Anderson SchoolのMBAプログラム

 ご存知の通りAnderson SchoolのMBAプログラムは全米でトップクラスにランキングされる有数のプログラムです。近年はトップ校のMBA保持者は就職に何かと有利ということからその受験競争も熾烈化しており、Anderson Schoolも例外ではありません。
 Anderson Schoolで学ぶことのできる分野は多岐にわたり、いずれの分野でもトップクラスの教授陣から学ぶことができます。一方、1年目の大半が必須科目で占められてしまい且つ全ての選択科目がどの学期にでも履修できる訳ではないので、入学を決められたら早い段階(秋学期中)で何を専攻し、どのように選択科目を履修していくかを決めることが望ましいのではないかと思います。
 チームプレーを重視する学校だけあり、入学する学生は非常に友好的で他人を蹴落としてでも這い上がるというような人はほとんどいません。何か分からないこと等あった場合にはセクションメートに聞けば懇切丁寧に教えてくれます。よって我々International Studentにとっては非常にありがたい環境にあると言えます。さらに教授と学生の関係も良く、教授は身近な存在にあります。

必須科目
選択科目

<授業>
 授業は秋学期、冬学期、春学期の3学期制になっており、それぞれの学期は10週間単位で構成されています。原則金曜日に授業はありません。ちなみに、必須課目の授業の一コマは1時間50分です。
 授業形態については必須科目に関しては時折ケースを折り込んでの講義形式が主です(選択科目はまちまち)。また科目によってはグループの発表をPowerPoint(プレゼンテーション用ソフト)を使用してクラス全員の前で行うこと求められることがあります。
 授業は非常にリラックスした雰囲気で行われ、教授は学生を退屈させないように冗談を交えたりして講義を進めていきます。質問等がある場合は講義中或いは教授のOffice Hourに研究室を訪れば、すぐに回答してくれます。更に自宅で学習中にはE-Mailで質問等を教授宛に投げかければほとんどの場合数時間以内に回答がきます。
 教授の中にはCold Call(いきなり授業中に指されること)をする人もいます。但し、全ての教授がCold Callする訳ではないので、実際にそのようなことを行う教授が担当になった時に初めて心配すれば良いでしょう。それに、最初の学期(秋学期)には、あれほどビクビクしていたCold Callも、英語力がつくにつれて、またクラスの中に溶け込んでいくにつれて、それほど怖いものではなくなってきます。
 なお最終講義時に学生は各々の講義及び教授の評価をマークシート形式で行い、これが来年以降の授業の改善に反映されます。教授によっては、学期の中間頃に学生に評価シートを書かせて、学期の後半の授業内容の改善に努める場合もあります。学校全体として、授業を良くしようという姿勢・努力は、日本の大学との大きなギャップを感じると思います。

<勉強量>
 MBAのプログラムは大変ということをよく聞かされると思いますが、日本人にとって何が大変かというと読む量が多いことだと思います。また日本語で書かれていればすぐ分かるものも英語になるとちんぷんかんぷんというのは日常茶飯事であり、結局理解するために辞書を引きながらの勉強となるのでどうしても時間が掛かってしまいます。ただ、慣れれば飛ばし読みもできるようになると思うので、時間の経過とともに読むために割く時間は短縮できると思います。
 また予習、復習の他に、Andersonではチームプレーを重視していることからグループ学習をする機会も多く、グループ学習の準備にかなりの時間を割くこともあります。
 勉強量が多いことは否定できません。ただやるしかないというのが正直なところなので心配はしないほうが良いと思います。ただ、ずーっと勉強ばっかりしていないといけないかというと、慣れてくればそうでもなくて、例えば週末(金、土、日)の休みのうち少なくとも1日はフリーな日を作れます。また、授業と授業の合間などの時間を有効に使って勉強すれば、忙しい時を除いて、人間らしい睡眠時間を確保したり、家族や子供がいれば、家族サービスの時間を作ることも十分できます。

<グループ学習>
 グループ学習をする機会が多いと前述しましたが、必須科目について言えば必ずどの科目でも一度はグループ学習をすることになります。
 グループの作り方には教授がグループを指定する方法と、個々人でメンバーを決める方法があります(多くは個々人でメンバーを決める)。個々人でグループを決める場合、グループメンバーを全ての科目で一緒にすれば分担ができることから、全ての科目を同じグループメンバーにするグループもあります。2000年度、2001年度とも、学期の授業については学校(というか、オリエンテーションのオーガナイズを担当していた上級生)により、バックグラウンド・性別・国籍等を考慮して、グループが割り当てられました。

<テスト・成績>
 テストは必須科目の場合、原則として中間と期末がありますが、選択科目になると教授によってまちまちであり、中間、期末のテストが無い科目もあります。
 また、殆どの科目で授業中のParticipationが成績に加味されます。講義要項には必ず成績配分が記載されていますので参照して下さい(Participationの基準は生徒がどれだけ挙手等を通して積極的且つ有用な情報、意見をセクションメートに提供できるかというものになります)。科目によってParticipationの成績に対する比率は異なりますが、コアクラスの場合、20%くらいが多いです。
 成績はA、B、C、F評価で、A、B、Cの評価には+/- が付加されることがあります。加重平均で3.0(Bフラット)以上を確保していないと退学の対象になりますが、今だかつて成績が理由で退学を命ぜられた学生はいない模様です。

<セクションと時間割>
 必須科目は入学時に決められるセクション毎に受講します。例年、約65人の学生で構成されるセクションが5つ設けられ、内2つは早番で残りは遅番という扱いです。早番と遅番のそれぞれの時間割は以下の通りです。

