【判例ID】  28055122 【要旨】    1.北海道総合開発に含まれるスポーツ施設の建設予定場所等に関する情報の提供を市等に求めること、第三セクター方式で行われる同施設の建設事業主体として特定企業を市等に紹介すること、同施設建設工事の施工業者として特定企業を市等に紹介、あっ旋すること、及び、北海道東北開発公庫(平成11年法律73号による解散前のもの)に対し特定企業への融資を紹介、あっ旋することは、北海道開発庁長官の職務権限に属する。 【裁判年月日等】平成12年 3月22日/最高裁判所第二小法廷/決定/平成8年(あ)第466号 【事件名】   受託収賄被告事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  福田博 河合伸一 北川弘治 亀山継夫 【参照法令】  刑法197条 【出典名】   最高裁判所刑事判例集54巻3号119頁 裁判所時報1264号13頁 【判例ID】  28042444 【要旨】    1.デュアスロン競技において、後続の競技者の自転車が先行の競技者に追突し、先行の競技者が転倒負傷した事故で、後続の競技者には、先行の自転車との速度の違いを的確に把握し、かつ、その動向を注視して、追突を避けるための速度調節ないし進路の変更をする等の措置を講ずべき注意義務を怠った過失があるとされた事例。  2.デュアスロン競技において、後続の競技者の自転車が先行の競技者に追突し、先行の競技者が転倒負傷した事故で、この競技が、性別、年齢、技術の程度による区別なく同時に競技するもので、かつ、高速のバイク走行の競技を行う危険性を有するものであり、ルール上も危険走行は失格となることがあるとされていることから、本件バイク競技においてはその走行中の安全を図ることが重視されているものと解するのが相当であること、後続競技者の走行態様は、スポーツにおいて通常予測された許容される動作に当たるものとはいえず、かつ、その過失の程度は必ずしも軽微なルール違反ということはできないことからすれば、違法性は阻却されないとされた事例。  3.デュアスロン競技において、後続の競技者の自転車が先行の競技者に追突し、競技自転車が全損となった事案につき、被害者の被った損害額は当時の時価を超えるものではないと解されること、2年程度経過したフレームに新品の部品を補充するなどして整備してきたこと、こうした競技用自転車は中古車としての相場のないことを考慮し、その損害額は10万円が相当であると認められた事例。  4.デュアスロン競技において、後続の競技者の自転車が先行の競技者に追突し、先行の競技者が転倒負傷した事故で、負傷の程度が比較的軽微なこと、任意参加のスポーツ競技中に発生したものであることより、10万円の慰謝料が相当であるとされた事例。 【裁判年月日等】平成10年 6月22日/横浜地方裁判所/判決/平成9年(ワ)第2298号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  吉原耕平 【参照法令】  民法709条/710条 【出典名】   判例タイムズ1007号276頁 【判例ID】  28041191 【要旨】    1.西宮市個人情報保護条例に基づき、自己の小中学校在学時の指導要録及び高校入学選抜時の調査書(内申書)の開示を請求したところ、その大部分が非開示とされた場合において、指導要録のうち「各教科の学習記録」欄の「所見」、「備考」及び「行動および生活の記録」欄の「所見」、調査書のうち「各教科の学習の評定の記録」欄の「参考事項」、「その他の特記事項」、「特別活動等の記録」、「スポーツテスト」欄の「備考」、「出欠の記録」欄の「欠席等の主な理由」及び「行動および性格の記録」欄については記載者の主観的な評価が記載されており、これを開示することによって生徒と教師との間の信頼関係を損なうおそれがあるから、本件条例が非開示事由として定める「公正かつ適正な行政執行が妨げられるもの」に該当するとして当該部分の非開示処分が適法とされたが、指導要録のうち「標準検査の記録」欄、調査書のうち「身体の記録」欄、「スポーツテスト」欄の「記録・得点」、「出欠の記録」欄、「欠席日数」欄及び「各教科の学習の評定の記録」欄の数字については客観的、一義的に定まる数値が記載されており、これを開示しても前記のような弊害を生じるおそれはないから、前記の非開示事由に該当しないとして当該部分の非開示処分が取り消された事例。  2.中学校指導要録・内申書の記載のうち、学校側の主観的評価に係る情報(学習記録及び行動記録の各「所見」欄)が、非開示理由である行政の公正かつ適正な執行を妨げることが明らかなものに該当するとされた事例。  3.中学校指導要録の記載中、学校側の主観的評価に係る学習記録及び行動記録の各「所見」欄について、西宮市個人情報保護条例所定の非開示事由が肯定された事例。  4.公立高校入学者選抜資料として作成された調査書の記載中、学校側の主観的評価に係る学習評定の「参考事項」欄及び「特記事項」欄、特別活動記録欄、スポーツテスト備考欄、出欠記録の「欠席等の主な理由」欄、「行動及び性格の記録」欄について、西宮市個人情報保護条例所定の非開示事由が肯定された事例。 【裁判年月日等】平成10年 3月 4日/神戸地方裁判所/判決/平成7年(行ウ)第7号/平成7年(行ウ)第8号 【事件名】   指導要録非開示処分取消請求事件、調査書非開示処分取消請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  将積良子 徳田園恵 桃崎剛 【審級関係】  控訴審   平成11年11月25日/大阪高等裁判所/判決/平成10年(行コ)第18号 判例ID:28060308 【参照法令】  個人情報保護条例〔西宮市〕2条/12条 【出典名】   判例地方自治187号43頁 【判例ID】  28040065 【要旨】    1.スキーヤーが村営スキーコース途中の橋から転落・死亡した事故につき、橋に設置・管理上の瑕疵があるとして、スキーコース及び橋の設置・管理者である村の損害賠償責任が認められた事例。  2.スキー場で死亡した被害者の葬儀費用につき、被害者の死亡時の年齢、死亡場所が被害者の両親等の住所地と離れた場所であったこと等諸般の事情を考慮すると、事故と相当因果関係のある葬儀費用は150万円と認められる。  3.スキー事故により死亡した被害者とその両親との関係は良好であって、両親は被害者の将来を嘱望していたこと、事故に関し、数回にわたって加害者に対して書簡を送付したり、話合いを行うなどしたが、その対応はいずれも不十分なものであったこと、事故の原因や責任事由等諸般の事情を考えれば、両親が被った精神的損害に対する慰謝料は各200万円が相当である。  4.一 スポーツに一般的に内在する危険性については、本来、自己の判断、技術により予見し、これを回避することが原則である。 二 スキーコースを滑降するスキーヤーについても、自己の滑走しようとするゲレンデの状況等を把握し速度を調整するなどして事故の発生を未然に防止すべき注意義務を負うものというべきである。 三 スキーコースの橋から転落・死亡した被害者には、危険を知らせる看板を認識しなかった点については過失があったとはいえないものの、身体のバランスを崩し制御できない状態を引き起こす滑走をした点で過失は免れないが、被害者が死亡するという最悪の事態に至った最大の原因は、橋の部分に十分な安全性を有する防護ネットが設置されなかった点にあり、防護ネットは容易に設置できたことなどの事情を考慮すると、過失相殺として損害額の20パーセントを減額するのが相当である。 【裁判年月日等】平成10年 2月25日/東京地方裁判所/判決/平成8年(ワ)第21960号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  前田順司 小久保孝雄 日景聡 【審級関係】  控訴審   平成10年11月25日/東京高等裁判所/判決/平成10年(ネ)第1261号/平成10年(ネ)第3097号 判例ID:28040752 【参照法令】  国家賠償法2条/民法709条/711条/722条 【出典名】   判例時報1662号98頁 判例タイムズ984号135頁 判例地方自治184号23頁 【判例ID】  28040780 【要旨】    1.テニス教室で待機中の練習生に他の練習生の打ったボールが当たり負傷した事案で、本来練習とは技量の未熟を前提とし、その向上を図るために行われるのであり、練習生がルールを遵守してまじめに練習に取り組んだ結果、ミスをしたとしても直ちに過失とはいえず、被害者の待機位置を認識していたとしても、指導コーチに申し出て練習の中断等の措置をとってもらったり、他の練習生に待機場所を自ら指示すべき義務はないとされた事例。  2.テニス教室で待機中の練習生に他の練習生の打ったボールが当たり負傷した事案で、テニス教室の練習生は、自ら適切な待機場所を選んで、自己の安全を確保し、かつ、プレーの妨げにならないように配慮すべき義務があり、どの位置で待機するかはその練習生自身の判断と責任において決せられるべきものであって、練習指導しているコーチには、待機中の練習生の待機位置等、事細かな指示を与えるべき注意義務はないから、本件事故につき過失はないとされた事例。 【裁判年月日等】平成10年 2月25日/横浜地方裁判所/判決/平成8年(ワ)第2391号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  曳野久男 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例タイムズ992号147頁 【判例ID】  28042598 【要旨】    1.大学の学長が教授を告訴し名誉毀損文章を送付したことにつき、教授に対する慰謝料100万円の支払と謝罪広告の大学構内の掲示板への掲示が命じられた事例。  2.大学教授が学長の名誉を毀損する文章を送付したことにつき、慰謝料10万円の支払が命じられた事例。  3.一 告訴は、捜査機関に対して犯罪事実を申告し訴追を求める意思表示であって、犯罪の被害者その他一定の者に与えられた権利ではあるが、告訴によって被告訴人の名誉を毀損し人権を侵害するおそれがあることは当然に予想されるから、告訴をしようとする者は、事実関係を十分に調査し、証拠を検討して犯罪の嫌疑をかけることを相当とする客観的根拠を確認したうえで告訴すべき注意義務を負う。 二 大学学長が、名誉毀損及び強要未遂を理由に大学教授を告訴して、被告訴者たる大学教授の名誉を毀損した事案につき、学長は、右大学教授に犯罪の嫌疑をかけることを相当とする客観的根拠を確認すべき注意義務を怠って告訴したものであり、右行為は不法行為に該当するとされた事例。  4.一 大学学長が名誉毀損及び強要未遂を理由に大学教授を告訴し、不起訴処分となった後も右教授の犯罪事実は明白である等と記載された文書を大学関係者に送付した行為は、右教授の社会的評価を低下させるものである。 二 右教授がスポーツ推薦入試に関して学長が高校教諭に生徒の評定平均値の見直しを求めた等の記載のある文書を大学関係者に配布した行為は、専ら公益を図る目的に出たものに当たらないとはいえず、その内容も真実であるから、名誉毀損としての違法性を欠くというべきである。 三 右教授が、二の文書を配布する際に、学長の数々の不徳行為や不正行為を記載した怪文書を添付した行為は、学長の社会的評価を低下させ、その名誉を毀損する不法行為に当たるというべきである。  5.大学学長が名誉毀損及び強要未遂を理由に大学教授を告訴し、不起訴処分となった後も右教授の犯罪事実は明白である等と記載された文書を大学関係者に送付して右教授の名誉を毀損した事案につき、文書の内容は真実であると認められず、正当な権利行使に当たるとも認められないから、右行為の違法性は阻却されないとされた事例。  6.大学学長が、名誉毀損及び強要未遂を理由に大学教授を告訴して、被告訴者たる大学教授の名誉を毀損した事案につき、本件告訴の事実は、被告訴者である教授自身が教授会で告訴された旨の発言をしたことから、広く学内に知られるようになったものであるが、右発言は、学長が学長たる立場を離れて個人的に大学関係者を告訴することの適否を問題とするためであり、かかる事態は学長にも予測可能であったとして、告訴と告訴事実の流布による社会的評価の低下との間に相当因果関係が認められた事例。  7.一 大学学長が、名誉毀損及び強要未遂を理由に大学教授を告訴して、被告訴者たる大学教授の名誉を毀損した事案につき、学長は本件告訴に当たってほぼ何の調査もしていないに等しいこと、その他一切の事情を考慮して、90万円の慰謝料が認められた事例。 二 右学長が、告訴が不起訴処分となった後も教授の犯罪の嫌疑を強調した文書を大学関係者に送付して、教授の名誉を毀損した事案につき、文書が告訴の事実を既に知っていた大学関係者にのみ送付されたことを考慮して、10万円の慰謝料が認められた事例。 三 右教授が、スポーツ推薦入試において学長が高校教諭に対して生徒の評定平均値を見直すよう指示した旨の記載のある文書を大学関係者に配布する際に、学長の不徳行為、不正行為を記載した怪文書を添付して、学長の名誉を毀損した事案につき、添付文書の記載内容が多岐にわたること、配布先が大学関係者15名であること等を考慮して、10万円の慰謝料が認められた事例。  8.一 大学学長が、名誉毀損及び強要未遂を理由に大学教授を告訴し、不起訴処分となった後も犯罪の嫌疑を強調した文書を大学関係者に送付して大学教授の名誉を毀損した事案につき、告訴の事実は学内で広く知られていること、新聞・雑誌等で大学教授の氏名が報道されたわけではないこと等を考慮して、名誉回復措置として大学構内に謝罪広告を掲示することが命じられた事例。 二 右教授が、スポーツ推薦入試において学長が高校教諭に対して生徒の評定平均値を見直すよう指示した旨の記載のある文書を大学関係者に配布する際に、学長の不徳行為、不正行為を記載した怪文書を添付して、学長の名誉を毀損した事案につき、学長の謝罪広告請求が認められなかった事例。 【裁判年月日等】平成10年 2月20日/東京地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第12518号/平成8年(ワ)第353号 【事件名】   損害賠償等請求事件(本訴・反訴) 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  南敏文 小西義博 納谷麻里子 【参照法令】  民法709条/710条/723条 【出典名】   判例タイムズ1009号216頁 【判例ID】  28032557 【要旨】    1.スポーツクラブの会員契約の解除が、同クラブを経営する会社の経営努力にもかかわらず、経営成績の悪化、会員数の減少、施設の老朽化、競合スポーツクラブの開設等により、経営の継続が困難となったために行われた場合において、クラブ閉鎖を2か月以上前に会員に通知し、かつ、入会申込金、入会預託金の返還、1か月間の無料開放等相応の慰謝の措置を講じているなどとして、右解除はやむをえない事情によるものであり、会員契約上の債務不履行に当たらないとされた事例。 【裁判年月日等】平成10年 1月22日/東京地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第17999号/平成8年(ワ)第9001号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  斉藤啓昭 【参照法令】  民法415条 【出典名】   金融・商事判例1047号43頁 【判例評釈】  影浦直人・平成10年度主要民事判例解説(判例タイムズ臨時増刊1005)88〜89頁1999年9月 【判例ID】  28040113 【要旨】    1.一 スポーツ新聞に掲載されていたサラ金の広告を見た読者が、サラ金業者に金員を騙取された場合も、新聞社に広告内容の真実性の調査・確認義務を負わせるためには、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があり、かつ、読者らに不測の損害を及ぼすことを予見しえたことが必要である。 二 本件広告はサラ金でありながら、300万円以上の多額の融資につき、年6〜13パーセントという低金利で融資をするというものであり、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別事情はあったが、交渉過程で借入金額及び利率につき真実であるか否かが当然判明し、読者らが不測の損害を被ることは考えられないため、新聞社に広告の真実性について調査確認義務はなかったとして、読者の新聞社に対する損害賠償請求が否定された事例。  2.一 低金利での融資という広告により融資を申し込み、第三者振出しの手形割引により融資をするが、その第三者に支払う謝礼金が必要であるとして謝礼金名目で金員を騙取された被害者につき、第三者へ手数料10万円と少なくとも金利5万円を支払っているとしてその賠償が認められた事例。 