「健康寿命」日本 4年連続世界一
12/19 YOMIURI ON-LINE 医療ニュース

 世界保健機関(WHO)は18日、平均寿命や健康でいられる期間を示す「平均健康寿命」をまとめた2003年版世界保健報告を発表した。日本は平均寿命81.9歳、平均健康寿命75歳といずれも加盟192か国中トップだった。平均健康寿命は、平均寿命から重度のけがや病気の期間を差し引いた指数で、WHOが2000年版の報告から導入した。日本は4年連続で首位を維持。続いて、サンマリノ(73.4歳)、スウェーデン(73.3歳)、スイス(73.2歳)などとなっている。日本人は男女別でも、男性72.3歳、女性77.7歳とそれぞれ1位だった。平均健康寿命が最も短かったのはシエラレオネ(28.6歳)で、日本との差は46歳以上に及ぶ。
 前回のWHOの報告同様、今回も日本は平均寿命・平均健康年齢において加盟国中トップとなった。しかし、日本の医療が優れているかというと必ずしもそうではないだろうし、そのように考える人々の数もそれほど多くはないであろう。なぜ、日本の医療提供体制に問題がありながらもこのような指標では世界一なのだろうか。医療提供体制に関する問題は、効率性などの経済的問題や患者満足といった点にのみ関わってくるのかもしれない。事実、日本の医療分野では、赤字の医療機関が約3割存在し、また、医療保障部分でも財政的困難に直面している。患者満足という点でも、患者の満足感と治療の結果が必ずしも一致しないために、医療提供体制の問題と健康の指標には関係がないのではないだろうか。

 平均寿命の長い国の順位は以下の通りである。
<男性>                  <女性>
1.日本        78.4        1.日本        85.3
2.アイスランド    78.4        2.モナコ       84.5
3.スウェーデン   78.0        3.サンマリノ     84.0
4.オーストラリア  77.9        4.アンドラ       83.7
5.モナコ       77.8        5.フランス      83.5
6.スイス       77.7        6.スイス       83.3
7.シンガポール   77.4        7.オーストラリア   83.0
8.イスラエル     77.3        8.スペイン      83.0
9.カナダ       77.2        9.スウェーデン    82.6
10.サンマリノ    77.2       10.イタリア       82.5

というような順である。このように見てみると、G8に数えられているような、いわゆる先進国は日本を除いてはイタリア、カナダ、フランスといったところで男性・女性ともにトップ10内にランクインしている国はG8 の中では日本のほかない。また、医療費世界一であるアメリカもランクインしていない。アメリカがランクインしていないことから、医療費の高低はそこまで健康の指標には関係がないと言えるだろう。では、なぜあれほどまでにアメリカの医療費が高いのだろうか。不思議である。今後、研究を進めていく上で、余力があればこのあたりにもせまってみたいと思った。  


<政府方針> 診療報酬1.0%下げ
12/19 日本経済新聞1・3面

 政府は18日、2004年度に医療機関に支払う診療報酬(医療費)を薬・医療材料価格を含めた合計で1.0%下げる方針を決めた。薬・材料部分で1.0%下げ、診断や手術など医師本人の診療行為への報酬である「本体部分」は横ばいとする。小泉純一郎首相は物価や賃金の下落から本体部分の下げを指示していたが、安全対策費の確保などを理由に本体部分のマイナス改定は見送った。
 診療報酬に関する一連の動向が収束をみせたようだ。結局、薬・医療材料部分における下げが実施されるようだ。本体部分については、さすがに自民党からの圧力がかかったようである。医師会と歩調をとるために、自民党は社労関係議員を中心に本体部分のプラスを要求したとのことである。来年夏に控える参議院選があるために、医師会の政治力を無視することはできないだろう。微々たる下げでは、それほど有権者の票を期待することもできないのではないかとも思う。
 このように診療報酬をめぐる議論の中で、薬・医療材料部分と本体部分において結果がくっきり分かれた。その背景には、自民党と医師会のように政治的内容があるようである。では、今回の改定で“下げ”となった薬・医療材料部分には政治力が弱いのだろうか。その点に疑問を抱いた。薬価差益は6%近くあるという。このように薬価差益が大きく出るような状況は、過剰投薬につながる危険性があるゆえに放置していいとは思えない。しかし、裏返せば、医療機関にとってはこの差益は収入源として大きな存在感をもつのではないかと感じた。現在、医療機関の約3割が赤字であると言われる中、このような存在感ある収入源が縮小されつつあるという点については反発はないのだろうかと感じた。


予防接種料金で下限設定 四日市医師会が指示
12/11 Yahoo!ニュース

  三重県四日市市などの医師でつくる四日市医師会(中嶋寛会長)が、65歳未満のインフルエンザ予防接種料金の下限を、1回3800円以上にするように働き掛ける文書を会員の医療機関に流していたことが9日分かった。独占禁止法違反の疑いもあり、公正取引委員会中部事務所(名古屋市)が9日午後、関係者から事情を聴く。
 インフルエンザの予防接種は65歳以上は公費補助があり自己負担は大幅に減るが、65歳未満は原則、全額自己負担となる。接種料金は医療機関が自由に決めることができる。
 会長、副会長、理事名の同文書は10月6日付で「65歳未満の接種料を3800円以上でお願いします」と要請。それ以下の料金の場合は「医療機関相互の信頼関係を損なうばかりでなく、患者様に不信感を招く恐れがあります」としている。

 予防接種には保険が適用されないことは、この記事で書かれているとおりである。1人1回3800円以上というのは、決して安価だとはいえない気がする。インフルエンザは、決して軽い病気ではなく、インフルエンザがもとで亡くなる人は毎年出ている。インフルエンザのように、予防接種によって事前に疾病を避けられるとなっているものに対して需要が高くなるのは自然であり、現に、今年もすでにワクチンの在庫は各医療機関で少なくなっており、品切れ状態のところは少なくないという。たしかに、希少資源である。しかし、だからといって、価格でこの資源の配分を決めてしまってよいのかということを、この記事を読んであらためて感じた。価格の下限が設定されるということは、それ以下の価格で提供していたサービスの価格が引き上げられてしまうことであり、このサービスを受けようとする人々の中には、そのことをあきらめる人も出てくるはずである。つまり、お金で健康を買うようなことであり、極言してしまうと、所得の差は健康の差ということにもなりえない。
 健康ほど人々の感情に敏感に影響をあたえるものはあまりないだろう。今回の件のように、健康関係について密かに料金の下限を設定しているという事実はより一層医療機関への不信を助長するのではないだろうか。また、この医師会による文書も、「医療機関相互の信頼関係を損なうばかりでなく・・・」というように、各医療機関に対して圧迫的な内容である。医療の供給過剰といわれる日本の中で、自らの組織を維持するためになりふりかまっていられなくなり、このようなことを四日市の医師会は企図したのではないかと感じた。


<予防医学会>4日に第1回学術学会 京都市内で
12/2 Yahoo!ニュース

 病気の予防を研究、検証する「日本予防医学会」が設立され、4日に第1回学術集会が京都市内で開かれる。社会の健康に対する関心が高まり、生活習慣病やがんなど病気の予防だけでなく、健康補助食品の効果なども研究対象に含め、予防医学としての確立を目指す。年1回、市民向けの講座を開くことも検討している。
 医療とは何かと考えたときに、病を治すことだけが医療なのかと考えれば、そうではない。疾病にかからないよう予防することも当然、医療である。病気になりたい人など普通はいないことを考えると、予防医療こそ、理想的な医療なのではないかとも考えられる。また、病気を治療するために早期発見することも予防医療の一つである。早期発見の効果が大きいものの代表的な例ががんである。しかし、まだまだ早期発見できている患者は数少ないのが現状ではないかと思った。少なくとも、患者のほとんどが早期発見を実現できているわけではないだろう。検査には、早くて丸一日近くの時間を要する。仕事をしていると、どうしても丸一日もかけて検査することがたやすくはないだろう。

 丸一日の検査で、将来病気にかかる危険性を把握したり、または、病気の早期発見、根治につながるかもしれない。今後の医療分野で、大きな活躍の可能性を秘めている予防部分がより社会で認知されるようになるには、その効果が認知されなくてはならないだろう。



「かかりつけ医」の条件
10/13 週刊社会保障 おかめ(傍目)ジャーナル

 『「かかりつけ医」というのは、「親友」と同じです。その最も重要な条件は、人間として信頼できるかというかです。そのもとになるのは「ウマが合う」ということです。医師と「ウマが合う」かどうかは、その医師の学歴や専門科目、職歴、入会学会を調べてみてもわかりません。付き合ってみなければ、親友になれるかどうかわからないのと同じです』。日医の櫻井秀也常任理事が医療経済研究機構のシンポジウムで、このような意味の「かかりつけ医」考を述べた。さらに櫻井氏は、かかりつけ医に求められる役割のなかに、必要な時には患者さんの状態にふさわしい専門の医師を紹介するという「振り分け機能」がある、とも述べている。
 厚生労働省は、「医療提供体制の改革ビジョン」を決めた。そのなかに「かかりつけ医等の役割と在宅医療の充実」が出ている。いまは「かかりつけ医」としての制度化はできていない。アメリカやイギリスは「家庭医」としての制度が定着しているが、これからはわが国の医療制度の中に「かかりつけ医制度」を創設すべきである。
 かかりつけ医には、「振り分け機能」を十分に発揮できる学問と能力を備え付けた医師でなければならない。開業医という立場はプライマリ・ケアの知識と能力が問われる。「かかりつけ医」に「振り分け機能」を発揮するためにも「かかりつけ医制度」を創設することが必要であるが、そのためには、@かかりつけ医の研修制度義務化、AEBMの習得という条件を克服する必要がある。

 今回は、かかりつけ医についての記事についてのコラムである。予防医療とは直接関連あるわけではないが、予防医療が社会化されるためには、かかりつけ医のような、患者の立場に近い医師が必要であると思った。医師会の櫻井氏は「ウマが合う」医師が必要であると述べているが、やはり、「ウマが合う」だけではいいはずがないだろう。当然、技術や知識も要求される。日医は、かかりつけ医についての制度を創設することは望んでいないようである。というのも、これまでかかりつけ医についての議論が定期的になされてきた中、厚生労働省に上に書いてあるようにかかりつけ医創設への意欲があるのに対して、そのことを制度化するというよりもむしろ、診療報酬の改定によるインセンティブ・スキームが組まれていることを見れば、そこに、医師会の反発があるのではないかと推測することができる。制度化されれば、@研修制度義務化、AEBMの習得という条件を克服する必要があると、この記事で述べられているように、現在の医師のスタイルは変革せざるを得ない。だが、このように、医師にその質を保つような条件が課せられるようになれば、医療の需要者側である患者にとっては、現状に比べてベターであるといえるだろう。
 イギリスにしろアメリカにしろ、家庭医制度が完全な制度ではないことは、それぞれの国の抱える問題を見れば分かる。だからといって、現在の日本の制度が完全でないのは確かである。医療の効率化のためにも、患者本位の医療のためにも、家庭医制度の創設に本腰を入れて議論しても良い時期ではないだろうか。
 


21世紀の健康増進事業
11/17 週刊社会保障 おかめ(傍目)ジャーナル

 茨城県大洋村では、筑波大学の指導を受け、健康増進のための「生き生き教室」を開設し、筋力トレーニング等を実施している。実施2年後の医療費削減効果を調査したところ、参加者は2年間で約4万4千円増にとどまったが、非参加者は9万8千円も増えている。したがって、健康増進事業に参加した者は5万4千円の医療費削減効果があったという発表があった。
 現在の国民医療費は約31兆円(老人医療費・4兆円)であるが、2010年には42兆円(老人医療費15兆円)、2025年には70兆円(老人医療費34兆円)と、上昇の一途を辿る予想である。
 当然、国民医療の増大に伴い、保険料負担も増えるわけで、2025年では現時点に比べて16兆円、公費負担は18兆円増大する見込みだといわれている。
 これからは医療の効率化を通じて公的医療保険の医療費全体の増加を抑制し、国民のニーズに対応した質の高い医療を提供するメカニズムを確立することが必要だということから、経済産業省では「健康サービス産業創出支援事業」を始めることとした。この支援事業の考え方は、「健康増進・疾病予防への国民意識の高まり等を背景として、健康サービスに対する潜在的ニーズはきわめて大きいものがある。しかしながら、こうしたニーズにこたえられるサービスが十分提供されていないのが現状である。このため、新たな健康サービスの創出を図るため、先進的な健康サービス提供体制構築支援を行う」ということである。現在問題となっていることは、保健・医療・福祉の連携不足、健康に関する根拠不足、保険者機能の脆弱性、利用者の選択を通じた競争を阻害する規制、予防インセンティブのない公的保険制度等である。こうした問題点を解消することが支援事業の狙いである。

