生物学基盤実験


実験のレポートは、試験であること、人に見せると言うことをもう少し意識しなさい(怒)! 
★レポート用紙は、ホッチキス等できちんと綴じよ。
★レポート用紙をけちって、枠外・欄外や隅っこにゴチャゴチャと記述しないこと。
★ワープロ作成の全く同じレポートが発見された(定期試験なら不正行為で無期停学)。
★「数値がゼロだから、図表を書かない」は、間違い。
★班内での図表のコピーが多いので、今後、図表は手書きに限定にする。
★良いことを書いているのに、図表がない・注意を守っていない・汚いレポートが多い。
★班ごとに出来不出来の差がひどい。
★レポート用紙1枚というのは、あり得ません。

「(2);植物細胞の生理・・・原型質分離・・・」 へ進む
「(4)植物の解剖」 へ進む
「(7);生体内の生化学反応・・・酵母の発酵・・・」 へ進む

(2);植物細胞の生理・・・原型質分離・・・

生物学基盤実験での心得
(1)無断欠席、無断帰宅は厳禁、ペナルテイーを課す。
(2)班実験が多いので、遅刻も厳禁。遅刻者は他のメンバーに大きな迷惑を掛けることになる。
(3)実習・実験は講義とは異なり、自分で考え自ら動かないと、成り立たない。但し、各人の器用不器用は関係ないので、やる気をもって積極的に取り組むこと。
(4)班実験の場合は、班内で分業にならざるを得ない。他の班員は何をしているのか、自分の仕事は全体のどの部分なのか、実験全体を常にイメージしながら進めないと、実験 が終わっても何を一日やっていたのか、さっぱり分からないことに陥る。
(5)成績は出欠状況、実習態度、レポートやスケッチなどを総合的に判断する。したがって、皆勤でも単位が取れないケースもありますので注意すること。
(6)私は実験の成功だけを目的とはしていない。むしろ失敗しても、そこから何かをつかん でくれた方が有り難い。したがって、積極的な失敗や、実験マニュアル以外の内容(但 し、要相談)をやっても構わない。
(7)実験開始前や実験中も、よく頭で考えて進めよ。考え方を学んで欲しいので、早く終わることだけ考えてやっていたら、それは時間の無駄である。
実験の目的
 植物はその生育している場所から移動できないため、環境変化に対して色んな適応を示す。例えば、植物細胞を細胞内液より高濃度つまり高張液の外液に浸してみると、細胞は周 囲の高張液と等張になろうとする作用で水が細胞から排出される。その結果、細胞は体積が縮小するので、原形質体が細胞壁から外れる。この現象を原形質分離といい、細胞内液が外液と等張になるまで進行し、このときの外液の濃度を原形質分離限界濃度(C)という。したがって、外液の濃度を色々と変えることで細胞内の浸透圧を、細胞を生かしたままで 知ることが出来る。そして、このCと下記の式から細胞の浸透圧を求めることが出来る。
  浸透圧=CRT (R:気体定数、T:絶対温度)
材料のユキノシタ(学名Saxifraga stolonifera)の写真。日蔭を好み、初夏には写真のような可憐な花を咲かせます。葉の表側は緑色ですが、裏側はアントシアニンを蓄積しているので赤色です。葉は薬用や天ぷらなど食用にもなります。
実験方法・材料
1)実験材料:ユキノシタ(Saxifraga stolonifera)の葉の裏側の表皮細胞 
(2)試薬の種類と濃度
┌────┬──────────────────────────┐ 
│分離溶液│          分 離 溶 液 の モ ル 濃 度(M)          │
├────┼────┬────┬───┬────┬───┬───┤ 
│Sucrose │ 0.1   │0.2    │0.3  │  0.4 │  0.5 │ 0.6 │
├────┼────┼────┼───┼────┼───┼───┤ 
│ KNO3  │0.05  │0.1    │0. 2  │0.3   │ 0.4  │ 0.5 │
├────┼────┼────┼───┼────┼───┼───┤ 
│ CaCl2  │0.05   │0.1   │0. 2  │0.3    │ 0.4 │ 0.5 │
└────┴────┴────┴───┴────┴───┴───┘ 
   
(3)実験器具(1班あたりの数量)
   小型シャーレ18個, スライドグラス5枚, カバーグラス5枚, ビーカー(100ml)1個, 円形ろ紙2枚, マジック1本, 解剖セット4個, カゴ1個