(必須科目が4科目ある秋・冬学期の時間割)
 早番: 1時限目 午前8時〜9時50分
 2時限目 午後1時〜2時50分

 遅番: 1時限目 午前10時〜11時50分
 2時限目 午後3時〜4時50分

<必須科目>
1年秋学期必須科目:
Financial Accounting(簿記・財務会計):

 簿記・財務会計の基礎編。仕訳の方法、財務諸表の読み方、キャッシュフローの読み方及び作成方法等を学びます。講義主体で宿題が多いです。基礎知識を既に持っている人には少々退屈な授業の可能性あり。もし基礎知識を持っているのであれば、楽をしたい人は別として、簿記・財務会計の免除試験(後述)を受験した方が無難と思われます。(Class of 2003では、一人この科目を免除しています。)
 なお、Class of 2003の場合、学期が始まる前にAccounting自習用CD-ROMが送られてきて事前学習できるようになっていたので、基礎知識が全くなくても、特に問題はありませんでした。(2001年度は中間試験・期末試験ともにあり。)

Managerial Economics(経済学):
 講義主体の授業。数回グループで提出する問題セットを解く必要あり。日本人には馴染みやすい授業と思われます。ミクロ経済中心。英語で説明されると訳が分からない専門用語が日本語にすると知っている用語だったということが時々あります。意思決定者の観点からミクロ経済学の理論と現実の経済問題への応用(各種経済モデル)を学ぶコースで、レクチャー主体の授業です。Marginal Revenue(限界売上)及びMarginal Cost(限界費用)を用いた利潤最適化、消費者行動、需要関数及び需要弾力性(価格、競合・類似商品価格、収入レベル等)、回帰分析(Regression)を用いた需要予測、生産者行動、生産関数(資本と労働)、費用分析(固定費・変動費と短期的コスト・長期的コストの最適化)、市場均衡・独占・寡占・独占的競争と各市場の中での価格形成・消費者利益及び事業者利潤、情報の経済学及びゲームの理論の基礎等が対象となります。(2001年度は中間試験・期末試験ともにあり。)

Data Analysis, Statistics & Decision Making(確率・統計学):
 講義主体の授業。教授によって多少の違いはあるものの、ケースの宿題が数回あります。確率論、期待値、記述統計、正規分布等確率分布、母集団及びサンプルの統計的手法(標準偏差・平均値等)を用いた確率・リスク分析、サンプルから母集団の推定、サンプルをもとにした意思決定における確信度の判断、仮説検定、回帰、重回帰等を対象とする統計学の基礎コースです。統計理論の厳格な証明に重点を置く日本の統計学の講義とは違い、サンプルデータ(例えば、各種調査)から如何に母集団(例えば、市場全体状況)を予測し、その予測誤差等も加味しながら如何にビジネス判断を行っていくかというプラクティカルな側面が重視され、また、理論の概要を理解した上で色々なコンピュータソフトウェア(JMPやCrystal Ball、Class of 2003では主にExcel)で演算することが求められます。この科目はその後の科目(ファイナンスやマーケティングなど)の基礎になりますのでしっかりと学習する必要があると思います。一方、特に技術系の人で統計学の知識がある人は、免除試験を受けることを考えてもよいかもしれません。(2001年度は数回のクイズ(小テスト)および期末試験あり。)

Business Strategy(戦略論):
 講義とケースディスカッションとの混合型の授業。如何に競争優位を形成し、且つ、それを長期的に維持していくかという経営戦略全般を議論します。さまざまなフレームワークを学び、それらのフレームワークを使いながらケース分析をします。Quantitativeな分析も要求されます。2000年から、これまで春学期に行われていたこの科目は、秋学期に繰り上げられました。理由は、1年冬学期からはじまるサマーインターンシップに向けての面接で、ケース面接が行われることがしばしばあるのですが、Business Strategyをその時点で学んでいないとつらいということらしいです。(2001年度は2回のクイズと期末試験あり。)


1年冬学期必須科目:
Managerial Finance(金融・財務論):

 講義主体の授業。金融・財政学の入門編。企業にとっての最適資源配分はどれかということを軸に金融・財政学の基礎概念及び理論の習得を主眼において講義は進められていきます。この講義でカバーされる内容は現在価値法、株価及び社債価格算出及び評価法、投資利回り、会社価値評価、各種投資評価基準(IRR=内部収益率、Payback=投資回収年 等)等です。授業は講義主体。エクセルを使用してスプレッド・シート分析及びケース分析を行うことが求められますが、あくまで必須科目なので、複雑な計算を求められたりはしません。。(2001年度は中間試験・期末試験ともにあり。)
 なお、この普通のFinanceの授業のほかに、Turbo Financeといって、このFinance+春学期におこなわれるTheory of Financeをいっぺんに冬学期にやってしまう授業もあります。このコースを取るためには選抜試験にパスしなければなりませんし、授業もタフ(他のコア授業が2時間弱のところ3時間で、当然宿題も多い)ですが、人より早く選択科目(Finance系の選択科目は、Manegerial Finance + Theory of Finance)が取れるというメリットがあり、Finance系のバックグラウンドがある人や、数字に強く意欲が高い人は、果敢にチャレンジしています。実際Turbo Financeの希望者は多く、選抜試験は結構competitiveです。Class of 2003の日本人は、3人Turbo Financeをとってます。

Elements of Marketing(マーケティング論):
 講義とケースディスカッションとの混合型の授業。様々な制約条件のもとで如何に消費者嗜好に沿いつつ企業が最大利潤を確保できるためのMarketing戦略(Strategy)の策定といったことに主眼をおいたマーケティングの入門コースです。骨格となる3C4Pの理論をケースを用いて実践的に議論するとともに、ハイテクやグローバルマーケティングなどにも触れます。講義では、VTR等のツールを用いて実際のTVコマーシャル等を体感しながらディスカッションが進みますので、「馴染みやすい」科目の一つだと思います。(2001年度は期末試験のみ。)


