてしまう気がした。そして、現在、実際にそうなりつつある。



失うことも確かに恐いが、失ったのを忘れることほど悲しいことはない。
忘却を防ぐには幾つかの方法がある。ここで、私は敢えて消極的な方法を採ることにした。それは、書き残すという方法。
なぜ、そこまでして安全な状態にしておきたいかというのは以上の文章から明らかなはずである。




人間は忘れる生き物だ。だが、私は、忘れたくはない。