二 右手形を割り引いてもらうために関西や東京等の金融業者を回ったことによる交通費として支出した6万円につき賠償が認められた事例。 三 右事件で支出した4万円の電話通信費につき、詐欺と相当因果関係のある損害とされた事例。 【裁判年月日等】平成 9年11月27日/大阪地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第11856号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  谷口幸博 大野正男 武田瑞佳 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例時報1654号67頁 【判例ID】  28030850 【要旨】    1.映画の著作物の要件に当たるためには、(1)映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されているか、(2)物に固定されているか、(3)内容的に著作物といえるかが問題となるが、本件においては、主催団体から影像の提供を受け、これにより日本でテレビ放映する権利の取得に係るものも、(1)の要件を満たし、(2)の点については、主催団体からビデオテープの提供を受け、これにより日本でテレビ放映する権利の取得に係るものは固定性の要件を満たし、また主催団体から影像の提供を受け、これにより日本でテレビ放映する権利の取得に係るものも、その影像が送信と同時に録画されている場合には、固定性の要件を満たすと認められ、(3)の知的創作性の要件については、本件のようなテレビ放映用のスポーツイベントの競技内容の影像は、競技そのものを漫然と撮影したものではなく、影像を効果的に表現するために、カメラワークの工夫、モンタージュやカット等の手法、フィルム編集等の何らかの知的活動が行われ、創作性がそこに加味されているということができるから、本件における国際影像は知的創作性の要件を満たすと認められ、したがって本件におけるスポーツ競技を収録したビデオテープ及び生放送のための影像は、いずれも「映画の著作物」に当たる。  2.原告会社が、スポーツ競技を収録したビデオテープ・フィルム又はテレビの生放送のための映像の取得のため、スポーツ競技の主催団体に支払った放映権料は、所得税法161条7号ロの著作権の使用料に当たるとして、源泉所得税の納税告知が適法とされた事例。 【裁判年月日等】平成 9年 9月25日/東京高等裁判所/判決/平成6年(行コ)第69号 【事件名】   源泉徴収所得税等決定取消請求控訴事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   上告 【裁判官名】  伊藤博 浜崎浩一 市川正巳 【審級関係】  第一審   平成 6年 3月30日/東京地方裁判所/判決/昭和62年(行ウ)第111号 判例ID:22007523 【参照法令】  所得税法161条/著作権法2条/10条 【出典名】   行政事件裁判例集48巻9号661頁 訟務月報45巻1号197頁 判例時報1631号118頁 判例タイムズ994号147頁 税務訴訟資料228号675頁 【判例評釈】  浅沼潤三郎・知財管理49巻8号1075〜1079頁1999年8月 【判例ID】  28031957 【要旨】    1.スキー場における接触事故で、上方から来る者は、下方にいる者の動静に注意して、接触や衝突のおそれのないことを確認して転回すべき注意義務を怠った過失があるとされた事例。  2.主婦として家事に従事していた者(57歳)がスキー場での接触事故により傷害を負った事故で、162日間の通院治療中ほぼ半日の時間は家事に従事できなかったこと、その間の治療も運動療法のリハビリテーションが主体であったこと等から、通院実日数について50パーセントの休業損害を認めるのが相当であるとし、賃金センサス女子労働者・企業規模計・学歴計・年齢別(55歳から59歳)の平均収入を基礎に計算された事例。  3.スキー場における接触事故で、下方滑降者にも周囲の動静に注意し転回する注意義務があるが、第一次的には上方滑降者に過失があるから、その過失割合は下方滑降者20パーセント、上方滑降者80パーセントと認めるのが相当であるとされた事例。  4.カナダへのスキーツアーに参加した日本人同士のスキー場での接触事故により傷害を負った者から、不法行為を理由として日本に帰国した後に生じた治療費や休業損害等の賠償については、原告の主張する損害はいずれも我が国において現実かつ具体的に生じた損害であること、法例11条1項の「原因事実発生地」には当該不法行為による損害の発生地も含まれるものと解すべきであること、原被告とも日本法によることを当然の前提とした主張を展開したこと、同条2項・3項の趣旨などから日本法が適用されると解するのが相当である。 【裁判年月日等】平成 9年 7月24日/千葉地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第1702号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  西島幸夫 【参照法令】  民法709条/722条 【出典名】   判例時報1639号86頁 【判例評釈】  森田博志・ジュリスト1155号281〜283頁1999年5月1・15日 【判例ID】  28030446 【要旨】    1.海上でサーフボードに座り波待ちしていた者とウインドサーフィンの遊技者とが衝突した事故で、ウインドサーフィンの急制動が困難であることの特質を考慮せず、特段の注意を払うこともなく漫然と進行させたウインドサーフィン遊技者には過失があるとされた事例。  2.一 サーフボード遊技者とウインドサーフィン遊技者が衝突し、サーフボード遊技者に腰部痛が生じた事案につき、同人は事故以前より比較的重い腰痛の既往症を有していたこと、腰部への直接的衝撃があったわけではないことからすれば事故と腰部痛との因果関係は認められないとされた事例。 二 右被害者の坐骨神経痛についても、事故後1年以上経過したころから痛みを訴えるようになったものであり、事故との因果関係は認められないとされた事例。 三 右被害者の頸部痛は、事故直後より自覚症状が存在し、事故以前にはなかったものであるから、事故との因果関係を認めることができるとされた事例。 四 右被害者の歯科補綴(5歯喪失)についても、事故以前から既存障害のある歯であり、事故時に異常が認められていないこと等より、事故との因果関係は認められないとされた事例。  3.一 事故直後開催予定のサーフィン大会に出場するため練習していたサーフボード遊技者とウインドサーフィン遊技者とが衝突した事故で、被害者(サーフボード遊技者)は事故当時は無職であったものの、就労能力も意思もあり、大会後は実父経営の会社に就職することになっていたこと、事故の翌年には結婚することになっていたこと、事故から1年2か月後には実父経営の会社に就職したこと等の事情から、事故後約3か月後には職を得る蓋然性が高かったとして、就職後に得た賃金を基準に休業損害が算定された事例。 二 右被害者につき、就職前にも長期にわたって全く通院していない時期があり、そのため治療が長期化することになったこと、傷害の内容・程度、治療経過、入通院状況等をあわせ考えれば、事故後就職までの全期間について100パーセントの休業損害を認めるのは適当でないとして、事故後8か月間のうち入院期間(11日)については100パーセント、その余の期間60パーセント、その後7か月の期間については30パーセントの限度で休業損害が認められた事例。  4.一 サーフボード遊技者とウインドサーフィン遊技者とが衝突し、サーフボード遊技者が話しにくくなる等の後遺障害を負った事故で、左頬の傷痕は、その程度、職業からして労働能力に影響を与えるものではなく、後遺障害慰謝料で考慮することにすることとし、その余の後遺障害の内容、程度、現在の症状、職業等から、症状固定日より3年間、その労働能力を5パーセント喪失したとして、逸失利益が算定された事例。 二 右被害者は事故当時無職であったものの、事故後は実父の経営する会社に就職し、月額30万円程度の収入を得ていることから、右収入を基礎に逸失利益が算定された事例。  5.波待ちしていたサーフボード遊技者とウインドサーフィン遊技者とが衝突した事故につき、被害者であるサーフボード側にもウインドサーフィンが前方から近づいているのにこれに気づかなかった前方不注意の過失があるとして、事故の態様、遊具の特性の差異、双方の過失内容を考慮して1割5分の過失相殺がされた事例。 【裁判年月日等】平成 9年 6月13日/大阪地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第498号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容 【上訴等】   確定 【裁判官名】  竹中邦夫 森富義明 村主幸子 【参照法令】  民法709条/722条 【出典名】   判例タイムズ959号193頁 【判例ID】  28030425 【要旨】    1.狩猟者が同行者を誤射により死亡させた事故で、被害者(当時42歳)は、有限会社の代表取締役であったこと、同会社は、被害者とその家族とで営まれ、他に従業員は1名にすぎないこと、税務上は、給与者として申告されていること(当時月額34万6000円)、一家の支柱であったこと等より、67歳までの25年間、少なくとも年間415万6000円の収入を得る蓋然性が高いとして、生活費控除を30パーセントとし、新ホフマン方式により中間利息を控除して逸失利益が算定された事例。  2.狩猟者が同行者を獲物と誤認して射殺した事故は、狩猟者において、同行者の位置を確認しなかったことによるが、射殺された同行者が鹿など動物と識別困難な濃紺系統の着衣、着帽をしていたことにも過失があり、その過失割合は10パーセントである。 【裁判年月日等】平成 9年 5月 7日/神戸地方裁判所/判決/平成8年(ワ)第825号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  永吉孝夫 【参照法令】  民法709条/722条 【出典名】   判例時報1639号81頁 判例タイムズ958号235頁 【判例ID】  28030080 【要旨】    1.一 スポーツクラブの、会員本人又は第三者に生じた人的・物的事故については、会社側に重過失のある場合を除き、会社は一切損害賠償の責を負わないものとするとの規定は、スポーツ施設を利用する者の自己責任に帰するものとして考えられていることについて事故が発生しても、会社に責任がないことを確認する趣旨のものと解するのが相当である。 二 スポーツ施設の設置又は保存の瑕疵により事故が発生した場合の、スポーツ施設を所有し、その施設内でスポーツクラブを運営・管理している者の損害賠償責任は、スポーツ施設を利用する者の自己責任に帰する領域のものではなく、もともと右クラブ運営・管理者の故意又は過失を責任原因とするものではないから、右規定の対象外であることが明らかである。  2.「工作物ノ設置又ハ保存ニ瑕疵アル」とは、当該工作物が当初から、又は維持管理の間に、通常あるいは本来有すべき安全性に関する性状又は設備を欠くことをいい、その存否の判断に当たっては、当該工作物の設置された場所的環境、用途、利用状況等の諸般の事情を考慮し、当該工作物の通常の利用方法に即して生ずる危険に対して安全性を備えているか否かという観点から、当該工作物の危険性だけでなく、その危険を防止する機能を具備しているか否かも併せて判断すべきである。  3.一 民法717条にいう「土地工作物」とは、土地に接着し、人工的作業によって成立したものであると解されており、スポーツ施設がこれに該当することはいうまでもない。 二 本件スポーツ施設の廊下は、素足で通行する利用者にとって滑りやすい箇所が生ずるという危険性を有していたというべきで、本件スポーツ施設には、設置又は保存の瑕疵があったものと解するのが相当である。  4.スポーツクラブの会員がクラブ内で足を滑らせて転倒負傷した事故につき、被害者にも、足下の状況に十分注意し、水を避けて歩行すべき義務があるのにこれを怠り、漫然と歩行した過失が認められるとして、4割の過失相殺がなされた事例。 【裁判年月日等】平成 9年 2月13日/東京地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第18345号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  高世三郎 【参照法令】  民法709条/717条/722条 【出典名】   判例時報1627号129頁 判例タイムズ953号208頁 【判例ID】  28020994 【著名事件名】 中央スポーツクラブ事件 【要旨】    1.一 子供向けのスポーツ教室を経営する会社の従業員に対する、権限が与えられていないにもかかわわらず無断で郵便貯金口座の届出印を変更し、その変更後の印鑑を使用して右口座から65万円を引き出した行為を理由とする懲戒解雇が、右65万円を自己のために費消したものではないとしても責任は重大であるとして適法とされた事例。 二 懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠づけることはできないとされた事例。  2.労働者が使用者に無断で行った届出印の変更、従業員の賃金の増額、アルバイト従業員の雇用、第三者との本件クラブ名称使用許可等の契約の締結、書類の持出し等が、経営者としての使用者の権利の侵害に当たるとして、慰謝料の支払が命じられた事例。 【裁判年月日等】平成 9年 2月12日/福岡地方裁判所/判決/平成6年(ワ)第1424号/平成8年(ワ)第3313号 【事件名】   賃金請求(本訴)事件(1424号)、損害賠償請求(反訴)事件(3313号) 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  草野芳郎 和田康則 松本有紀子 【参照法令】  労働基準法 【出典名】   労働経済判例速報1646号13頁 労働判例714号56頁 【判例ID】  28030779 【要旨】    1.転覆したジェットスキーにつかまって水中に浮かんでいた被害者(23歳・男)が、救助にきた大型ジェットスキーに衝突されて負傷した事故は、無免許で運転技術も未熟であった加害者が、大型ジェットスキーを運転するのが初めてであるにもかかわらず、他人に救助を頼まず、漫然とスピードを出して被害者に近づいた結果生じたものであるから、加害者には過失があるというべきである。  2.一 転覆したジェットスキーにつかまって水中に浮かんでいた被害者(23歳・男・会社員)が、救助にきた大型ジェットスキーに衝突されて左上肢滅創、左橈骨神経麻痺、左橈骨神経損傷、中指・環指伸筋腱癒着、左総指伸筋腱癒着の傷害を負い、左手関節の可動域制限の後遺障害を残した事案につき、同人は67歳に至るまで労働能力を27パーセント喪失したと認定された事例。 二 上記被害者に残存する左手薬指及び中指の運動障害、左腕の手術痕は、その内容・程度等に照らし、労働能力に影響はないから、逸失利益算定に当たっては考慮しないが、後遺障害慰謝料の算定において考慮するとされた事例。  3.一 転覆したジェットスキーにつかまって水中に浮かんでいた被害者(23歳・男・会社員)が、救助にきた大型ジェットスキーに衝突されて左上肢滅創、左橈骨神経麻痺、左橈骨神経損傷、中指・環指伸筋腱癒着、左総指伸筋腱癒着の傷害を負い、90日間入院し約6か月間通院した被害者につき、入通院慰謝料として150万円が認められた事例。 二 右被害者に左手関節の可動域制限の後遺障害が残った事案につき、逸失利益算定に当たって左手薬指及び中指の運動障害、左腕の手術痕が考慮されなかったこと等一切の事情を考慮して、500万円の後遺障害慰謝料が認められた事例。  4.息子であり被用者でもある者が、大型ジェットスキーの運転を誤って他人に損害を被らせたとしても、加害者は既に成人であって十分な判断能力を有しており、右事故は雇用主の業務とは何ら関連性がなかったと認められる以上、父親・雇用主には加害者を監督又は指揮する義務はなかったと認めるのが相当である。  5.転覆したジェットスキーにつかまって水中に浮かんでいた被害者(23歳・男)が、救助にきた大型ジェットスキーに衝突されて負傷した事故につき、加害者が無免許で運転技術も未熟であることを知りながらジェットスキーを運転するのを容認し、しかも大型ジェットスキーを運転するのが初めての加害者に救助を頼んだ被害者にも過失があるとして、5割の過失相殺がされた事例。 