【要旨】    1.一 リースによりカラオケ装置を稼働させたスナック経営者に対する社団法人日本音楽著作権協会よりの著作権侵害による損害賠償が認められた事例。
二 カラオケ装置のリース会社の行為は、それ自体切り離し抽象的にみれば管理著作権を侵害しないが、右音楽著作権協会の許諾を受けないでカラオケ装置を稼働することが、管理著作権の侵害になるとの危険発生を創出し、その危険を継続させ、危険の支配、管理に従事する行為といえ、それにより利得を得ているのであるから、右会社は、条理上、危険の防止措置を講じる義務、危険の存在を指示警告する義務を負う。
 2.社団法人日本音楽著作権協会の許諾を受けないでカラオケ装置をスナック内で稼働したことについて、1日40曲が使用・演奏されたとして、右協会の著作物使用料規程を参考にカラオケスナックの経営者と共同経営者である夫に、計58万2000円、さらに、リース会社とともに68万2000円の賠償を認めた事例。
 3.カラオケ装置のリース会社の行為は、それ自体切り離し抽象的にみれば管理著作権を侵害しないが、社団法人日本音楽著作権協会の許諾を受けないでカラオケ装置を稼働することが、管理著作権の侵害になるとの危険発生を創出し、その危険を継続させ、危険の支配、管理に従事する行為といえ、それにより利得を得ているのであるから、条理上、危険の防止措置を講じる義務、危険の存在を指示警告する義務を負うのにそれを怠り、スナック経営者が、管理著作権を侵害するのを幇助し、加功したもので、その点に過失があり、共同不法行為となる。
 4.レーザーディスクカラオケ装置で使用されるレーザーディスクは、その中に原告の管理する音楽著作物の歌詞の文字表示及び伴奏音楽とともに連続した映像を収録したものであり、映画の効果に類似する視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、物に固定されている著作物であるから、著作権法上は、映画の著作物に該当し、被告が店舗においてカラオケ装置により原告の管理著作物を収録したレーザーディスクを再生しこれに合わせてホステス等や客に歌唱させるときは、管理著作物の上映と演奏に当たり、これらの行為をすることは、原告の管理著作権の上映権及び演奏権の侵害となる。
 5.被告会社の業務用カラオケ装置のリース行為は、カラオケ装置により再生されるレーザーディスクに収録されている音楽著作物の大部分が原告の管理著作物であり、その許諾を得ずに同装置を使用することが即管理著作権の侵害となるというリース物件たる業務用カラオケ装置の現実の稼働状況を含めて考察すれば、管理著作権侵害発生の危険を創出、継続させ、又はその危険の支配・管理に従事する行為であり、それによって同装置をリースする被告会社は対価としての利得を得ているから、同行為に伴い、当該危険の防止措置を講じ、危険の存在を指示警告する義務を生じさせると解されるのに、被告会社は注意義務を怠り、リース先の店舗の経営者に何らの措置も講じなかったから、被告会社はリース先店舗の経営者が原告の管理著作権を侵害するのを幇助し、これに加功したもので、幇助・加功について過失があるから、リース先店舗の経営者とともに共同不法行為者たる地位に立つというべきである。
 6.著作権法114条1項は推定規定であるのに対比して、同条2項は法定規定であり、通常の使用料相当額が最低限の損害賠償額として保障され、著作権者としてはこれを請求する限り、実際にどれだけ損害があるかは問題とされずに、無条件で侵害者は支払義務を負う。
【裁判年月日等】平成 6年 3月17日/大阪地方裁判所/判決/昭和63年(ワ)第6200号
【事件名】   カラオケ著作権侵害差止等請求事件
【裁判結果】  認容
【上訴等】   控訴
【裁判官名】  庵前重和 小沢一郎 阿多麻子
【審級関係】  控訴審   平成 9年 2月27日/大阪高等裁判所/判決/平成6年(ネ)第841号 判例ID:28030360
【参照法令】  民法709条/719条/著作権法2条/22条/26条/112条/114条
【出典名】   知的財産権関係民事・行政裁判例集29巻1号230頁
判例時報1516号116頁
判例タイムズ867号231頁
【判例評釈】  角田政芳・コピライト436号20〜29頁1997年7月
山口裕博・判例評論438(判例時報1531)号211〜216頁1995年8月1日





【要旨】    1.著作権の信託的譲渡を受けている音楽著作権の管理団体から提起された著作権ないしその演奏権、録音権等の支分権による損害賠償請求が認められた事例。
 2.日本音楽著作権協会の管理する音楽著作物を、右協会に無断で社交場において継続して使用していることが認められる場合、社交場の経営者は右音楽著作物を営業のために演奏してはならない義務を負い、右協会の「著作物使用料規程」にもとづいて算定された額の損害賠償を支払う義務がある。
 3.著作権の信託的譲渡を受けている音楽著作権の管理団体から提起された著作権ないしその演奏権、録音権等の支分権による損害賠償請求が認められた事例。
【裁判年月日等】昭和57年 8月31日/福岡地方裁判所小倉支部/判決/昭和55年(ワ)第847号
【事件名】   音楽著作権侵害差止等請求事件
【裁判結果】  認容
【上訴等】   控訴
【裁判官名】  武内大佳
【審級関係】  控訴審   昭和59年 7月 5日/福岡高等裁判所/民事第2部/判決/昭和57年(ネ)第595号/昭和58年(ネ)第329号 判例ID:27755073
上告審   昭和63年 3月15日/最高裁判所第三小法廷/判決/昭和59年(オ)第1204号 判例ID:27801652
【参照法令】  民法709条/著作権法112条/114条
【出典名】   無体財産権関係民事・行政裁判例集16巻2号485頁
判例タイムズ499号226頁





【要旨】    1.音楽著作権の侵害による損害賠償請求で、著作物使用料規定、営業日数等から、損害額が算定された事例。
 2.カフエーおよび飲食店業の経営者たる被告会社は、音楽著作物の利用に際し他人の著作権を侵害することがないよう相当の調査をなすべき義務があり、日本音楽著作権協会の管理する著作物を使用するについては、右協会の使用許諾を受け、相当の使用料を支払う義務があるにもかかわらず、無断でこれを使用していた場合、故意または過失により右協会の著作権を侵害したものである。
 3.日本音楽著作権協会の管理する音楽著作物を社交場において使用する場合は、右協会の定める「著作物使用料規程」にもとづき、演奏会形式による演奏の使用料の五割の範囲内で使用状況を参酌して決定することとされているから、右規定を著作物使用状況に適用して使用料を算定する。
 4.音楽著作権の侵害による損害賠償請求で、著作物使用料規定、営業日数等から、損害額が算定された事例。
【裁判年月日等】昭和57年 8月 9日/神戸地方裁判所/判決/昭和56年(ワ)第1410号
【事件名】   著作権侵害排除等事件
【裁判結果】  認容
【裁判官名】  渡部雄策
【参照法令】  民法709条/著作権法112条/114条
【出典名】   判例タイムズ499号224頁