第13章 社会権(p242〜)

生存権(25条)
教育を受ける権利(26条)
勤労の権利(27条)
労働基本権(28条)


I 生存権(p243〜)

1 憲法25条(p243〜)

第1項は、国民が誰でも、人間的な生活を送ることができることを権利として宣言
第1項の趣旨を実現するため、第2項は、国に生存権の具体化について努力する義務を課している


2 生存権の法的性格(p244〜)

プログラム規定説…25条は、国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したにとどまり、個々の国民に対して具体的権利を保障したものではない

生存権は、それを具体化する法律によってはじめて具体的な権利となる(抽象的権利説)
→何が最低限度の生活水準であるかは、特定の時代の特定の社会においては、ある程度客観的に決定できる

判例[137]朝日訴訟
■事案の概要
1956年当時の生活扶助費月額600円が健康で文化的な最低限度の生活水準を維持するに足りるかどうかが争われた事件
■判旨
生活保護受給権は一身専属的な権利であるから死亡により訴訟は終了した。
なお、念のため、@25条1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に具体的権利を賦与したものではない(プログラム規定)、A何が「健康で文化的な最低限度の生活」であるかの判断は、厚生大臣の裁量に委されている。

判例[139]堀木訴訟
■事案の概要
原告(堀木フミ子)は、全盲の視力障害者として、障害福祉年金を受給していたが、同時に、寡婦として子供を養育していたので、児童扶養手当の受給資格の認定を申請したところ、年金と手当との併給禁止規定に従って申請は却下された。そこで、右併給禁止規定が、憲法25条・14条に反しないかが争われた事件。
■判旨
「健康で文化的な最低限度の生活」の具体的内容は、時々における文化の発達の程度、経済的・社会的条件、一般的な国民生活の状況等との相関関係において判断決定されるべきものである。
憲法25条については、「健康で文化的な最低限度の生活」とは、きわめて抽象的・相対的な概念であって、立法による具体化が必要である。
立法に具体化する場合は、国の財政事情を無視することができず、また、多方面にわたる複雑多様な、しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするので、具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は立法府の広い裁量に委ねられている。
そして、併給禁止条項により障害福祉年金受給者とそうでない者との間に児童扶養手当の受給に関し差別が生じても、広汎な立法裁量を前提として判断すると、差別は不合理なものとは言えない。


3 環境権(p246〜)

健康で快適な生活を維持する条件としての良い環境を享受し、これを支配する権利

・良い環境の享受を妨げられないという側面では自由権(13条の幸福追求権の一内容)
・公権力による積極的な環境保全ないし改善のための施策が必要(社会権としての性格、25条)

判例[28]大阪空港公害訴訟


II 教育を受ける権利

1 学習権と国の責務

子どもの学習権…国民各自が、一個の人間として、また、一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利


2 教育権の所在


3 義務教育の無償


III 労働基本権(p250〜)

1 労働基本権の内容と性格(p251〜)

趣旨;劣位にある労働者を使用者と対等の立場に立たせる

「勤労者」…労働力を提供して対価を得て生活する者


(一) 三権の意味

・団結権
・団体交渉権
・団体行動権


(二) 三権の性格

@社会権(国に対して労働者の労働基本権を保障する措置を要求し、国はその施策を実現すべき義務を負う)
A自由権(労働基本権を制限するような立法その他の国家行為を国に対して禁止する(争議行為の刑事免責、労働組合法1条2項))
B私人間の関係にも直接適用(争議行為の民事免責、労働組合法8条)


2 労働基本権の制限(p252)


3 公務員の労働基本権(p252〜)

判例[146]全逓東京中郵事件

判例[147]都教組事件

判例[148]全農林警職法事件


4 公務員の政治活動の自由(p255〜)

判例[14]猿払事件

判例[189]寺西判事補戒告事件



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