【裁判年月日等】平成 8年12月26日/大阪地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第8727号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【裁判官名】  松本信弘 石原寿記 宇井竜夫 【参照法令】  民法709条/710条/715条/722条 【出典名】   交通事故民事裁判例集29巻6号1892頁 【判例ID】  28011516 【要旨】    1.一 同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった2個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的とするところが相互に密接に関連付けられていて、社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者は、法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができる。 二同一当事者間でいわゆるリゾートマンションの区分所有権の売買契約と同時にスポーツクラブ会員権契約が締結された場合において、区分所有権の得喪と会員たる地位の得喪とが密接に関連付けられているなどの事実関係があるときは、屋内プールの完成の遅延という会員権契約の要素たる債務の履行遅滞を理由として、区分所有権の買主は、民法541条により右売買契約を解除することができる。 【裁判年月日等】平成 8年11月12日/最高裁判所第三小法廷/判決/平成8年(オ)第1056号 【事件名】   損害賠償等請求事件 【裁判結果】  破棄自判 【上訴等】   確定 【裁判官名】  可部恒雄 園部逸夫 大野正男 千種秀夫 尾崎行信 【審級関係】  第一審   平成 6年12月19日/大阪地方裁判所/判決/平成5年(ワ)第7099号 判例ID:28020204 控訴審   平成 8年 1月31日/大阪高等裁判所/判決/平成6年(ネ)第3570号 判例ID:28020203 【参照法令】  民法541条 【出典名】   判例時報1585号21頁 判例タイムズ925号171頁 金融法務事情1472号45頁 金融・商事判例1010号3頁 裁判所時報1183号5頁 最高裁判所民事判例集50巻10号2673頁 【判例評釈】  河上正二・判例セレクト'97(月刊法学教室210別冊付録)20頁1998年3月 河上正二・判例評論470(判例時報1628)号175〜180頁1998年4月1日 近藤宗晴・法曹時報49巻8号261〜280頁1997年8月 近藤崇晴・ジュリスト1107号130〜131頁1997年3月1日 金山直樹・月刊法学教室201号114〜115頁1997年6月 原啓一郎・平成9年度主要民事判例解説(判例タイムズ臨時増刊978)70〜71頁1998年9月 山本豊・判例タイムズ949号48〜52頁1997年11月1日 水辺芳郎、清水恵介・日本法学(日本大学)64巻2号223〜233頁1998年9月 大村敦志・平成8年度重要判例解説(ジュリスト臨時増刊1113)68〜70頁1997年6月 池田真朗・NBL617号64〜67頁1997年5月15日 渡辺達徳・法学新報(中央大学)104巻4・5号161〜183頁1998年2月 北村實・法律時報69巻12号103〜107頁1997年11月 本田純一・私法判例リマークス(16)<1998(上)〔平成9年度判例評論〕>(法律時報別冊)35〜38頁1998年2月 【判例ID】  28022337 【要旨】    1.一 ヨットの乗船者が、折からの台風による高波の直撃を受けたため転落・死亡した事故につき、船長の操縦方法ないしその判断上の過失があるとされた事例。 二 ヨットの乗船者がある程度ヨットの経験者とはいえ、事故状況下ではその立場は操縦者である船長と同等の立場とは認め難く、船長は免責されない。 三 ヨットの乗船者に既に相当のヨット経験があるから、船長には救命胴衣着用の不指示の過失はない。 四 同人のヨット経験からして、船長にはヨットの乗船者の危険な体勢に対する警告義務の懈怠はないとされた事例。 五 右船長には、事故の場所等その状況下において、救助方法に関して過失を問うことは合理的ではないとされた事例。  2.ヨットの乗船者が、折からの台風の影響による高波の影響を受けて、海中に転落し死亡した事故につき、被害者は、ヨットの甲板上にしゃがむか又は後部手すりを握る等して身体を支える行動をとり身構えていたが、第三波の到来とその後の復原運動の予測を超えた力学的作用のため本件転落事故に至ったものと推認するのが合理性が高いというべきであるから、被害者の体勢に不十分な点があったとしても、これをもって船長の操船等に関する過失と事故との間の因果関係を否定することはできないとされた事例。  3.ヨットの乗船者が、折からの台風の影響による高波の影響を受けて、海中に転落し死亡した事故につき、本件ヨット搭載の救命胴衣の機能には限界があり、被害者が救命胴衣を着用していたとしても死亡の結果を回避できたとはいえないこと、転落後の被害者の状態からすれば、テトラポットに向けて泳いだ避難方法も無理からぬものがあったことからすれば、いずれも船長の責任を排斥する事由とはならないとされた事例。  4.ヨットの乗船者が折からの台風による高波の直撃を受けたため転落・死亡した事故につき、ヨット遊びが、同人の部下と共に楽しむことを目的として企画された経緯がうかがわれること、転落事故発生の経緯、被害者の年齢(57歳・男)、家族構成、その他一切の事情を考慮して、2000万円の慰謝料が認められた事例。  5.ヨットの乗船者が折からの台風による高波の直撃を受けたため転落・死亡した事故につき、乗船者にも、転落防止の体勢をとり、転落した場合に備えて救命胴衣を着用するなどの対策を講じておくべき注意義務を怠った過失があり、4割の過失相殺を行うのが損害の公平の分担の理念に沿うとされた事例。 【裁判年月日等】平成 8年10月25日/東京地方裁判所/判決/平成7年(ワ)第105号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴(後和解) 【裁判官名】  藤村啓 高橋光雄 堀内靖子 【参照法令】  民法709条/710条/722条 【出典名】   判例タイムズ954号176頁 判例時報1616号84頁 【判例ID】  28030979 【要旨】    1.国立大学合気道部の練習中に発生した部員の死亡事故について、大学の安全配慮義務違反が認められないとされた事例。  2.一 学生団体の顧問教官は、施設利用の際の署名、押印が求められているが、学内に任免や職務内容に関する規定はなく、何ら専門性が求められていず、学生によって自主的に運営されている学生団体にあっては、名目的な地位にとどまるものであり、教育的立場に立った一般的指導といっても、学生団体に対する一般的助言や大学との調整的役割を期待されているにすぎないと認めるのが相当であるから、合気道部の練習内容の決定や実践について部員らを具体的に指揮監督すべき義務はない。 二 合気道部において学生団体としての本来の目的を逸脱した違法行為が恒常的に行われているなど特段の事情のない限り、顧問教官には、右署名・押印を拒否したり、大学当局にしかるべき連絡をしたりすべき義務はない。  3.国立大学の合気道部での練習中の事故死につき、主将は、対外的に部を代表する立場にあり、日常の練習については、計画や進行指示を担当する役割を負っているものと解されるが、事故が発生した合宿において無理な練習計画が立てられたり、主将として不適切な進行指示がなされたとは認められず、事故発生についての過失責任は認め難いとされた事例。  4.一 国立大学においては、契約によって生じる私立大学の学生の在学関係とは異なるものの、入学許可という行政処分により生じた在学関係でも、教育研究の目的のため学生の管理権を伴う以上、学生の施設利用ないし教育活動につき、信義則上、一般的な安全配慮義務を負う。 二 大学における課外活動は、学生の年齢、能力、社会的地位、活動目的からして、高校までとは異なり、学生の自主的運営に任せられており、一の安全配慮義務を負うことは当然であるが、課外活動目的を逸脱した違法行為を恒常的に行っているなど特段の事情のない限り、大学当局が、意図的に活動に介入するなどして具体的に危険防止のための安全配慮を尽くす義務までは負わない。 三 国立大学の合気道部での練習中の事故死につき、大学当局として、設立を承認した運動系学生団体に対し、広報誌による事故防止の呼びかけ、年1回の体育系サークルリーダーに対する危険防止の研修会の開催、重大事故発生時にはその発生状況、原因、再発防止対策の報告を求めてきたこと、本件事故時にも同様の報告書を提出させていることなどからして、一般的な安全配慮義務を一応尽くしていたと認めるのが相当であるとされた事例。  5.国立大学合気道部の練習中に部員が死亡した事故につき、同部主将、顧問教官、大学当局の責任が否定された事例。 【裁判年月日等】平成 8年 8月28日/松山地方裁判所/判決/平成5年(ワ)第156号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  佐藤武彦 熱田康明 鈴木博 【参照法令】  国家賠償法1条/民法709条/715条 【出典名】   判例タイムズ968号160頁 【判例ID】  28021895 【要旨】    1.長野県知事、長野市長らが発起人となって設立されたオリンピック招致委員会に対する交付金の支出、招致委員会の事務に従事した県職員への給与の支給、オリンピック招致のための知事及び職員の国内外への出張経費の支出、長野県庁を訪れたIOC委員の出迎えに動員された県職員に対する給与の支給が違法であるとして、県知事、出納長、教育長及び教育委員会委員長に損害賠償を求めた住民訴訟(4号請求)につき、訴えの一部が適法な監査請求を経ていないとして却下され、その余の請求については、違法な公金の支出ではないとして、棄却された事例。  2.オリンピック招致委員会に対する交付金の支出が違法であるとする住民監査請求が、最終の交付金支給日から1年1か月後になされた場合において、交付金は県議会の議決を経ていること、交付金の計上については予算説明書で明らかにされ、住民の閲覧に供されていること、原告の1人は支給日の1年以上前に公文書公開請求によって本件交付金の支出関係書類一切の公開を受けており、本件交付金の支給日ないし支給予定日を知ることが可能であったことから、通常の注意力をもってすれば、原告らは本件各交付金の支給日から1年以内に監査請求をすることが可能であったというべきであるとして、監査請求期間を徒過したことに正当な理由はないとされた事例。  3.オリンピックの招致活動は、スポーツの振興に必要な事務、教育・文化に関する事務として県の事務に含まれるから、招致事務を行うオリンピック招致委員会に県職員を派遣し、給与を支給しても違法ではなく、また、招致事務に関する経費の支出は県の事務を処理するために必要な経費の支弁に当たるから、地方自治法232条1項、同法2条13項及び地方財政法4条にも違反しない。  4.知事等が職務専念義務免除の手続をとらずに県職員を市に派遣してオリンピック招致委員会の事務に従事させていたことについて、当該派遣職員は県がなすべき責を有する職務に従事したものであるから、職務専念義務違反には当たらないとされた事例。  5.オリンピック招致活動のための県職員の出張旅費等の支出が、地方自治法232条1項、地方財政法4条等に違反しないとされた事例。  6.職務専念義務免除の手続をとらずにオリンピック招致委員会の職務に従事させた県職員に対する給与の支払が違法ではないとされた事例。 【裁判年月日等】平成 8年 7月26日/長野地方裁判所/判決/平成4年(行ウ)第5号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部却下、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  斎藤隆 杉山慎治 古田孝夫 【参照法令】  地方公務員法25条/地方自治法2条/232条/242条 【出典名】   判例地方自治165号55頁 【判例ID】  28010740 【要旨】    1.民事上の不法行為である名誉毀損においては、報道内容の真実性ないし報道内容を真実であると信じたことの相当性は、違法性ないし責任の阻却事由であり、その立証責任は、真実性ないし相当性の存在を主張する側にある。  2.一 民事上の不法行為である名誉毀損については、摘示された事実が真実であることが証明されなくても、その行為者において右事実を真実と信ずることについて相当の理由があるときには、右行為には故意又は過失がなく、不法行為は成立しないと解される。 二 衆議院議員の第一秘書がゼネコン疑惑に関連して東京地検の取調べを受けた、右第一秘書がゼネコンと金銭的に癒着関係にある等のスポーツ新聞の記事を執筆した政治評論家の取材は不十分であるといわざるを得ず、記事の内容を真実と信じたことについて相当の理由があるとはいえない。 三 報道機関が外部の者の執筆した文書を記事として掲載する場合、当該記事の真実性や正確性について調査し、その表現においてみだりに他人の名誉を侵害しないように配慮する義務があり、信頼性の高い執筆者が執筆した記事であるとの一事をもって、右義務を免れることはできないことは明らかであるところ、本件記事を掲載した新聞社は独自の裏付取材等の調査を全くしていないのであるから、右新聞社において、本件記事の掲載について責任が阻却されるということはできない。  3.衆議院議員の第一秘書がゼネコン疑惑に関連して東京地検の取調べを受けた、右第一秘書がゼネコンと金銭的に癒着関係にある等のスポーツ新聞の記事は、一般読者の通常の注意と読み方をもって見れば、右第一秘書がゼネコン疑惑という巨大な汚職事件にかかわっているか、その疑いが相当程度に確かであるとの印象を受けることが認められるから、右第一秘書の社会的評価を低下させるものであると認められる。  4.一 民事上の不法行為である名誉毀損については、その行為が公共の利害に係り専ら公益を図る目的に出た場合には、摘示された事実が真実であることが証明されたときには右行為は違法性がなく、不法行為は成立しないと解される。 二 衆議院議員の第一秘書がゼネコン疑惑に関連して東京地検の取調べを受けた、右第一秘書がゼネコンと金銭的に癒着関係にあることを報道したスポーツ新聞の記事は、いずれも公共の利害にかかわるものであることは明らかであり、政治評論家が本件記事を執筆したこと及び新聞社が本件記事を掲載したことは、同人らがジャーナリストとしての使命感から公益を図る目的に出たものであったことが認められる。 三 本件記事において真実性の証明の対象となるのは第一秘書が東京地検特捜部の取調べを受けたという事実であるが、本件全証拠を総合しても右事実を認めることはできない。 【裁判年月日等】平成 8年 1月31日/東京地方裁判所/判決/平成6年(ワ)第1162号 【事件名】   謝罪広告請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  満田忠彦 加藤美枝子 中村心 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例時報1565号125頁 判例タイムズ916号177頁 【判例ID】  28011284 【要旨】    1.スイミングスクールで受講生に背泳の指導をしていた際、誤って飛び出した受講生の手が右眼に当たり指導員が負傷したのは、事故当日2人で指導を行う予定になっていたのに、予定に反して1人に指導させることになったにもかかわらず、指導員の上司が、例外的にプールサイドで指導するよう指示するか、泳力の低い受講生を1コースだけに配置するよう指示すべきであったのに、15人を1人で指導させたためであり、右上司の措置には、上司としての適切さを欠く過失がある。  2.アルバイトとして勤務していた水泳の指導員が、眼科的に12級1号の後遺障害を負った事故で、就職後、時給500円から1000円に昇給し、さらに勤務を続ければ、時給1300円に昇給したであろうと認められるとして、実収入によることなく、年収180万円を基礎収入として算定し、労働能力喪失率14パーセントとし、ホフマン方式で計算した事例。  3.スイミングスクールで、受講生に背泳の指導を1人でしていたため、誤って飛び出した受講生の手が右眼に当たり指導員が傷害を負った事故で、傷害の程度(眼科的に12級1号の後遺障害)、症状固定までの実日数19日の通院期間、後遺障害の内容・程度、上司の対応が極めて不誠実であったこと、会社が2万円の見舞金を払っていることを考慮して、通院慰謝料が30万円、後遺障害慰謝料が220万円とされた事例。  4.スイミングスクールで、受講生に背泳の指導をしていた際、誤って飛び出した受講生の手が右眼に当たり指導員が負傷したのは、指導員の上司が適切な指示をしなかった過失によるが、同指導員も1400時間以上の指導経験を有するベテラン指導員であったこと、予定に反して1人で指導することになったとしてもより安全な距離を置くとか、能力の低い受講生を配置したコースでは、同時にではなく異時に注視して指導する等配慮すべきであったのにしなかったのであるから、その過失割合は5割である。  