 ここでいう「生き生き教室」とは、疾病予防のうちの一つのかたちである。この「生き生き教室」にどれだけの人が参加しているかによって、この記事にある効果の数字は変化すると考えられるが、動きとしては悪くない方向を向いていると感じる。罹患前に疾病をくいとめるという予防医療が社会に浸透していくことで、国民にとって見れば、罹病する確率が下がり、満足を得ることができるのではないかと思う。
 また、この記事で取り上げられているように、医療費の削減にもつながると見られている。たしかに、このような活動によって病気にかかる確率が下がれば、当然病院にも行かないようになるし、薬も使わないようになるために医療費は削減されるだろう。そうすると、病院や診療所などの医療機関にとってみれば、売上げが落ち、収入が減少するために、経営が困難になり、医療機関の淘汰にもつながってくるのではないかと思った。そこで、先進国の中で比較して、日本の医療供給主体が多いということには、予防医療の社会的認知度と関係があるのではないかと疑問に思った。研究で、このことにも触れてみたいと思う。

 日本では、予防医療のポジションは決して高いものではない。予防医療が保険診療に含まれていないという事実から、そのようなことを言えるだろう。もし、予防医療が保険診療に含まれるようになれば、予防医療に対するアクセスが増大し、予防医療についての公平性は向上するのではないかとも考える。



予防・医療・介護の連携を  ―高齢者リハ研究会が「論点整理」案―
11/10 週刊社会保障 ニュースの目

 介護保険制度の見直しに向け、社会保障審議会の介護保険部会等がの審議が進む中、厚生労働省の高齢者リハビリテーション研究会(座長=上田敏氏)は10月29日午後、東京・麹町の東条インペリアルパレスで会合を開き、厚生労働省事務局が提出した「論点整理(案)」をもとに、意見交換を行った。同研究会は、老健局長の私的研究会として、今後の高齢者のリハビリテーションのあり方について精査・研究することを目的に、今年7月に設置された。主な検討事項は、@要介護状態にならないようにする予防的リハビリテーション、A介護が必要となってもできるだけ重度にならないようなリハビリテーションの提供体制等であり、これまで検討事項に沿って関係者からのヒアリング、意見交換を行っていた。今回の論点整理(案)は、これらの意見をもとに、厚生労働省事務局が作成したもので、総論と各論で構成されている。総論としての課題では、「利用者の状態像とサービスのミスマッチ」、「予防・医療・介護サービスの連携が不十分」などの問題を指摘し、今後の対応としては、@ここの利用者の生活機能の向上に向けた効果的な介護予防・リハビリテーションの推進、A利用者本人を中心とした予防・医療・介護の切れ目のない総合的なサービス提供の推進を求めている。
 また、各論では、普及啓発の課題として「介護予防・リハビリテーションに関する国民の理解不足」をあげ、今後の対応として、国民向け、医療・介護関係者向けに、「高齢者の選択、自己決定が可能となる普及啓発の推進」を図ることの必要性を示している。

 日本における従来の医療システムでは、『量とアクセス』が重視されてきた。供給主体が多く、「いつでもどこでも安価」でサービスを受けることが可能である。しかし、少子高齢化や生活環境の向上によって、国民がかかる疾病が変化してきている。高齢者が増加することで、慢性的な疾病の罹病者も増加していると思われる。このような慢性的疾患の中には完全に治療することができるものは必ずしも多くはない。このような部分いついては、介護サービスの拡充によってカバーすることは可能だと思われる。では、疾患を予防する部分は拡充されているのだろうか。海外では治療プログラムの中に予防部分が組み込まれているというところがあるという。それらを参考に、なぜ、日本の医療では、予防医療が浸透しないかを考えてみたい。


「人間ドッグ」に評価制度  ―日病集計で13.3%が「異常なし」―
9/8 週刊社会保障 ニュースの目

 日本病院会の予防医学委員会(委員長=奈良昌治氏)は8月21日午後、東京・一番町の同会で記者会見を開き、平成14年度人間ドック全国集計成績を発表した。日病指定の約900の人間ドック実施病院・施設からアンケート調査で得た回答をもとにしている。平成14年の一泊人間ドック、一日人間ドック等を合わせた人間ドック受診総数は284万人で、前年よりも約7万人増加した。このうち、全項目異常なしの割合は年々減少して過去最低の13.3%(前年14.5%)となっているが、同会では、受診者の健康度の悪化よりも。華麗の影響や検査項目の増加によるものと説明した。また、今年は人間ドックのがん統計を初めて発表した。人間ドックで最も多く発見されるのは胃がんであるが、全体のがんに占める胃がんの割合は年々減少し、検査方法が普及した乳がんや前立腺がんの伸びが目立っている。人間ドックで発見した胃がんと大腸がんの約8割が早期がんで、「がんの早期治療・早期発見という2次予防に人間ドックが非常に有用であることが確認できた」としている。このほか、同日の会見では、奈良委員長が来年度からスタートさせる「人間ドック・健診施設機能評価」について説明した。人間ドック・健診施設の質の改善を促し、受診者が安心して健診を受けられることを目的としている。
 現在の日本において、がん、脳卒中、心筋梗塞が3大死因と言われている。戦後などに比べると、感染症による死亡例は格段に減った。これは、感染症に対する予防医療の成果と言ってよいだろう。そのような感染症に比べて、これら3大死因を予防することは困難だろう。というのも、これらの疾病の要因は、おそらく、ライフスタイルに大きく関連するため、本腰を入れてこれらの疾病を予防しようと思ったら、大きなコストがかかるだろう。まず、日々の食事に注意を払わなければならない。さらには、喫煙や飲酒も抑えなければならない。タバコに関して言えば、吸わない人でも、副流煙を極力吸わないよう注意を払わなければならない。このように、完全に、これらの疾病が発生することを抑えることはほぼ不可能に近い。それでは、早期発見についてはどうだろうか。今回の発表では、人間ドックで発見された胃がんと大腸がんの8割が早期のがんであり、予防に人間ドックが非常に有用であると述べられている。このように早期発見をすることは可能であるということが示されている。当然のように、疾病は、早期発見されればされるほど、完治する可能性は高い。本当に患者本位の医療を目指すなら、このような予防・健診をもっと拡充する必要があると感じる。個人的には、量とアクセスを重視した診療よりも、質に重点を置いた医療の方が重要であると思う。というのは、患者を、少ない負担でより完治の可能性がある方法で診療することこそが患者本位の医療であると考えるからである。そのためにも、予防医療についてのアクセスの機会の拡充や経済的負担の軽減ということを考える必要があるのではないだろうか。


12規制改革「ゼロ回答」
12/7 朝日新聞 1面

 政府の総合規制改革会議(議長・宮内義彦オリックス会長)が年内にまとめる最終答申案が6日、明らかになった。コンビニでの医薬品販売の解禁や株式会社の病院・学校経営への参入など12項目の「重点検討事項」について、各省庁の対応を「ゼロ回答」と判断し、改革会議の主張を列挙するにとどめている。大胆な規制改革を政策の柱に掲げてきた小泉首相が、足元で続く省庁側の抵抗にどう対応するかが焦点となる。
 総合規制改革会議の「12の重点検討事項」
・株式会社による医療機関経営の解禁
・「混合診療」解禁
・労働者派遣業務の医療分野への対象拡大
・医薬品の一般小売店における販売解禁
・幼稚園・保育園の一元化
・株式会社、NPOなどによる学校経営の解禁
・大学、学部、学科の設置の自由化
・株式会社などによる農地取得の解禁
・高層住宅に関する抜本的な容積率の緩和
・職業紹介事業の地方公共団体・民間事業者への開放促進
・株式会社による特別養護老人ホーム経営の解禁
・株式会社による農業経営の解禁

 これらの項目があるわけだが、このような項目を提示するだけで展開が進むとは思えない。二木氏は、医療において抜本的改革は不可能であるということを、アメリカやイギリスの例を出して示している。国内事情のみで、市場原理を導入するような『抜本的改革』を断行するのは困難だと感じる。このような事項についての議論が進むには、外圧などの外的要因によると考えられる。

 医療や教育という分野に、成功の可能性が未知数である改革を行うのには反対である。この場合の成功とは、現行の制度で達成されている公平性やそれぞれのサービスの供給主体の経営健全性が損なわれない、または改善されるということだと考える。もしこの可能性が未知数なら、それによって不利益を受ける人も出てくるであろう。そのような場合に、どのような対処を施すのかという議論も、これらの項目と平行して議論されるべきだと考える。


診療報酬 首相、引き下げを指示
12/6 朝日新聞 1面

 医療機関に対して公的保険から支払われる診療報酬の04年度改定について、小泉首相が引き下げる方向で検討するよう厚生労働省に指示したことが5日、明らかになった。首相の指示を踏まえ、年末の予算編成に向けて議論が本格化する。日本医師会などはマイナス改定に強く反対しており、政府・与党内の議論も紛糾が予想される。
 実際に、診療報酬の引き下げが小泉首相によって指示された。厚生労働省の調査によると、薬価は公定価格よりも6.3%高くなっているという。そのため、薬価についての04年度改定での引き下げは確実視されている。また、診療報酬の本体部分についても、医療機関全体では、粗利益率は落ち込んでいるものの、国公立以外の病院・診療所では黒字経営になっている。これに対して、医療機関側は、黒字とはいえ借金返済などがあり、経営を改善する必要があるために引き上げを主張している。

 経済全体が縮小している中で診療報酬だけが拡大していると、財源不足により保険財政を圧迫するのは必至である。また、折からの医療不信の中で、医師が相変わらず高い給与をもらっているとなると、その不信も増大するのではなかろうか。

 しかし、国公立以外の医療機関が黒字だからといって診療報酬の本体部分を引き下げるというやり方はやや強引な気がする。これらの医療機関の経営が、経営努力の結果の黒字だとしたら、努力すれば努力するほど、経営は苦しくなっていくといえるのではないか。では、逆に、赤字の医療機関が増えれば、診療報酬は引き上げられるということなのだろうか。もしそうだとすれば、医療機関側が経営努力をしようとするインセンティブをそぐことになってしまうのではないか。


予算攻防 診療報酬に下げ圧力
11/27 日本経済新聞 2面

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が26日、年金給付や診療報酬引き下げを求める意見書をまとめ、来年度予算編成の焦点となる医療と年金を巡る議論が本格化してきた。診療報酬では開業医の収益が2年前より約1割減る一方、勤労者と比べるとなお高水準という調査結果が明らかになり、医療機関が引き上げを要求。逆に企業など健康保険側は下げを求めており、攻防は激しくなっている。
 この記事によると、厚生労働省が中央社会保健医療協議会(厚生労働相の諮問機関、以下中医協)に提出した、診療報酬改定にあたっての基礎データとなる医療経済実態調査では、6月時点の開業医の収益は平均227万円で2年前より9.9%減っているという。診療報酬は2002年度改定で2.7%引き下げられており、また、患者の窓口負担増によって受診を控える人が出たことによってこのような結果になっているようだ。

 従来の日本型の医療システムは、フリーアクセスと皆保険により、量とアクセスに重点が置かれてきた。そのため、一回の診療あたりの価格が低く、その分、繰り返し診療を受けるような態勢であった。しかし現在では、患者負担は3割に引き上げられたため、窓口で患者が払う、診療一回あたりの価格は高くなっている。負担が大きくなれば、繰り返し通院することは、家計を圧迫するために困難になってくる。そのため、日本の医療システムは、『量とアクセス』から『質』へと重点を移す必要があるのではないだろうか。