(4)ユキノシタの葉の処理方法
1)ユキノシタの葉の裏面にカミソリで縦横に5mm程度の碁盤目状に浅い切れ込みを入れ、ピンセットを用いて薄くはぎ、合計12枚の表皮小片を作成する。
2)それらの小片を約5分間蒸留水(DW)に浸し、濾紙上で水分を軽く取る。
3)次に、各分離液を小型シャーレに約半分ほどとり、表皮小片を一つのシャーレに対して3枚ずつ、分離液中によく沈むように注意して入れる。
4)約20分後にそれらの表皮小片を取り出し、浸してあった分離液で封じて検鏡して、原形質分離を起こしている赤色細胞をカウントする。※赤色は、アントシアニンという色素で、紅葉などにもみられる。
5)観察は顕微鏡の一視野中に見られる全ての赤色細胞について行う。
6)下記式から
    原形質分離を起こしている赤色細胞の数
─────────────────── =割合(%)を出す。
      全赤色細胞の数
グラフを作成し、観察した細胞の50%が原形質分離を起こしている時の分離液の濃度(原 形質分離限界濃度;C)をグラフより求める。限界濃度Cが決定したら、浸透圧=CRT (R:気体定数、T:絶対温度)より、浸透圧を求める。
留意点
(1)検鏡中にプレパラートが乾燥すると、封じてある分離液の濃度が高くなるので、十分に注意すること。
(2)表皮小片の端近くや、気孔周辺の小さな細胞群は観察しにくいので避けること。
(3)表皮細胞の限界濃度は、地方、季節、個体、葉によって多少の差があることがある。
(4)一見簡単な実験であるが、実験を進める上で色んな問題点が多々含まれている。各班で、どのような問題点を洗い出し、どのように対処したか・・・理学部の大学生らしさを諸君には期待しています。
考えてみよう!
(1)葉に個体差があると仮定した場合、どのようなシステムで実験を行えばよいか?
(2)逆に、葉に個体差が存在するのかを調べる実験は、どうすればよいか?
(3)なぜ最初に蒸留水につける必要があるのか?
(4)分離液に20分間つけた後の検鏡にかかる時間(約10分ほど)は、問題ないのか?
(5)なぜ、赤い細胞のみをカウントするように言われたのか?
(6)1枚の葉の中で、部域差はないのか?
(7)皆さんの実験結果も恐らくS字状曲線になります。なぜ、化学の滴定実験のように直線的にならないのか? 結局、この曲線は何を示しているのか?
(8)原形質分離という現象をテーマに発展実験をする場合、皆さんはどのような自由テーマを考えますか?レポートに書いて下さい。例;原形質分離と気圧の関係・・・
(9)予測値と異なる実験結果が出た場合、「おかしい」という発言を耳にするが、本当にその結果はおかしいのか? そう思うのは人間様都合ではないのか? 考えてみて下さい。
レポートの書き方
(a)A4判レポート用紙を用いて、横書き。
(b)一頁に実験名(タイトル)を大きく書く。その下に学年、氏名を忘れずに書く。グループ実験の場合は、班名も記入する。
(C) 内容は、以下のように番号と項目名をつけ、読み易い形に仕上げる。
1)実験の目的:簡潔で要を得た説明を書く。
2)材料と方法:材料の和名は勿論、学名も調べて明記する。また、実験方法は、具体的で誰が読んでも同じ実験が出来る(再現性)ような書き方が必要。
3)結果:実験の結果を、表や図(グラフなど)を用いて、正確にわかリ易く文章で述べる。また、表や図に必要な説明文や単位の記入もれがあってはならない。グラフを使用する場合は、適当な大きさに切って、レポート用紙に貼り付ける。
4)考察:上記の結果を、レポーターはどのように判断し、それから何が言えるかを書く。また、参考にした文献などから得られる見解との比較、そして、それをどのように考察するかなど、わかリ易<書く。レポートの中で最も重要な部分である。
5)参考文献:その文献名、著者名、頁、発行年等をもれなく書く。

実習風景

1年A組、50名の実習。各自1台づつの双眼顕微鏡で、原形質分離を観察。 表皮組織をはぎ取り、各分離液に約20分浸す。 ショ糖、硝酸カリウム、塩化カルシウムの3種類を分離液として用いる。


