第1章 序論(p1〜)

第1節 刑事訴訟法の意義(p1〜)

1 刑事訴訟法の意義(p1〜)

(1) 総説

刑事訴訟法…刑事事件を適正かつ迅速に解決することを目的とする法制度


(2) 刑法と刑事訴訟法


(3) 憲法と刑事訴訟法

「憲法的刑事訴訟法」
→人権保障と必罰主義との利益衝突がある場合には憲法の要請する人権保障が優先するとの価値判断が表明されている


2 刑事訴訟法の歴史(p4〜)

(1) 西洋法の継受

大陸法主義の特徴
職権主義訴訟構造、必罰主義、積極的実体的真実主義

英米法主義の特徴
当事者主義訴訟構造、適正手続主義、消極的実体的真実主義

糾問主義(手続構造は国家と犯人との二面構造)から弾劾主義へ


(2) 日本法の展開


第2節 刑事訴訟法の目的(p10〜)

1 総説(p10〜)

刑事訴訟法の目的(1条)
@基本的人権の保障
A実体的真実の発見


2 実体的真実主義と人権の保障(p11〜)

(1) 実体的真実主義

実体的真実発見を過度に強調するといかなる弊害が生ずるか
@捜査が過酷になって被疑者・被告人等の関係者の人権を侵害するおそれがあり、
A公判が捜査の結果の追認となってしまう
B裁判官が積極的になりすぎるあまり、かえって誤判の危険を生じるおそれもある

積極的実体的真実主義…犯罪は必ず発見して処罰に遺漏がないようにしようとするもの(→必罰主義)

消極的実体的真実主義…罪のない者を処罰することがないようにしようとするもの(→人権を尊重した手続)

積極的実体的真実主義は発見された「真実」を重視するが、消極的実体的真実主義は真実発見の「方法」を重視する
→人権保障の憲法規範としての重要性を考慮すれば、消極的実体的真実主義の考え方が妥当

真実の探求に対する制限
@捜査段階
・令状主義(憲法35条)
A公訴段階
・公訴時効制度(250条)
B公判段階
・訴因制度(256条3項)
C証拠法
・黙秘権の保障(憲法38条1項、法311条1項)
・証言拒絶権(146条以下)
・自白および伝聞証拠の証拠能力(319条、320条)
・違法収集証拠の排除法則


(2) 人権の保障

「無罪の推定」とは
刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは無罪と推定されるという原則
※刑事手続のすべての段階において妥当する


(3) 適正手続


3 刑事事件の解決(p16〜)


4 迅速な裁判(p17〜)

迅速な裁判の要請(憲法37条1項、法1条、規則1条)の根拠
@迅速に証拠収集等をおこなうことは適正な裁判にとって必要
A犯罪後あまり時間が経過しては刑罰の意義がうすれる
B迅速な手続は訴訟経済に益する
C捜査における被疑者としての地位、あるいは公判における被告人としての地位が長く継続することは、通常は不利益

起訴前段階における迅速な裁判を担保する制度
@ 逮捕・勾留期間の制限(203条〜208条)
A 公訴時効の制度(250条)
B 告訴期間の制限(235条)

公判段階における迅速な裁判を担保する制度
@ 起訴状謄本不到達による公訴提起の失効(271条、刑事訴訟規則176条)
A 公判期日の厳守(277条)
B 当事者の事前準備(299条1項、刑事訴訟規則178条の2以下)、裁判所の準備手続(同194条以下)
C 忌避申立てに対する簡易却下(24条)
D 職権進行主義(273条)
E 不必要・不相当な陳述の制限(295条1項)
F 継続審理の原則(刑事訴訟規則179条の2)

q 憲法37条1項の法的性質?
a 個々の刑事事件について、審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことも認めている趣旨の規定(高田事件)

q 長期訴訟の打ち切りの要件?
a @遅延の期間、
  A遅延の原因と理由、
  B被告人の被る不利益等、諸般の事情を総合的に考慮して決すべき(高田事件)

q 打ち切りの方法?
a 免訴判決(337条4号準用)(高田事件)

q 要求法理(被告人側から積極的審理促進の申出をしない限り、被告人は訴訟遅延を理由とする審理打切りという救済を受けられないとするもの)の採否?
a 否定
∵無罪判決が確実に予測されるような事案でもない限り、被告人側に積極的な審理促進を期待するのは無理である

問題1(昭和58年第1問)

問題2


第3節 刑事訴訟法の構造(p19〜)

1 総説(p19〜)

@国家訴追主義(247条)
 →不告不理の原則
A特定事実を訴追するということは、同時に、その事実の存在を立証する責任も検察官にあることを意味する
 →挙証責任は検察官にある
 →一事不再理の原則


2 当事者主義と職権主義(p21〜)

(1) 当事者主義

当事者主義…訴因と証拠調べをめぐる訴訟追行過程において、当事者たる検察官・被告人が主導的役割を担う訴訟構造(256条6項、298条1項、312条1項)

当事者主義的規定
@起訴状一本主義(256条6項)
→証拠調べの請求は、検察官、被告人または弁護人がおこなう(298条1項)
A起訴便宜主義(248条)
→訴因の設定・変更は検察官がおこなう(256条3項、312条1項)
※裁判所の職権証拠調べ(298条2項)あるいは訴因変更命令(312条2項)の規定は、現行法上は例外的な制度

当事者主義を原則とすることの意義
・被告人に当事者としての主体的地位を与えることにより(黙秘権、弁護人依頼権等)、人権保障を徹底し得る
・当事者の攻防の中で中立かつ公平な第三者的立場にある裁判所が冷静に判断することが結局真実発見にも資することになる


(2) 職権主義

職権主義…裁判所が主導的役割を担う訴訟構造

職権主義的規定
@訴訟追行過程→298条2項、312条2項
A手続過程→273条、294条(直接訴訟の実体問題に関係するわけでなく、司法権に由来する裁判所の本来的な権限である)

職権主義的規定の意義
検察官と被告人とでは訴訟行為を行う能力に大きな格差があり、当事者対等主義を実現することはそのままでは困難
→特に被告人の防御能力を補充するために職権の発動が必要となる(裁判所の補充的・後見的役割)
・被告人側の防御方法の不足を補うための職権証拠調べ(298条2項)は当事者主義にとって重要
・原則として、訴因変更命令(312条2項)の義務はない

当事者主義と職権主義の関係
現行法は、当事者主義を基調としながら、職権主義を補充的に認め、刑訴法の目的達成のため、両者は役割分担の関係に立つ

問題3(昭和44年第1問)

問題4(昭和51年第1問)


3 当事者主義の課題(p26〜)


第4節 刑事訴訟法の法源と適用範囲(p27〜)

1 刑事訴訟法の法源(p27)


2 刑事訴訟法の適用範囲(p28)



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