さて、診療報酬についてである。診療報酬が低下すると、医療機関にとっては収入が減少してしまい、経営がより厳しくなってしまうために、診療報酬の低下は避けたいであろう。しかし、だからといって診療報酬を上げれば良いかといえば、必ずしもそうではない。診療報酬が上がれば当然、患者が負担する額は大きくなる。日本の医療システム変化しなければ、診療報酬の上げ下げによって、医療サービスの供給側・需要側のどちらかが損をしてしまう。そのため、日本の医療は、少子高齢化やニーズの多様化などといった要因以外にも、財政的な面からも医療システムの変革を迫られているといえるだろう。


中曽根元首相 議員引退を表明
10/28 日本経済新聞 2面

 自民党の中曽根康弘元首相は27日夜、貴社会見し、衆院選への立候補を断念することを正式に表明した。自民党の安部晋三幹事長が中曽根氏を訪ね、同等の比例代表候補として公認しないことを最終的に伝達。小選挙区からの立候補も見送った。
 中曽根氏と宮沢氏の定年問題について、先週末頃から大きく報じられてきた。宮沢氏は早々に、立候補断念を了承したが、中曽根氏については対決姿勢をあらわしてきていた。宮沢氏は、後継をしっかり整えた上での立候補断念の了承である。それに対して中曽根氏は、比例代表区終身一位という『約束』を破られることに対しての反抗であった。
 今回のような引退劇の裏には、新しい議員の登場がある。同日43面には、『世襲目立つ自民』という記事がある。ここで、自民党道連は、元総務庁長官砂糖孝行氏の後継として次男、健治氏が立候補するにあたり、「政治の世界を小さいころから知っており、即戦力になる」と述べている。本当に政治を小さいころから知っているのだろうか?そして、本当に即戦力になるのと思っているのであろうか?不思議でしようがない。このように、世襲が相変わらず続いているようでは、真の世代交代は自民党では起こらなくなるだろう。
 
 1、2年前の小泉首相であれば、おそらく、世論を味方につけて、より上手い形でこの話をもっていったのではないだろうか。しかし、新聞の論調を見ていると、中曽根氏に同情的な感じがしなくもない。歴史小説を読んでいると、『時代の流れ』というものの重要性について考えさせられる。衆院選前のこのタイミングにあって、藤井道路公団総裁の件や今回の件のようなごたごたが起きている。時代の流れというものを感じずにはいられない。衆院選の結果はどうなるのであろうか。楽しみである。


病院の兼業規制緩和
10/25 日本経済新聞 1面

厚生労働省は近く、民間病院が本業以外の収益事業を営める「特別医療法人」となるための条件を大幅に緩和する。特別医療法人は全国に現在約30しかないが、2000以上の病院が同法人に移行できるようにする。医療関係に限定している収益事業の内容も原則自由化し、学習塾経営なども可能にする。病院経営の安定化が狙い。ただ「経営の非営利原則」が揺らぎかねず、株式会社による病院経営議論にも影響を与えそうだ。


特別医療法人・・・病院が解散した場合に、全ての財産を国や自治体に返還する公共性の高い病院を経営する法人。解散しても公的な病院として存続することが可能。1998年に創設され、公益性を高める見返りとして病院経営以外の収益事業を営むことが認められた。収益業務は、医療関係などの12種類に限定されている。現在、民間病院の大半は社団医療法人。同法人の場合は病院が解散した場合、出資金を出資者に返還しなければならず、病院の存続は難しい。ただ特別医療法人となるためには役員の給与を年3600万円以下にするなどの条件や、収益業務が12種類に限定されていることなどから数は増えていない。   (同日3面 きょうのことば より)

 病院経営は医療費抑制政策や経済不況などが相まって、厳しい状況にある。病院経営を安定化させ、且つ医療サービスの質の低下を抑えるためには、支出部分の見直しだけでなく、収入項目を大きくする必要もあるだろう。その中で、このように病院の兼業が可能になるということは、確かに病院経営の一助となるであろう。しかし、病院経営による収益事業としての兼業が可能となることで、『非営利』という概念も変わってくるだろう。『病院経営の非営利性』から『病院経営において、医療サービス供給については営利性を追求しない』というように原則が移行してくるとも考えられる。そうなると、株式会社による病院経営に対する反論も変化せざるをえないであろう。
 ただ、特別医療法人に認められている収益事業の多くは、理容業、美容業、クリーニング業、一般飲食業など病院内でも取り扱うことが可能なサービスであるため、入院中の患者にとって、便利となるとも考えられる。 


医師の目(中)  日野原重明
6/16 日本経済新聞 33面(医療)

 日野原氏が理事長を務める聖路加国際病院では、積極的にボランティアを導入している。このボランティアを導入したのは、1970年であるため、すでに30年以上の活動の歴史を持つ。アメリカの病院には、病床数と同数またはそれ以上のボランティアがおり、この聖路加国際病院のボランティア数はアメリカの数には及ばないが、520床で約350人という規模は国内で最大である。当初、院内では、素人が参加してくると、治療の邪魔であるとか、素人の関与は危険であるとの意見が医師から叫ばれていた。また、看護師からは、仕事をとられるとの反発もあった。しかし、ボランティアは患者の話し相手になったり、一緒に散歩したりと、患者を病の不安から開放させる役割を果たし、その真価を発揮している。冷たさを感じる病院内の空気を包んでくれる温かみをボランティアは持っている。このボランティアが、医師や看護師を助けて、「やさしい医療」の担い手となるのではないだろうか。
 一部の医師には、難関を経て医学部に入り、莫大な医療知識を身につけ国家試験を通り、技術を磨いてきたという経験から、少なからずエリート意識があるだろう。また、それに対して患者とその家族の中には、難しい医療用語はわからないし、第一お医者さんに診てもらっている立場だと考え、医師に対してどうしても頭が上がらないという人が少なくはないだろう。この暗に生じる意識の格差から、医師と患者の関係の対等さが崩れてしまうことがあるのであろう。そしてその中から『ドクハラ』と言われる現象が起きるのであろう。また、医師は患者ではなく患部のみを診ているということにもなるのであろう。これらのことが、『病院の冷たさ』という印象としてまとまっていく。患者の患部を治すことだけでは治療とは言えないのではないか。そこで、ボランティアが登場してくる。ボランティアが一人の患者に近い距離で相手となり、支えとなることで、患部だけではなく、病の不安によって傷んだ心についても治療を施すことが可能となるのではないだろうか。医師や看護師は、その『素人が参加してくると治療の邪魔』、『素人の関与は危険』、『仕事がとられるのではないか』という根拠のないマイナスの意見ばかりを唱えるのではなく、そのメリットを受け止め、医療がよりよいものとなるために考えを改める努力をしてもよいのではないだろうか。


医師の目(上)  日野原重明
6/16 日本経済新聞 33面(医療)

 日本の医師の中には、未だに誤ったエリート意識を持って患者を、診てやっているんだという態度で見下す若い医師がいる。このことが医師不信の風潮を助長しているのではないか。難関を突破して医学部に入った後、ひたすら医学知識を詰め込み、国家試験に通ってからは専門医への道をひた走る・・・。これが、日本の若い医師たちの典型的な姿だ。四年制大学でリベラルアーツ教育をを受けた後、メディカルスクールに入り、臨床のトレーニングを積む期間の長いアメリカの医師と比べると幅広い教養や基礎的な診断能力の点で大きな差があるといわざるをえない。来年四月から新人医師の臨床研修が義務化され、七つの分野を必ず経験するようになる臨床研修で幅広い臨床能力を身につけた医師を養成するということは、家庭医を増やすという時代の要請にもかなっている。家庭医が診察して特殊な病気と分かったら専門医を紹介する仕組みが、患者の大病院集中を防ぎ、医療費の膨張にも歯止めをかける。ただ、日本では患者の間にも「専門医信仰」が強く、近くの評判のいい開業医より、経験が浅くても大学病院の医師に診てもらおうとする。家庭医のメリットを活かすためにも、これから一線で活躍する若い医師には、優れた専門医ばかりを目指すのではなく、研鑽を積んで優れた家庭医になってもらいたい。
 ます、医師教育について。現在の大学受験システムの中で、超一流と言われる学力の持ち主が進むところが医学部である。そのため、医学部、医者のステイタスが上昇し、医師になる動機が、社会的な名声のため、大きな収入のためという人がいなくはないのではないか。また、エリート意識から患者を見下す医師も存在する。『ドクハラ(ドクター・ハラスメント)』という言葉が存在が、それらの現状を物語っている。日野原氏の『患者さんは、医学しか勉強してこなかったあなたより教養があり、人間的にも成熟している。たまたま病気になったために、頭を下げているだけなのですよ』という言葉がとても印象に残った。このような考え方が医師の考えの根底に浸透するような教育カリキュラムの構築が必要ではないだろうか。そのためには、現行の日本式の医学教育をアメリカ式の医学教育に近づけていく必要があるように思う。
 次に、家庭医について。家庭医を導入することで、患者の大病院への集中を防ぐことができ、また、医療費の膨張にも歯止めをかけることができる。現状の問題点を打開するための一案ではあるが、導入には多くの壁が存在するように思われる。まず、家庭医をどのようにして育てていくかである。専門医と患者の間に入って適切な情報を双方に与えていくという役割を担うため、最新で幅広い医学・薬学の知識が家庭医には求められる。それだけ多く勉強しなくてはならないポジションなため、いかに家庭医を増やすかが問題となる。常に高い医師の質を維持するためのシステムも必要になろう。また、どうも、家庭医よりも専門医の方が医師の中でのステイタスが高くなってしまううような気がしてしまう。医師が家庭医を目指そうとするインセンティブをどのように引き出すのだろうか。また、医療サービスの需要側についても、いきなり大病院へ行くのではなく、まず家庭医にかかるという行動をパターン化させるために診療段階を定めるシステムが必要になってくるかもしれない。しかし、このことに関しては、消費者の選択を制限してしまうことになるため、熟考の余地があるだろう。


公共事業含め補正
11/4 日本経済新聞 2面

与党3党の政調会長は3日のNHK番組などで、需要喚起するため公共事業も含めた今年度補正予算を早急に編成すべきだとの考えをそろって表明した。自民党の麻生太郎政調会長は小泉純一郎首相が主張している国債発行30兆円枠に関して「どうせ税収不足を補うため国債の発行が必要になる」としたうえで、突破した場合でも政治責任は問わないとの認識を示した。そのうえで「公共投資でまともなものにカネがいくなら今が一番だ」とも語り、民間需要を喚起するような事業に迷わず投資すべきだとの認識を示した。公明党の北側一雄政調会長は「首相には今月中に補正予算を前提とした対策を打つよう各省庁に指示してもらわないといけない」と強調。同時に「その際、一定の社会資本整備も前倒ししてやるべきだ。介護施設などは必要で、決して改革に逆行するわけではない」と指摘した。保守党の井上喜一政調会長も「デフレ阻止の対策は、税制と財政出動をしないといけない」と表明。両氏は30兆円枠について「具体的に意味のあるものではない」と強調した。
 私は、小泉内閣の方針を特に否定しようという考えを持っていない。なぜなら、この平成不況における主たる原因の一つとして不良債権があげられ、今その問題の解決を図っているからである。しかし、そのやり方については、やや疑問を抱く。小泉首相は、国債発行30兆円枠とか、補正予算を組まないということに固執しすぎているかのように見える。確かに、公約を守るということは重要、いやむしろ、当然のことである。しかし、この現状で、その公約に縛られて身動きができないのでは悪い方向にしか結果は向かないのではないだろうか。よく言われているように、短期間での不良債権処理が大手術なら、それに対する輸血的な政策が必要となってくる。最近、公共事業は、その背後には政治家の癒着があり、様々な利権が存在している、というように見なされ、公共事業にすっかり悪のレッテルが貼られてしまっている。しかし、万能ではない市場に、政府が適切な総需要管理によって完全雇用を達成すべきだと主張したケインズの考えからすれば、公共事業による需要喚起は正しいだろう。民営化を進め、市場に任せようとする小泉首相の新古典派的な政策だけでは、この現状を打開できるとは言えないのではないだろうか。政策の性格にあったように適切な方法で政策を実行することが、現在の日本の首相には求められている。そのため、公約に縛られたりであるとか、首相の通り一辺倒な案を通すのではなく、小泉首相にはそれぞれの政策や方針に柔軟な対応を期待したい。デフレの真っ只中、株価安、失業率・・・といった、経済的に歓迎できないニュースが飛び交うこの状況を打破するためには、視野が広く先見の明がある君主が必要なのである。

