5.ニュース記事

最近の記事で正当防衛と過剰防衛に関するものを集めてみました。えっ、これが?という記事もあるかもしれませんのでそのつもりで・・・。

1.押さえつけられ長男死亡、「自己防衛」と母ら無罪

今年4月、酒に酔った長男(当時25)を押さえつけて死亡させたとして、傷害致死の罪に問われた東京都渋谷区の飲食店経営の母親(52)と長女(23)の判決が21日、東京地裁であった。岡田雄一裁判長は「積極的な加害の意思がうかがえず、自己防衛のための行動だった」と述べ、2人に無罪(いずれも求刑懲役4年)を言い渡した。
 判決によると、飲食店従業員の長男は日頃から酔って家具などを壊すことがあった。事件当日も酔って帰宅し暴れたため、母娘と高校生の次男=傷害致死罪で少年院送致=でうつぶせに押さえつけた。岡田裁判長は、次男が首を押さえたことが窒息死につながったと認定。しかし、暴れる長男から身を守るために腰のあたりを押さえた母と、足首をつかんだ長女は次男の行為に気づいていなかったと判断し、「(正当防衛が成立すると錯覚した)誤想防衛が成立する」と結論づけた。(朝日新聞2002年11月13日)

2.世代を超えて住民が防犯を

人気の無い路上で無抵抗の子供がいたずらをされた。深夜営業の店が強盗に襲われた。私たちののどかな田舎町でも物騒な事件が起こるようになった。

 失業が増え、家族崩壊なども大きな問題となる、そういう不安な世相だ。刺激の強い情報が都市と郡部の境界を越えて流入し、むしろ、昔からの共同体の方が平穏でいられなくなっているようだ。自らの安全と財産を守るため、世代を超えて住民自身が防犯対策を考える時ではないか。

 例えば、ナイフを突きつけられて金銭を要求された時、目前で幼児が不審な人に腕をつかまれるなどしていた時、黙って従ったり、見て見ぬふりをするのはどうなのか。最小限の正当防衛として相手に打撃を与え、そのスキに逃げて警察などに通報する。

 緊急の危機を逃れる保険という意味で、護身術を体得するのも一考ではないか。希望者のために講習の場があれば、と思う。柔道、合気道、空手道などに精通する人たちの知恵と力で「魔よけ」できないだろうか。
(2002年10月3日、読者の広場より)

3.店も学校も閉めて… フーリガン対策、過剰防衛?

「フーリガン」。まだ見ぬ厄介者の影に、サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催地が振り回されている。試合当日にシャッターを閉める商店や休校を検討する学校が相次ぎ、警察も街角の放置自転車や鉢植えを「凶器」と見なし、撤去に躍起だ。行き過ぎなのか、それとも当然か。関係者の悩みは尽きない。

 イングランド、ドイツ、アルゼンチン。フーリガンで知られるチームの試合が集中した札幌ドームの周辺住民は、不安を募らせる一方だ。ドームの目と鼻の先にあるラーメン店「ふくはち」は、試合日程に合わせて1週間、店を閉める。経営者の鈴木美智子さん(67)は「札幌の味を世界に広めたかった。でも、店が荒らされるのは怖い」。

 札幌では、「ハサミが奪われたら危険」と試合日に休業する理容室や、展示車の撤去を検討する自動車販売会社もある。

 6月12日にイングランド対ナイジェリア戦がある大阪・長居競技場。近くの長居商店街振興組合は、被害を想定して保険会社と交渉中だ。試合開始は午後3時半。下校時間と重なることから、周辺の小中学校は休校や授業短縮を検討している。

 準々決勝や準決勝の舞台となる静岡、埼玉の競技場周辺の学校も、「万一、騒動に巻き込まれたら」と、授業短縮や集団下校を検討している。

 警察は着々と「包囲網」を敷く。新潟県警は、JR新潟駅から会場までの道路を花植えプランターで飾ろうとした県に待ったをかけた。理由は「投げやすいので凶器になる」だ。神奈川、静岡県警なども同じ理由で、放置自転車や立て看板などの撤去を、周辺住民に呼びかけた。

 「秘密兵器」も続々と登場する。大阪府警は直径が通常の1・3倍ある外国人用の手錠100個を用意。大分、宮城県警や北海道警は、網が開きながら発射されるネットガンを準備した。

 過剰反応を抑えようという動きもある。埼玉県がW杯ボランティア向けに開いた「イングランド文化講座」では、講師の英国人5人が実際にビールを飲んで大声で歌ってみせ、「騒いだだけで驚かないで」と呼びかけた。
(2002年3月19日より)

