番外編

5/18 サッカー日本代表決定 5/18 日本経済新聞 32面 
日本代表決定
サッカー日本代表決定
5/18 日本経済新聞 32面
日本サッカー協会は17日、ワールドカップ(W杯、5月31日開幕)に出場する日本代表選手23人を発表した。中山雅史(磐田、34)、秋田(鹿島、31)の両ベテランが入る一方で、技巧派の人気選手、中村俊輔(横浜M)が落選した。中山、秋田に加え、中田英寿(パルマ)、小野伸二(フェイエノールト)、森島寛晃(C大阪)、服部年宏(磐田)、川口能活(ポーツマス)、楢崎正剛(名古屋)の計8人がフランス大会に続くW杯代表となった。 
  5月17日午後3時半、『ワールドカップ KOREA JAPAN』を戦う日本代表23人が発表された。発表は、GK→DF→MF→FWという順番に行なわれたが、すぐに‘驚き’が待っていた。「DF秋田豊」との発表に驚かなかった人はいないだろう。トルシエの構想外と思われていたベテランが最後の最後で大抜擢されたのである。MFにも‘驚き’が待ち構えていた。中村俊輔の名がない。ホンジュラス戦の大活躍からして全く考えられない事態である。また、2000年アジアカップの優勝に日本を導き、自身もMVPに輝いた名波の名もなかった。そして、最後のFWに最大のドラマが待っていた。「中山雅史 背番号10」。この発表に驚き、興奮した人は少なくないはずだ。中山は日本中で最も代表入りを期待されていた選手に違いない。彼の熱いキャラクターで是非とも日本を決勝トーナメントに導いてほしいものである。

 今回の発表で最も物議を醸しているのは、やはり中村俊輔の落選だろう。私もこの点には疑問を抱く。まず、彼には最大の武器である正確なフリーキックがあり、ゴール正面付近20数メートルから放たれるシュートがゴールネットを揺らすシーンを何度も目の当たりにした人は多いはずだ。そして、彼にはゲームを組み立てる力がある。世界的に有名になった中田・小野両選手にマークが集中し、彼らが自由にプレーできないことが予想される。その時、マークの薄くなった状態で中村がゲームをコントロールするのは効果的だと思う。また、中村は正確で流れを変えることができるパスを前線に供給することができる。左サイドからの鋭いアーリークロスは大きな武器になるのではないだろうか。
私的には、名波の落選も驚くべきことだった。しかし、今の中盤、特にボランチはアーセナルで成長した稲本と、激しいあたりが売りの戸田のコンビがほぼ定着しているため、ケガから復帰したばかりの名波の入り込む余地はかったのかもしれない。
 中村、名波、そして高原の落選は非常の残念である。3人とも体の調子に泣かされた。しかし、中村、高原は次回は確実に中心となって日本を引っ張る選手になれるだけのものを持っているので、さらなる成長を目指して頑張ってほしい。

 ベテランの秋田・中山は平均年齢の若い日本代表に落ち着きを与えてくれるだろう。特に、中山はそのキャラクターはもちろんのこと、W杯で唯一ゴールを決めた日本人としても非常に心強い存在である。FWの決定力不足や、DFのフラット3が破られた時の対応の強化が課題である日本代表にとって‘経験’という大きな武器を持つベテランが良いスパイスとなるだろう。

 選手の起用法として、ベテラン2人と三都主アレサンドロ、そしてFWには誰を使うのかが気になる。中山は年齢的にもフル出場は厳しいと考えられ、彼のキャラクターを考慮すると、途中出場というパターンが一番あり得ると思う。誰が先発でFWに入るのだろうか。三都主をFWとして使ってみるのもおもしろい気がする。今の日本には1対1をドリブルで勝負していける選手がいないため、ドリブルの得意な三都主がトップに入ることで新しい攻撃パターンができるかもしれない

 長々と述べてきたが、日本代表は決定したのである。もう代表についてあーだこーだと言うことはことはやめて、1サポーターとして選手を信じて応援することに全てを注ごうと思う。いつまでも代表メンバーについて議論したり、個人攻撃をするのではなく、せっかくホームでのW杯なのだから、日本代表選手に気持ちよくそして変なプレッシャーを感じないでプレーできるように応援することがサポーターとして大事だと思う。
日本代表がワールドカップ初勝利を飾り、そして予選リーグを突破することを祈って。


<日本代表 2002年までの軌跡>

 フィリップ・トルシエ氏が日本代表監督に就任して4年目。この23人が決まるまでは長い道のりであった。

 1999年に行なわれた第10回FIFAワールドユースで準優勝した時のメンバーが今回の日本代表の中心となる年代である。曽ヶ端準、松田直樹、中田浩二、宮本恒靖、稲本潤一、小野伸二、小笠原満男、明神智和、戸田和幸、市川大祐の10人と、今回惜しくも代表から漏れた、中村俊輔、中澤佑二、本山雅志、高原直泰などがこの世代である。そして、中山雅史、秋田豊、中田英寿、小野伸二、森島寛晃、服部年宏、川口能活、楢崎正剛は前回大会に続いて代表入りしている。
 
