第2回 
今回は、5月25・26日に行われた学生名人戦の観戦記を中心に書きすすめていきたい
と思う。・・・の前に、私がベスト16でぶっとんだ「哀愁の中部地区大会」の模様を、
二日酔いの頭にムチ打って振り返ってみたい(このあたりで私が敗退するのは妥当という
意見が多数だったのが気になるところではあるのだが・・・)
一言でいうときわめて波乱に満ちた大会であった。「中部棋会展望」のコーナーで紹介さ
れている優勝候補たちは、皆互いに潰しあったり、伏兵に敗れ去ったりした。結局3人の
代表枠に入ったのは、関東出身のためノーマークだった、きわめて真面目な竹内洋次くん
(三重1)、いくら私が部室の掃除をしても、それに呼応するかの様に汚しまくるうちの
米山大介(名市2)、実績的に代表入りは当たり前感のある、中国語で読んだらちょっと
恥ずかしい松本健太郎くん(名城3)であった。私は、馬上さんとツーカーの仲である
スーパー部長の命をうけ、きわめて複雑な思いを胸に米山の付き添い兼、3人の応援とし
て学名についていった。
当たり前かもしれないが、私がこの二日間を通じて感じた事は「学名は観戦するものでは
なく出場するもの!」という事であった(やはり当たり前すぎ?)
私は出場選手でも理事長でもないため、泊まるとこはないし(一人寂しく雨露をしのい
だ)、タクシーの送迎もない(理事長くんと米はタクシーの中から、これから見知らぬ土
地で電車にゆられるであろう私に、これ以上ないくらいの素敵な笑顔で手を振ってくれ
た)道に迷って将棋会館にはなかなかつかないし、待ち合わせのアルタ前がわからない
し、電車は乗り間違えるし、他地区の理事長さん達と一緒に行ったスッポン料理屋はハメ
手くさかったし(カモ鍋5000円はシャミですか〜?味は美味しかったけど)、夜の歌舞伎
町はデンジャラスだったし(185くらいの黒スーツの黒人のおっちゃんに、めちゃめちゃ
笑顔で『久〜し〜ぶり〜!覚えてる〜?』とか言われた。私の頭の中には『実録!警視庁
24時!歌舞伎町の危険な裏側』というフレーズが連呼していた)・・・という事で、微
妙な疎外感をふつふつと感じつつの二日間であった。

<一日目>
将棋会館の4階対局室、普段はプロや奨励会員の対局に使われているので、一般人には立
入禁止の場所である。8畳ほどの部屋3つ分くらいのところで、学生名人戦は行われた。
最初のドラマは抽選会で起こった。優勝候補である、関東学生名人の山内一馬氏(東大
1)とアマ準名人の武田俊平氏(立命4)が一回戦であたったのだ。その時の異様な雰囲
気をどう表現していいか私にはわからない。
特に『誤字がやたらと多い、文章力がニーダ氏とは手合い違い』の私では余計わからない
(何しろ定跡を『跡石』と部誌に書いて、囲碁か将棋かわからんと米に言われた男なの
で。)まぁ、とりあえず無難に『異様だった』と表現しておこう。肝心の将棋の方はとい
うと相穴熊戦から振り穴側の山内氏が制勝した。

米山の初戦の相手は早稲田でトップクラスの高木氏。(この対局については棋譜をとって
これたので入魂の譜のコーナーに載せる事ができるかもしれません)
高木氏の後手振り穴に対して、米山は57角から8筋の歩を手持ちにして地下鉄飛車を含み
に9筋から殺到。私が見る限り高木氏が一枚残している様に見えたのだが最後は米山の方
が入玉してしまったので勝負あり。
対局中、やけに米山vs高木戦を何度も覗いていく、かわいらしい女性がいた。どうも早稲
田の人達と親しく話しているので、早稲田の女子部員だとず〜っと思っていた。後から聞
くと、彼女が女流の坂東カナコさんだとは。米山は局後「バンカナに惚れられたかな〜!
いやぁ〜彼女は俺を見ていたよ!」とすさまじいほどの勘違いをしていた。おそらく・・
・早稲田の部員でもある彼女は高木氏の将棋を見ていたものと思われるのだが・・・とい
う私の冷静かつ的確な指摘にはまったく耳を貸さず「い〜や、俺を見てた!」と言い張る
米山に、恐ろしいいほどの驚異的なプラス思考を感じとっていた。

結局、○○@以下略こと松本くんとポジティブ米山は善戦したのだが二日目(ベスト4)
には残れなかった。しかし、二人の将棋に対する姿勢は見習うべきものがあった。私とし
ても「将棋と漢字はフィーリングだぁ〜!なんとなく雰囲気が合ってれば良いんだぁ〜」
などと子供の様な事は言っていられないと、考えをほんの少しだけ改めた。
ベスト4には、四間穴で勝ち上がってきた山内氏と、小中高と全国制覇していて、学生準
名人2回の清水上氏(明治4)、立命館のレギュラークラスにして米山のベスト8進出を
阻んだ毛利氏(立命3)、そして中部学生名人にして、いまだ個人の公式戦負けなしの竹
内洋次くん。はてさて?

<二日目>
すこぶる良い天気だった。できれば一人で山にでも登ってずっ〜と帰ってきたくない気分
だった。二日目の会場は王子製紙で有名な王子にある北トピア。よく将棋の会場になるら
しい。私は山内vs竹内戦の棋譜がとりたくて一時間半も早く会場近くに着いてしまってい
た(米や竹内くんとは別行動である。ちなみに私は朝の4:30には意味なく起きて府中
の町を散歩していた)そのため、朝マック390円で時間をつぶした。王子駅のマックは
オープンカフェみたいに外で食べられる様になっており、天気の良い日にはのんびりと食
事が楽しめると思う。
私が観戦する限り清水上氏と山内氏は別格であった。他の人達が二人に比べて劣ると言い
たいわけではない。ただ、何かが違う・・・そんなモヤモヤっとした感じなのだ。ベスト
16が出揃った時点で決勝に来るだろう、もしくは来てほしかったのはこの二人だった。
雑誌や新聞などでよく名前を見かけていたので他の人達より親近感がわいていただけかも
しれない。いまいち自分でも良くわからないのだが。私の意見はどうあれ、決勝はこの二
人の戦いとなった。
清水上徹、山内一馬、共に学生棋界を代表するスーパースターである。清水上氏が勝てば
小中高大までの完全制覇。もちろん史上初の事。
山内氏が勝てば、高校NO.1から鳴り物入りで東大に入ってきた一年生学生名人の誕
生。
少し大袈裟かもしれないが、いま私は歴史の瞬間に立ち会ってる、そんな気さえしてい
た。正直に言うと、学生名人戦決勝の記録係をしていた私は二人の将棋の中味については
あまり良く覚えていない。もちろん決勝の棋譜は今でも頭の中に叩きこんであるのだが。
この違いを分かっていただけるだろうか?
深過ぎて、私には表面しか見えなかった。一瞬しか見えなかった。しかし、頂点にふれた
手の感触は今でも覚えている。

終局は以外とあっけなかった。清水上氏が初優勝。ここへ来て、初めて彼が笑った。
「努力は裏切らない・・・」
当たり前すぎて気にもとめないような事ほど、やり抜くのは難しい。
清水上さん本当におめでとう。
PS:稚拙な文章をお許し下さい。