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レジ袋削減へ特典
10/11 日本経済新聞 37面

東京都内の商店街などで買い物客に渡すレジ袋を削減するため、レジ袋を辞退した人に特典サービスを与える動きが広まってきた。品川区の商店街は商品券と交換できる「コイン」を配布し、練馬区の商業ビルはポイントサービスを始めた。11月には杉並区でシールをためると買い物券になる事業が始まる。消費者に特典を与えることで削減の意識を高める。
 各自治体では、買い物袋などについての削減策に様々なアイディアを出している。買い物袋に税金をかける例もみられた。私は、この記事を見て、インセンティブについて考えた。インセンティブを与える方法には、2つの方法があると思う。1つは、あることをすれば利得を得ることができるということで、もう1つは、あることをしなければ、損失を被らなければならないというものである。後者型は、最低限度を下回らないようにするためである。それだと、最低限度を上回るようなインセンティブを与えることができるが、それだけである。つまり、向上的な行動が見られないだろう、ということだ。それに対して、前者型は、利得が得られる行動に対して段階的にランク付けを行い、それに応じた利得を得られるようなシステムにすれば、行動者はより多くの利得を得るためにその行動に対する努力を惜しまないのではないだろうか。当然、何に対するインセンティブなのか、ということで、この両者の方法を使い分けるのだろうが、この記事にあるような場合、前者の方法が適してるだろうと感じた。
 


ペイオフ 2年延期決定
10/8 日本経済新聞 1面

政府は7日、来年4月に予定されていたペイオフ(預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)の解禁時期を2005年4月まで2年間延期することを決めた。不良債権処理の加速に伴う金融システムの混乱などを防ぐため一定期間の延期が必要と判断した。株価の大幅下落を踏まえた総合的なデフレ対策となる「緊急対応戦略」の骨格を今月中旬に取りまとめ、金融安定化への取り組みを急ぐ。
 1995年6月に、大蔵省がペイオフ解禁を凍結してからすでに7年以上がたつ。今回も解禁の延期となった。銀行の経営が危ないのではないかと思わずにはいられない。政府は不良債権処理の加速に伴う金融システムの混乱などを防ぐための一定期間の延期が必要と判断しているという見解を示している。その必要性は確かにあるかもしれない。しかし、それだけでなく、現在の銀行の状況から見て、ペイオフを解禁してしまうと破綻する銀行が1つや2つ程度で収まらないのではないだろうか、という懸念の下のペイオフ延期なのではないだろうかとも思ってしまう。ペイオフが解禁されれば、1000万円を超える多額の預金の数は減少するだろう。それに加え、底の見えない株価安である。貯金がなされない分、投資に回るかと言えば、そこには多くの疑問が残る。おそらくリスキーな、株の購入は多くの消費者が控えるだろう。このような状況下では、やはりペイオフ延期もやむをえないかと感じた。



パート契約 最長3年に
10/6 日本経済新聞 1面

厚生労働省が検討している労働基準法改正案の骨格が明らかになった。パート社員や契約社員などが期限付きで労働契約を結ぶ際の、契約期間の上限を原則1年から3年に延ばす。働いた時間ではなく、仕事の成果で評価を決める「裁量労働制」を導入できる対象も広げる。不良債権処理の加速などで失業者が増えるのに対し、規制改革で働き方の選択肢を増やし雇用拡大につなげる。
 今回の労働基準法改正案の骨子は、次の通りである。
 
 ○有期労働契約
  ・契約期間の上限を原則1年・特例3年から原則3年・特例5年に延長
  ・契約終了前の雇い止めの予告などを義務づけ
 ○事務系職の裁量労働制
  ・対象を本社だけでなく、支社・支店にまで広げる
  ・導入時の手続きを簡素化
 ○労働契約内容の明確化
  ・企業が採用時に示す労働条件、商業規則に「解雇」も明記する

 労働契約期間が原則、特例ともに2年間延長されている。パート社員や契約社員にとってはより安定した雇用の場を確保しやすくなる。パート社員が1年を超えて働く場合、契約を更新しなければならないが、改正後は労使双方にとって頻繁に契約を更新する手間が省ける。パート社員や契約社員の安定した雇用の確保で、不良債権処理にともなう失業者の増加に対する受け皿的な役割としての機能が期待される。
 裁量労働制についての規制は緩和されている。これによって、支店・支社でも裁量労働制を適用できるようになる。そして、導入手続きも簡素化され、より容易に手続きができるようになる。裁量労働制は、成果主義を掲げる企業を中心に採用されている。本社だけでなく、支店・支社でも適用できるようになると、本社−支社・支店間の政策の違いが薄まり、特に支社・支店の社員のインセンティブが上向くのではないだろうか。




超−低排出ガス車 国内新車の8割に
10/6 日本経済新聞 1面

自動車各社が排ガス対策を一斉に強化する。窒素酸化物や炭化水素など大気汚染の原因物質を大きく削減し、国土交通省の「超−低排出ガス車」の認定を得る車を大幅に増やす。この結果、2003年度末には国内で販売される新車(乗用車、軽除く)の約8割が超−低排出ガスの適合車になる見通し。排ガス規制の強化は世界的な流れで、日本の自動車産業の競争力強化にもつながりそうだ。
 自動車による排ガスの規模はかなりの大きさだ。産業部門では二酸化炭素や窒素酸化物といった排ガスは減少傾向にあるのだが、民生部門は以前横ばい、または増加傾向にさえある。その原因の一つとして、自動車の排ガスがあげられる。京都議定書の温暖化ガスの基準値達成のためにも大幅な排ガス規制が必要となってくるのだが、ここまであまり大きな成果をあげられていないというのが現状だ。
 超−低排出ガス車といえば、2年ほど前までは、トヨタのハイブリッドカー、プリウスの代名詞のようなものであった。まさに、低排出機能の塊といった感じのこのプリウスが市場に出回り、有効な低排出機能とあまり有効でない低排出機能がはっきりしてくるに従い、トヨタはその無駄な部分を削いだ形で、多くの車種をハイブリッド化するようになる。世界的な排ガス規制の流れの中、日本では優遇税制が適用されていることもあり、自動車市場においてこの超−低排出ガス車は支持されている。この流れにのって、ホンダや三菱自動車も超−低排出ガス車をどんどん投入するようだ。日本が世界に誇る産業の一つである自動車産業は超−低排出ガス車という新分野で、国内だけでなく世界市場での競争力強化が期待される。全体的に重苦しいムードの日本の産業界において、明るい材料と言えるのではないだろうか。




灼熱の都市 冷却への知恵
7/13 日本経済新聞3面

都市に熱がこもって異常に暑くなるヒートアイランド現象が全国的に深刻になり、政府が緑地帯の検討に乗り出す。ゼネコンによるビル緑化をはじめとする産業界の取り組みも始動。灼熱都市を冷やす試みは都市再生の行方にも影響を与えそうだ。
 ヒートアイランド現象とは、都市部で局地的に起きる大気の高温現象で、日本全体の気温分布からみると、都市にこもった熱が孤島のように観測できることから、ヒートアイランド現象と呼ばれる。原因はコンクリート建造物が増えて熱をためやすくなったり、風の通り道をふさぐようになったことのほか、自動車や空調などから出る排熱が増えたことが挙げられる。さらに緑地や水辺が少なくなったもので大気が冷える機会が減ったことも指摘されている。

 ここ数年、夏が今まで以上に暑くなったと感じる。歩いていると、コンクリートの地面からの照り返しでジリジリとした暑さを感じ、高層ビルが乱立するところでは全く風を感じることができない。実際、夏季の都市部での気温上昇は目立ち、7〜9月の気温が30度を超えた延べ時間は最近20年間で仙台で約3倍、東京や名古屋でも約2倍に増えたという。
 
 冷房の室外機や自動車から出る熱がヒートアイランド現象の原因の一つである。夏になると、外が暑いためについつい室内で冷房をつけてしまい、その温度も低く設定してしまう。自動車内でも同様で、冷房を必ずといっていいほど使ってしまう。ビルの屋上などに緑地を設けるといったような温暖化対策もなされているが、それだけでは望ましい効果は期待できないだろう。そのため、望ましい効果を期待するためには冷房に対する我々消費者の関心が重要となってくると思う。おそらく、多くの人は冷房のつけっぱなしや低すぎる温度設定については関心を抱いているだろう。それよりも、店の中や銀行、会社などの冷房はややききすぎていて、ムダに冷房を強くしている気がしてならない。それに、屋外と屋内の気温差がありすぎるのは体に良いとは決して言えないだろう。そのため、冷房をつけるとしても、もうちょっと温度を上げるということを実践すべきだと思った。
 
 ビルの屋上などに緑地を設けるのは、温暖化対策という面以外から見ても望ましいと思った。都市部の緑地は次々に減っているため、ビルの屋上などに緑地があると、まさに都会の中のオアシスという感じがする。




宮路副大臣 週明け辞任
7/13 日本経済新聞2面

政府・与党は12日、帝京大学医学部入試での「口利き」が問題になっている宮路和明厚生労働副大臣を週明け早々に辞任させる方向になった。参院厚生労働委員会で疑惑が飛び出して疑惑が飛び出してから丸一日。同委が抱える健康保険法改正案の成立を最優先したスピード決着になる。
 この件に関して、自民党内でもさじを投げた感が伺える。確かに、政治家の倫理感に関わる事件が今年の初めから次々と明らかになり、政治家に対する風当たりが強くなっていたために、このような動きにならざるをえないだろうし、ならなければならないと言えるだろう。
 それにしても、この宮路副大臣の答弁を聞いて私は驚いた。『悪いことはしていない』という感じにしか見えなかった。明らかにやっていることは明らかに裏口入学の斡旋なのだが、「(大学総長に後援者の子弟の受験番号を知らせることは)往々にしてある」とか「今後も頼まれれば立場上問題がない限りする」と自らの行いについてまるで非がなかったかのように発言している。
 政治家になると、そして、地位が上がれば上がるほど権力が強くなり、様々な利権に関わることになるだろう。この宮路氏はやってることの善悪がつかないところまでになってしまったのだろうか。それとも、このような不正を行っている人々はみなこんな感じで善悪の判断がつかないままに行っているのだろうか。そのようなことはないと思うが、もしそうなら…権力ほどおそろしいほどに人を変えてしまうものはないだろうと感じた。




テロ基金設立断念
7/12 日本経済新聞7面

損害保険業界は、昨年9月の米同時多発テロ後に検討していたテロ被害に備える共同基金の設立を断念した。政府支援が見込めず、今のところ日本では必要性も小さいと判断したためだ。これで日本でのテロ被害への保険の備えは、政府支援を急ぐ欧米に比べ遅れることが確実になった。外国企業の対日投資に影響する恐れもある。
 イギリスでは、アイルランド共和軍(IRA)のテロ活動が続いたこともあり、テロに限定した基金への公的支援を制度化している。フランスも一月に公的資金を入れる制度を創設した。アメリカでも、テロ被害への保険支払いへの公的支援をブッシュ政権が表明、制度作りの検討が進んでいる。これに対して、日本のテロに対する保険の備えは欧米に比べて立ち遅れている。
 日本のテロに対する保険の備えが遅れているからといって、特に日本国内で大きな不満が出ているわけではない。しかし、このようなテロに対する対応の薄さが外国企業には、危機に対する対応の甘さとして映るのかもしれなく、外国企業の対日投資にも悪影響を及ぼす可能性がある。

 しかし、私は、このことは単に危機への対応の甘さという問題ではないと感じる。このような考え方の違いには歴史的な背景があると言えるのではないだろうか。過去に日本が海外から侵略されたり、脅威を受けるといったことは数えるほどしかない。実際、海外からの侵略で日本という国がなくなったということはない。それは日本が極東の島国であるということに由来するのかもしてない。それに対して、ヨーロッパ諸国では日本のような過去を送ってきたわけではない。多くの民族が土地を、そして国を得るために戦った。このような歴史が今もそれぞれの中で生きていることから、日本とは全く違う考えに至るのではないかと思った。