Operations & Technology Management(生産管理論):
 講義とケースディスカッションとの混合型の授業。生産工程・サービス工程等実際のオペレーションにおける生産の効率性, マーケティング戦略との合致、時間管理、生産工程の弾力性、最適生産工程等を対象とする、レクチャーとケース分析を統合した生産管理の基礎コースです。かんばん方式等日本企業が先駆者となった生産工程も主要なトピックであるため、ケースに日本企業が多く登場します。授業の内容は、MBA取得後に実際に生産管理のマネージャーになる人は少ないため、生産管理の基本的なコンセプトはおさえながらも、ジェネラルマネージャー的なもう一段高い視点に重点が置かれています。(2001年度は期末試験のみ。)

Human Resouce and Observational Behavior(人事組織管理論):
 講義とケースディスカッションとの混合型の授業。上記3科目と相違し体系的なフレームワークがあるわけではなく(この結果、基本テキストの指定もありません)、リーディングから分析の枠組(例えば、労働コスト削減、権限委譲によるモラルアップ、業績リンクの給与制度、人材多様性−性・人種・国籍・文化−のマネジメント等)を個々に把握し、ケースを分析し、クラスディスカッションまたはCase Write-upを行うことになります。2001年度の授業では、5人の教授がそれぞれの専門分野を2週間ずつ交代で全セクションに教えるという授業形式を試行しています。企業の成長にあわせた人事・組織のマネージメントといった日本企業でも馴染みのあるテーマもあれば、アメリカの組織・労働環境を前提とした日本人には取り組み難いテーマもあります。2001年度は課題(グループとしてのレポート・プレゼンテーション資料提出、個人でのレポート提出)が多く、Class of 2003の日本人の中では、ワークロードがきついという感想をもった人が多いです。(2001年度は期末試験のみ。)


2年必須科目:
Field Study
(2002年度からBusiness Creation Program(実際のビジネスプラン立案)等の3コースからの選択になります)
 Anderson Schoolの特徴ともいえる科目で、実在企業のプロジェクト等のコンサルティングを行います。これは2年次の2学期に跨って受講する科目で、個々人でグループを形成し、担当教官の指導のもと、最後は実際のプロポーザルを企業宛てに行うという内容の講義です。プロジェクトは学生が独自にコンサル先を探してくるか、またはField Study Officeに寄せられる企業から選ぶかです。Field Study Officeに寄せられる企業の中で人気のある内容のものについては面接で担当グループが選定されます。

<必須科目の免除試験>
 入学までにオリエンテーション関連資料が同封された郵便物が手元に届くと思います。そのなかに必須科目の免除試験の申請用紙が同封されています(なお、必須科目のうち、Business Strategy、Operation & Technology Managementの免除はできません)。
 免除試験を受けるかどうかの判断は難しいところですが、免除試験を受けてパスすることのメリットとしては免除した分だけ多くの選択科目を取れることだと思います。たとえ免除試験に通らなくても必須科目の講義を受講すれば良いだけです。但し、受験にあたって事前準備なしでの受験はあまりお勧めできません。該当科目の基礎知識及び英語での専門用語の解読はできるようにしておいた方が無難です。また、免除を受けた科目の代わりの科目は本来免除をを受けた科目を受講する期に取ることになります。よって、期によっては良い選択科目が無い場合があります。いずれにせよ、免除試験を受けようと思う方は、我々日本人留学生にご相談ください。過去の試験問題や、授業の資料などお貸しできると思います。


<選択科目>
 Anderson Schoolには様々な選択科目がありますが、1年次の秋と冬学期は必須科目のみのカリキュラムとなっていますので、必須科目の免除試験を通らない限り、選択科目をとることは難しいでしょう(必須の4科目に加えて追加で選択科目を取ろうという意欲的な方は別ですが)。ほとんどの選択科目は1年次春学期からの受講ということになります。また、選択科目によってはある科目を事前に履修していることが前提条件になっているものもありますので、その点は十分に注意した上で2年間にどの科目を履修するかを決めて下さい。他学部の講義は12単位までなら卒業単位として認めてもらうことができます。他学部の講義を履修している人の多くは語学関連或いはEntertainment関連の講義を履修しております。
 尚、2000年の冬学期から、一年生のための選択科目としてAccelerated Managerial Financeという、コア科目のManagerial Financeとその上級コースであるTheory of Financeを統合したコースが設けられました。通常は秋学期にManagerial Financeを履修した後(最短で春学期)でないと履修できないTheory of Financeを秋学期に履修できるため、通常よりも早くファイナンスの勉強を深めることができるということになります。

* ファイナンス関連の授業
 アンダーソンの強みの1つにファイナンスがあります。実務界でも学術界でも著名な教授陣が数多く在籍し、また卒業後ファイナンス分野に進む学生も比較的多いようです。以下に特色あるファイナンス系の授業について幾つかご紹介します。

Takeovers, Restructuring, and Corporate Governance
Instructor: Prof. Kahl

(コメント1)
 このクラスでは、M&A, LBO, MBO, Spin-offなどの企業活動を取り上げます。内容は多岐に渡り、戦略、企業価値評価、会計・法制度、マーケット、心理など色々な角度から合併や買収などを分析します。内容的に難しい授業でありながら、最も人気の高いクラスの1つで、ビディング(後述)では高ポイントが必要になります。インベストメントバンクの投資銀行部門で働く意向のある人には必須といえるでしょう。
(コメント2)
 企業買収、LBO(Leveraged Buyout) 等に関する企業価値評価の手法やトランザクションの仕組み、会計制度などをレクチャーとケースディスカッションで学ぶコースです。多くのケースを扱うので、実務的な知識を習得することができます。教授はユーモアのセンスがあり且つ教え上手なので(毎回配布されるレクチャーノートも非常によく整備されています)、学生からは人気のあるクラスとなっています。ファイナンスを中心に学びたい方にとっては必須のコース、またそうでない方にもお勧めのコースです。