(4)植物解剖・・花と細胞の観察・・

スケッチの意義
  分析機器、観察機器がどんなに進化しても、最終的に判断を下すのはヒトの目である。特に 自然科学で重要な基礎的素養は、観察眼、観察力である。肉眼や顕微鏡で得た情報は、一度頭 で考えて判断することになる。考えないで観察していると、気泡だって細胞だと誤認する。今 日はその様なことを踏まえて、植物細胞や細胞内含有物を観察し、スケッチとして記録する。 物体の形態を最も正確に記録する方法は写真である。しかし、なぜ写真撮影ではなく、スケッチという手のかかる作業をわざわざ行うのか? その 回答を考えながら、実験を進めてもらいたいと思います。

スケッチ作成上の注意
  生物学実習におけるスケッチは、美術的な絵を描くことではない。絵が上手い下手でなく、 絵が正しいか嘘かである。材料をよく観察し、その構造がどのようになっているかを理解して 正確に記録することが目的である。したがって、記録を文章に書いていくような気持ちで詳細 な観察を行ない、正確に書くことが大切である。ただ見えた物体を、何も考えないでスケッチ すれば、それは出来の悪いピンボケ写真と同じである。

(1)標準となる形の材料、特徴がよくでている材料を選ぶ。
(2)茎と葉のつき方、隣接する細胞のつながり、細胞とその内容物など、相互の大きさや位 置関係には特に注意して観察する。スケッチは原寸大でなく、縮小または拡大して描くことが多いので、縮小率や拡大率は十分に考えよ。
(3)必要にして十分な範囲の記録をケント紙に記録すること。
(4)スケッチは形態を示す一定の濃さ、一定の太さの線で仕上げ、濃淡をつけてはならない。立体的に表わす必要がある時は点描する。
(5)スケッチ用紙は上質のケント紙を用いる。鉛筆は上質の2H〜3Hのものをよく削って用いること。また、間違った線や余分の線を何回も消して書き直すので、消しゴムも上質のものを準備する。


T.実験の目的
 本日は顕微鏡を使って、日常目にする植物の細胞を観察する。皆さん知ってのとおり、生物 は細胞から出来ており、各細胞はその機能(用途)に応じて色んな形、大きさ、色などに特化 (これを細胞分化という)している。そこで、今日の実習では、いくつかのタイプの細胞や細 胞内含有物、細胞内の物質の流れ(原形質流動という)について観察し、スケッチする。なお、
 細胞は立体であることを念頭に置き、顕微鏡の微動調 節ねじや絞りなどをうまく調節して、 正しいスケッチを仕上げること。・・・・以下工事中。


U.実験材料
(A)シラン Bletilla striata
(B)タマネギ、ユキノシタ、ムラサキツユクサ、ジャガイモ、サザンカ


V.実験方法
┌────┐
│花の解剖 │
└────┘  シラン( Bletilla striata )

春、高さ40〜50 cm の花茎を伸ばし、その先端に6枚の赤紫色の花をつける。本州の中部以西から南西諸島、台湾、中国西南部にまで分布し、湿地や崖下などに自生する多年生の単子葉植物である

ラン科の花の特徴
   ラン科の花は、6枚の花被片を持っている。外側には3枚の外花被片(OT)、内側には3枚  の内花被片(IT)が交互に付いている。また、花被片のうち、花に向かって下側にある花弁は  他の5枚と形が違っており、特に唇弁と言う。唇弁は、訪花昆虫の着地に都合のいい形をし  ていたり、目立つ模様があることが多い。シランでは、溝状の凸凹構造になっていて、左右  がまくれ上がっている。唇弁の真上には、雄しべと雌しべが合わさって1本の柱のようにな  った蕊柱(ずいちゅう)(C)がある。
ある植物の花の解剖図

観察のポイント
(1)シランの花の解剖をして、花弁・雄しべ。雌しべなどの構造物に分類して並べ、上図のような解剖図を作る。
(2)ラン科の花弁の特徴を読みながら各花弁に名称の記号を入れ、さらに他の構造物の名     称も入れること。



┌───────┐
│植物細胞の観察 │
└───────┘
観察のポイント
  下記の各材料について、水で封じて適当な倍率で観察し、スケッチしなさい。絞りを開放し すぎる人が多いので、絞り気味にしてコントラストにも配慮すること。目に入った像は、一  度頭を介して、スケッチせよ。

 A)タマネギの表皮細胞            B)ユキノシタの葉の気孔周辺
    ※細胞と細胞の境界は          ※孔辺細胞と副細胞のつながり
   ※実験に用いたタマネギは根茎葉?