 グローバル化が進み、世界は昔よりも格段に狭くなり、様々な国々と交流をする機会も増えた。しかし、歴史というこれまで背負ってきたものの違いは非常に大きなものであり、その違いの溝を埋めるのは困難である。このことを認識することは、どの国にとっても交流を行う上で重要だと思う。




大型店49店舗撤退跡  半数、後継店決まらず
7/11 日本経済新聞1面

そごうが破綻した2000年7月以降、営業不振などで閉鎖した店舗面積一万平方メートル以上の主な百貨店・スーパーの半数以上で新たな企業の入居が決まっていない。日本経済新聞の調べによると、閉鎖49店中、入居企業が確定しているのは22店にとどまる。店舗過剰と消費低迷が続く中、テナント探しは難航しそうだ。
 そごうは、その極端な拡大路線と豪華すぎる店舗があだとなった。ひたすら大きな売り場面積や、豪華なモニュメントを作るといった、外見の華やかさにばかり気を配りすぎた。外見ばかり豪華ではあったのだが、品揃えはお粗末としか言いようがないほどであったらしい。たしかに、今考えてみると、そごうに行っても買うものがなかったなと感じる。売り場面積の割りに品揃えが悪かったために、店内はがらんとしているというか、何もない無駄な空間が多かったようにも感じる。それに対してドン・キホーテなどのディスカウントストアはこれとは違い、狭い面積に溢れんばかりの品物が並んでいる。これは、もしかしたらそごうなどのような経営戦略を反面教師とした戦略なのではないだろうか。

 そごうが撤退した跡地への後継企業進出が決まっていない場所の一つに木更津がある。私は木更津に中学・高校時代に6年間住んでいたのでかなり思い入れがある。そごうの撤退によって、そごうがあった木更津駅西口から活気が失われてしまった。木更津駅西口は、海側である。木更津はもともと港町で海の周辺はにぎやかだったのだが、徐々に廃れてきた感が否めなかったのだが、そごうの撤退がさらに追い討ちをかけた。
 アクアラインの開通は、木更津の救いになるかと思われた。東京湾の対岸から、比較的土地が安い木更津に多くの企業が進出してくるだろうと多くの人は考えていただろう。私が通っていた学校のすぐ近くには、『かずさアカデミアパーク』という、企業の研究施設誘致のために作られた区域がある。ここには、アクアライン開通後には多くの企業が進出してくるはずだった。しかし、長引く不景気の影響で、進出してきた企業はわずかであり、町の発展は達成されなかった。

 このように、不景気と、それに伴う大規模店舗の撤退によって活気が失われてしまった町は少なくないだろう。現在、大規模店舗撤退の跡地に進出しているのは、ヤマダ電機など業績好調な家電量販店だ。以前のような大規模な百貨店ほどの華やかさはないだろうが、地域活性化のきっかけとなりうるかもしれないだけに、寄せる期待は大きいのだが、そごうのような極端過ぎる拡大路線はとらない方がいいのではないか、とも感じ複雑である。




世界経済回復持続へ協調
6/16 日本経済新聞1面

ハリファクスで開かれていた主要国首脳会議(カナナスキス・サミット)財務省会合は15日昼(日本時間16日未明)に閉幕、世界経済の回復持続をめざし各国が適切な政策運営を進めることで一致した。ドルや日米欧の株価が下落傾向を示すなど世界経済の先行きには不透明感も出始めたが、各財務相は踏み込んだ議論を避け、中長期的な課題の討議に終始したもようだ。
 会合には日米欧の主要七カ国とロシアの財務相が出席した。今回の会合のポイントは以下の通りである。
・世界経済の回復基調を確認
・成長持続へ各国は適切な政策運営を実施
・貧困解消へ各国は途上国援助を効率化
・貿易自由化の促進を確認。保護主義には懸念
・テロ資金の根絶に向け各国は協調
・通貨危機の予防・解決策を引き続き検討
・アルゼンチンの経済危機克服への取り組みを注視
・ロシア経済の回復を歓迎
・ドル安と日米欧の最近の株安については議論せず

 世界経済は昨年のアメリカ同時多発テロの影響はほぼ解消し、回復傾向が強まっているとの認識で各財務相は一致した。回復の動きを確実にして成長を持続させるため、各国が弾力的な金融政策や財政構造改革、企業による研究開発投資の支援など適切な政策運営を進めることで合意した。塩川正十郎財務相は日本の景気は底入れしたとの認識を表明。経済活性化を実行しデフレ克服に努める方針を示した。
 今回の会合では、事前の合意通り足元の経済状況よりも中長期的な課題を優先して話し合ったもよう。特に金融・資本市場に懸念も出始めている米景気の展望は、世界的な株安やドル安の背景になっているにもかかわらず、米側が楽観的な見通しを示し、突っ込んだ意見交換は見送られたとみられる。

 世界経済が回復基調にあるのだが、アメリカの金融・資本市場には懸念がでてきている。どうやら、まだ当分楽観的になれる状況には遠いようであるが、当事者であるアメリカの見通しが楽観的なのがよくわからない。何か強気になることができる要因があるのだろうか、それともただ単に強気に出ているだけなのだろうか。14日発売の英エコノミスト誌では、米経済の現状が日本のバブル崩壊後と似ているとして長期低迷の可能性を警告しているという。アメリカは世界経済の牽引役であるため、現状の不安要素についてしっかりとした対応をしてほしい。




「値下げ一辺倒」に転機
6/7 日本経済新聞3面

消費財・サービスの低価格路線を見直す企業が増えてきた。長引く景気低迷下の価格競争で経営体力が低下、コスト削減も限界に近づきつつある。ただ所得環境は厳しく、円高で輸入物価も下落。企業の価格修正とデフレ圧力の綱引きが続く。
 「コスト削減も限界に近づきつつあり、一部の企業を除き、一段の価格下げは難しくなってきた」とメリルリンチ日本証券アドバイザリー・アナリストの鈴木孝之氏は分析している。企業による果てしなく厳しい価格競争もそろそろ限界のようである。価格を下げることが収益を圧迫していることに加え、価格下げが売り上げ増に結びつかなかったことも背景にある。
 「和民」では、ここ数年続いていた春の値下げを見送り、平均単価を315円に据え置き、状況しだいでは値上げも検討しているという。激しい値下げ競争を繰り広げてきたフィットネス業界でも最大手のコナミスポーツが、会員を増やしても定着率が低く売り上げが減少するため、昨年末から今年3月にかけて12店で、終日利用できる月会費を500〜2000円上げた。

 値下げして売り上げが伸びる商品と、伸びない商品があると思う。いくら安くても品質が低い商品は売れないだろう。また、ブランド志向から、売れる商品は自然と高い商品ということもあるかもしれない。基本的に人から見られるものは高くても買い、家の中で使うものや、あまり人の目につかないようなものは安いものを消費者は好むだろう。
 人に見られる商品として、自動車がある。5月8日にトヨタ自動車が「イスト」という小型車を発表した。これは、今人気のホンダ「フィット」や日産「マーチ」の上級タイプで、「フィット」や「マーチ」が低価格バージョンなら100万円前後なのに対し、「イスト」は色々装備を付けると200万円近くになるが、売れ行きは好調である。
 このように、価格のみの競争だけでなく品質も兼ねた競争を勝ち抜くことを見越した戦略ががこれからは重要となってくるだろう。
しかし、やはり一消費者としては安い方がうれしいが。。




日本車 アジア生産200万台
5/28 日本経済新聞 1面

日本の自動車メーカーがアジア生産を拡大する。トヨタ自動車がアジアで前年比5割を超す増産を実施。ホンダも東南アジアでの生産能力を来年までに約6割引き上げる。中国での生産も加わり、日本車の今年のアジア生産は5年ぶりに年間200万台に回復する勢い。国内の自動車需要に頭打ち傾向がみられるなか、日本車メーカーの収益をアジア市場が下支えする。
 日本車メーカーの2001年の海外生産台数は632万台。このうちアジアは162万台と北米(302万台)に次ぐ生産拠点である。日本車メーカーは年間約400万台の国内と北米に収益を大きく依存している。アジアでの生産・販売の旧回復は、日本メーカーの体質強化につながる。

 日本車は世界でも評価が高く、主要な海外向け製品である。アジアでの日本車生産台数は90年代に徐々に上がっていき、94年には150万台、97年には200万台を突破した。しかし、98年からは一気に下がってしまい、この年の生産台数は100万台であった。99年には150万台弱にまで回復いたが、ここ3年間の生産台数は横ばいであった。近年、東南アジア諸国の自動車会社の成長が目覚しい。ヒュンダイなどがその例である。低い人件費と豊富な量の労働力など製造業にとって有利な条件でどんどん成長している。
 自動車輸出は日本にとって大きな意味を持つ。トヨタ、ホンダは連結決算で円高による収益増で業績を大きく伸ばした。北米に次ぐ規模のアジアで好調をキープし、アジアの地元企業に負けず強い日本の自動車会社をアピールしてほしい。




国土省、値下げで需要喚起
5/24 日本経済新聞 7面

国土交通省が高速道路の一部路線の通行料金を引き下げる検討を始めた。不採算路線の利用者を増やすのが狙い。全国一律が前提の「料金プール制」見直しに踏み込み、日本道路公団の民営化後の高速道路政策で主導権を確保する考え。
 日本の高速道路料金はフランスの3倍、イタリアの4倍強に達する水準である。こう高い水準であれば、高速道路への需要が減るのも当然である。5月15日に東京で開かれた全日本トラック協会の決起大会で高速道路料金の引き下げを求める決議が採択された。
 夜間に限り高速道路利用料金を引き下げる提案についての記事が1ヶ月ほど前にあった。夜間に高速道路料金を引き下げることで高速道路を利用する車が増え、環境に与える影響が少なくなるという。また、料金引き下げによる歳入の減収は需要増で穴埋めできる試算らしい。
 
 現在、日本の高速道路で不採算路線は多くあり、そのような路線に限って設備が立派であるように思える。それに対して、慢性的な渋滞が発生している路線では多少の拡張工事がなされるものの、それは一部であり依然対策がなされないままのところが多くある。このようなことには、やはり道路族と呼ばれる有力議員がいるかいないかということが影響している。有力議員のいる土地では、そこに高速道路が建設されても採算がとれないと見込まれていても高速道路が建設されてしまい、有力議員のいないところでは、たとえ渋滞が頻発している路線でも拡張工事やバイパス工事などの対応はなかなかなされない。これは非効率としか言いようがない。不採算路線が多くなることでますます赤字が膨らむだけでなく、渋滞によって失う経済効果は大きい。

 東京湾アクアラインという高速道路がある。この路線は、東京湾を横断して神奈川県の川崎と千葉県の木更津を結ぶ路線である。私は高校が木更津であったのでこの路線をよく利用していたのだが、ここの利用料金の高さには驚いた。開通当初の片道料金は普通自動車で5.500円。その後何度か料金の値下げが行なわれて現在では片道3.600円であるが、依然高い水準にあり、利用者の数は非常に少ない。実際利用する時(特に川崎から木更津へ向かう車線)、渋滞に巻き込まれることはまずなく、通行している車も数台ほどである。開通前、木更津ではアクアラインにより街の発展が期待されたが、バブル崩壊後という状況もあって思うような発展はしなかった。そのため最初見込まれていたほどのアクアライン利用者数は伸びず、赤字ばかりが増える状況になってしまっている。高速料金の値下げでこのような状況はある程度打開できるのではないだろうか。利用数が増えないことにはどうにもならないと思う。




「活力ある日本」 民間提言B
5/20 日本経済新聞 1・5面

今日は相続税、贈与税。
相続税は相続や遺贈によって得た財産にかかる国税。遺産額から被相続人(故人)の債務や葬式費用を控除した金額が、遺産にかかる基礎控除額(5000万円+法定相続人1人あたり1000万円。妻と子供2人なら8000万円)以下の場合には、申告納税義務はない。この金額を超えた場合、法定相続人及び受遺者(遺言により財産を受け取る人)は、被相続人が死亡した時点の住所の所轄税務署に申告する。配偶者、未成年者などに対する特例措置がある(配偶者の場合、法定相続分もしくは1億6000万円のいずれか大きな金額まで非課税)。
贈与税は、個人から財産の贈与を受けた場合にかかる国税である。また時価より著しく低い価格で財産を得た場合も実質的に贈与とみなされる。贈与税は相続税を補完する税金といわれるが、これは贈与税がなければ生前に財産をしかるべき相続人に贈与することにより、相続税を免れることができるからである。税額はm贈与財産価額から基礎控除の110万円(2000年12月までの贈与は60万円)を引いた金額に贈与税率を掛けて算出する。婚姻20年以上の夫婦間で居住用不動産の贈与に対して最高2000万円までの配偶者控除や、特別障害者に対する6000万円までの非課税制度がある。また、親・祖父母からの住宅取得資金の贈与については一定の要件のもとに税金が軽減される特例がある。