International Financial Markets
Instructor: Prof. Roll
Financial Management of Multinational Corporations
Prof. Chowdhry

 この2つのクラスは、コアのファイナンスやTheory of Financeでは手薄な、internationalな観点や為替レートがからむコーポレートファイナンスを扱います。金利、為替、インフレがどのように関係しあい、企業活動にどのように影響するのか、そしてそれをどのようにヘッジすればよいのかということを学びます。前者が主に理論やマーケットのことを中心に、後者がその応用偏として実際の企業のケースを中心に扱います。Internationalな内容だけに受講生全体にinternational studentが占める割合が多いようです。

Corporate Valuation
Instructor: Prof. Cornell

(コメント1)
 企業価値評価の総まとめ的クラスです。一口に企業価値評価といってもその方法や特長は多岐に渡ります。実際の事例を使用しながらそれを学んでいきます。最もMBAらしい授業と言えるかもしれません。上述のTakeovers, Restructuring, and Corporate Governanceや後で述べるManaging Finance and Financing the Emerging Enterpriseなどでも企業価値評価は重要な要素になります。これもインベストメントバンクの投資銀行部門で働く意向のある人には必須といえるでしょう。
(コメント2)
 DCF(Discounted Cash Flow Method), Comparative Company Method, EVA (Economic Value Added) を使った手法など、企業価値評価の理論を体系的に学べるコースです。講義中心の理論学習と理論の適用を学ぶケーススタディのコンビネーションで授業は進められます。また、コースの最後には実際に企業を一つ選んでその価値評価を行うというプロジェクトが課されますが、必要なデータ収集から分析、キャッシュフロー予測、ディスカウントレートの算定、そして企業価値の算定という一連のプロセスを実践的に学ぶことができます。但し、Valuationは他のファイナンス系授業(前述の Takeover, Restructuring, and Corporate Governance 等)で取り上げられるので、ファイナンス系科目を中心にとっている方には重複的な部分が多くなるかもしれません。

Corporate Financial Reporting
Instructor: Eric Sussman

 複数の教授がこのクラスを教えていますが、Sussman先生のクラスでは、Financial statement analysis、つまり、会計制度に従って作られた数字が実際の企業活動とどのようにリンクしているのかを分析することが授業の中心です。扱われるトピックは売上・費用認識、有形・無形資産、有価証券、キャッシュフロー、社債、リース、年金、ストックオプション、繰延税、Pension Fundなどです。レクチャー+ケーススタディという形式の授業ですが、ケーススタディが80%程度を占めています。ケーススタディは、実際のAnnual reportやSEC Filingsを抜粋したものを使用しており、企業業績の分析の視点が学べますし、また、業績関連ニュースを理解する際の感覚も身につきますので、最もBusiness schoolらしい授業の一つと言えます。このため、このクラスは、Finance/Accountingを専攻したい方だけでなく、全学生にお薦めします。ユーモアのセンス抜群でテンポ良く授業を進めるSussman先生は学生から絶大な人気を得ています。クラスに遅刻した学生は次回のクラスに差し入れを持ってくる(大抵はドーナツ)というルールがあるにも関わらず、遅刻者が後を絶たないのは不思議なことですが、恩恵に預かる人には有難いことでしょう。

Special Topics in Advanced Accounting
Instructor: Eric Sussman

 通常のAdvanced Accoutingの授業だと、年金会計やNPO会計等が大きく取り上げられますが、このコースではMBA向けのトピックに特化、深く掘り下げています。扱われるテーマは、M&A会計、連結会計、LBO、Divestiture、Debt restructuring、Derivatives、International Accounting、Off-Balance sheet 関連トピック等で、これらにまつわる問題点、特に企業が会計規則を時として悪用して業績を良く見せようとするケースを見ていきます。トピックの内容上、証券・投資銀行、会計分野にキャリアを志向している学生のためのクラスで、上述のCorporate Financial Reportingに比べると難易度は格段に上がっていますが、学ぶ価値は十分にあります。(金融分野に進まない方にはCorporate Financial Reportingで十分です。)尚、このクラスにも、Sussman先生の「ドーナツ・ルール」は適用されますので、授業中にお腹が空く心配は要りません。

Managing Finance and Financing the Emerging Enterprise
Instructor: Prof. Cockrum

後述

その他に、
 Theory of finance: コアのファイナンスの発展版、ポートフォリオ理論を中心に
 Fixed income markets: 債券、スワップ
 Option markets: オプション理論とその応用
 Security analysis and investment management: 投資理論、ポートフォリオ理論
 Financial institutions
 Theory of exchange under uncertainty
などがあります。


* アントレ関連の授業

 アンダーソンは起業家育成のプログラムが充実していることでも有名です。Business Weekのアントレ教授の全米トップランキングに複数の教授が入っているのはアンダーソンぐらいでしょう。Harold Price Centerから起業のためのスキルを養成するためアカデミック、実務経験を積むためのプログラムが提供されています。実務プログラムにはVenture Fellows ProgramというPrivate Equity会社あるいは投資先企業でのインターンとして働くプログラムがあり、Price Centerからは以下のアントレ関連の授業が提供されています。

295A Entrepreneurship and Venture Initiation
295B Small Business Management
295C Corporate Entrepreneurship
231E Managing Finance and Financing the Emerging Enterprise
240E Managing Entrepreneurial Operations
298D Special Topic: Business Plan Development
298D Special Topic: Business Plan Implementation
298D Special Topic: Managing Entrepreneurial Operations
298D Special Topic: Social Entrepreneurship