 今回の日本代表のアウトラインができてきたのは2000年のアジアカップ予選あたりからである。日本のディフェンス戦術であるフラット3が確立されたのはまさにこの時期で、DFにそれまではベテランの秋田や井原などが起用されていたのに対し、この頃から松田、中田浩二、中澤が起用されるようになる。アジアカップで予選は、中田英寿不在のため、主に中村俊輔が司令塔の役割を果たしていた。一方で、小野伸二はシドニーオリンピックアジア予選での怪我は治ったものの、調子が上がらず苦しんでいた。
 
2000年は9月にシドニーオリンピック、10月にアジアカップ本戦と、過密スケジュールであった。
シドニーオリンピック日本代表U-23には調子の上がらない小野伸二が落選し、涙を飲んだ。シドニーオリンピック予選リーグでは、南アフリカ、スロバキアに勝利し、ブラジルには負けたものの、決勝トーナメントに進んだ。決勝トーナメント初戦の相手はアメリカ。アメリカはそれほどの強豪国ではないため、日本有利と見られていた。しかし、日本はPK戦の末、敗れた。試合内容は、常に日本が攻め続け、アメリカを圧倒していたが、後半のアメリカの攻撃に対して守りきることができなかった。結局、日本はオリンピックベスト8に終わった。

10月、アジアカップ本戦。中田英寿不在で、この時の日本代表の核となったのは、名波浩と中村俊輔であった。日本は、カタール戦で引き分けた以外、他の試合にはすべて勝利し、見事無敗でアジアチャンピオンとなった。そして、名波浩がMVPに輝いた。

年が明け、2001年。いよいよワールドカップ本番1年前で、多くの強化スケジュールが組まれていた。その強化スケジュールの第一弾、アウェーでのフランス戦が3月に行なわれた。ピッチ状態が悪く、日本は世界一のフランスに翻弄され、結果は0−5と完敗であった。
1ヵ月後の4月、対スペイン。ディフェンスに重点を置き、失点を1点に抑えることができたが、全然攻めることができなかった。
そして、6月。コンフェデレーションズカップ開幕。日本はブラジル戦のみ引き分けで、無敗のまま決勝に進んだ。決勝の相手はフランス。3ヶ月前に大敗した相手である。中田英寿が所属するクラブチームASローマのリーグ戦優勝が決まりそうなため、急遽イタリアに渡ってしまい、中田英寿抜きの決勝となった。決勝のスコアは0−1。負けはしたものの、ホームとはいえ、前回戦った時とは違うところを見せた。

トルシエ監督は、このあたりから選手選抜の最終調整に入ってきた。波戸康広や戸田和幸など、ディフェンシブな選手を招集しディフェンス強化に重点を置くようになってきた。

コンフェデレーションズカップ以降、2001年の国際代表Aマッチでは2勝1敗2引き分け。強豪パラグアイを下し、アフリカの雄であるナイジェリア、世界屈指の強さを誇るイタリア代表(イタリア代表が時差ボケや疲労が溜まっていたなどあるが)には引き分けた。特に、イタリアのディフェンスはカデナチオと呼ばれ、世界で最も硬いディフェンスとも言われるほどであるが、そのイタリア代表から、柳沢が鮮やかなボレーシュートで1点を奪った。

2002年。国際代表Aマッチで4連勝し、調子の良さをアピール。
しかし、ホンジュラス戦あたりから様子が一変してくる。特にDF。
対ホンジュラス。ホンジュラスは、今回のワールドカップには出場しないが、強豪国。
結局、日本は押し込まれて3失点。DFの軸となる森岡がいないこともあるが、どうもDFのデキがイマイチであった。日本の取った3得点は全てセットプレーによるものだった。
この時、最も光っていたのは中村俊輔だ。FK、CKともに直接決め、この日2得点。
日本中のサポーターの誰もがその芸術的なプレースメントキックに驚き、興奮し、そして、中村俊輔の代表入りを確信したことだろう。

対レアル・マドリード。
レアル・マドリードは、今期のリーガエスパニョーラ優勝は逃したが、欧州クラブチームNo1を決めるチャンピオンズ・リーグに優勝したビッグクラブで、有名選手を多数抱える、まさにスター軍団である。
実際レアルで出場した選手は控えメンバーが中心であったが、日本は攻めることがほとんどできなかった。
結果は0−1で敗北。実に、2001年10月のセネガル戦以来、7試合ぶりの敗戦となった。

対ノルウェー。
日本の、ワールドカップ前最後のアウェー戦。ノルウェーは今回ワールドカップ出場を逃したが、スールシャールなど実力ある選手がいるため、かなりの強豪でる。今年の秋からユーロの予選を控えているノルウェーはベストメンバーを揃えてきた。
おそらく、日本にとって仮想ベルギーのような感じであったのだろうが、2002年に入ってからの課題であるFWの決定力不足とDFのフラット3が破られるた時の対処の悪さが露呈した試合となってしまった。

 ただ、今回の失敗はディフェンスラインの単なるミスと捉えることもできる。ディフェンスが構造的に失敗であるというわけではないので、微調整によって失点を防げるようになるはずである。
5/25にはW杯前最後の国際代表Aマッチがある。相手はスウェーデン。
スウェーデンは前々回のアメリカ大会では3位に入り、ランキングも16位とかなりの強豪である。
果たして、完全版日本代表がどれだけの試合を繰り広げることができるか楽しみである。