 現行の相続税は、一部の大資産家の遺産を政府が没収するという建前で、20億円以上の相続財産に最高70%の税率が課されている。しかし、現実には様々な控除額や特例措置があるため、税収は多くない。高齢者扶養の社会化を進めるため子への相続分の一部を社会に還元するという趣旨から、多くの人々が少しずつ負担する方向が望ましい。相続税と代替的な贈与税については、従来は相続税の課税回避防止の視点から年間贈与の厳しい制限が設けられていた。生前贈与額を累積し、相続財産と合わせて課税するという形で両税を一体化すれば、相続税の非課税枠の前倒し活用が可能となり、現役世代への資産移転を促すことで、投資促進に結びつく可能性もある。なお、障害者の家族について被相続人が信託基金を設ける場合には一定の配慮が必要である。




「活力ある日本」 民間提言A
5/20 日本経済新聞 1・5面

 今回は法人税について。
法人税は、株式会社や有限会社などの法人の各事業年度の所得と清算所得(解散や合併の場合の残余財産をせいさんした所得)、退職年金等積立金に課せられる国税で所得税とともに租税収入の柱である。法人のうち公共法人(公社、公団、公庫、日本育英会など)や公益法人(日本赤十字社、社会福祉法人、学校法人、宗教法人など)は、その目的や性質から納税義務が免除されている(収益事業には22%の軽減税率が適用される)。普通法人税率は30%、中小法人(資本金1億円以下、所得年800万円以下)は22%。また、消費生活協同組合のうち、組合員数50万人以上で、かつ店舗売上高1000億円以上の大規模生協に限り、所得の10億円を超える部分に対し、通常より4%高い26%の税率が適用されている。中小の小売業者の要求にこたえた措置であるが、一方で申告漏れや所得隠しが目立つ公益法人の収益事業に対する優遇税制の見直しを求める声も強い。

 経済活性化のためにもっとも直接的な手段は、前向きな企業の活動を促進させるための法人税率の引き下げである。とくに企業活動の国際化が進む中で、各国の法人税率は傾向的に低下しているのだが、地方税と合わせて40%強という日本の税率は、OECD加盟国平均の税率水準、特に東アジア地域の税率と比べて高くなっており、企業が投信対象国を選ぶ時代には不利なものとなっている。
 企業を自国に引きつけるための各国政府間の制度改革競争はますますヒートアップしており、近隣諸国に先駆けて法人税率の引き下げを実現していくことが、国としての競争力を実現していくことが、国として競争力を回復するうえで不可欠となる。
 不確定な時代にあえてリスクへ挑戦する企業をサポートするためには、@設備投資資産の耐用年数を見直し、設備の更新を促進するために償却期間の短縮や加速度償却を積極的に認めること、A研究開発費の分野限定的でない控除制度の大幅な拡充、B欠損金の繰越期間延長と現在一時的に停止されている繰り戻し還付の解除、等の措置が必要である。企業の活性化のカギは経営資源を事業別に選択・集中させるための組織の再編であるが、肝心の会社分割法制も、税制の制約があると十分に活用できない。この意味で、連結納税制度導入に当たって法人税に2%の付加税を上乗せするという、企業の活性化の妨げとなるような税制は早急に廃止」すべきである。また、中小法人や公益法人等の軽減税率も撤廃すべきである。この他、税法取り扱いが会計や商法の原則と異なることから、結果的に税法が会計処理を左右する「逆基準性」も速やかな処理が必要とされる。
 日本経済活性化のためには、リスクの高い投資家の起業支援をサポートするエンジェル税制の控除対象所得の範囲拡大や控除期間の延長を含めた損失控除制度の大幅な拡充が求められる。また、有限責任事業会社、法人税非課税(パススルー)の制度を活用する海外投資家が増えていることを踏まえ、内外の対等な競争条件の整備という観点から新しい制度についての税制上の取り扱いを明確にすることが必要である。法人は基本的に資本をもっとも効率的に活用するための手段にすぎず、法人格を持たない多様な事業体も増えている中で、過去のように、法人の担税力に大きく依存する税制を維持することは困難である。長期的に、法人税率は、株主の資本所得に帰着した段階で、同じ資本への課税として、少なくとも金融所得への単一税制と同水準に合わせることが望ましい。





「活力ある日本」 民間提言@
5/20 日本経済新聞 1・5面

企業の経営者や学識経験者らで構成する「税制改革研究会」は19日、日本経済の活力を回復させるための税制改革案を民間からの提言としてまとめた。国際競争力を取り戻すために、最重要の課題として法人課税の軽減を打ち出した。個人所得課税でも、所得が増えると税率が高くなる累進課税率をなだらかにする必要性を指摘するなど、企業や個人の活力を最大限に引き出す税制の確立を求めている。
 現在の税の原則は「公平・中立・簡素」であり、今回の提言では、これを「公正・活力・簡素」に再構築することが狙いである。日本経済が活力を取り戻すために必要なのは経済活動を活発化させるためのインセンティブである。所得税では、今の累進税率をなだらかにし、広範囲から少しずつ税金をとる方針が支持されている。今まで、原則の中の「公平」は、所得再分配を通じた「結果の平等」と解釈されてきたが、これを「公正」原則、つまり「努力に見合った成果」を保証する「機会の平等」をより重視しり理念に変える必要があるという。確かに、一生懸命働いてたくさん稼いだお金が所得税で半分近く持っていかれてしまうと、一生懸命働いてたくさんのお金を稼ごうというインセンティブは減少するだろう。それよりも、所得税は働いてお金を稼いでいる以上払わなければならないというようにして所得税控除をなくし、その税率構造の段階を増やした方が、「平等」と感じられるし、範囲が広がる分税率を下げることで個人のインセンティブを引き出すこともできる。
 また、利子・株譲渡益など金融所得を勤労所得から切り離し、単一・低税率をかける「二元的所得税」の導入を提案している。勤労所得と金融所得では同じ所得でも、どうやってお金を得ているかという点で全く異なる性質を持っていると思われる。
 今までの「頑張ってたくさん稼ぐほど損をみる」的な所得税は今後変わっていきそうな感じがする。経済・社会の変化に対応した税金の柔軟な改正が重要だ。今回提言された税制改革案は、まさに今の流れに沿った適切で民間が望む税制と言えるのではないだろうか。




熱核融合実験炉 青森・茨城、候補地に
5/19 日本経済新聞 3面

政府は18日、日欧ロシアなどが共同で建設する国際熱核融合実験炉(ITER)の候補地として青森県六ヶ所村と茨城県那珂町の二ヶ所を正式提案する方針を決めた。29日に開く総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)で決定、6月4日からフランスで開く政府間協議で表明する。ITER誘致は既にカナダが表明しているほか、欧州連合(EU)も6月の協議でフランスとスペインの二ヶ所を提案する見通し。今後、国際的な専門家チームが建設地を選定する作業を始め、年内にも決める。
 ITER計画は太陽で起きているのと同じ核融合反応を地上で再現し、発電に利用するための実験炉である。一見画期的なものに見えるのだが、リスクは非常に大きい。核融合炉1基が1年間に燃やすトリチウムの量は140kg(5×10Bq)である。これは、宇宙線によって生成されている平衡存在量の100倍、過去543回に上る大気圏内核実験が撒き散らした総量に匹敵する。また、トリチウムは水素同位体で原子が小さいため、金属壁すら容易に透過する。そして、環境に出てしまえば、水素の交換反応で水となる。水は生命体にとって必須の物質である上、通常の水処理技術ではトリチウムを除去できない。核融合炉が実用化された時、たとえ漏洩率を1000分の1に抑えたとしても、トリチウムは天然起源の被曝の総量に匹敵するほどの被曝源となる。もし、事故が起きた場合はどうなってしまうのだろうか。

 
ITERは、ここ100年程度の範囲では化石燃料の枯渇は予想されていないと認めている。核融合の実用化は他の代替エネルギーに比べて遠い将来のことだと思われ、また、現時点ではその技術的実現性は実証されていない。趣旨や実用性が不透明な計画であるITER計画に今投資する必要性はないように思えてならない。




企業収益の二極化鮮明
5/18 日本経済新聞 3面

トヨタ自動車とNTTドコモが国内企業で初めて連結営業収益が1兆円に増えた一方、情報技術(IT)不況でNECなどは初めて業績赤字に転落。17日までに2002年3月期決算発表を終えた企業を見ると、収益の二極化が鮮明になった。本業不振で採算が悪化した企業は、リストラ関連損失や銀行株下落などによる株式評価損も重荷となった。
 収益が増えた企業、落とした企業それぞれにそうなる要因があった。黒字額上位2企業はトヨタ自動車・ホンダで、ともに自動車会社である。ホンダでは、国内は『フィット』の好調と、円安効果・コスト削減で利益を押し上げた。他にもトヨタ(1位)、武田薬品工業(3位)なども海外向け製品などで利益を押し上げた。一方、日立製作所はIT不況で赤字額2位。3位は松下電器産業で、リストラに伴う早期退職費用で特別損失を大きく計上した。連結最終損益ランキング赤字額1位のNTTは、世界的なIT不況で海外投資先の状況悪化などにより巨額の株式評価損を計上、国内最大の赤字となった。
 収益に影響を与えた要因のほとんどが、円安、リストラ、株式評価損、他にもBSEやテロなどの外的要因である。したがって、今回収益を落とした企業が次回には回復しているということが多く見られると思われる。しかし、その回復分はあくまでマイナスの要因が取り除かれたことによる回復であって、企業自体の成長による回復ではない。収益を上げた企業も同様で、今回の収益増は外的要因によるところが大きく、企業の業績回復によるものとは限らない。
 政府から景気の「底入れ」宣言が出された。輸出数量の回復ペースが早いようである。ここからも円安の影響をうかがうことができる。しかし、設備投資の動きを表す投資財出荷指数は横ばい傾向で、まだ企業自体の業績が上昇しているわけではないことをここでも示している。個人消費や設備投資が依然弱いため、企業の実力による業績はまだ苦戦が強いられるかもしれない。




W杯商戦スパート
5/16 日本経済新聞 35面

サッカー・ワールドカップ(W杯)を控え、「アシックス」「ミズノ」「プーマ」といったスポーツ用品各社が販売促進キャンペーンに力を入れている。
 今回の『ワールドカップ コリア・ジャパン』の公式スポンサーが「アディダス」であり、他のスポーツ用品会社は「ワールドカップ」の名称を直接使った販促はできないため、自然と契約する有名選手を前面に押し出した販促が中心になってくる。しかし、人気で有名な選手のほとんどは「ナイキ」や「アディダス」が巨額な契約金で契約してしまっているため、「アシックス」「ミズノ」「プーマ」などは販促の点で圧倒的に不利な立場にある。
 今や、サッカーは巨大なビジネスである。移籍や契約の度に信じられないほど巨額なお金が動く。そして、豊富な資金を有する会社が有名な選手やクラブチームなどと契約していく。有名選手との契約という市場はを「アディダス」「ナイキ」による寡占状態なのが現状なため、その他の会社は有名選手を起用した販促を行なうことができない。日本のスポーツ用品会社である「ミズノ」は、今回の日本代表選手の発表で契約している選手が3人代表入りし、ほっとしているという。
 スポーツ用品会社にとって「ワールドカップ」は大きなビジネスチャンスである。だが、「ワールドカップ」の名称を直接使えなく、また、多くの契約選手を有していない会社にとっては厳しい競争を強いられることが予想される。