特に人気のある授業についてご紹介します。

295A Entrepreneurship and Venture Initiation

 新しい事業をどのように起こすし成長させるか − すなわち、起業の方法は(起業か買収か)、ビジネスの機会は、起業のプロセス、資金をどのように調達するか、企業をどのように成長させるか、Exitのオプションは、といった起業全般に関する様々なIssueを勉強します。何人かの教授で交代に教えられていますが、その中でもOsborne教授は著名で、Price CenterのDirectorであるとともにCockrumと並ぶアンダーソンの看板教授の1人です。毎回の授業で1つずつケースを取り扱い、コールドコールを中心に進められる授業では、これらの起業に関する様々な問題をディスカッションしていきます。Cockrumの授業とともに準備にかかる作業量の多さと授業の緊張度の高さは、起業家になる人は絶対に経験しておくべきでしょう。実際に起業して成功した起業家がゲストスピーカとして授業にきて、学生に自分たちが直面した問題とその解決方法について話してくれたりもします。

231E Managing Finance and Financing the Emerging Enterprise

 Cockrum教授はBusiness Weekのアントレ教授の全米トップランキング(1996年12月特集)1位にランキングされ、この授業はAndersonの看板になっている人気授業です。このCockrum教授の授業については、以下のAndersonの有名教授陣の項を参照ください。

240E Managing Entrepreneurial Operations

 毎年春学期に提供されるYost教授のこのコースは、起業家たちが事業の運用、操業で直面する多様な問題を探求、検証していきます。1学期(10週間)で数多くのケースを通して、次のようなトピックを順番に検討していき、起業家として要求される、スキル、フレームワークを身に付けていきます。

1) 起業前の意思決定がOperationに与える影響
2) 起業時に遭遇するOperation上の問題と機会
3) 事業の成功がもたらすOperation上のストレス
4) 逆境を勝ち抜くプロセス

 週2回1時間半づつのクラス(計20回)で毎回新しいケースに取り組むこの授業は、とても速いペースで進んでいきますが、それこそ起業家たちが実際の事業の運営で感じるペースなのでしょう。Yost教授は、彼の20年以上もの実務経験、特にStart-Up、Small Businessでの運営経験を教室に持ち込み、彼のウィットなトーク、彼のクラス全員に対する気配りによってクラスでのディスカッションをよりリアルで楽しいのにしています。Yost教授はBusiness Weekのアントレ教授の全米トップランキング(1996年12月特集)にCockrum教授とともに入り、11位にランキングされました。

298D Special Topic: Business Plan Development

 Carsrud教授とFoster教授が交代で教えているこのクラスは、学生にビジネスアイデアをビジネスプランという書面にどのようにして、資金を調達するために投資家たちにどのようにプレゼンテーションするかを教えるクラスです。クラスの前半はビジネスプランの作り方のレクチャーを受けるとともに学生は授業外でビジネスアイデアの検討とプランの執筆に取り組みます。後半は作ったプランのプレゼンテーションの練習を繰り返します。クラスの最後には、実際にVenture Capitalから人を呼んで、学生が作ったプランのプレゼンテーションを行い、よいビジネスプランは実際に資金を調達できる場合もあります。自分でビジネスアイデアがなくても心配は要りません。アイデアのある人とグループを組んでそのアイデアをプランにしましょう。

 Carsrud教授は大学で行われている研究開発の成果を新しいビジネスにするVentures Development Programを創設し、多様な産業でのビジネス起業をアドバイスしている多忙教授です。授業の中で彼が学生に与える厳しいコメントは学生のプランをより良いものにしていきます。AndersonのMBA でもあるFoster教授はAndersonの教授になる前の17年間は様々なハイテク企業のPresident、CEOを勤めてきた実務家で、彼のハイテククラス(241A Managing Technology for Competitive Advantage: High Technology Management)もとても人気があります。


* エンターテイメント関連の授業

 アンダーソンを選んだ方の中には、エンターテイメントビジネスに興味のある方が毎年いらっしゃるようです。また、直接仕事にしなくても、少しハリウッドのビジネスの仕組みを知っておきたい、という方もいらっしゃるでしょう。ここではそういう方の為に、アンダーソンならではとも言えるエンターテイメント関連の授業について、Class of 2Kのモラッドハジャティ史織さんの経験に基づいて特別にご紹介します。取れる授業は大きく分けて、アンダーソンのMBA Program内の授業と、UCLA Film SchoolのProducer's Programの授業になります。前者は選択科目として通常の授業と同様に単位が取れ、後者はFree Electiveと呼ばれ、12単位(4単位なら3科目)まで卒業単位に加えることが許されます。

Law and Business of the Entertainment Industry
Instructor: M. Kenneth Suddelson, Esq.

