2.新聞屋事情
〜新聞奨学生事情〜
高橋:それでは、新聞屋事情ということで・・・これはなんですか?
雄一:まぁ、新聞屋っつーのはこういうものだー、ってことかな。
高橋:では、どうしましょう。
雄一:まずは、どうして俺が新聞配達奨学生をやろうとしたのか。
その存在はもう小学生位のころから知ってて、それは、親戚の兄ちゃんがやってたんだよ、読売の新聞奨学生を。
で、親からも、けっこうその話しを聞いていて、学費は全額出るし、給料まで出る、アパートの心配もない、食事もある。これだけ聞いて、やらずにいられますかってんだよ。
高橋:確かに、それだけを聞けば、最高ですね。でも、一般的に、それほど知られてませんよね?
雄一:そうなんだよね。
実際に、全く知らない人のほうが多いんじゃないかな。けっこう話して、いちいち説明しないといけない場面ってのが、けっこうある。
高橋:どうしてでしょうね。
雄一:理由はいろいろであるでしょう。
例えば、それほど生活に困ってない。家にお金があれば、自分で働かなくても学校にいけるしね。
それに『苦学生』っていうイメージがあるらしくて、だからやりたがらないんじゃないかな。自分自身も親も。
高橋:でも、本当に条件的には良いものがありますよね。
雄一:そこなのよ。だから、それを捨てることができなかった。ある程度の時間の拘束はあるかもしれないけど、それ以上に好条件だった。
高橋:では、実際に新聞配達をしてみて、どうでしたか?
雄一:これはね、これから新聞配達奨学生として、やっていこうと思っている高校生に聞いてほしいけど、けっこうできるもんだよ。
ただし、俺も経験してないことがあるから、その部分に関しては詳しく言えないけど、っていうのはね、AコースとBコースの2つのコースがあって、殆ど同じなんだけど、決定的に違うのは、Aコースには『集金』があるってことだね。
この『集金』ってやつが大問題で、確かに俺も経験してないから、その大変さっつーのは、よくわからないんだけど、経験者から話しを聞くと、相当大変らしい。
高橋:何が大変なんですか?
雄一:それはあれだよ、だから、新聞屋同士で競争があるでしょ?勧誘合戦が、皆が同じように、いつも同じ新聞をとってくれていれば、振込みにして、集金なんていうのは存在しないのね、しょっちゅうお客さんが変るから、いちいち振込みにするのは大変、だからそもそも集金がある。そして集金は月末から、月初めまでやってて、やっぱりノルマが決まってる。
ノルマに達しないと、自腹っつーわけですわ。
いつも決まって集金ができればいいけど、特に世田谷あたりだと、一人暮らし、その学生やサラリーマンが多いから、いってもいないことがあったりするらしいのよ。
高橋:って事は、何回も行かないといけない?
雄一:でしょ?それが大変だったり、それはまだいいほう。
もう何年も払わないで、滞納していて、そのままトンズラってこともしばしば・・・もうこうなるとお手上げで、自腹っすね。
高橋:学生で自腹というのは、厳しいですね。
雄一:去年まで集金やってた俺の知人いわく「結局Bコースと同じ給料だった・・・」(AとBとの給料の差は4,5万円くらい)って言ってたから、結構自腹やってたんだろうね。
もうこうなると、やめたほうがいい。それがストレスで、入院しちゃった奴も俺の知り合いでいるし、過去には過労死っていう人も読売新聞でいるっていう話よ。
高橋:そこまでやらせるんですかね。
雄一:やらせるんだろうねぇ。
まあ、その点Bコースは気楽なもんでさ、集金がないぶん、チラシの折込(簡単に言うと次の日のチラシの準備をするってこと)が毎日なんだけど、それだって平均すれば30分くらいの時間だし、それほど苦にならない。
でも、注意したいのは、販売店によって、本当にやり方が違うってことだね。
だいたい、俺も高校のときに、いろんな新聞奨学生のパンフレットを見て、調べたんだけど、結局入ってみて、殆ど参考にならなかった。
高橋:なにが違うんですか?
雄一:まずは、朝刊の紙(新聞)が来る時間が、店によって違う。
YC砧は大体2時半前後にくる。それが3時だったり、3時半だったり、2時って所だってある。これはね、印刷所からの距離だったり、新聞を持ってくる人の性格だったり、いろんな要素があるけど、とにかく店によって違うんだ。
そうなると、終わる時間も変わってくるわけで、俺なんかもう5時くらいには部屋に戻ってきてるから、学校まで時間があるでしょ?寝ずにはいられないよね。
高橋:学校前に寝るんですか?起きられます?
雄一:問題はそこね。
そのまま寝坊ということも過去には何度か・・・まあたいしたこたぁねぇけど、ある。でも大概1時間から1時間30分で起きて、学校に行くけどね。
その習慣ができるまでが、それは大変かもね。
高橋:同じ店の人たちは皆そうしているんですか?
雄一:いや、俺だけかもしれない・・・
だいたい俺は早く終わらせて、早く帰ってきた方がいいって考えの人で、せっかちなもんだからそうやっているんであって、他にも、遅く来て遅く終わらせて、寝るとそのまま起きられないってんでやってる人もいる。
俺の場合はこっちにきた当時2000年(H12)3月だけど、仕事が終わって、帰ってきて、どうしても眠くなってしまって毎日寝てた。だから、それが習慣になってしまい今日に至るって感じかな。
高橋:人それぞれってことですね。
雄一:本当にそうだよ、だからパンフレットの制作者も大変だと思うよ、だってそうした人たちを一くくりで説明しなきゃ、平均を取って作らないといけないでしょ?
そのための、実生活調査みたいなものも、確か本社から送られてきて協力したことがあったかもしれない。そうやって作っているんだろうね。
高橋:他に大きな違いっていうのはありますか?
雄一:そうだな・・・『時間』かな。
結局AコースとBコースの選択って、『時間』を取るか『お金』を取るかっていうことが言われる。それっつーのはAコースは『集金』があるから当然それに費やす時間が相当なものになって『時間』を奪われるわけ。ってことは遊ぶ時間がBコースよりは当然な少なくなってしまうわけで、『お金』は貯まるって話よ。
Bのほうは適当に遊べるから、ねぇ。
高橋:そんなに違うもんですかねぇ。
雄一:実際にやってないからわからないけど、それくらいの覚悟は必要だと思うよ。
奨学会のほうではきっとAコースのほうを進めてると思うよ。
高橋:え??それはどうしてですか?
雄一:やっぱりAだとそれだけ店にいる専業さん(いわゆる新聞屋、プロ)の人数が少なくてすむから、楽ってこともあると思うよ。
それに昔奨学生をやっていた専業さんの話だと、『昔はねぇ、店に専業なんていなかったんだよ、だって学生が仕事全部やってたんだからね』って言う話しをよく聞く。つまり昔はBコースなんて無かったんだって。
高橋:どうしてBコースができたんですか?
雄一:やっぱりそれだけハードにやらされると、やりたいと思う人が少なくなってくるでしょ?そうするともう奨学生という制度自体が成り立たなくなる。それでもっと人を集めなきゃいかん!!ちゅ−ことでBコースを作ったらしい(砧の専業T談)。
高橋:なるほどねぇ、けっこう奥が深いんですね。
雄一:どうだろうね・・・
新聞屋事情というより、新聞奨学生事情ってことかな。結局。