三菱重工 三菱自を連結対象外に
5/16 日本経済新聞 11面

三菱重工業は15日、16.9%の株式を保有する三菱自動車工業を今期から連結の対象外にすることを決めた。三菱重工出身者からダイムラー・クライスラー出身のロルフ・エクロート氏への社長交代が決まり、ダイムラーによる経営支配が高まったと判断したため。前期までは持ち分法適用会社として連結決算に反映させてきた。保有株は当面、売却する考えはないという。
 三菱自動車工業にとって、三菱重工とは特別な存在であったという。三菱自動車工業は、1970年に三菱重工から独立した。当時からの三菱自動車の社員は、「モノ作り日本一」の三菱重工にはある種憧れのような念を抱いていた。三菱重工は、三菱グループの中でも東京三菱銀行、三菱商事と並び、核となる企業であった。
 三菱自工は、リコール隠しなどのスキャンダルで売り上げを落とした。それと同時期、ダイムラー・クライスラーとの資本・業務提携の合意に至った。今では、すでに34%の株式を保有するダイムラー・クライスラーの傘下にあるが、母体の三菱重工からはずれることで、ダイムラー色が一段と強まる。かつては一つだった会社から完全に離れ、過去に‘不平等条約’と言われるような契約内容で提携していたダイムラー・クライスラー(当時はクライスラー社)の傘下で経営建て直しを図るというのはなんとも皮肉な感じがしてならない。




日本国債格付け G7単独最下位に

5/16 日本経済新聞 9面

米系格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは15日、イタリアのユーロ建てと外貨建ての長期債格付けを「Aa3」から「Aa2」に一段階引き上げると発表した。欧州単一通貨ユーロ導入に伴う一連の公的債務の削減努力を評価した。
 イタリアは今まで日本と並んで「Aa3」で最低基準であったが、今回の一段階引き上げのため、日本はG7で単独最下位になってしまった。それだけでなく、シングルAへの降格も議論されている。日本が単独最下位になるということは、先進各国から日本の銀行の不良債権処理や財政構造改革に対する警鐘である。進まない不良債権処理や財政構造改革に対しての風当たりがより一層強まりそうだ。
 かつて、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、エコノミック・アニマルと忌み嫌われた日本の影は今は全く見られない。当時は、金のめぐりが良く、財政面でも安定していた。しかしバブル崩壊後は財政収支が悪化し、これが日本の国債格下げにもつながっている。不良債権処理が完了し、財政構造改革が達成され、日本が完全に復活する日は果たしていつなのだろうか。




年金改革、先送り限界

5/16 日本経済新聞 3面

厚生労働省が新人口推測に基づき十五日まとめた厚生年金と国民年金の保険料試算によると、サラリーマンの保険料負担(労使合計)は将来、年収の約四分の一に達する。負担は年収の二割までという年金財政計画の破綻は明らかで、給付の見直しを含む抜本改革を先送りしてきたツケが露呈した。2004年度の次期年金改革では負担増への歯止めが待ったなしの課題である。
 政府は、前回の改革で出生率が今後回復するという前提にたち、保険料負担は将来も年収の2割に収まると約束した。しかし、1月にまとまった人口推計は現状並みの低出生率が続くと予測。計画通りの年金給付を続けるには保険料を年収のやく25%まで上げなければならない、という。なぜ前回の改革時に出生率が回復すると予測したのかがよくわからない。ライフスタイルの変化で夫婦共働きの家庭が増えたり、結婚する平均年齢が上がってる点から見て、出生率が上がるとは考えにくいのではないか。それに、高齢化が進むほど現役世代の負担が増えるのは必死である。団塊の世代と言われる50代が定年を迎えると、現役世代が減りその分高齢者が増える。結局、前回の改革は失敗だったの言えるのではないだろうか。
 負担増への対応には幾つかの策があるが、どれも一長一短でコレという施策がない。今までのツケが回ってきたため、今ここで痛みを受け入れなければならないようである。政府の失敗で‘痛み’を受けなければならない状況に対して、国民が納得するとは思えない。次回の年金改革で政府がどのような対応をするか、気になるところである。




侵入者追い出せ 阿南中国大使、職員に指示

5/15 日本経済新聞 1面

北京の外交筋によると、阿南惟茂駐中国大使は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の住民が駆け込んだ瀋陽での日本領事館事件が発生する直前の八日午前、北京の日本大使館で会議を開いた。同大使は席上、不審者が許可なく大使館に侵入するよな事態があった場合に「とにかく追い出せ」との趣旨を指示していたという。
 また外務省問題である。次から次へと外務省に関する新しい問題が出てくる。日本の領事館敷地内という治外法権のエリアに中国の武装警察が入るのを領事館職員は黙認し、北朝鮮の住民が捕まるのをただ見ているだけという映像が流れた。日本の人道的対応の悪さが露呈した。普通に考えて、亡命を図った者が捕まり北朝鮮に送還されると、迫害を受けたり殺されるという事態が考えられる。それなのに領事館敷地内に中国の警察が入って北朝鮮の住民を捕まえるのを認めている理由がわからない。また、今回の事件の前に、北朝鮮の住民が亡命してくるという情報が入っており、それに対して阿南大使は「侵入者は追い出せ」という指示を出したも言われている。外務省の体質には改善が見られない。面倒なことには関わりたくないと考え、事実を隠蔽する体質はいつになったら改善されるのだろうか。川口順子外相が就任して2、3ヶ月たつ。就任当初、外務省改革を断行するといと言っていたが、その成果が見られるようになるのはいつになるのだろうか。



活性化へ構造改革特区

5/14 日本経済新聞 5面

政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)は13日、経済活性化戦略の中間取りまとめを公表した。地域活性化など6分野の戦略について25の行動計画を明記。地域活性化策では地域を特定して規制の大幅緩和や優遇税制を適用する「構造改革特区」の導入を盛り込んだ。関係省庁などと調整し、6月に最終報告をまとめる。

 分野と地域を特定し、その地域でその分野の規制を大幅に緩和することで地域活性化を図る。今後大きな成長が見込まれるある特定の分野に特化した地域ではその分野に合った優遇税制措置がとられる。この政策をきっかけに大都市集中型の日本が少しずつ変化し、日本各地に重要な都市ができるだろうと思った。しかし、指定された地域はほぼ確実に発展し、多くの企業が進出してくる一方で、していされなかった企業は今まで以上に都市部との差が開き過疎化がより深刻化すると思われる。土地や気候的に有利な地域とそうでない場所の差がはっきりと出てしまうだろう。また、財務省は地域を限定した税制優遇措置制度には「一国二制度につながり、税の公平原則に反する」として極めて慎重な構えである。縦割りの規制を抱える省庁間の調整も難航が予想される。
 しかし、改革に痛みはつきものという考え方もある。「革命」とは痛みを伴うものなのである。全ての面でうまくいく政策というのはありえないのではないか。構造が凝り固まってしまっているのが現状である今の日本で、今後大幅な経済成長が見込まれるとは思わない。今、日本は大きな構造の変化を起こすべき時にきている。「痛み」を最小限に抑えた改革を行なうことができるかどうか、また、改革を起こせるかどうか。構造改革を唱えてきた小泉内閣の手腕が真に問われることになるだろう。




心臓マッサージ テレビで見た」 おぼれた74歳高校生が救う。
5/13 日本経済新聞 35面

12日午後2時半過ぎ、京都府福知山市下条尾の池で74歳の男性がおぼれているのを通りがかりの高校生が発見した。池に飛び込んで救出し、ぐったりしていた男性に心臓マッサージし、その男性は意識を取り戻した。その高校生は「心臓マッサージをテレビで見たことがあり、無我夢中でやった」と話している。
 私は心臓マッサージや人工呼吸を高校の頃と普通自動車免許取得時に習った。幸い、今のところこの習った技術を使わなければならないような事態に遭遇していない。私はこの記事を見て、果たしてこのような状況下で適切な処置を施すことができるのだろうかと思った。しかし、この高校生はテレビで見たことを思い出して処置を施したのである。
 いつ、どのような場面で人の生死に関わる事態に遭遇するかわからない。そのような場面で、自分が処置しなければならない状況がないとは限らない。心停止から5分を超えてしまうと、蘇生の確立はほとんどなくなってしまう。心肺蘇生法は人として見に付けておくべき技術なのだなと感じた。学校、特に小学校高学年あたりから積極的に心肺蘇生法についての教育を行い、その重要性と技術を浸透させることは保健体育としてだけでなく道徳の授業の一環としても役立つのではないだろうか。




不良債権 買い取り価格上げ要請

5/13 日本経済新聞1面

政府は不良債権問題の早期打開をめざし、整理回収機構(RCC)に対し、金融機関から不良債権を買い取る際の価格を2倍程度に引き上げるよう求める。これまで市場実勢価格の半値から1割程度と低く、買取が進んでいなかった点を是正する。買い取った債権を将来売却した際の損失分を穴埋めする公的資金についても、資金枠の拡大を検討、政府の取り組みを強化する。
 不良債権という言葉を今ほど頻繁に耳にするようになってから何年たつだろうか。不良債権という言葉をよく耳にするが、詳しくはわからないので調べてみた。
 
 金融機関が保有する貸出債権のうち、元利金の回収に何らかの懸念があるもの。現在、日本で公表されている不良債権の定義としては、リスク管理債権金融再生法開示債権の二つがある。リスク管理債権は、銀行法21条に基づく開示であり、破綻先債権、延滞債権、3ヶ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権からなる。全国銀行137行の2001年3月末残高は、32.5兆円である。金融再生法開示債権は、1998年10月の「金融機能再生関連法」に基づく資産査定結果の開示であり、破綻更生債権及びこれらに準ずる債権、危険債権、要管理債権(3ヶ月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権)からなる。全国銀行の2001年3月末残高は、33.6兆円である。不良債権の処理方法は、貸倒引当金の引当による間接償却と、直接償却や不良債権の売却などによる最終処理に分かれる。従来の不良債権処理は、間接償却が主流であったが、不良債権が金融機関のバランスシートに残り、地価下落など担保価値の下落により追加負担が発生するという問題点があった。このため、政府・与党は、2001年4月の緊急経済対策において、主要銀行の破綻先、実質破綻先、破綻懸念先向け債権について、既存分は2年以内、新規分は3年以内で最終処理するとの方針を打ち出した。もっとも、2001年8月に柳沢金融担当相が公表した今後の不良債権処理シナリオでは、主要銀行の要管理先向けを含む不良債権を7年で半減する方針だが、今後3年間はほぼ横ばい(10月に3年間を漸減とするなど詳細試算を公表)。この間、IMFは、日本政府に不良債権問題の実態についての金融特別審査を要請してきた。

 どうやら、この記事の内容は、不良債権の最終処理の促進を図るものらしい。従来の不良債権処理は間接償却によるものが主流だったようである。しかし、不良債権を抱える企業は財政的に厳しいはずだから、引当金を繰り入れることで不良債権を処理することがなかなか進まないのは当然といえば当然、と言えるのではないだろうか。
 今回の要請は、RCCによる不良債権買い取り値を引き上げるものである。これまで、民間で売買する標準的な相場が簿価の1〜2割であるのに対し、RCCが買い取る価格は簿価の数%に過ぎなかった。これでは金融機関も積極的に売却しようと考えないだろう。この点で、今回の対策が不良債権処理に大きな効果を上げることを期待する。
 バブル崩壊後、日本の「失われた10年」の中で中心をなすものの1つとして不良債権が挙げられると思う。この不良債権処理問題が片付かない限り、日本が90年代の呪縛から抜け出すことはできないだろう。