4.家庭内暴力裁判:
二男殺害の父に猶予付き判決 


家庭内暴力を振るう二男を刺殺したとして、殺人罪に問われた大阪府吹田市の無職、坂井久雄被告(73)に対し、大阪地裁は30日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役6年)を言い渡した。川合昌幸裁判長は「責任は重大だが、病弱な妻を抱え、二男をも献身的に介護していたことなど同情すべき点がある。家族も帰りを待っている」と述べた。
 判決によると、坂井被告は今年5月、テレビを見ていた二女に二男(35)が、殴るけるの暴力を加え始めたため、二男の胸と腹を包丁で刺し、殺害した。二男は10代から薬物を常用、中毒性の精神病と診断され、家族への暴力を繰り返していた。

 弁護側は正当防衛を主張したが、判決は、二女への暴力を防ぐ目的とはいえ、素手の二男を刃物で刺しており、過剰防衛に当たると認定した。 

[毎日新聞2002年9月30日]

5.無罪判決:
携帯アンテナで死亡は「正当防衛」 地裁下関支部 


高速道路の走行方法を巡るけんかで相手を死なせたとして傷害致死罪に問われた広島市安佐南区伴東、会社員、東本真人(とうもとまこと)被告(43)の判決が4日、山口地裁下関支部であり、並木正男裁判長は「正当防衛に当たる」として無罪(求刑・懲役3年6月)を言い渡した。
 判決によると、東本被告は昨年10月10日夕、山口県下関市の中国自動車道王司パーキングエリア内で長崎市泉、トラック運転手、吉田正一(しょういち)さん(当時31歳)と走行方法でけんかになり、持っていた携帯電話のアンテナ(伸ばしていない状態で、長さ2センチ)で胸部を突き刺し、吉田さんを心タンポナーデ(心臓と心膜の間に血液がたまることによる心臓圧迫)で約1時間50分後に死亡させた。

 並木裁判長は(1)相手の暴行が先だった(2)被告は無我夢中で、アンテナを積極的、意図的に利用して攻撃したとは言えない――などとして「防衛上やむを得ない行為だった」と認定した。

 判決について、大図(おおず)明・山口地検下関支部長は「控訴するかどうか高検と検討したい」としている。

[毎日新聞9月4日]
 

6.強盗を刺殺:
殺人容疑の男性を不起訴処分 正当防衛が成立 

 

大阪市住吉区で3月、自営業の男性(40)が、包丁を持って盗みに入った男を逆に刺して死なせた事件で、大阪地検は2日までに、府警から殺人容疑で送検された男性を不起訴処分にした。地検は男性の行為が傷害致死罪に当たると認定したが、正当防衛が成立すると判断した。
 調べでは、男性は3月22日夜、父親が住むマンションの部屋から出てきた男ともみ合いになり、男が持っていた包丁を取り上げて首などを刺したとして、府警住吉署に殺人未遂容疑の現行犯で逮捕され、男が死亡したため殺人容疑で送検された。

 男性は殺意を否認していた。地検は客観的な状況などから殺人罪にはあたらないと判断したうえで、死亡した男が窃盗目的だったことを考慮し、正当防衛だったと結論づけた。男性は4月9日、処分保留で釈放されていた。 

[毎日新聞5月2日]

7.逆転無罪:
仙台高裁が傷害致死容疑の男性に 正当防衛認める 


酒に酔って暴れる兄を押さえる際に首を絞めて死なせたとして、傷害致死の罪に問われた岩手県水沢市羽田町沼尻、運転手、菊池秀悦被告(51)の控訴審で、仙台高裁(松浦繁裁判長)は21日、「死因は窒息と断定できず、正当防衛も成立する」と1審判決を破棄し、逆転無罪の判決を言い渡した。1審の盛岡地裁は過剰防衛で懲役3年、執行猶予3年の判決だった。
 判決によると、菊池被告は99年8月、自宅で実兄(当時54歳)が酒に酔って母親の胸ぐらをつかむなどして暴れたため、制止しようと、腕が首を圧迫する状態で押さえ込んだ。兄が動かなくなったため寝たと思ったが翌日、死亡していた。

 松浦裁判長は「交感神経の異常興奮による急性循環不全の可能性があり、死因が首の圧迫による窒息との証明はない。押さえ込みなどは、兄の暴行から自分と母を守る正当防衛の範囲内」と述べた。