 C)ムラサキツユクサの葉の針状結晶   D)ジャガイモのデンプン粒
    ※ 1個の針状結晶           ※楕円状の縞模様は何か?立体構造を考えよ 
  
 E)タマネギの原形質流動           F) サザンカの花粉  
(ムラサキツユクサ)
                


(7);生体内の生化学反応・・・酵母の発酵・・・
発酵管
はじめに
 酵母によるアルコール発酵は古くから知られている代謝系であり、ブドウ糖からアル コールとCO2が生成する現象として観察される。 C6H1206 → 2C2H50H+2CO2 (40kca1)
 この発酵現象は、酵母の生活活動の一環であり、多くの酵素によリ進行するが、酵母細 胞の内的外的な要因によって大きく影響される。例えば、発酵している時の温度や添加物(化合物)の種類や濃度などにより、発酵現象が促進または抑制されたリする。また、予め酵母細胞自体を熟処理すると、発酵能力に変化があらわれる(例えば、酵母は60℃、5分間で発酵能力を失う)。このように、発酵は様々な要因によって影響を受けることから、適正な実験計画のもとで実験を行うことによって、発酵現象のメカニズムの一端を知ることができる。
 本実験の目的は、与えられる限られた実験器具のもとで、グループ毎に自分達自身で実験テーマを考え、遂行可能な実験計画を自分達自身で立案し、実験を行うことにある。科学実験であることを念頭におき、出来るだけ有意義な、そしてユニークな計画を立てることが望まれる。実験する上で、特殊な技能は必要ではなく簡単ではあるが、当然のことながら、科学的態度での正確な実験操作は必要である。
実験方法の概要
基本実験の方法
(1)まず、発酵現象が実際に起こるのか、実験手順は大丈夫か、反応時間はどの程度かかるのかなどを知るために基本実験を行う。反応液の組成は、発酵管に5%ブドウ糖液12mlと酵母液6mlを混ぜて発酵を開始する。
(2)混ぜた時点を開始時間とし、時間と共に発生し発酵管の上部にたまるCO2量を測定する。
(3)室温条件下であれば、CO2発生量は約1時間程度で発酵管につけてある目盛リをスケールアウトし、測定終了となる。
(4)以上のような基本実験をコントロール(対照実験)として、種々の実験処理を行い(発展実験)、コントロールと対比することによリ、それら要因の影響を知ることができる。ただし、実験の目的によっては、反応液の組成は上記(1)の比率にこだわる必要はない。