液晶、今期4割増収 大手電機、収益も大幅改善
5/12 日本経済新聞1面

大手電機メーカーの液晶表示装置事業の売上高が2003年3月期に前期比で4割増加する見通しだ。国内外のパソコン向け需要が拡大、価格も上昇しているためで、営業損益も黒字になる見通し。液晶事業は前期、情報技術(IT)不況で落ち込み会社全体の大幅赤字や減益の要因となったが、今期は収益改善を下支えする見込みだ。
 最近、液晶はほとんどの家電に用いられている。洗濯機、冷蔵庫、電話など小さな部品として用いられるものから、テレビ、パソコンなど大きな部品として使われるものまで様々だ。パソコンではデスクトップ型の薄型化によりブラウン管から液晶へのシフト化が加速し、テレビでは最新の液晶テレビが数多く出ている。テレビに関して言えば、ワールドカップ前ということもあり、新製品の投入が多く見られる気がする。携帯電話にも液晶が使われている。技術もどんどん進歩し、ついこの間まで携帯電話のディスプレーといえば小さくてモノクロだったのが、今では大きいディスプレーにカラーは当たり前で、そのカラーもますますきれいになっている。
 シャープやNEC、東芝、日立などの日本企業が世界市場の7,8割を占めていたが、近年では韓国、台湾のメーカー台頭してシェアを拡大してきている。2000年の世界市場規模は約2兆2000億円で、2005年には4兆2000億円に拡大すると予測されている。これほど成長が期待できる市場であるだけに、国内・国外企業との競争が激化するのは必至だろう。是非、日本企業に頑張ってもらい、景気回復の一翼を担ってもらいたいものである。



環境やIT税優遇

5/11 日本経済新聞5面

産業競争力戦略会議(経済産業省の私的懇談会)は十日、世界のトップ企業育成のため、環境、情報技術(IT)など四つの成長分野を強化する行動計画を今年中に策定することなどを提言する報告をまとめた。平沼赳夫経産相が十三日の経済財政諮問会議で提案し、六月の政府の経済活性化策に盛り込む。
 21世紀を担う有望な産業として「環境・エネルギー」「情報家電・IT」「医療・健康・バイオ」「ナノテクノロジー(超微細技術)・材料」の四分野が特定された。研究開発費の一部を税額控除する優遇税制や、実用化段階で必要となる巨額の資金に対応することなどで開発や事業化を後押しする構想である。これから伸びると思われる、まさに旬な分野の支援をすることで、国内企業の海外企業との競争力アップが期待でき、優遇税制で、不況のために低水準にある各企業の研究開発費の増加も見込まれる。この優遇税制が21世紀の日本企業の復活・成長のきっかけとなり、不況脱出につながることを期待する。



学校「秋休み」提唱

5/9 日本経済新聞1面

政府の経済財政諮問会議による経済活性化戦略の中間まとめの原案が8日、わかった。観光産業を活性化するため長期休暇を分散化して、学校などの夏休みの一部を「秋休み」に移すことを提唱しているほか、連結納税制の対象子会社の条件緩和などを盛り込んでいる。十三日の会合で四人の民間議員の提言としてまとめる見通しだ。

 日本には、ゴールデンウィーク・お盆・年末年始に大型連休があり、この時期にはかならず各地の主要道路では大渋滞が起き、新幹線や飛行機も大混雑である。国土交通省によると、渋滞で国民一人当たり年42時間失い、国の損失は金額換算で年12兆円で、GDPの2.4%に達するという。渋滞で失う時間とお金は大きい。それだけでなく、渋滞による環境への悪影響も心配される。国内や国外のツアーで見ても、格安ツアーであっても10万円代〜と需要の集中によって価格が跳ね上がり、旅行を断念する客も少なくないという。このデフレ下でツアー価格が下がっているので、連休時の割高感はより一層強く感じられる。このように、高度経済成長期には定着した大型一斉連休は社会や経済の変化で様々なひずみが生じている。連休を分散化すれば、交通機関の混雑を避けることも可能だし、需要が一点に集中しないためにツアー価格もある程度抑えられる。また、大型連休がグローバル化を進める企業にとって合わない面が出てきた。日本では連休中だが、海外ではそうではない。連休中に海外からの注文などがあっても対処することができないのである。企業で動いていない日をなくすために有給休暇をうまく利用し、連休を分散させれば海外との取引をスムーズに行なうことができるのではないだろうか。日本の法定休日は年間15日間で日米英独仏の中で最多だが、法定休日以外の有給休暇取得日数は日本は9日間で5か国中最小である。効率的な休暇のとり方もグローバル化を推し進める企業にとって重要な項目となってくるかもしれない。
 それにしても、ゆとり教育の導入で土・日が休みで、夏休みの一部から秋休みを設けるとなると、ちょっと子供は学校を休みすぎているのではないかとも思う。



付加税、導入前から廃止論

5/9 日本経済新聞3面

政府は企業グループを一体化として法人税をかける連結納税制度の関連法案を十日に閣議決定し、国会へ提出する。親会社と子会社の損益を合算して課税、企業の大胆な組織再編や新規投資を後押しするのが狙いだ。だが目先の税収確保に向け税率を2%上乗せする付加税を設けたため利用企業は少数にとどまりそうだ。産業界や自民党内には早くも付加税廃止論が広がってきた。
 これまでの単体課税制度では親会社・子会社それぞれの収益に対して税金がかかっていた。連結納税制度を採用すると、親会社・子会社合わせた収益と損失とを相殺させて残った税引き前利益に対してのみ法人税が課税されることになるので、税金を大きく圧縮することが可能となる。しかし、政府にとって税収減が見込まれるため、2年間に限り2%の付加税を導入した。この付加税がネックとなり、多くの企業が連結納税制度に切り替えるのを渋っている。目先の税収増のための2%増税が、多くの企業の連結納税制度切り替えへの壁となっているのである。また、連結制をいったん選択するともとの単体制には原則として戻ることができない。連結納税制度によって、せっかく低迷する企業が組織再編するインセンティブを持つと思われるのに、なぜわざわざ連結納税制度に移行する動きを妨げるのであろうか。短期的な視点から見れば税収は減少するが、企業が連結納税制を採用し業績が伸びれば税収は増加するために、中・長期的に見れば税収的にも経済的にもプラスな結果が期待できるのではないだろうか。今国会での早期付加税廃止案の可決を望む。



みずほ支店削減に暗雲

5/8 日本経済新聞5面

みずほフィナンシャルグループはシステム障害の影響で、支店の削減計画に遅れが出る公算が大きくなってきた。第一勧業、富士、日本興行の支店を統廃合するには、三行の基幹システムの一本化が不可欠で、来年三月予定の完全統合の時期が先送りの方向となったことが直接響く格好だ。
みずほフィナンシャルグループはどうも波に乗りきれていない。システム障害により悪いイメージが完全についてしまっただろう。現在、みずほの支店は多く見られる。街中で2つぐらいあるような場合さえある。このような状況は非効率以外のなにものでもないので、支店削減はみずほの第一の課題となるはずであった。しかし、システム障害により、みずほは旧三行の基幹システムの一本化という課題が増えてしまったために、支店削減計画が先送りとなった。統合計画段階において旧三行が完全に一本化されていなかったということによる障害が想像以上に大きく影響を及ぼしているといったとこであろう。一つの会社として始動していくのだから、それまでの体制にこだわることなく統合を進めていけばこのようなことも起こらなかったのだろうか。また、みずほのシステム障害の発生原因の解明は進んでいないそうである。まだ当分みずほにとって厳しい流れが続きそうである。



“コンセント”でネット接続
5/1日本経済新聞12面

 三菱地所は通信ケーブルを差し込むだけで最新の情報技術(IT)環境を利用できる“ITコンセント”を保有ビルに導入する。「サーバー」や「ルーター」などの情報機器を三菱地所が用意、顧客企業は自らシステムを構築する手間を省ける。不動産業界では初の試みという。
 日本は、IT分野においてアジアの中で決して進んでいるとは言えない。韓国や香港では、街中でインターネットに接続できるサービスがすすんでいる。タイやインドネシアなどの東南アジア諸国がITインフラの整備を行えば、日本などあっという間にアジア諸国の経済から置いていかれてしまう気がしてならない。しかし最近では、日本でも少しずつITインフラの整備が進みつつある。新築のマンションなどでは初めからインターネットに接続する環境が整備されたりしている。この“ITコンセント”もインフラ整備が進みつつある1つの例である。このITコンセントにケーブルを差し込むと、パソコンは常時、インターネットに接続された状態になる。社内LANも整う。インフラという点から見れば、かなりの高水準に達してきていると思われる。あとはこれだけの整備を駆使するための情報リテラシーを充実させるための教育が大切となってくる。せっかくの最新技術も使えなくては宝の持ち腐れである。若い世代は、パソコンを学校の授業で使用したりするために苦手意識が比較的薄いと思われるが、問題はパソコンに触れる機会の少ない中高年世代だろう。パソコンに対する苦手意識が凝り固まってしまった中高年世代の情報リテラシー習得へのインセンティブを創出し、最新技術を使える人が増えれば自然と日本はIT分野の成長が促進し、景気回復のきっかけにもなりえるのではないだろうか。
 余談だが、三田キャンパスにはパソコンの台数が少なすぎる気がしてならない。是非慶應義塾内でもITインフラのより一層の整備を望むところである。



4/27 朝日新聞 夕刊15面

早食い競争で中学生死亡

愛知県尾西市三条の市立第一中学校の3年生の男子生徒が、給食の時間に同級生とパンの早食い競争をしてのどに詰まらせ、死亡していたことが分かった。一緒に競争していた生徒らは「テレビ番組を見て面白そうだからやろうと思った」と話しているという。
 この事件が起きた一つの原因として、一緒に競争していた生徒が言うように、テレビ番組の内容が挙げられる。ここ1,2年の間、早食い、大食いを扱うバラエティー番組が多く見られる。あるテレビ局がこの手の番組を始めたところ、高い視聴率を得ることができたため、民放各局で同じような番組を特番としてこぞって組んでいるのである。早食いや大食いは決して奨励できるものではない。むしろ、小学校や中学校では『食べ物はゆっくりよくかんで食べ、早食い競争などしないように』と指導しているという。このような奨励できるとはいえない内容の番組をゴールデンタイムに多くやることによって今回の事件が起きたと言っても過言ではないだろう。食料問題のドキュメント番組をしたと思えば、全く内容の異なる早食い、大食いの番組をしてみたりということがよくある。その両方の番組の狙いとするものは違うかもしれないが、あまりにも伝えようとしていることの方向性がかけ離れ過ぎている感が否めない。マスコミの影響力は絶大である。それゆえに、番組の内容についてもっと熟考してもらいたいものである。




4/28 朝日新聞8面

理数・英の「超高校」教育

高度な教育が可能になるスーパーハイスクールに、文部科学省は、理数系で26校、英語で18校を初指定した。指定校は今年度から3年間、学習指導要領の枠を超えた授業に工夫を凝らす。
 この教育は、日本の公教育ではタブー視されてきた「エリート教育」といえる。この記事を見て、私は先日のゼミで先生がおっしゃった事を思い出した。『高等教育は平等な教育ではない。』たしかにそう思う。高校生にもなれば、自分が何をしたいかを漠然とでも見えるようになってくる年頃である。自分のやりたいことに勉強が必要なら勉強をするし、必要ないなら勉強をする必要もなくなるだろう。その中で、勉強に対するやる気を起こさせるためにも今回の試みは価値あるものとなるだろう。最近日本の子供について指摘される「理科離れ」の問題に対して学習指導要領の枠を超えて、興味を引き出すようなカリキュラムを編成することが可能であるし、英語に関しても、「使えない」「話せない」という現状の改善を期待することができる。
 才能豊かな子供を伸ばすことはいいことである。しかし、ゆとり教育の導入もあって学力低下が懸念なれている中で、勉強に対する才能が豊かでない子への対応がなされないとするなら、タブー視されている「エリート教育」はやはりするべきではなかったという結論に至ってしまうだろう。




4/27 朝日新聞13面
役員報酬、ソニー開示へ

 ソニーは25日の取締役会で、6月に開催する定期株主総会の際、01年度分の役員報酬の総額実績を開示する決定をした。アメリカでは月例給与に相当する役員報酬は個別役員ごとに開示するのが主流であるが、日本の上場企業では一部を除いて、役員報酬の全額すら開示していないのが現状である。

 日本では未だに情報を開示するという流れが主流になっていない。これは企業にも政府にもあてはまる。『アメリカは移民の国であるために、しっかりとした説明をして自分の意思を相手に納得させる必要がある。』ということを以前聞いたことがある。そのため、アメリカは情報開示に対して積極的なのだという。アメリカと日本を情報開示について全ての面で比較するのは文化的背景の違いもあり、困難であるし、差が出るのも当然である。しかし、情報開示の重要性が叫ばれている昨今、いつまでも日本の企業や政府が情報開示の流れの外で指をくわえて眺めているだけでは、日本経済の復活は考えられないのではないだろか。