 仙台高検の伊東正次席検事は「判決文をよく検討した上で、上告するかどうか検討したい」とのコメントを出した。 【野原大輔】

[毎日新聞2月21日]

8.三軒茶屋駅暴行:
少年2人に3〜5年の不定期刑 東京地裁 


東急田園都市線の三軒茶屋駅(東京都世田谷区)で昨年4月、銀行員の牧顕さん(当時43歳)が暴行を受け死亡した事件で、傷害致死罪に問われた19歳の少年2人に対し、東京地裁は19日、それぞれに求刑通り懲役3年以上5年以下の不定期刑を言い渡した。山室恵裁判長は「動機は短絡的で、被害者を放置したまま逃走しており、自首などを考慮しても刑事責任は重い」と述べた。
 判決によると、少年2人は昨年4月28日深夜、別の友人を含めた計4人で電車に乗っていた際、牧さんと「足が当たった」と口論になった。三軒茶屋駅で牧さんが下車し「降りてこい」などと言ったことでもみ合いになり、2人は牧さんの顔などを殴り、6日後に死亡させた。

 判決は、牧さんが酒に酔って少年に絡んだことを暴行の発端と認めたが「命を奪われるまでの落ち度はなく、車内暴力事件として社会に衝撃を与えた」と指摘した。

 少年2人は起訴事実を認めていた。弁護人は、牧さんに挑発的な言動があったとして、過剰防衛の成立などを主張し、執行猶予付きの判決を求めていた。

 2人は事件当時18歳だったが、東京家裁が逆送致して起訴され、一般の刑事裁判を受けた。一緒にいた2人は、暴行に加わっていないとして、立件されなかった。

[毎日新聞2月19日]

9.バラバラ殺人:
横田被告に東京高裁が死刑判決 1審を破棄 


強盗殺人罪で無期懲役判決を受け、仮出獄中の99年、家業手伝いの嵯峨亜紀子さん(当時21歳)を殺害し、遺体をバラバラにして捨てたとして、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われた作業員、横田謙二被告(53)に対し、東京高裁は30日、無期懲役とした、さいたま地裁判決を破棄し、死刑を言い渡した。高橋省吾裁判長は「仮出獄から1年足らずで殺人を犯すなど、ささいなことに過剰に反応する性格は矯正は事実上不可能。被害者が1人でも、極刑はやむを得ない」と述べた。
 判決によると、横田被告は99年1月、東京都足立区の自宅で嵯峨さんに2万円の小遣いを渡したところ、「これっぽっち」などと言われ腹を立て、嵯峨さんを絞殺し、埼玉県川口市の荒川に捨てた。横田被告は、嵯峨さんが働いていたスナックの客だった。

 被告側は「嵯峨さんが先にナイフを振り回した」と過剰防衛を主張したが、判決は「証拠から、ナイフを振り回した事実を認めることはできない」と述べた。また、被告側は「被害者の言動による偶発的な犯行」とも訴えたが、高橋裁判長は「(羽振りがよいように装った)虚言に満ちた生活で自らが招いたもの。不合理な弁解をしており、真に反省しているとは言えない」と述べた。 【小林直】

 横田被告の弁護人、大熊裕起弁護士の話 弁護人としては上告するつもりだが、被告は常々「死刑にしてくれ」と言っている。最終的には、被告と相談して決めたい。
[毎日新聞2002年9月30日]

10.兄死なせた男性、逆転無罪

 暴走族に襲われた兄=当時(21)=を助けようと、暴走族に向かって乗用車をバックさせ、兄をはねて死亡させたなどとして、傷害致死と暴行の罪に問われた大阪府和泉市の男性(24)の控訴審判決で、大阪高裁は4日、有罪の一審判決を破棄し、無罪を言い渡した。
 河上元康裁判長は判決理由で、暴走族に車を衝突させた暴行罪は「正当防衛が成立する」と認定。兄を死なせた傷害致死罪も「暴走族から身の危険を感じるほど攻撃され、動揺していた。過失があったとはいえない」と判断した。

 一審の大阪地裁堺支部は懲役3年、執行猶予5年を言い渡していた。

 判決によると、男性と兄は平成10年7月、知人の女性をめぐって暴走族7人とトラブルになり、大阪府堺市の路上に呼び出されて木刀などで襲われた。

 男性は車内に逃げ込んだが、兄が逃げ遅れたため、車をバックさせて兄と暴走族1人にぶつけ、兄を出血性ショックで死亡させた。                           [産経新聞2002年9月4日]

 

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