5.一 指導中受講生の手が右眼に当たり、障害を負ったスイミングスクール指導員の、上司及びその勤務先のスイミングスクールに対する損害賠償請求訴訟において、上司及び勤務先の不法行為責任が認められた事例。 二前記損害賠償請求訴訟につき、指導員の過失割合が5割であるとして、過失相殺がなされた事例。  6.指導中受講者の手が右眼に当たり障害を負ったスイミングスクール指導員に対する解雇が、休業期間後30日を越えてなされており、労働基準法19条に違反せず、不法行為とならないとされた事例。 【裁判年月日等】平成 8年 1月25日/大阪地方裁判所/判決/平成3年(ワ)第8023号/平成5年(ワ)第2195号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容 【上訴等】   確定 【裁判官名】  下方元子 水野有子 宇井竜夫 【参照法令】  民法709条/710条/722条/労働基準法19条 【出典名】   判例タイムズ916号183頁 【判例ID】  28011374 【要旨】    1.新聞への犯罪記事の掲載による名誉毀損の成否に関する判断の基準時は、当該犯罪記事の掲載時であり、記事内容の真実性の証明もその当時に存在した資料に基づいてなされることを要する。  2.地方新聞社が、通信社からの配信を受けて6回にわたり、いわゆるロス疑惑殴打事件、銃撃事件、大麻所持事件等に関して被疑者を犯人と印象づけるような報道を行い、逮捕によりある程度低下していた被疑者の社会的評価をさらに低下させた事案につき、新聞社には、右各記事の内容について真実と信じるにつき相当の理由があったとは認められないとされた事例。  3.一 人の名誉は、不変不動のものではなく、人の置かれた客観的状況によって変動するものであり、その置かれた客観的状況の下におけるそれ相応の名誉を有しているのであるから、その時々における名誉の保護が図られてしかるべきである。 二 刑事事件において逮捕された場合、被疑者の名誉はその限度で低下したといえるが、その時点では、刑事事件の犯人であるとの印象を社会に与えられることからは保護されていたというべきである。  4.一 刑事事件の被疑者について有罪判決があったとしても、控訴されている以上未だ未確定であり、現段階で右被疑者を犯人ということができないことはもちろん、新聞記事による名誉毀損の真実性を論ずるにあたっては、記事掲載当時の資料に基づいて判断されなければならず、有罪判決は起訴後5年余にわたる審理を経て蒐集された証拠に基づいてなされているのであるから、有罪判決の存在をもって、右記事掲載当時真実性の証明があったことにはならない。 二 地方新聞社が、通信社からの配信を受けて6回にわたり、いわゆるロス疑惑殴打事件、銃撃事件、大麻所持事件等に関して被疑者を犯人と印象づけるような報道を行ったことについては、名誉毀損による不法行為が成立するから、新聞社は右被疑者に対して損害賠償責任を負うものといわなければならない。  5.一 地方新聞社が、通信社からの配信を受けていわゆるロス疑惑殴打事件、銃撃事件、大麻所持事件等に関して被疑者を犯人と印象づけるような報道を行った事案につき、各記事の内容・態様、掲載紙の地方紙ないしスポーツ紙としての性格、掲載当時既に逮捕されある程度社会的評価が低下していたこと、その後の被疑者の社会的評価の変動に関する経緯その他諸般の事情を考慮して、名誉毀損に当たる記事一件につき30万円、総額150万円の慰謝料が認められた事例。 二 右事案につき、本件被疑者は配信元に対する物件訴訟で相当額の損害賠償が認められているとしても、配信元と配信先の報道機関は別個の法人格を有しており、配信元と配信先の不法行為は別個のものである以上、前者が後者を包摂する関係にはないとして、配信元が責任を負う以上損害賠償義務を負わないとの新聞社の主張が斥けられた事例。  6.地方新聞社が、通信社からの配信を受けていわゆるロス疑惑殴打事件、銃撃事件、大麻所持事件等に関して被疑者を犯人と印象づけるような報道を行った事案につき、記事掲載後5年余経過してから名誉毀損を理由とする損害賠償請求訴訟を提起したとしても、消滅時効は完成していないとした第一審の判断が相当とされた事例。 【裁判年月日等】平成 7年11月27日/東京高等裁判所/判決/平成7年(ネ)第1928号/平成7年(ネ)第2146号 【事件名】   損害賠償請求控訴事件 【裁判結果】  変更 【上訴等】   上告 【裁判官名】  小野寺規夫 矢崎正彦 飯村敏明 【参照法令】  民法709条/710条/724条/刑法230条の2 【出典名】   判例タイムズ918号166頁 【判例ID】  28010155 【要旨】    1.ゴルフ場の通路を歩行中のゴルファーに、遠隔操作のゴルフカートが追突し、被害者が転倒して左胸を地面に打ちつけたが、当日は胸に痛みを覚えることもなくプレーを続け、翌日病院で左第7肋骨骨打等の診断を受けた事案につき、カートの追突と受傷したこととの間の因果関係が認められた事例。  2.事故により欠勤したため会社の業績が低下し、その結果、当該年度のボーナスの支給を受けることができなかったことが客観的な根拠に欠けること、また、前年度にボーナスの支給を受けた実績がなく本件事故がなければその支給を受けることができたとの事情が認められないとして、ボーナスの減収による損害が認められなかった事例。  3.ゴルフ場の通路を歩行中のゴルファーが、遠隔操作のゴルフカートに追突され受傷した事故で、昼間は会社の専務取締役(役員報酬100万円)、夜はクラブのママとして稼働していた者の休業損害について、事故による就労不能期間を事故の日から1か月と認め、会社の設立時期、経営の実態から、同会社から支給されていた役員報酬はその全額が労働の対価であるとして、休業損害が100万円とされた事例。  4.ゴルフ場の通路を歩行中のゴルファーが、遠隔操作のゴルフカートに追突され受傷した事故で、負傷の程度、治療の経過その他諸般の事情を考慮して40万円の慰謝料が相当とされた事例。  5.カートの通行路とゴルファーの通行路とが合流する構造になっているゴルフ場の通路を歩行中のゴルファーに、遠隔操作のゴルフカートを追突させ受傷させた事故で、ゴルファーに対し、合流地点付近ではカートとの衝突の危険のあることの警告を与える標示のないこと、カートの発進場所からは合流地点付近のゴルファーの動静を見通すことができない構造になっていることは、ゴルフ場の設備の欠陥といえ、民法717条1項にいう土地の工作物につき設置又は保存に瑕疵がある場合に当たる。  6.ゴルフ場の通路を歩行中のゴルファーが、遠隔操作のゴルフカートに追突され受傷した事故で、ゴルファーには、背部からカートが来て追突することがあることの可能性を予期すべき注意義務はなく、現場付近の通路面にタイヤ痕があるからといって、そのことの故にカートとの衝突の危険性に思い至らなかったことについて過失があるとはいえず、たとえ、同行のゴルファーから警告がなされ、被害者が同行するプレーヤーとの会話に夢中になっていたため右警告に気づかなかったとしても、その時と場所を考慮すれば、過失があるとはいえない。 【裁判年月日等】平成 7年10月25日/名古屋地方裁判所/判決/平成6年(ワ)第4277号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  大谷禎男 【参照法令】  民法709条/710条/717条/722条 【出典名】   判例時報1555号98頁 判例タイムズ902号130頁 【判例ID】  28011085 【要旨】    1.有限会社が主催するスキューバ・ダイビングツアーの参加者が引率者である代表取締役の過失により死亡した場合につき、会社は有限会社法32条、商法78条2項、民法44条1項による損害賠償責任を負うと認められた事例。  2.Y1社とY2社とが共催するスキューバ・ダイビングツアーの参加者Aが海洋に転落して溺死した事故にかかわり、Aの遺族Xらが損害賠償を求めた事案につき、Y1社の代表取締役でありかつY2社の被用者としての立場でツアーの参加者らの引率・指導をしていたY3には、事故当時の踊り場が極めて危険な状況にあることを知っておりAを踊り場に行かせれば外洋に落ちる危険があることを十分認識できたはずであるのに付近の状況を知らないAにそこで用を足すよう勧めたこと、引率するについて適切な救命用具を携行せず、緊急時の連絡方法について何らの準備もしていなかったことの点で過失があるから、Y1社は有限会社法32条、商法78条2項、民法44条1項により、Y2社は民法715条により、Y3は民法709条により、右事故による損害につき賠償すべき責任がある。  3.一 スキューバ・ダイビングツアーの参加者が岩壁の踊り場で用を足していて海洋に転落死した事故で、引率指導をしていた者が、その場所が危険な場所であることを十分知りながら付近の状況を知らない者に指示して用を足すよう勧めたことには過失がある。 二 参加者らを引率する者が浮輪、ロープ等の適切な救命用具を携行せず、緊急時の連絡方法について何らの準備もしていなかった点に過失が認められる。  4.スキューバ・ダイビングツアーの参加者が海洋に転落死した事故で、引率指導をしていた者が、用を足す場所として危険な岩壁の踊り場を勧めたこと及び、救助が遅れたことと死亡との間には相当因果関係があるとされた事例。  5.葬儀費用として、100万円以上支出したが、そのうち100万円が死亡事故と相当因果関係にある損害であるとし、被害者の過失割合4割を控除した60万円が相当であるとされた事例。  6.短期大学卒業による女子社員(死亡時22歳)の死亡による逸失利益の算定について、勤務会社の同資格の平均年収を23歳から44歳まで、以後60歳まで平均して44歳の場合と同額の給与が見込まれるとし、さらに、61歳から64歳までの年収は、平成2年度賃金センサスの全国性別、年齢階級別、年次別一般女子労働者の産業計、企業規模計、学歴計の平均給与により、65歳以上とを分け、生活費4割を控除し、45年間の年5パーセントの割合によるライプニッツ方式で計算された事例。  7.スキューバ・ダイビングツアーの参加者が海洋に転落死した事故で、事故の内容と、引率者の過失、本人の過失(4割)を考慮して、本人に対して1000万円、遺族に対して各自1000万円の慰謝料が認容された事例。  8.スキューバ・ダイビングツアーの参加者が海洋に転落死した事故が、引率指導をしていた者の過失によるとされた事案で、ツアーがA・B2つの団体で共催され、引率者が共催者であるAの団体の代表取締役で、かつ、Bの被用者の立場としてツアー参加者らの引率、指導をしていたものであるから、Bは民法715条により死亡事故の賠償責任を負うとされた事例。  9.スキューバ・ダイビングツアーの参加者が海洋に転落死した事故で、被害者自身にも安全性の判断に不十分な点があったが、引率者の過失が加わった結果生じたものであることを考慮して、その過失割合を4割と見るのが相当であるとされた事例。 【裁判年月日等】平成 7年 8月31日/東京高等裁判所/判決/平成5年(ネ)第4633号 【事件名】   損害賠償請求控訴事件 【裁判結果】  一部変更 【上訴等】   確定 【裁判官名】  菊池信男 村田長生 伊藤剛 【審級関係】  第一審   平成 5年 2月 1日/東京地方裁判所/判決/平成2年(ワ)第16429号 判例ID:28011086 【参照法令】  民法44条/709条/710条/711条/715条/722条/有限会社法32条 【出典名】   判例時報1571号74頁 【判例ID】  27828839 【要旨】    1.一 机に安全性上の欠陥があるというためには、その机を通常予想される使用方法に従って使用したにもかかわらず、なお横転等の危険性がある場合に限られるというべきである。 二 電気製品の販売店内に設置されていた事務用机は、一般的な事務机等と比較して、比較的横転しやすい性質を有する机であるが、日本工業規格で規定された最も厳しい安定試験にも適合していることを考え合わせると、机が横転して顧客の幼児が下敷きになり死亡した事故は、幼児が机にぶら下がるなどという、机の本来の使用方法とは明らかに異なった行動をとったために発生したと考えられるから、机の安全性上の欠陥があったとすることはできない。 三 机の構造等を考慮しても、机の使用方法等についての警告、指示・説明義務違反が机の製造業者にあったとは認めがたい。 【裁判年月日等】平成 7年 7月25日/福島地方裁判所郡山支部/判決/平成5年(ワ)第473号/平成6年(ワ)第278号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  請求棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  永谷典雄 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例タイムズ893号205頁 判例時報1552号103頁 【判例ID】  28010266 【要旨】    1.県立高校ラグビー部が他校との練習試合中に、プレイヤーにより構成されていたモールが崩れ、モールの中にいた3年生の生徒が重傷を負った事故につき、レフェリーの笛は適切な時点で吹かれたものと認められるから、レフェリーには安全配慮義務違反も過失もないとされた事例。  2.県は、県立高校を設置しこれに生徒を入学せしめることにより、教育法規に従い生徒に対し施設等を供与し、教諭をして所定の教育を施す義務を負い、生徒は、県に対し授業料を支払う義務を負い、県立高校において教育を受けるという関係にあるのであるから、生徒と県は、特別な社会的接触の関係に入ったというべきであり、県は、右関係に基づき、信義則上、教育の場において生徒に対し、その生命・身体・健康についての安全配慮義務を負う。  3.県立高校ラグビー部が他校との練習試合中に、プレイヤーにより構成されていたモールが崩れ、モールの中にいた3年生の生徒が重傷を負った事故につき、ラグビー部監督には、試合を取り止める義務、レフェリーに安全に十分注意するよう申し入れる義務、体調が十分でない生徒を試合に参加させない義務、生徒を試合に参加させる際に保護者の承認を受ける義務のいずれの義務違反もなかったとされた事例。  4.県立高校ラグビー部の練習試合中の事故について、県に安全配慮義務違反がないとされた事例。  5.県立高校ラグビー部3年生の練習試合中の頸椎脱臼骨折、頸椎損傷、脳梗塞事故につき、監督教員に安全配慮義務違反がないとされた事例。 【裁判年月日等】平成 7年 6月30日/鹿児島地方裁判所/判決/平成4年(ワ)第642号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  牧弘二 檜皮高弘 中平健 【参照法令】  国家賠償法4条/民法415条/709条/715条 【出典名】   判例地方自治146号46頁 【判例ID】  28011046 【要旨】    1.道路外から道路に進入する際に、いきなり車両を道路内に進入させ、内側車線を直進中の被害車両(普通自動車)の直前まで進入させた加害車両(原付自転車)の運転者には安全確認義務に違反する過失があり、民法709条の責任があるとされた事例。  2.事故により車両(フェアレディZ)を損傷された場合の評価損として、修理を行った会社の担当者の意見に従って、21万円が認められた事例。  3.事故により車両(フェアレディZ)を損傷された場合の代車使用料として1日当たり2万円が認められた事例。  4.道路外からいきなり車両を道路内に進入させ、内側車線を直進中の被害車両と衝突させた事故について、被害車両運転者には過失がないとして過失相殺が否定された事例。 【裁判年月日等】平成 7年 4月 6日/横浜地方裁判所/判決/平成6年(ワ)第1825号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【裁判官名】  根本真 【参照法令】  民法709条/722条 【出典名】   交通事故民事裁判例集28巻2号629頁 【判例ID】  28021620 【要旨】    1.一 いわゆるロス疑惑事件等で起訴された被疑者が自宅に大麻草を所持していた等の配信記事、この配信記事に基づいてあるいは独自取材部分を加えて右事実を掲載したスポーツ新聞の記事は、右被疑者の社会的評価を低下させその名誉を毀損するものであるといえる。 二 本件配信記事の捜査関係部分は警察の公式発表によるものではなく、記者がいかなる捜査上の立場の者に対してどのような取材をして得た情報によるものかも明らかでないから、本件記事を配信した通信社が大麻所持の事実を真実であると信じたことにつき相当の理由があるとはいえない。 