 これはFilm Schoolの授業で、主に映画製作に関わる法律問題を扱います。(従ってLaw Schoolの人も多い)アメリカの著作権法の仕組み、原作の映画化権の取得、Product Placement、映画音楽の権利取得、資金調達/配給に関する問題など、映画製作の多岐にわたる分野について学ぶことができます。Instructorはこの授業の進行役といった位置付けで、毎回各分野のエキスパートがゲスト講師として呼ばれ、分野によりしっかり講義が行なわれる場合や、質疑応答が中心となる場合があります。各分野のエキスパートと接触できるので最新の問題についても議論でき、ビジネスの側から映画製作やその他エンターテイメントに関わるためには知っておかなければいけない知識が学べます。

Institutional Issues and Change in the Entertainment/Communication Industries
Instructor: Prof. Jeff Cole

 これはアンダーソンの授業。テレビ・映画を含めた業界事情を様々な角度からInstructorが講義を行なう。映画・テレビ(地上波・ケーブル)業界の歴史に始まり、その将来展望、各業界の規制事情(特にテレビ)、近日公開される映画についての情報・ビジネス展望などこれまた非常に広い分野にわたります。カバーの範囲が広い分だけ、講義が拡散しがちですが、アメリカのテレビ・映画業界についての知識が広がること間違いなしでしょう。

Position in Changing Entertainment Landscape
Instructor: Prof. Jamal Shamsie

 アンダーソンの授業。他の授業がかなり実地に近い情報を扱って、あまり統制なくそれを提供しているのに、この授業はかなり厳しくビジネスストラテジーの見地から(1年目の春学期にコア科目のビジネスストラテジーで基礎的なフレームワークを学びます)エンターテイメント業界についてのケーススタディを行うものです。Prof. Shamsieは人により好みがあるとは思いますが、こういった角度からエンターテイメント業界を研究されている数少ない一人で、情報の洪水におぼれることなくエンターテイメント業界でのビジネス戦略を考える貴重な機会だと思います。2年生向けのコースということになっていますが、もしその後にエンターテイメントビジネスを主に勉強するつもりならば、1年目でとっておくことをお勧めします。

International Financing and Distribution of Independent Feature Films
Instructor: Steve Fayne, Esq.

 Film Schoolの授業。映画製作のための資金調達についての授業。Independent Producerとして資金調達をすることを前提とし、アメリカ以外の地域へのプリ・セールスや完成保証 (Completion Bond)、国内配給、国際配給とその資金繰り、エクイティ・ファイナンスなど、要するにどうやって映画制作資金を手に入れて、管理するかということを勉強します。映画を製作する上でどう資金が流れるかという事がはっきり分かる授業です。

Distribution and Exhibition of Motion Pictures: The Devil:
Instructor: Tom Sherak (Chariman of 20th Fox Domestic Film Group)

 Film Schoolの授業。映画の配給ビジネスについてのクラスです。当然の事ながら、映画をビジネスとして捉えるのはメジャースタジオの役割であり、アメリカ国内配給はそのビジネスの核となっています。これを知り尽くすインストラクターが毎回専門家を招き、映画"ビジネス"とは何かを学ぶのがこのクラスです。劇場と配給会社の虚々実々の駆け引きとその仕組み、ハリウッドビジネスの最新情報、最新劇場公開映画成績とその分析、等など、授業内容といい、Instructorの実績といい、まさにハリウッドの生の声が聞ける絶好の機会と言えるでしょう。

Strategic Profile of the Entertainment Conglomerates
Instructor: Prof. Jamal Shamsie

 アンダーソンの授業、AOL-Time Warner, Sony, News Corp, Viacom, Dreamworks, Bertelsmann, Disneyという世界のメディアをまたにかけるエンターテイメントコングロマリット。これら各社を各1回の授業毎に扱って、分析・議論を行ないます。今年から始まった授業で、これまでShamsie教授が各社に関して体系的に集めてきた資料を読むだけでも今のエンターテイメント業界を取り囲む状況を理解できること請合い。それをさらにビジネス戦略の見地から分析しての議論するのがこの授業の趣旨です。

Negotiation Strategies: The Game
Instructor: Cameron Jones, COO, 50 Canons (Mike Newell's company).

 Film Schoolの授業。ハリウッドのディールメイキングをシミュレーションゲームとして学ぶ。私はこの授業そのものは取っていませんが、後述するサマープログラムの中で同じシミュレーションゲームに参加しました。よく練られたゲームサマープログラムの場合は短期間で集中的に行なわれるせいもあり、非常にリアリティがありました。また講師は弁護士からプロデューサーに転身した興味深い経歴と大変な博学の方ですが、それ以上に人間的魅力にあふれていて、授業をさらにエキサイティングにしてくれます。

 この他に元 Sony Pictures EntertainmentのCEOで現Mandalay Pictures社長のPeter Guberによる授業などがあります。また、MBAプログラムの一環ではありませんが、夏に毎年Film Schoolのちょっと変わったサマープログラムを受講したので、それを最後にご紹介します。

Summer Session
Professional Program in Producing

 これは、Film Schoolの年間を通じたプロデューサー養成プログラムの短期集中版で、3ヶ月間、週4回、月−木の夜7時-10時にわたって行なわれます。世界各国からハリウッドを目指す若者が集まって、ハリウッドの映画製作をディールメイキング、撮影予算、日程から映画のストーリー構成など多岐にわたって勉強します。講師は約2週ごとに各分野の現役バリバリの専門家が呼ばれ、ゲストスピーカーも非常に充実しています。(私の時はBen Affleckや Art Lison (The Untouchableのプロデューサー)など。)生徒の中にはすでに各分野で活躍している人もいたりして、授業外でも色々な集まりではそんなプロデューサーの卵たちとの親交を深めることができます。

International Business 関連の授業について

 Anderson Schoolは、International Business 関連の授業についても高い質のクラスを, 幅広く提供しています。CIBER (Center of international Business for Education ad Research)という学内機関が中心になって、コースの充実を図っています。LAという場所柄比較的ラテンアメリカとアジアに関連の深い教授やクラスが多く見受けられます。ここではいくつかの代表的なクラスを紹介します。

Mgmt296 International Business Management
 多国籍企業の経営に関する主要なイッシューについて、ケースとフレームワークを屈指して学ぶクラスです。各週テーマは、International Joint Venture, International Financing, International Marketing (Central integration and localization issue), International Human Resource Management など多岐にわたり、経営の立場から見てダイナミックにケースを分析することで、多国籍企業経営で通常問題となる事柄についてひと通りの理解とインサイトを得ることが出来ます。