発展実験のテーマ例と留意点
 基本実験終了後に、各班ごとに発展自由テーマを設定し、私と相談後に実験開始する。以下にテーマ例題と留意点を挙げておくので、これを参考に有意義なワクワクする自由実験をやって下さい。
★発酵現象と反応温度との関係;高温や低温処理が考えられるが、実験装置に工夫が必要。
★発酵は何%のエタノールで停止するか?;反応液にエタノールを色んな濃度で加えて、エタノールによるフィードバック調節を調べる。加えたエタノールは、希釈さ れる(終濃度)ことに留意せよ。
★発酵とpHの関係;反応液に塩酸や水酸化ナトリウムを色んな濃度で加えて、発酵への影響を調べる。発酵現象の担い手である酵素の本体はタンパク質なので、タンパク質と酸・アルカリの関係を考えよ。
実験材料など
各グループに支給する実験材料は以下のとおリである。
 ☆溶液=酵母液(500gを溶かして1L)、5%ブドウ糖液、
 ☆器具:発酵管(15)、試験管(10)、駒込ピペット(4)、ピーカ(1)、メスシリンダー(2)、三角フラスーコ(2)、試験管立て(1)、セロテープ(1)、マジック(1)、 グラフ用紙(2)
 ※必要ならば、上記以外にガスコンロ、ヤカン、温度計、ガラス管、バット、ゴム管、ヨード酢酸液(100mM)、Na2SO4液(1M)なども使用できる。その他どうしても必要なものがあれば、出来るだけ配慮する。
留意点
(1)実験においては、CO2発生量を測定する毎にグラフ用紙にそのつど記入し、得られたデータをつねに比較検討しながら実験をすすめる。すなわち、予期せぬ結果等が得られた場合、グループ全員が速やかに対処出来るようにしておく。
(2)限られた時間内での実験で・無駄な時間を費やすことの無いようにすることが肝要である。
(3)生物実験での主役は生き物である関係上、実験が長時間にわたると活動(活性)が変化してくる。前と後とでは、コントロールの値も変わる場合があリ、そのため種々の実験処理をしたものと平行して、そのつどコントロールを用意し測定する必要がある。
(4)発酵現象にはいくつかの酵素反応が関与しているが、酵素の本体はタンパク質なので、酵素反応、ひいては発酵現象そのものが温度(熱)やpHの影響を大きく受けることが考えられる。
(5)発酵現象はヨード酢酸やNa2SO4によって、大きな影響を受けることが知られている。
(6)酵母の発酵の結果、生産される物質はエタノールであるが、エタノールは生物にとっては有毒である。また、代謝系においては、最終産物の濃度が上がれば代謝系の初期反応を阻害するフィードバック阻害、逆に最終産物の濃度が下がればフィードバック促進という調節機構が存在することも知られている。
考えてみよう!
(1)長さや容量の計測は最小目盛りの1/10まで行う必要があるので、今回の場合では小数点第一位まで容量を量ることになる。しかしながら、発酵管の形状は最初の1mlまでは球状なので、その目盛り部分は曲線となり、1ml以上の直線部分に比べて測定値の信頼度は落ちる。ではどのような工夫をすれば、同じ精度で測定が可能となるだろうか?
(2)CO2の気泡が生じるまで数分間を要するが、この時間(ラグタイム)は何を意味しているのか? 気体の溶解度の観点から考えよ。また、ラグタイム無しの実験系を組む場合、どのような工夫が必要か?
(3)使用する簡易発酵管は液溜めがないので、発生したCO2によって反応液が管外へ押し出される。したがって反応液の全体量は時間とともに減ってくるが、ゴム管を使って装置に工夫をすることで、長時間の連続観察が可能である。その装置とは?
(4)発酵管や試験管の先端部分は球状なので1)のようにデメリットがあるが、メリットもある。ガラス壁に強度を与える以外のメリットとして、何があるだろうか?
(5)醸造酒である日本酒やワインのアルコール度数は、なぜ15%前後しかないのだろうか?
一班約5名、合計10班での班実験。基本実験終了後は、温度の影響・エタノール濃度の影響・糖の種類をかえたらどうなるか?などいくつかの小テーマの中から1個を班ごとに選択して、自由実験を行う。 試験管の口を曲げた簡易発酵管を、某先生自作のアクリル製発酵管ホルダーに固定し、同時に8本までの測定が可能という優れ物。費用僅か!実験器具類は創意工夫で自作しよう!
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生物学基盤実験;(4)植物の解剖
             ・・・果実の観察・・・

                                          1年C組 氏名(     )

スケッチすることの意義
 分析機器、観察機器がどんなに進化しても、最終的に判断を下すのはヒトの目である。特に自然科学を志す皆さんにとって重要な事は、観察眼、観察力である。肉眼や顕微鏡で得た情報は、一度頭で考えて判断しなければならない。考えないで観察していると、気泡だって細胞だと誤認する。今日はその様なことを踏まえて、私達が日常口にしている果物や野菜の果実について、その出来方(発生)や内部(横断面)を観察し、スケッチとして記録する。
 ところで、物体の形態を最も正確に記録する方法は、写真である。しかし、なぜ写真撮影ではなく、スケッチという手のかかる作業をわざわざ行うのか? 「写真だと、すぐ実習が終わってしまうから?」−「いえ、そうではありません」。その解答を考えながら、スケッチを進めてもらいたい。


スケッチ作成上の注意
 生物学実習におけるスケッチは、美術的な絵を描くことではない。絵が上手い下手でなく、絵が正しいか嘘かである。材料をよく観察し、その構造がどのようになっているかを理解して正確に記録することが目的である。
(a) 標準となる形の材料を選ぶ。
(b) 特徴がよくでている材料、部分、それが観察し易い方向を選んで記録をつくる。一つの スケッチで記録できない時には、欠けた部分を別にスケッチして補う。
(C) 茎と葉のつき方、隣接する細胞のつながり、細胞とその内容物など、相互の大きさや位 置関係には特に注意して観察する。
(d) 必要にして十分な範囲の記録を正確につくる。各部のスケッチが用紙全体にうまく配置されるように、また、可能なかぎり大きく描けるようにするために、描き出す前に用紙に割り振リをする。
(e) スケッチは原寸大でなく、縮小または拡大して描くことが多い。縮小率や拡大率は十分 に考えて決める。
(f) スケッチは形態を示す一定の濃さ、一定の太さの線で仕上げ、濃淡をつけてはならない。また、レポーターが責任を持てる明瞭な線だけで仕上げる。線が切れていたり、余分な線があったリしてはならない。特殊な場合以外は影はつけない。立体的に表わす必要がある時は点描する。
(g) 名称などの記入は正確に整然と行なう。