三 本件通信社は多数の報道機関の加盟するわが国の代表的な通信社であり、その配信記事の信頼性は高く評価され、その内容の正確性については通信社が専ら責任を負い、加盟報道機関は裏付取材を要しないものとする前提の下に報道態勢が組み立てられており、このような報道体制には相当の合理性が認められる以上、本件配信記事に基づいて記事を掲載したスポーツ新聞社らが本件配信記事を真実であると信じたことには相当の理由があるというべきである。 四 スポーツ新聞社のうち独自取材に基づく記事をも併せて報道した新聞社については、取材した記者の所属、氏名およびその取材方法は何ら明らかでないから、その独自取材部分についてこれを真実と信じるにつき相当の理由があったものとは認められない。  2.いわゆるロス疑惑事件等で起訴された被疑者が自宅に大麻草を所持していた等の配信記事、この配信記事に基づいてあるいは独自取材部分を加えて右事実を掲載したスポーツ新聞の記事は、右被疑者の社会的評価を低下させその名誉を毀損するものであるといえる。  3.一 いわゆるロス疑惑事件等で起訴された被疑者が自宅に大麻草を所持していた等の配信記事、この配信記事に基づいてあるいは独自取材部分を加えて右事実を掲載したスポーツ新聞の記事は、右被疑者の社会的評価を低下させその名誉を毀損するものであるといえる。 二 本件配信記事及びスポーツ新聞の記事は、大麻取締法違反という本件記事掲載当時公訴の提起されていない犯罪事実に関する記事であるから、その内容は、公共の利害に関するものであり、その配信及び掲載は、専ら公益を図る目的に出たものと認められる。 三 本件配信記事は、一定の情報源からもたらされた情報を伝達するという形式をとってはいるが、大麻所持の事実があるとの印象を読者に与える点において右被疑者の名誉を毀損するものであるから、これについての真実性の証明は、本件情報源がその情報を発したか否かではなく、大麻所持の事実そのものを対象としてなされるべきである。 四 本件配信記事は、右被疑者本人に取材しておらず、警視庁特捜本部の公式発表に基づくものでもないうえ、取材源の実名も明らかでなく、その供述にある冷蔵庫内の物件が大麻であったか否かについても疑問が残るから、大麻所持の事実が証明されたものということはできない。  4.通信社が、いわゆるロス疑惑事件等で起訴された被疑者が自宅に大麻草を所持していた等の記事を配信し、スポーツ新聞社が右配信記事に独自に取材した部分を加えた記事を報道して右被疑者の名誉を毀損した事案につき、大麻とのかかわり合いは被疑者自身が認めていること、本件記事掲載当時既に大麻とのかかわり合いが報道されて被疑者の社会的評価が相当程度低下していたことなどを考慮して、本件記事を配信した通信社には30万円、スポーツ新聞社には10万円の慰謝料の支払が命じられた事例。  5.いわゆるロス疑惑事件等で起訴された被疑者が自宅に大麻草を所持していた等、同人の名誉を毀損する内容の記事を配信した通信社と、右配信記事に独自に取材した記事を併せてスポーツ新聞に掲載した新聞社は、共同不法行為の関係に立つものというべきである。 【裁判年月日等】平成 7年 3月29日/東京高等裁判所/判決/平成6年(ネ)第2028号/平成6年(ネ)第2049号/平成6年(ネ)第2179号/平成6年(ネ)第2188号/平成6年(ネ)第2195号 【事件名】   損害賠償請求控訴事件 【裁判結果】  一部取消自判、一部棄却 【上訴等】   上告 【裁判官名】  加茂紀久男 鬼頭季郎 柴田寛之 【審級関係】  第一審   平成 6年 4月27日/東京地方裁判所/判決/平成4年(ワ)第19622号/平成4年(ワ)第20401号/平成4年(ワ)第20878号/平成5年(ワ)第11977号/平成5年(ワ)第12014号等 判例ID:27827425 【参照法令】  民法709条/710条/719条 【出典名】   判例時報1608号107頁 東京高等裁判所(民事)判決時報46巻1〜12号11頁 【判例評釈】  中村哲也・判例評論468(判例時報1621)号205〜209頁1998年2月1日 【判例ID】  28010293 【要旨】    1.高校生が体育の持久走後に急性心不全で死亡したことにつき、当該生徒のそれまでの健康状態から見て、事故発生を予見しうる状況にあったといえない限り、学校が精密検査の実施や運動制限の指導をとらなかったことには安全配慮義務違反はない。  2.高校の体育授業の持久走後に急性心不全で生徒が死亡した事故につき、学校が精密検査実施・運動制限等の措置を取らなかったことに義務違反がないとされた事例。  3.一 高校生が体育の持久走後に急性心不全で死亡したことにつき、事前の心電図検査によれば、右生徒には心内膜床欠損症を疑わせる第一度房室ブロックが出ており、心電図判定を委託されていた医師にはこれを健康診断結果報告書に記載しなかった過失があるとされた事例。 二 心電図判定を委託されていた医師には、一の所見を報告書に正確に記載していたとしても、他の検査結果の総合判定において心内膜床欠損症ではなかったと認められるから、結果的には医師が当時精密検査を指示すべき義務があったことまでを認めることはできない。 三 学校から生徒の心電図検査を委託されていた会社は、一般に、各生徒の心電図等を正しく判読したうえで、一定の異常所見が認められ、精密検査を要すると思料される場合には、その旨を報告すべき注意義務があり、心電図判定を委託されていた医師がこれを報告書に適切な記載をしなかったのであるから、会社もまた健康診断結果報告書に適切な所見を記載すべき一般的注意義務に違反したといえる。 四 一般に、児童、生徒の生命、身体に危険を及ぼす可能性のある授業を実施するに当たっては、教師及びその使用者である学校には、対象となる児童、生徒の身体状況や能力を把握し、事前に十分な説明や指示、注意をしたうえで、それぞれの児童、生徒の能力に応じ安全を考慮した指導をしなければならないものということができるが、生徒が、それまで健康でスポーツ好きであったこと、各種健康診断で異常が発見されなかったこと、今回の持久走は自主的にペースを設定できるものであったことなどから、本件事故を予見しうる状況ではなく、学園には、精密検査実施、運動制限等の措置をとるべき注意義務はないとされた事例。  4.高校生が体育の持久走後に急性心不全で死亡したことにつき、心電図判定を委託されていた医師にはこれを健康診断結果報告書に記載しなかった過失があり、それはそのまま学校から生徒の心電図検査を委託されていた会社の義務違反となるが、当時の被害生徒の状況から見て、精密検査をしても運動制限をすべき程の異常が発見されたかどうか明らかでなく、さらに心内膜床欠損症は突然死を起こす病気とは考えられていないので、会社の義務違反と生徒の死亡との間には因果関係はないとされた事例。  5.高校生が体育の持久走後に急性心不全で死亡したことにつき、学園には、精密検査実施、運動制限等の措置をとるべき注意義務はないとされ、さらに、安全保護義務違反もないとされた事例。 【裁判年月日等】平成 7年 3月29日/東京地方裁判所/判決/平成3年(ワ)第18160号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  請求棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  河野信夫 舘野比佐志 田中一彦 【参照法令】  民法415条/709条 【出典名】   判例タイムズ901号216頁 【判例ID】  27827242 【要旨】    1.一 スキー場において上方から滑降する者は、前方を注視し、下方を滑降している者の動静に注意して、その者との接触ないし衝突を回避することができるように速度及び進路を選択して滑走すべき注意義務を負う。 二本件事故現場が急斜面ではなく下方を見通すことができたこと、上方滑降者は、下方滑降者との接触を避けるための措置をとり得る時間的余裕をもって、下方を滑降している者を発見することができたことからすれば、上方滑降者には右注意義務を怠った過失がある。 【裁判年月日等】平成 7年 3月10日/最高裁判所第二小法廷/判決/平成6年(オ)第244号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  破棄差戻 【上訴等】   差戻し 【裁判官名】  根岸重治 中島敏次郎 大西勝也 河合伸一 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例時報1526号99頁 判例タイムズ876号142頁 【判例評釈】  丸山健・法律のひろば48巻8号73〜80頁1995年8月 吉田和彦・NBL610号66〜71頁1997年2月1日 中村哲也・民商法雑誌115巻4・5号724〜728頁1997年2月 野村弘・ほうむ(安田火災海上)41号78〜90頁1996年2月 【判例ID】  28010101 【要旨】    1.ゴルフ練習場の打席の空間は独占的、排他的に与えられるものであるから、ゴルフ練習場での練習者は、特段の事情のない限り、周囲の安全をいちいち確認する義務を要求されるものでなく、打撃のためテイクバック中のゴルフクラブが、隣席の練習者の眼を直撃し受傷させたとしても過失はない。  2.打撃のためテイクバック中のゴルフクラブが、隣席の練習者の眼を直撃し受傷させた事故で、ゴルフ練習場は、練習者が、自己の打席内から、他の打席内に不用意に入り込むといった事態まで予想して危険防止の監視員を置く義務があるとは認められず、事故当時、打席内への進入防止措置が講じられていなかったとしても、契約上の安全配慮義務の不履行があったとまでは認めることができない。  3.打撃のためテイクバック中のゴルフクラブが、隣席の練習者の眼を直撃し受傷させた事故に関して、打席間の距離も十分とられていることから、後部打席内にクラブが進入しないような防御網等の設備を設けていないとしても、ゴルフ練習場の設備の設置保存に瑕疵があったとはいえない。 【裁判年月日等】平成 7年 3月10日/静岡地方裁判所/判決/平成5年(ワ)第207号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  請求棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  荒川昂 石原直樹 小林直樹 【参照法令】  民法709条/717条 【出典名】   判例時報1554号130頁 【判例ID】  27828789 【要旨】    1.地域の親睦を目的とするソフトボールの試合において、2塁走者であった加害男性が、3塁を回りホームに生還しようとする際に、ホームベース上で両足を開き捕球体勢をとっていた被害女性捕手の両足間に片足をスライディングさせたために衝突転倒させ同人を負傷させた事故につき、捕手が女性であり走者が男性で体格、運動能力にかなりの格差がある危険な行為であり、その行為により同人を負傷させることは予見可能であり、かつそれを回避することも可能であったから加害男性には過失があるとされた事例。  2.主婦兼業の勤労女性の現実収入が賃金センサスによる平均賃金を下回る場合であっても、本件のように事故による収入の減少が具体的に算出でき、労働能力喪失期間中の得べかりし収入額を推定する必要がない上、休業期間とされる期間中被害者が主婦としての家事労働能力を喪失したか否かについても主張立証のない場合には、現実の収入減少分をもって休業損害と認めるのが相当である。 【裁判年月日等】平成 7年 3月 7日/長野地方裁判所佐久支部/判決/平成5年(ワ)第85号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  林正宏 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例時報1548号121頁 【判例ID】  28010387 【要旨】    1.滑降コースの見通しの悪い段差の下で停止していたスキーヤーに、後続のスキーヤーが斜面の変わり目の先の段差部分で衝突したのは、かなり速いスピードで滑走して、ジャンプというコントロールが困難な体勢で滑り降りたことが事故の原因であり、ゲレンデ整備の瑕疵をもって、責任を免れることはできない。  2.一 滑降コースの見通しの悪い段差の下で停止していたスキーヤーに、後続のスキーヤーが斜面の変わり目の先の段差部分で衝突した事故で、症状固定推定日以後の治療費について、以前に行われた骨接合による骨内挿入物の除去手術と、その経過が思わしくなかったための再手術が主なものであるから、事故と因果関係ある治療費と認められた事例。 二 等級4級の身体障害者と認定された者の治療用装具代(松葉杖代、ロフストランドクラッチ、オステオトロン電極)とその運送費としての宅急便代として、9万7899円が認められた事例。 三 入院雑費1日につき1200円、入院日数302日間であるとして、36万2400円が認められた事例。  3.一 滑降コースの見通しの悪い段差の下で停止していたスキーヤーに、後続のスキーヤーが斜面の変わり目の先の段差部分で衝突した事故による後遺症慰謝料の算定で、身体障害者等級では4級であるが、それは自動車損害賠償保障法施行令別表の12級に該当するとして、後遺症慰謝料が240万円とされた事例。 二 事故当時会社のラクビー部に所属していたが、事故による障害のために長期間練習もできず、同部に復帰する見込みもないとの事情は予測可能とはいえず、これに関する慰謝料は認められないとされた事例。  4.滑降コースの見通しの悪い段差の下で停止していたスキーヤーに、後続のスキーヤーが斜面の変わり目の先の段差部分で衝突した事故で、段差の下で停止していたスキーヤーにも上方への注意を怠り、後続者の衝突を避けるため、コースわきまで移動すべきであったのにそれをしなかった過失があり、その過失割合は3割を相当とするとされた事例。 【裁判年月日等】平成 7年 3月 3日/東京地方裁判所/判決/平成5年(ワ)第5020号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  森高重久 【参照法令】  民法709条/710条/722条 【出典名】   判例時報1560号114頁 【判例ID】  27827899 【要旨】    1.ゴルフコースでプレーヤーの打ったゴルフボールが隣接するコースでプレー中のプレーヤーの左目に当たった事故で、プレーヤーは隣接コースの方向に打球が飛んだとしても、松林の枝に遮られていて、直撃的に飛び込むことは予想することは困難であること等の事情が存在することに加え、すべてのスポーツ競技に共通して認められるところの「許された危険」の概念に照らして考察するときは、プレーヤーに過失を認めることは相当でないとした事例。  2.被害者は会社の代表取締役であったとしても、被害者と当該会社とが経済的に同一体であると認めるに足りる証拠がないから、当該会社の減収との因果関係を認めることはできない。  3.ゴルフコースでプレーヤーの打ったゴルフボールが隣接するコースでプレー中のプレーヤーの左目に当たった事故で、医師等への謝礼として支払った50万円が積極損害と認められた事例。  4.ゴルフコースでプレーヤーの打ったゴルフボールが隣接するコースでプレー中のプレーヤーの左目に当たった事故で、事故の態様、傷害の程度、治療の経過、後遺症害の部位、程度及び将来の見通し並びに被害者の営む事業に与える影響等、諸般の事情を総合して、通入院による慰謝料150万円、後遺症害による慰謝料600万円が相当であるとした事例。  5.ゴルフコースでプレーヤーの打ったゴルフボールが隣接するコースでプレー中のプレーヤーの左目に当たった事故で、ゴルフ場会社は、プレーヤーの安全を確保するために、隣接コースからの打球の飛来を防止するための防護ネットを設置すべき管理義務があり、これを設置していなかったことは、ゴルフ場として通常有する安全性を欠いていたものと認めるのが相当とした事例。  6.ゴルフコースでプレーヤーの打ったゴルフボールが隣接するコースでプレー中のプレーヤーの左目に当たった事故で、隣接コースから、ボールがたまたま松の樹間を進入したもので、その進入の仕方自体を予測できなかったとしても、ゴルフ場会社の安全管理義務の懈怠と事故との間には相当因果関係があるとされた事例。 【裁判年月日等】平成 6年11月15日/東京地方裁判所/判決/平成4年(ワ)第18622号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  沢田三知夫 村田鋭治 早田尚貴 【参照法令】  民法709条/710条/717条 【出典名】   判例タイムズ884号206頁 判例時報1540号65頁 【判例ID】  27828356 【要旨】    1.スイミングクラブは、その管理するプール内において会員の生命・身体を保護するための万全の配慮をして施設を利用させるべく、少なくとも蘇生法を習得しているプール監視員を配置して、常時プールを監視し、事故発生時に迅速に発見、救助できる体制を整えているべき義務を負うものと解されるから、プールで練習中に会員が溺死した事故については、プールに監視員を配置していなかった点に契約上の安全配慮義務の違反が認められる。  