Mgmt297B International Business Strategy

 nternational Market に新規参入する場合の、参入戦略に特化したクラスです。 榊原教授という通産省出身で、マイケルポーターと一緒に戦略論の研究をしていた経歴の持ち主が担当教官です。彼女は最近では " Can Japan Compete?" (邦題「日本の競争戦略」) というポーターと一橋の竹内教授の共著に協力としてクレディットされています。ゆえに日本市場参入のケースなども扱い、そこでの議論は我々日本人学生には大変に興味深いものとなります。

Mgmt297 International Business Negotiation
 国や文化が異なる場合のビジネスネゴシエーションを、演習を交えたケースと理論で学ぶクラスです。クラスは様々なコンテクストのなかで交渉を行う際に、理解しておくことが必要なフレームワークやイッシューを網羅するとともに、実際にネゴシエーションを毎回の授業で行うことで、実践し自分のものにするという構造で成り立っています。多くのInternational Students が履修していることもあって、実際に文化や価値観の異なる相手との交渉を練習できる貴重な機会だといえます。

Mgmt261 Global Marketing Management
 マーケティングをGlobalizationのコンテクストで点検し、ケース中心に主要なイッシューについて学ぶクラスです。多国籍企業でマーケティングをやりたいと考えている人には必須のクラスです。CulturalDifferenceへの対応、新規参入の際の課題、参入市場評価の方法論、商品開発、消費者コミュニケーションなど通常のマーケティングのクラスでも扱うテーマを異なる角度から眺めるというクラスです。

Mgmt231 Business and Economics for Emerging Market
 マクロエコノミクスの授業ですが、アジアや南米、東欧など途上国の市場に興味のある人には学ぶものの多い授業です。担当のEdwards教授は世界銀行の元チーフアナリストで、巧みな話術とジョークを織り交ぜながら、「なぜアルゼンチン経済は破綻したのか?」というようなテーマをクリアに説明してくれます。アジアやラテンアメリカ、ロシアからのInternational Studentsはみな履修していて、彼らの熱気が感じられます。

その他
International Financial Markets
GlobalEconomy
GlobalManagementConsulting

<コースのビディング>
 実際の選択科目の受講申請についてはオンラインでのbiddingという方法を使って行われます。これは各個人が該当期に選択できる科目数当たり250点の配分をもらい、受講したい科目に点数をかけて、最高点をかけた学生から順番に定員が満たされるまで受講許可をもらえるというものです。2年になれば最高4科目選択できることから、biddingは4日間に渡って行われ、1日毎に個々人に1科目の受講許可が出ます。なお、自分の第一志望の科目に許可をもらえないケースもあるので一度に最高6科目まで受講申請します。なお定員一杯の講義についてはウエーティングリストに載せることができます。通常配分しなかった点数の繰り越しはできません。よって、もし定員を満たすまでほど遠い人数しか受講許可が出ていないような科目にbiddingする場合極端に低い点数でも受講許可が出ますのでよく戦略を練ってbidに参加するようにすると良いと思います(例えば定員が65名に対してbidの参加日までの受講許可がまだ20名程度にしか出ていないケース つまり後45名が同じ日にbidしない限り1点で冬学期のbidで受講申請しても受講許可をもらえる)。なおbidについての具体的な説明会は秋学期中にあります。ただ少々わかりづらい場合もあるので、もし意味がよく分からない部分があったら我々に聞いて下さい。


<教授陣>
有名教授による選択科目の幾つかについて2年生の方の経験談をご紹介します。

Cockrum(コックラム)教授
 通称「コックラム」として知られる同教授の授業Managing Finance and Financing the Emerging Enterprise (Course#231E) は誰もが認める当校の看板授業です。授業の目的は、ニューベンチャーが如何に資金を獲得し、また資金の提供者がその企業に如何にファイナンスするかを学びとること。授業は全10回、コールドコールを中心に進められ、教授と指名された生徒との問答が所属するグループの成績に直接影響するため、予習の真剣さは他の授業とは比較にならず、また1回3時間の授業はThree hour interviewと称されるほど緊張の連続です。ただこの授業から得られるものも当然大きく、ファイナンスの知識のみならず生徒をそこまで真剣にさせる教授メソッドも必見です。平均予習時間20時間 /回の約半分をグループワークに費やすため、その議論は実際のビジネスさながらで、クラスの友人の中にはその延長で、授業修了後グループのメンバーと実際にビジネスを立ち上げる計画を立てている人もいました。コックラム教授は実業家として成功をおさめた後その事業を投資銀行に売却し、その後の人生を起業家の指導そして当校での学生の指導に費やしています。その優れた教授メソッドから彼は1996年以来ビジネスウィーク誌でアントレ教授部門の第1位に毎年ランキングされ、今や伝説化されております。多くの時間を我々の指導に向けているにもかかわらず、Anderson Schoolからのサラリーを学校に寄付していることからもその貢献度の大きさは計り知れません。