(1)花とは何か?
花は種子植物の生殖器官であり、雌しべ・雄しべ・花弁・がく片から構成されるが、いずれも葉が変形したもの、つまり元々は葉である。
     花の構造(図は省略)


(2)雌しべとは?
花の中で生殖に最も重要な器官が雌しべであり、花粉が付着する先端部を柱頭、基部の胚  珠を形成する部分を子房とよぶ。また、雌しべの原型となった葉を特に心皮(シンピ)と言  い、雌しべは心皮が1枚ないし数枚集まって出来たものである。そして、雌しべが元々は葉  だったという証拠は、雌しべや果実を切断して観察すれば容易に理解できる。
雌しべが出来る過程

(3)果実とは?
  私達は普通に「果実(fruit)」という単語を口にするが、果実とはいったい何だろうか? 果実を生物学的に定義すると、雌しべの子房が発達して肥大成長した器官ということにる。 したがって、植物における生殖器官を観察する場合、子房は小さくて難しいが、大きくなった果実は肉眼でも可能となる。そして、果実を切断して観察すると雌しべの由来、つまり雌しべ(果実)の起源となる葉(心皮)が何枚から構成されているかが分かるのである。また、果実は受精によって出来た種子と子房壁が肥大した果皮から構成され、真果とも言われる。これに対して、子房の他に花床(花托)や花軸などを含む果実を偽果とよび、真果と区別する場合もある。 そこで本日の実習では、皆さんが持参した果実について、構造や起源を考えながらスケッチをして、花について理解を深める。

(4) 果実の観察のポイント
  
a)エダマメ・・正しい和名は何でしょう?               (正解は巻末) 
 マメ科植物の雌しべは1枚の心皮(葉)が折り重なって出来た単純構造なのであり、葉のように緑色のため、雌しべが葉に由来することを容易に連想できる。マメ科の場合、果実はサヤ全体を指し、サヤの先端には雌しべの花柱が残っている。私達が食するマメ(つまり種子)は、サヤの筋に付いているが、この筋は種子へつながる維管束の痕跡であり、心皮(葉)が縫合した部分と言うことになる。これに対して、筋の反対側は派手言うところの主脈部分である。
  観察は、エダマメのサヤを縫合線側で切り開き、内部をスケッチする。エダマメの果実は1枚の葉由来の心皮が巻き込んで縫合し、縫合線に沿って種子が並んでいることが分かりましたか?
b)オクラ (Abelmoschus esculentus)
英語名もOkraであるアフリカ原産のオクラは、5枚の花弁やがく片を持ち、私達が食する果実は肥大成長した子房である。果実は外見からも5角形に近く、輪切りにすると内部は5室に分かれている。したがって、オクラの果実は、5心皮が融合して形成されたと言うことになる。では、私が自腹で購入した貴重なオクラの果実を約2cm長で輪切りにして、内部を観察して下さい。

C) トマト;普通のトマトは果実内部が4〜8室、プチトマトは2室に区切られている。
d) キウイフルーツ
e) ピーマン;外観からも、果実を輪切りにしても、子房室が3室に分かれていることが分         かる。したがって、ピーマンの果実は3心皮であり、種子は中央の隔壁に付         着している
f) ミカン;
g) モモ;果実の外観をみると縦に1本の筋が通っているが、これは縫合線であり、果実は1心皮であることが分かる。モモの果実は、果実の毛の付いた皮は外果皮、食する果肉部分は中果皮、芯には核とよばれる内果皮の3層の果皮から構成され、種子は内果皮である核の中に守られている。ウメ種子の場合も同様。
h) キュウリ
e) バナナ;果実を横に切断して、周囲から内側に向かって軽く押すと、3室に分かれることから、3心皮であることが分かる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
f)リンゴ    g) イチゴ
┌── コラム────────────┐
│ 「柿の種(タネ)」は、生物学では「柿の種子│
│(しゅし)」と言う。一方、生物学で言う「種」│
│は、「シュ」と発音し、生き物の種類を表す。│
└──────────────────┘ダイズ (Glycine max )