2.水泳クラブのプールで会員が溺死した事故につき、プールを管理している者は、契約上の義務として、会員の生命・身体を保護するための万全の配慮をして施設を利用させるべき義務を負っているにもかかわらず、大体1時間に1回の割合で水質検査等を兼ねて、見回り監視する程度の監視体制であったこと、事故当日、蘇生法について知識のない者1人に水質管理業務を兼ねて監視を担当させ、かつ監視、救助につき、十分な指示をしなかったことからすれば、スイミングクラブには安全配慮義務の不履行があるとされた事例。 【裁判年月日等】平成 6年10月 6日/富山地方裁判所/判決/平成5年(ワ)第58号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴(和解) 【裁判官名】  渡辺修明 【参照法令】  民法415条/709条 【出典名】   判例時報1544号104頁 【判例ID】  27827667 【要旨】    1.スポーツ競技における順位・優劣の争いは法律上の争訟に当たらず、自動車競技において競技会審査委員会から出場自動車の運転者に対して課せられたペナルティの取消請求は、法律上の争訟に該当せず司法審査の対象とならない。  2.自動車競技に競争自動車を出場させた者が開催者に対して提起した競技会審査委員会により当該自動車に課せられたペナルティーの取消しを求める訴えは、法律上の争訟に該当しない請求として、不適法である。  3.自動車競技における競技場のペナルティーの取消しを求める請求は、私人の法律上の地位に直接影響を与えるものでないので司法審査の対象とならず不適法である。 【裁判年月日等】平成 6年 8月25日/東京地方裁判所/判決/平成5年(ワ)第18417号 【事件名】   罰則取消等請求事件 【裁判結果】  一部却下、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  綿引穣 【参照法令】  日本国憲法/裁判所法3条/行政事件訴訟法/民事訴訟法135条 【出典名】   判例時報1533号84頁 判例タイムズ885号264頁 【判例ID】  29007125 【要旨】    1.平成3年12月20日の普通乗用車同士の追突事故について、加害車両の損傷状況、被害車の追突後停止までの距離、衝突後の嘔吐などに照らし、被害者が本件事故により頸部捻挫を負い、その後の通院状況、症状の改善状況、後遺障害診断書作成時期の症状を総合考慮すると、平成4年5月末には、後屈時の頸部痛が残ってはいたが、症状が固定したものと認めるとした事例。  2.一 普通乗用車同士の追突事故で損傷した原告車両の修理代として原告主張通りの34万6000円が認められた事例。 二 右事故で車両が損傷し、その修理中利用した代車の料金分の請求について、原告らの過大な請求が原因で修理開始が遅れたのであり、適正な請求であれば、代車を利用した時期までには、修理が完了していたはずであるとして、これを退けた事例。 三 右事故で車両が損傷し、修繕したことに関連して、請求された評価損について、修理によっても完全には修復し得ない欠陥が残存したとは認められないとして、否定した事例。  3.普通乗用車同士の追突事故で頸部捻挫を負った被害者の傷害慰謝料として、傷害部位・程度、入通院期間、被害者の就職時期と重なったこと、就職先から期待されていたスポーツ活動が結局できなかったことなどを考慮して、60万円が認められた事例。 【裁判年月日等】平成 6年 8月24日/大阪地方裁判所/判決/平成4年(ワ)第8412号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【裁判官名】  高野裕 【参照法令】  民法709条/710条 【出典名】   交通事故民事裁判例集27巻4号1071頁 【判例ID】  27827336 【要旨】    1.ゴルフプレーヤーの打ったボールが、先行プレーヤーに当たり負傷させたのは、ゴルフボールを打つ前に先行競技者がいないかどうかを確認すべき義務があるのそれをしなかった後行プレーヤーの一方的過失によるとされた事例。  2.ゴルフ場において、後行プレーヤーの打ったボールにより先行プレーヤーが負傷した事故で、時間的関係、位置関係、負傷の部位、程度、他の原因によって事故が発生した可能性が極めて少ないことより、後行プレーヤーの打ったボールが、先行プレーヤーの後頭部を直撃したものと推認できるとされた事例。 【裁判年月日等】平成 6年 8月 8日/東京高等裁判所/判決/平成5年(ネ)第1174号 【事件名】   損害賠償請求控訴事件 【裁判結果】  控訴棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  伊藤滋夫 矢崎正彦 飯村敏明 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例タイムズ877号225頁 【判例ID】  27827457 【要旨】    1.中学校の柔道部の練習中に加害生徒が未熟な初心者の部員に大外刈りを仕掛けて死亡させた事故で、加害生徒の法定監督義務者である親は、加害生徒が過去にも柔道部員をいじめたとして苦情の申し入れをうけていたことなどから下級生にことさら厳しい練習をしている者であることの認識は可能であったのに、日頃から一般的な注意を与えていなかったことは、監督義務の懈怠であり、その結果として事故を惹起したものであるから民法709条の不法行為責任がある。  2.一 中学校の柔道部の練習中に加害生徒が未熟な初心者の部員に大外刈りを仕掛けて死亡させた事故で、顧問教諭には、立会い監視をするなどの危険防止の具体的な措置を講じていなかったこと、柔道場の出入口の鍵のスペアキーを部員に委ねたままにしていたことなどの安全保護義務の懈怠があったとされた事例。 二 学校長には、各部活動の顧問教諭の指導監督につき適切な助言監督をする義務があるのに、顧問教諭に危険回避のための適切な助言をなすべき注意義務違反があったとされた事例。  3.中学校の柔道部の練習中の事故につき、加害生徒が未熟な初心者に対して大外刈りを仕掛けたのは危険防止の義務に違反するもので過失があると認定した事例。  4.中学校の柔道部の練習中に加害生徒が未熟な初心者の部員に大外刈りを仕掛けたことによる事故は、柔道というスポーツに内在する危険に伴う不可避的な結果とはいえないとされた事例。  5.中学校の柔道部の練習中に発生した部員の死亡事故につき、上級生の過酷な指導によるものであり、また、指導教諭も立ち会っていなかったなどとして学校側に損害賠償責任が認められた事例。 【裁判年月日等】平成 6年 8月 4日/静岡地方裁判所/判決/昭和61年(ワ)第558号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  吉原耕平 安井省三 前田巌 【参照法令】  国家賠償法1条/民法709条 【出典名】   判例時報1531号77頁 判例地方自治137号56頁 【判例ID】  27826254 【要旨】    1.参議院議員が金銭等の提供を受けて都知事選への出馬を取り止めたとの印象を与えるスポーツ新聞の記事につき、本件各記事が真実であるという証明はなく、また、被告側が大部分の取材先を明らかにしない以上、これが真実であると信じるについて相当性があったと認めることはできないとした事例。  2.参議院議員が金銭等の提供を受けて都知事選への出馬を取り止めたとの印象を与えるスポーツ新聞の記事により右参議院議員の名誉が毀損された事案につき、本人にも軽率な行為があったこと等を考慮して300万円の慰謝料の支払を命じた原判決を相当とした事例。  3.参議院議員が金銭等の提供を受けて都知事選への出馬を取り止めたとの印象を与えるスポーツ新聞の記事により、右参議院議員の名誉が毀損された事案につき、関連スポーツ新聞へ謝罪広告一回の掲載を命じた事例。 【裁判年月日等】平成 6年 7月21日/東京高等裁判所/判決/平成4年(ネ)第2358号/平成4年(ネ)第4441号 【事件名】   謝罪広告等請求控訴、同附帯控訴事件 【裁判結果】  控訴、附帯控訴棄却 【上訴等】   上告 【裁判官名】  佐藤繁 山崎潮 杉山正士 【参照法令】  民法709条/710条/723条 【出典名】   判例時報1512号36頁 【判例ID】  28021713 【要旨】    1.市が報償費を所有者に支払って借り受けていたスポーツ施設用地について、市長が固定資産税を賦課しないことが違法であるとして提起された市長個人に対する住民訴訟(4号請求)が、固定資産税を賦課徴収しなかったことは地方税法に違反するが、市が極めて低額の報償費を支払うだけで当該土地を使用することができた利益は右固定資産税相当額を上回るから、市には賠償されるべき損害が生じていないとして棄却された事例。  2.市長に対する損害賠償請求訴訟の判決において、固定資産税を賦課しなかった損害と市が通常の賃料を支払わずに使用することができた利益とを損益相殺することは、地方税法20条の9及び租税法律主義の原則に違反しない。  3.土地を借り受けるに当たり、固定資産税及び都市計画税が非課税となる旨説明し、契約書にもその旨記載されたとしても、そのことから直ちに禁反言の法理により租税の賦課徴収が許されなくなるものではない。  4.固定資産を借り受けるについて、借主が貸主に一定の金員を支払う旨の合意が成立し、その合意に基づく債務の履行として金員を支払うべき関係がある場合は、社会通念上無視しうる程度に少額なものでない限り、その額が取引上その固定資産の使用の対価に相当する額に至らなくても、地方税法348条ただし書にいう「固定資産を有料で借り受けた」場合に当たる。  5.土地所有者に報償費名目で3.3平方メートル当たり月額50円を支払う旨の合意がなされていた場合が「有料で借り受けた場合」に該当するとされた事例。  6.市が、固定資産税を非課税とすることができないのに非課税措置を採ったことにより本来支払うべき通常の賃料相当額を支払わずに土地を使用する利益を得た場合には、右利益を非課税措置を採ったことにより市が被った損害から控除すべきである。  7.地方税法348条2項ただし書は、所定の場合には一律に固定資産税を課することとしたものであって、市長には賦課するかどうかについての裁量の余地はない。 【裁判年月日等】平成 6年 7月19日/東京地方裁判所/判決/平成5年(行ウ)第195号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  佐藤久夫 橋詰均 武田美和子 【参照法令】  地方税法3条/6条/11条の4/20条の9/348条/362条/地方自治法242条の2/東村山市税条例40条の6 【出典名】   判例地方自治132号45頁 【判例ID】  28015359 【著名事件名】 共和汚職事件第1審判決 【要旨】    1.北海道開発庁長官は、ホワイトドームの建設予定場所に関する情報の提供、ホワイトドームの事業主体に出資する企業と関連工事の施工業者のあっ旋紹介、北海道東北開発公庫の融資についての指導助言につき、職務権限を有する。  2.収賄者が賄賂の目的物を費消した場合、収賄の起訴後、贈賄側会社の破産管財人の請求に応じて任意に返済したとしても、追徴の責務を免れない。  3.北海道開発庁は、縦割り行政の枠を超えて、北海道の総合的な開発という見地から開発計画を統一的に調査立案し、各行政機関が実施する事務を相互に調整推進することを責務としている。  4.北海道開発庁長官は、全天候型スポーツ施設(ホワイトドーム)の建設予定地に関する情報の入手、右事業への出資企業及び関連工事の施工業者の紹介、右事業に対する北海道東北開発公庫の融資について職務権限があるとして、右各事項について請託を受け、合計9000万円を受領した行為が、受託収賄罪に当たるとされた事例。  5.第三セクターによって実施されることが予定されている事業であっても、閣議決定された北海道総合開発計画に取り上げられた事業は、北海道開発庁の所掌事務の範囲内にある。 【裁判年月日等】平成 6年 5月30日/東京地方裁判所/判決/平成4年(刑わ)第114号/平成4年(刑わ)第186号 【事件名】   受託収賄被告事件 【裁判結果】  有罪 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  山田利夫 三好幹夫 小森田恵樹 【審級関係】  控訴審   平成 8年 3月25日/東京高等裁判所/判決/平成6年(う)第1237号 判例ID:28015119 【参照法令】  刑法197条/197条の5 【出典名】   判例時報1504号64頁 判例タイムズ860号97頁 【判例ID】  27825768 【要旨】    1.一 高校の課外クラブ活動は、学校教育活動の一環として行われるものであるから、現にその指導を担当する教諭は、部員である生徒がクラブ活動にともなう危険から生徒を保護すべき注意義務を負っており、事故の発生を未然に防止すべき注意義務を負うものであるから、指導担当教諭は、事故の発生する危険性を具体的に予見することが可能である限り、右危険を回避するための措置を講ずべき注意義務を負う。 二 生徒がバスケットボールのクラブ活動中、熱中症状をきたし急性心不全により死亡した事故につき、第1回目に倒れた際、休息をとらせ経過観察をしたこと、その後相当時間の休息後生徒の申し出により練習を再開させたことに、指導担当教師に不法行為上の過失はないが、短時間の練習再開後異常な状態で第2回目に倒れた時点では、一般人としても身体の異常を容易に認識できたものであり、救急車を手配するなどして直ちに医師に診断を受けさせなかった点には過失がある。 三右事故につき、事故当日の気温、湿度がスポーツを行う環境としては、危険ないし中止域の範囲にあり、その実施については、十分な配慮が必要であったし、また、人の体力の限界には個人差があり、同一人であっても、体調や条件の変化により、体力の限界は異なるのであるから、練習を参加者全員に一様に行わせたことをもって注意義務を尽くしたとはいえない。  2.不法行為責任における過失認定のための予見可能性は、医学的な死の転帰の予見可能性があることまでは必要なく、身体に対する尋常でない危険性の認識の可能性で足りる。  3.生徒がバスケットボールのクラブ活動中、熱中症状をきたし急性心不全により死亡した事故につき、練習続行、介護行動と死亡との因果関係はないとはいえないとした事例。  4.当時16歳の女生徒がバスケットボールのクラブ活動中、熱中症状をきたし急性心不全により死亡した事故で、高校卒業より67歳まで、昭和63年の平均賃金センサスにより、2927万円余とした事例。  5.バスケットボールのクラブ活動中、熱中症状をきたし急性心不全により死亡した事故で、日本体育・学校健康センターより受けた見舞金1400万円と、県教育振興会学校災害見舞金400万円とが控除された事例。  6.公立高校生徒のバスケットボールのクラブ活動の練習中に、熱中症からの急性心不全により死亡した事故について、指導担当教諭に過失が認められた事例。 【裁判年月日等】平成 6年 4月13日/松山地方裁判所西条支部/判決/昭和63年(ワ)第158号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  大串修 三木勇次 浅見健次郎 【参照法令】  国家賠償法1条/民法709条 【出典名】   判例タイムズ856号251頁 判例地方自治127号47頁 【判例ID】  27825701 【要旨】    1.結合商標の類否を判断するに当たっては、当該商標が使用されている商品の取引の実情、取引者や需要者における当該商標の著名性や周知性、当該商品の属する分野における取引の形態、当該商品の特質等を考慮し、当該商標の文字と図形の両者が不可分一体をなして一個の称呼、観念を形成している場合には、これに基づいて引用商標との対比をなし、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された際、取引者、需要者において、商品の出所につき誤認、混同を生じるおそれがあるか否かによって決すべきであるところ、出願商標は著名なブランドのスポーツシューズ及びカジュアルシューズ等について使用され不可分一体をなし、取引者、需要者に認識され、この商標の構成中「星」の図形及びその称呼「ホシ」は、極めてありふれた簡単な図形で、取引者、需要者にこれによる特定的、限定的な印象を与える力は弱いものでCONVERSEの文字と一連に観察される構成を考慮すれば、この文字部分の称呼が支配的印象を与え、右の星の図形からは商品の出所識別機能としての称呼、観念は生じないから、この部分から「ホシ」の称呼、観念が生ずるとして引用商標と類似するとした審決の判断は誤りである。 