 コックラム教授は言うまでもなくファイナンスの看板教授ではありますが、彼の授業はファイナンスの限界を明確に認識させることから始まります。当たり前ではありますが、会社にはそれぞれゴールとそれを実現させるための企業戦略とプランニングがあり、さらにそれを具体化させるためにマーケティング、オペレーション、アカウンティング、ならびにファインスがあるに過ぎないということがベースにあります。要するにビジネスの諸問題をファイナンスの観点からのみ解決しようとすることは所詮無理であり、あくまでファイナンスは企業のゴールと企業戦略を実現させるためのーつのツールに過ぎないという立場をとっています。
 同時に、ファイナンスを深く理解できればマーケティングやオペレーション、あるいはアカウンティングといった他のツールに帰属する諸問題をある程度理解することも可能であり、そういう観点からもファイナンスは企業戦略、ゴール実現には不可欠なもであるというのがコックラムの基本的な考え方です。
 こうした基本的な考え方をベースに各企業の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、将来におけるビジネスチャンス(Opportunities)、それに対する脅威(Threats)を深く分析(SWOT analysis)した上で、それらに最適なファイナンス手法を追求してゆきます。
 具体的には以下の10回のトピックにあるようにファイナンスの観点からみた企業の健全性の分析、短期、中長期運転資金、設備資金の妥当性、キャッシュマネジメント、パフォーマンス分析と将来の予測、それらに基づくデットファイナンス、社債、新株発行、ベンチャーキャピタルなどによる資金調達とそのタイミング、コストの妥当性などを徹底的に詰めてゆきます。オペレーション等ファイナンス以外のさまざまな観点から現状をさらに改善できる方法はないのかを常に考えると同時に、全ての資金調達手法の中でなぜ今このタイミングでこの一つの手法が最適であると考えるのかを徹底的に論理的に分析します。その過程では常に資金調達の当事者の立場からいかにキャッシュをうまくマネージするかとう観点だけではなく、資金の出し手である投資家サイドに対する投資の魅力とその投資に関するさまざまなコンディション、あるいはカバナンツに至るまで具体的な内容も詰めて行きます。

 また、特にアントレプレナーファイナンスの過程においては、"Never run out of CASH"という極めて基本的なことが強調され、キャッシュを切らさないためにどのような選択肢があり、どれが最も現実的で即効性があるのかを追求します。
 使われているケースはそれほど新しいものではありませんが、上記のファイナンスの基本的なコンセプトを体系的に且つ最も効果的に学ばせるために教授自身がケースを選び、ファイナンスを通してそれぞれの企業の現状と将来を徹底的に真剣に、深く考えさせるための独特な雰囲気を作り上げています。
また毎週前回の授業で学んだこと、ならびにグループワークダイナミックスについてレポートを提出するということにも象徴されるように、この科目ほどグループワークの重要性が強調される科目はないと思われます。尚、コックラム教授はジョークが非常に好きで、どんなに大変でもこのレポートには必ずウィットのきいたジョークが要求されます。要するに、どういう状況でもパニックすることなく気持ちの余裕を持って冷静に現状を分析する能力を養いたいということでしょう。

 最後になりましたが、"What is the first thing you would tell to your employees when you go out of the door now?" という彼の口癖に表れているように、マネジメントとしてさまざまな分析を通して出した結論に関し、実行可能で具体的、且つ明確な指示をどのようなメッセージで伝えるのかという極めて現実的な考え方をとことん強調しています。

 ファイナンス畑でない方も是非このコックラム教授の授業からビジネスのさまざまな考え方を吸収すると同時に、アンダーソンでしか経験できないこのコックラムワールドをとことんエンジョイして下さい。また、ファイナンスはウォートンやシカゴ、ハーバードでしか学べないと思っている方、決してそんなことはないということをコックラム教授、ならびにこの科目を履修したアンダーソンの学生が身をもって証明しますので是非迷わずアンダーソンへいらして下さい。

全10回のトピック:
1) Business as a Financial System/ Assessing Financial Health of the Firm
2) Managing Operating Funds/ Note on Bank Loans/ Trade V. Bank Debt/ Bank Financing
3) Assessing Business Performance/ Projection of Financial Requirements/ S.T. vs. L.T. Debt/ Cash Budgeting
4) Analysis of Financing Choices/ Debt, Financing Stock/ Issuance Debt, Convertible/ Capital Structure Theory
5) Lease vs. Debt/ Debt Policy/Financing/ First half summary
6) Trade Credit/Financing Expansion, Trade Payable/ Financing Expansion
7) Assessment of The Cost of Capital/ Cost of Capital Theory/ Long-Term Debt vs. Equity
8) Financing an Acquisition/ L.T. Financing Alternatives
9) Comprehensive Case/ Restructuring
10) Public Offering

ファイナンス系の教授:
 Anderson Schoolがファイナンスという分野に強い学校であることを皆様の中には意外に感じる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、アンダーソンはファイナンス分野においてウォートンやシカゴにも勝るとも劣らない優秀な教授陣と学習環境が整っているのです。米国ファイナンス界において権威あるAmerican Finance Associationの会長を勤めた経験を持つ教授を3人も有している大学は他にはありません。

Weston(ウエストン)教授
 経済学でなじみ深いウィリアムシャープのUCLA博士課程時代の指導教官であった同教授はM&Aをご専門とされ、80歳という高齢にもかかわらず、現在数多くの企業のM&Aアドバイザーとしてもご活躍されております。但し、同教授は既に退官され、現在は名誉教授となっています。

Schwartz(シュワルツ)教授
 デリバティブの中でもオプションプライシング等を専門とされる同教授は、日本の大手証券会社の顧問や欧米及び中南米の金融機関のアドバイザーとしても活躍されております。

Brennan(ブレナン)教授
 シュワルツ氏と同じくデリバティブで主にアセットバックセキュリティーを専門とされる同氏はエマージング市場等の証券取引所のアドバイザーとして活躍されています。

Roll教授(ロール)教授
 元ボーイングのエンジニアであり、80年代におけるウォールストリートでのロケットサイエンティストの代表と称された同氏は、ゴールドマンザックスのモーゲージバックセキュリティーの開発部門を指揮し、噂によると何十億という単位のお金を稼ぎ、またエール大学のロス教授と共にロール&ロスアセットマネージメントという投資顧問会社も設立されて、活躍されております。

 

Last updated: 04/01/2002 15:20