【裁判年月日等】平成 6年 3月31日/東京高等裁判所/判決/平成4年(行ケ)第136号 【事件名】   審決取消請求事件 【裁判結果】  認容 【上訴等】   確定 【裁判官名】  伊藤博 浜崎浩一 押切瞳 【参照法令】  商標法4条 【出典名】   判例時報1503号137頁 【判例ID】  22007523 【要旨】    1.影像信号の逆受信という方法は、影像の取得手段の1つにすぎず、その本質は、国際影像の取得にあり、その場合、日本国内におけるテレビ放映は、専らホスト・ブロードキャスターの製作した影像を取得し、これを使用してテレビ放映することを中心として行われており、放映権料は、単なるカメラワーク等による創作性に対する対価のみならず、放映の許諾の対価を実質的に含んで製作されている映画の著作物の使用許諾の対価として支払われているとみることができるから、外国法人に放映権料として支払った金員は、映画の著作権の使用料として支払われたというべきである。  2.映画の著作物に当たるというためには、第1に、内容的に著作物の通有性である知的創作性を備えていることを要し、第2に、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されていることを要し、第3に、物に固定されていることを要するというべきところ、テレビ放映用のスポーツイベントの競技内容の影像が、スポーツ競技の影像を効果的に表現するために、カメラワークの工夫等の何らかの知的な活動が行われ、創作性がそこに加味されているといえる場合、第1の要件を満たし、テレビの生放送についても、その影像が生中継と同時に録画されている場合には、固定性の要件を満たしているから、本件におけるスポーツ競技を収録したビデオテープ・フィルム又は生放送のための影像は、いずれも映画の著作物に該当する。  3.生中継の影像が録画されている場合は、録画された物自体ではなく、創作的な表現である影像それ自体が固定されることによって著作物となると解するのが著作権法全体の趣旨や同法2条3項の文言にも合致するというべきであり、この理は、生中継の影像が生中継と同時に録画されるいわゆる同時固定による場合であっても同様と解すべきである。  4.内国法人が米国法人との間で締結した、同米国法人等主催の各種スポーツ競技のテレビ放映権の取得に係る契約に基づいて、前記米国法人に支払われた金員が国内源泉所得に当たるとしてした源泉所得税の納税告知につき、前記金員は放映権料として支払われたものであり、ビデオテープ・フィルムはもとより、生放送のための影像も、著作権法2条3項にいう「映画の著作物」に当たり、前記金員は、その使用の対価として支払われたものであるとして、前記納税告知が適法とされた事例。  5.原告会社が、スポーツ競技を収録したビデオテープ・フィルム又はテレビの生放送のための影像の取得のため、スポーツ競技の主催団体に支払った放映権料は、所得税法161条7号ロの著作権の使用料に当たるとして、源泉所得税の納税告知が適法とされた事例。 【裁判年月日等】平成 6年 3月30日/東京地方裁判所/判決/昭和62年(行ウ)第111号 【事件名】   源泉徴収所得税等決定取消請求事件 【裁判結果】  一部却下、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  秋山寿延 竹田光広 森田浩美 【審級関係】  控訴審   平成 9年 9月25日/東京高等裁判所/判決/平成6年(行コ)第69号 判例ID:28030850 【参照法令】  国税通則法115条/所得税法161条/著作権法2条/63条 【出典名】   行政事件裁判例集45巻3号931頁 訟務月報42巻5号1298頁 【判例評釈】  岸田貞夫・ジュリスト1092号135〜137頁1996年6月15日 岸田貞夫・金融取引の課税問題189〜191頁1996年9月 【判例ID】  27825826 【要旨】    1.一 安全配慮義務とは、ある法律関係に基づいて特別な接触に関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方または双方が相手方に対して信義則上負う義務であって、その内容は、当該法律関係の性質、当事者の地位及び安全配慮義務が問題となる具体的な状況によって決せられるべきものである。 二 右基準からして、当該法律関係が宿泊契約、および施設利用契約であり、パラグライダースクールへの参加がその一部をなすとしても、施設の管理に関しては、宿泊客への安全配慮義務は負うとしても、そうした管理の及ばない事故、もしくは、それとは無関係に生じた事故についてまでそうした義務は負わない。 三 パラグライダースクールへの参加者のために傷害保険契約の代行すること自体は、参加者の安全を確保すべき義務とは関わりなく、加入しなかったことが安全配慮義務違反にならない。  2.保険会社が使用者に代わって被害者に示談金を支払った事案につき求償権ないし損害賠償請求権を行使するには、損害賠償義務を負っている必要があり、たとえ、履行補助者による事故であるとしても、当該事故が、使用者の安全配慮義務の不履行から生じたものではなく、履行補助者の独立の不法行為に起因するものであるから、民法715条3項に準じて求償権を有するものでもないとされた事例。 【裁判年月日等】平成 6年 3月29日/広島地方裁判所/判決/平成4年(ワ)第572号 【事件名】   求償金請求事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  喜多村勝徳 【参照法令】  民法709条/715条 【出典名】   判例時報1506号133頁 判例タイムズ876号233頁 【判例ID】  27826419 【要旨】    1.ゴルフ場において後行プレーヤーの打った球が先行プレーヤーに当たった事故につき後続プレーヤーは通常の注意を払っていたなら、先行プレーヤーを現認できたのに、先行プレーヤーがいることに気づかず、あるいはこれを気づいていながら無視してプレーしたもので、事故について、過失があるとされた事例。  2.ゴルフ場でプレー中、後続プレーヤーの打った球に当たり先行プレーヤーが負傷した事故で、右肩甲骨骨折については、本件事故と因果関係を認めたが、右足関節外側靭帯損傷については因果関係を認めなかった事例。  3.ゴルフ場でプレー中、後続プレーヤーの打った球に当たり先行プレーヤーが負傷した事故で、被害者は、838日間休業にやむなきに至っているが、経営する「クラブ」会社から、従前どおり役員報酬を得ていたとして、休業損害を認めなかった事例。  4.ゴルフ場でプレー中、後続プレーヤーの打った球に当たり先行プレーヤーが負傷した事故で、後遺障害等級12級に相当するとし、労働能力喪失率14パーセントとして、口頭弁論終結時までは、「クラブ」のママとして、従来の報酬を得ていたのであり、具体的な逸失利益は認められないが、それ以降は逸失利益を生ずる蓋然性があるとして、67歳までの14年間の稼働につき、493万3800円とした事例。  5.ゴルフ場でプレー中、後続プレーヤーの打った球に当たり先行プレーヤーが負傷した事故で、温泉療養まで必要であったのか疑問がないわけではないが、入院先の医師は、その必要性を認めていることを考慮して、右肩甲骨骨折の治療のために必要であった30万円について賠償請求を認めた事例。  6.ゴルフ場でプレー中、後続プレーヤーの打った球に当たり先行プレーヤーが負傷した事故で、入院雑費として、67日間、1日当たり1300円として、8万7100円が認められた事例。  7.ゴルフ場でプレー中、後続プレーヤーの打った球に当たり先行プレーヤーが負傷した事故で、ゴルフ場会社が、私保険より支払った金銭、並びに加害者が加入していた保険から支払った金銭は損害額より控除されるべきとされた事例。  8.一 ゴルフ場でプレー中、後続プレーヤーの打った球に当たり先行プレーヤーが負傷した事故で、入通院慰謝料を事故から、症状固定までの2か月及び通院26か月を基礎とすべきとして、計200万円とした事例。 二右被害者につき、後遺障害12級に該当するとして、後遺障害慰謝料を、240万円とした事例。 【裁判年月日等】平成 5年 8月27日/東京地方裁判所/判決/平成2年(ワ)第16520号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  近藤崇晴 【参照法令】  民法709条/710条 【出典名】   判例タイムズ865号243頁 【判例ID】  27820042 【要旨】    1.不動産を共有持分に小口化し、顧客に分譲するとともに顧客から賃借する契約は売買契約と賃貸借契約との混合契約であるが、両者は可分であるので、賃料支払債務の不履行を理由として売買契約を含む契約の全部を解除することはできない。  2.一 スポーツクラブとして使用する建物を持分(一口30万円)に細分化し、一口につき1万2000円の賃料収入(年4パーセント)を得ることができるとして、売主が建物を顧客に分譲し、分譲と同時に顧客から売主が持分を借り受け、スポーツクラブを経営する契約(いわゆる不動産の小口化商品)は、建物の持分の売買契約と賃貸借契約の混合契約である。 二 右の売買契約の部分と賃貸借契約の部分は可分のものであるため、賃貸借契約の不履行により売買契約の効力を左右することをうかがわせる条項が存在しない場合には、顧客は、賃料の不払を理由に賃貸借契約部分を解除することができても、売買契約部分を解除することはできない(賃料不払を理由に、持分に相当する代金返還の請求はできない)。 【裁判年月日等】平成 5年 7月13日/東京高等裁判所/判決/平成4年(ネ)第2980号 【事件名】   出資金等返還請求控訴事件 【裁判結果】  原判決取消 【上訴等】   確定 【裁判官名】  時岡泰 大谷正治 小野剛 【参照法令】  民法541条 【出典名】   金融法務事情1392号45頁 【判例ID】  27816925 【要旨】    1.交通事故被害者(大学1年生・女)の逸失利益の算定に当たって、中間利息控除率の低い若年時に全労働者の平均賃金という実際より高額な収入を得られると想定することは実体にそぐわないし、被害者に有利に過ぎるから、同人と同様の賃金条件にある労働者が現在各年齢層に応じて得ている各賃金を、賃金センサス産業計・企業規模計・女子労働者・旧大・新大卒の年齢別平均給与額に、年率を5分とするライプニッツ方式による複利現価率によって中間利息を控除して得た生涯所得(表計算方式)によって算定するのが相当であるとされた事例。  2.一 交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負い、腿部径不整合、右足部蹠屈不全、下肢短縮、関節機能障害等の後遺障害(自動車損害賠償保障法施行令別表11級)を残した被害者(大学1年生・女)につき、同人は本件事故により労働能力を2割失ったものとした事例。 二 右被害者につき、中間利息控除率の低い若年時に全労働者の平均賃金という実際より高額な収入を得られると想定することは実体にそぐわないし、被害者に有利に過ぎるとして、同人と同様の賃金条件にある労働者が現在各年齢層に応じて得ている各賃金を、賃金センサス産業計・企業規模計・女子労働者・旧大・新大卒の年齢別平均給与額に、年率を五分とするライプニッツ方式による複利現価率によって中間利息を控除して得た生涯所得(表計算方式)によって算定した事例。  3.一 交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負った被害者(大学1年生・女)につき、同人は事故前週3回塾で教えて月額4万円の、週2回家庭教師をして月額4万円の収入を得ていたが、事故により約15か月間アルバイトに行けず右収入を失ったとして、合計90万円の休業損害を認めた事例。 二 右被害者につき、同人は本件事故により1年間留年を余儀なくされて卒業および就職が1年間遅れ、この間に得られたであろう賃金相当の損害を被ったとして、口頭弁論終結時の産業計・企業規模計・女子労働者・旧大・新大卒23歳平均給与額を基礎に右1年間の逸失利益を算定した事例。  4.一 交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負った被害者(大学1年生・女)につき、同人の傷害の程度からして入院期間中(74日間)母親の付添看護を要したこと、右付添看護が相当程度の困難を伴ったことを考慮して、1日当たり5000円、計37万円の入院付添費が認められた事例。 二 右被害者につき、同人の傷害部位が足であり、骨折が完全に接合するまでの間通院するためにある程度の距離を歩行したり公共交通機関を利用することが困難であったことからすると、母親が通院に付き添った費用は本件事故による損害であると認められた事例。 三 右被害者につき、同人が松葉杖をつきながらも通学し家庭教師等のアルバイトも再開することができた以前の時期とそれ以降の時期に分けて、前者については1日当たり2500円(8日間)、後者については1日当たり1000円(30日間)として、計五万円の通院付添費が認められた事例。  5.交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負った被害者が治療のため転院を余儀なくされた事案につき、同人は自ら身動きできず寝たままの状態であり、転院のための特別の自動車を用意したり、専門家に依頼するなどの必要があったとして、転院のための交通費1万5000円を本件事故による損害であると認めた事例。  6.交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負い、腿部径不製合、右足部蹠屈不全、下肢短縮、関節機能障害等の後遺障害(自動車損害賠償保障法施行令別表11級)を残した被害者(大学1年生・女)につき、同人が本件事故のため以前のような原動機付自転車や公共交通機関での通学が困難となり、下宿せざるを得なかったして、下宿代として支払った月額2万1000円(29か月分)から通学交通費を控除した額を本件事故による損害であると認めた事例。  7.交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負い、合計6回の手術を受けた被害者が医師に謝礼として40万円支払った事案につき、右手術内容はいずれも相当高度の技術を要するものであったこと等から、被害者の両親らが謝礼を支払った心情は理解できるが、治療を受けるために右謝礼が特別必要であったような事情は認められず、通常の治療費を支払うことのみによっても同様の治療を受けることができたと推認される以上、右謝礼は事故と因果関係にある損害とはいえないとされた事例。  8.交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負った被害者につき、同人は退院後も骨折が完治せず歩行が不自由で松葉杖を用いる必要があったため、自宅の屋外から居間へ上がるためのスロープを設けた費用、右足にギプスを巻いていてふとんでは寝ることができなかったのでベッドを購入した費用、ベッドで食事をするためのバイアステーブルを購入した費用の計9万2800円の家屋改造費等の損害賠償請求が認められた事例。  9.交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負い、腿部径不整合、右足部蹠屈不全、下肢短縮、関節機能障害等の後遺障害(自動車損害賠償保障法施行令別表11級)を残した被害者の弁護士費用につき、本件の認容額(1875万余円)、加害車運転者が事故直後に警察官らに対してした供述を翻したため、訴訟代理人が多くの訴訟準備活動を要したこと等の事実を基礎に、日弁連報酬規定を参考とし、被害者が遅延損害金を不当に利得しないよう考慮して、180万円が相当であるとされた事例。 10.交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負った被害者につき、同人は本件事故により1年間の留年を余儀なくされたものであるとして、この間の授業料15万円の損害賠償請求が認められた事例。 11.中間利息の控除は、本来将来にわたって分割して受け取るべき賃金を現在の一時金として受け取ることによって、被害者が不当に利益を得ることを避けるために行われるものであって、被害者としては、現在受領する一時金を銀行等の金融機関に定期預金等することによって、安全確実に複利計算による利殖を行うことができるから、中間利息控除の方式としては、ライプニッツ方式がより合理的である。 12.交通事故による損害には事故発生時から遅延損害金を付すると被害者に有利となるものも、逆に不利となるものも含まれているが、このような有利不利を個々に判断して遅延損害金の発生時期を考慮したり、損害金の増減を行うことは実際上困難であるので、不法行為の時点で全ての損害が発生し、かつ遅滞に陥るものと考えるのが相当である。 13.一 交通事故により右下腿骨開放骨折、右手背打撲の傷害を負い、腿部径不整合、右足部蹠屈不全、下肢短縮、関節機能障害等の後遺障害(自動車損害賠償保障法施行令別表11級)を残した被害者(大学1年生・女)につき、同人が大学1年生という最も青春を謳歌できる時期に長期間の不自由な入院療養生活を送らざるを得なかったことや手術の内容・程度・回数等を考慮して、入通院慰謝料として300万円が相当であるとされた事例。 二 右被害者につき、同人が未婚のうら若い女性であって、通常であればスポーツをしたり茶道・華道などに習熟したいと願う境遇であるのにそれらが十分にできなくなったこと等の事情を考慮して、後遺障害慰謝料として300万円が相当であるとされた事例。 14.雑草が生い茂って見通しの悪い一車線道路のカーブ付近での原動機付自転車(被害車)と普通乗用車(加害車)の衝突事故につき、前方の見通しが悪かったのに対向車が一時停止するものと軽信して進行した被害者運転者の過失と、被害車を発見しながら対向車が原動機付自転車であったことからすれ違えるものと軽信して進行した加害車運転者の過失を対比して、3割の過失相殺がされた事例。 【裁判年月日等】平成 5年 6月16日/奈良地方裁判所/判決/平成4年(ワ)第302号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  森脇淳一 【参照法令】  民法709条/710条/722条 【出典名】   判例タイムズ829号205頁 【判例ID】  27818539 【要旨】    1.ティーグランドにおいて素振りをし、キャディを負傷させた事故で、右ゴルフプレーヤーには自己が素振りをするドライバーのヘッドが届く範囲内に第三者が近づく可能性を予見し、予見し得たはずであるのに素振り練習を断念せず、漫然安全であると軽信して行った点に過失があるとした事例。  2.一 ゴルフ場のティーグランドにおいてプレーヤーが素振りをした際、付近にいたキャディにクラブが当たり、眼球摘出を伴う負傷をした事故で、負傷したキャディの休業損害につき、その者の実額年収が、平成元年の「賃金センサス」第1巻第1表の女子労働者の産業計・企業規模計の50ないし54歳の年間給与額を下回ることになるとして、実質上主婦と認められるから、右平均収入を基準に休業損害を算定するのが相当とした事例。 二 右事故による後遺症に対して、労働能力喪失を56パーセントとした事例。  3.ティーグランドにおいて素振りをした際、付近にいたキャディを負傷させた事故で、プレーヤーの過失による不法行為責任が認められた事例で、16日間の付添いが必要であり、その間長女に付き添ってもらったとして、近親者の付添費を1日あたり4500円をもって本件事故と相当因果関係のある損害と認めた事例。  4.一 労働者が雇主に対して労働契約に基づく債権を有し、その債務の履行として業務上災害を理由に財産上の給付を受けた場合には、実質上労働者が不法行為によって被った損害の填補がなされたことになるから、雇主からの見舞金は損益相殺の対象になる。 二 雇主が、自己を被保険者とし、被用者が業務上に自由により身体の障害を被ったときの法定外補償保険金の給付を目的とする総合保険を締結しており、それより保険金の支払いを受けたのは、見舞金でなく、損益相殺の対象になる。  5.雇主が、自己を被保険者とし、被用者が業務上に自由により身体の障害を被ったときの法定外補償保険金の給付を目的とする総合保険を締結しており、それより保険金の支払いを受けたのは、見舞金でなく、損益相殺の対象になる。  6.ゴルフ場のティーグランドにおいてプレーヤーが素振りをした際、付近にいたキャディにクラブが当たり、眼球摘出を伴う負傷をした事故で、傷害の部位・程度・入院の期間等諸般の事情を斟酌して、入通院の慰謝料として、100万円、後遺症慰謝料として、760万円をもって相当とした事例。  7.ティーグランドにおいて素振りをした際、付近にいたキャディを負傷させた事故で、プレーヤーの過失による不法行為責任を認めたが、負傷したキャディにも練習スイングを始めようとしていることを認識していたにもかかわらず、中止させず、プレイヤーのすぐ後ろを通過する通路をとった過失があるとして、過失割合を3割とした事例。 【裁判年月日等】平成 5年 5月25日/神戸地方裁判所/判決/平成3年(ワ)第1233号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容、一部棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  辰巳和男 【参照法令】  民法709条/710条/722条 【出典名】   判例タイムズ840号172頁 【判例ID】  27816051 【要旨】    1.遊動円木から転落し着地した被害者が踵骨を骨折した事故につき、高所から飛び下りた結果テニスシューズの靴底全体が突然剥離し、足が滑って踵骨骨折に至るというようなことは極めてまれな事例であり、靴底の剥離によって人身事故が生じたということもないから、消費者に対し使用上の危険を説明しなかったテニスシューズ製造業者に過失があるとはいえないとされた事例。  2.遊動円木から転落し着地した被害者が踵骨を骨折した事故につき、本件踵骨骨折は、着地した瞬間に地面から受けた衝撃自体によって生じた可能性が高く、テニスシューズの靴底の剥離により足が滑ったこととの間に因果関係があるとはいえないとして、テニスシューズ製造業者の責任が否定された事例。 【裁判年月日等】平成 5年 2月18日/東京地方裁判所/民事第31部/判決/平成1年(ワ)第11693号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  請求棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  浅野正樹 小川浩 岡部純子 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例タイムズ823号211頁 【判例評釈】  滝沢昌彦・製造物責任法の研究(金融・商事判例増刊960)97〜101頁1995年2月 【判例ID】  27814199 【要旨】    1.県及び同県職員共済組合の主催するバレーボール大会で、観戦職員が、ボールを捕球しようとした選手と衝突した事故につき、通常の注意を払つて観戦していさえすれば、容易に避けえたものと考えられ、また、防護柵を設けることは選手との関係で危険が増大する虞があることを勘案すると、コートと観戦者間に防護柵を設けなかつたことにつき安全配慮義務違反はないとした事例。 【裁判年月日等】平成 4年 9月28日/宮崎地方裁判所/民事第2部/判決/昭和63年(ワ)第875号/平成1年(ワ)第142号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  請求棄却 【上訴等】   確定 【裁判官名】  加藤誠 登石郁朗 後藤隆 【参照法令】  民法709条 【出典名】   判例タイムズ801号190頁 判例時報1448頁162頁 【判例評釈】  薄津芳・都道府県展望417号64〜65頁1993年6月 【判例ID】  27813891 【要旨】    1.隣接コースのゴルフアーの打球によりキヤデイーが受傷した事故について、キヤデイーは受傷前から高血圧、鼻炎、軽度の脳梗塞などにかかつており、受傷により、めまい、頭痛等の症状が増幅されたが、その影響は症状固定時までに消滅しており、その他の症状は、本件事故と関係のない頸椎症、脳梗塞、高血圧症、鼻炎等によるものか、被害者特有の心因性のものとみることが相当であるから、それらは本件事故と相当因果関係にあるものということはできないとされた事例。  2.隣接したホールでテイーシヨツトされた打球により頭部挫傷の傷害を負つたキヤデイーが、事故時にいた場所では、警告を聞いたとしても突然高速で飛び出してくる打球を発見してこれを避けることは不可能であつたのであるから、打球を避けなかつた過失があるとはいえないし、また、ヘルメツトの用法を誤り、あるいは材質の不良なヘルメツトを着用したという事実も認められず、仮にそうだとしても、そのことが過失相殺をすべき過失であるとはいえない。  3.隣接したホールでテイーシヨツトされた打球によりキヤデイーが頭部挫傷の傷害を負つた事故で、事故の態様、傷害の部位、程度、事故と相当因果関係のある入通院期間、実通院日数等を考慮し、慰謝料として150万円が相当とされた事例。  4.野球、テニス等の球技のように競技それ自体が一定の危険を内包し、その競技をする限りにおいてはこれを避けることができないような場合には、その競技から生ずる通常の危険を容認したとみることはできるであろうが、ゴルフ競技自体は何ら他人に危険を及ぼす性質のものではなく、打球の及ぶ範囲内に人がいないことを確かめ、あるいは、人のいる方向へ打球が飛ぶ虞がある場合には、打球をコントロールすることができる限度でボールを打つようにすれば危険はないはずで、一般にゴルフという競技がこのような注意を払わないでボールを打ち他人に怪我をさせることまで容認しているとはいえないし、キヤデイーであるがゆえにその打球で怪我をすることまで容認していたとみることはできない。  5.ゴルフ競技自体は何ら他人に危険を及ぼす性質のものではなく、打球の及ぶ範囲内に人がいないことを確かめ、あるいは、人のいる方向へ打球が飛ぶ虞がある場合には、打球をコントロールすることができる限度でボールを打つようにすれば危険はないはずで、一般にゴルフという競技がこのような注意を払わないでボールを打ち他人に怪我をさせることまで容認しているとはいえないし、キヤデイーであるが故にその打球で怪我をすることまで容認していたとみることはできない。  6.1番ホールからの打球が他のホールに飛び込みやすい構造になつており、本件事故前にもその打球のためにキヤデイーが負傷したこともあつたのに、コースのレイアウトの変更、防護柵の設置といつた効果的な事故防止措置を何もとられなかつたゴルフ場には、設置および管理に瑕疵があるというべきである。  7.隣接して他のホールがあり、そこに打球が飛べばプレーヤーやキヤデイーに打球が当る虞があることは容易に知りえたゴルフプレヤーは、テイーシヨツトする際、技量に応じたクラブの選択をするなどしてそこに打球が飛ばないようにする義務があるのに、漫然と自己の技量を過信して、クラブの中では最も打球のコントロールの難しいドライバーをもつてテイーシヨツトをしたためにキヤデイーを受傷させたものであるから、そのプレーヤーには過失があつたといわざるをえない。 【裁判年月日等】平成 4年 8月21日/横浜地方裁判所/第7民事部/判決/平成3年(ワ)第1228号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  一部認容 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  小林亘 【参照法令】  民法709条/710条/717条/722条 【出典名】   判例タイムズ797号234頁 【判例ID】  27815163 【要旨】    1.ビルの共有持分を小口分譲し、買主からこれを賃借して一定の賃料を支払う旨の契約は、形式上は売買と賃貸借の二つの契約であっても、両者は不可分の出資契約であり、当初確約した賃料名目の配当金の一方的減額は契約違反であり、買主は分譲契約を解除することができる。  2.一 Aがビルの小口に分けた共有持分をBらに一口30万円で分譲し、Aがこのビルをスポーツ施設として使用してBらに一口当たり年額1万2000円を支払う契約は、共有持分に関する売買契約と共有持分の賃貸借契約が一個の契約として締結されたものである。 二 右の契約関係において、Aが賃料の支払を確約しているときには、本件契約は、持分を買い受ける方法により出資し、これに対し相当の利益配分を受けるものとして、持分の売買と賃貸借が不可分的に結合した一種の混合契約と解され、Aが賃料を一口当たり年額6000円しか支払わない場合には、Bは、全体の契約を解除して、Aに交付した金額(本件では30口、900万円)の返還を求めることができる。 【裁判年月日等】平成 4年 7月27日/東京地方裁判所/民事第40部/判決/平成3年(ワ)第17630号 【事件名】   出資金等返還請求事件 【裁判結果】  請求一部認容、一部訴え却下 【上訴等】   控訴(取消、請求棄却〈確定〉) 【裁判官名】  田中俊次 【審級関係】  控訴審   平成 5年 7月13日/東京高等裁判所/判決/平成4年(ネ)第2980号 判例ID:27820042 【参照法令】  民法541条/555条/601条 【出典名】   金融法務事情1354号46頁 判例時報1464号76頁 【判例評釈】  星野豊・ジュリスト1067号131〜134頁1995年6月1日 【判例ID】  28019017 【要旨】    1.大学の日本拳法部において、被害者が退部届を出したことに憤った被告人が、被害者に退部を思い止まらせ、また他の部員が退部するのを防ぐ見せしめのため、制裁として暴行を加え死亡させたときは、心身の鍛錬に基づき技を競い合うというスポーツの練習を行う目的でなされたものとは到底認められず、正当行為ということはできない。 【裁判年月日等】平成 4年 7月20日/大阪地方裁判所/判決/平成3年(わ)第2575号 【事件名】   傷害致死被告事件 【裁判結果】  有罪 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  今井俊介 杉森研二 種村好子 【参照法令】  刑法35条 【出典名】   判例時報1456号159頁 【判例評釈】  山中敬一・法学セミナー38巻12号56頁1993年12月 【判例ID】  27814650 【要旨】    1.超軽量飛行機の操縦訓練などを目的とするクラブの会員がジャンプ訓練を受けていた際に墜落して傷害を負った事故につき、初歩的段階での操縦技術がまだ未熟であるうちから積極的に高度の技量を要するジャンプ飛行を繰り返して本件事故を生じさせた被害者の過失と本件操縦機の性能、操縦上の注意につき十分な説明をせず、危急時にも適切な指示を与えなかった指導員の過失を対比すれば、被害者の過失は6割とするのが相当であるとされた事例。  2.後遺障害による逸失利益の算定の基礎となる労働能力喪失率は、人の労働能力を一般的、抽象的なものとしてとらえ、喪失の程度を右の喪失率という一定割合によって確定するものであるから、これに収入を乗じて逸失利益を算定する場合においては、右収入の額は損害賠償算定時における人の稼働能力の一般的、抽象的表現としての統計上の平均賃金額によるのが合理的である。  3.超軽量飛行機の操縦訓練などを目的とするクラブの会員が、ジャンプ訓練を受けていた際に墜落して傷害を負った事故につき、当該機種の操作とその性向を十分に習熟させ、飛行に伴う危険を予防ないし回避するに十分な注意を与えることなくジャンプ飛行訓練を行うよう指示し、飛行訓練中も被害者を注視することを怠って、異常事態発生の際にこれに対処すべき何らの指示も行わなかった指導員には過失があるとした原審の判断を維持した事例。 【裁判年月日等】平成 4年 5月25日/東京高等裁判所/第1民事部/判決/平成3年(ネ)第2958号、第2974号 【事件名】   損害賠償請求控訴事件 【裁判結果】  変更 【上訴等】   確定 【裁判官名】  伊藤滋夫 伊東すみ子 水谷正俊 【審級関係】  第一審   平成 3年 8月 8日/東京地方裁判所/民事第32部/判決/平成1年(ワ)第6306号 判例ID:27811145 【参照法令】  民法709条/722条 【出典名】   判例タイムズ809号178頁 【判例評釈】  貝阿彌誠・平成5年度主要民事判例解説(判例タイムズ臨時増刊852)92〜93頁1994年9月 【判例ID】  27814521 【要旨】    1.市主催の陸上競技大会で、ヤリ投げ競技の試技開始直前の選手に接近し、ヤリが左目に当たったため負傷した事故は、専ら被害者の注意義務違反によるものであり、加害者に注意義務違反はないとした事例。  2.市主催の陸上競技大会に参加した生徒が、ヤリ投げ競技の試技開始直前の選手に接近し、ヤリが左目に当たったため負傷した事故につき、大会主催者の措置と本件事故とに相当因果関係はないとした事例。  3.市主催の陸上競技選手権大会に選手として出場した中学生が、プレーに入るため助走開始地点で歩きはじめたヤリ投げ選手につきあたり、ヤリで左眼を受傷した事故につき、中学の指導教諭に過失はないとされた事例。  4.市主催の陸上競技選手権大会において、砲丸投げ選手として出場した中学生がヤリ投げ選手につきあたり、ヤリで左眼を受傷した事故につき、市に損害賠償責任はないとされた事例。 【裁判年月日等】平成 4年 4月24日/金沢地方裁判所/民事第2部/判決/昭和63年(ワ)第331号 【事件名】   損害賠償請求事件 【裁判結果】  棄却 【上訴等】   控訴 【裁判官名】  伊藤剛 橋本良成 伊藤知之 【参照法令】  国家賠償法1条/民法709条 【出典名】   判例時報1444号125頁