第5節 供述証拠の収集
1 総説
2 被疑者の取調べ
(1) 在宅被疑者の取調べ
任意同行には、いかなる法的性格のものがあるか
@司法警察活動としての任意同行(被疑者の出頭のために、被疑者に同行を求めること)
A行政警察目的の警職法上の任意同行
刑事訴訟法上の任意同行は、それを認める明文はないが、許容されるのか
任意同行が真の同意による任意処分であるならば、禁止されるまでの必要はなく、認められる
任意取調べの限界
任意捜査の一環としての被疑者の取調べは、事案の性質、被疑者に対する容疑の程度、被疑者の態度等諸般の事情を勘案して、社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において、許容される(高輪グリーンマンション殺人事件)
強盗致死事件の被疑者に対する徹夜の取調べの可否
「特段の事情がない限り」是認できないとしつつ、
@被告人から進んで取調べを願う旨の承諾を得ていたこと、
A一応の自白後も取調べが継続したのは重大事犯の枢要部分に関する供述に虚偽が含まれていると判断されたためであること、
Bその間本人が帰宅しようとしたり休息の申出をした形跡はなく、風邪や眠気のため意識がもうろうとしていたなどの状態にあったものとは認めがたいこと、
などの特殊事情があるとして、適法(平塚事件)
任意同行と実質的逮捕との区別
被疑者の同行を断る意思決定の自由が制圧されているか否か
@同行を求めた時間・場所
A同行の方法・態様
B同行を求める必要性
C同行後の状況(特に取調時間・方法・監視の状況)
D被疑者の対応の仕方等の具体的状況を総合的に検討
(2) 身柄拘束被疑者の取調べ
自白(取調べ)に関する事前の法的規制
取調べに際し、自己の意思に反して供述する必要がない旨、すなわち黙秘権について告知しなければならない(198条2項)
q 逮捕・勾留されている被疑者は取調べ室への出頭義務および取調べ室での滞留義務を負うか
反対説 取調受忍義務肯定説
∵@198条1項但書の反対解釈
∵A逮捕・勾留は捜査上の処分であり、取調べという形での拘束を予定したものである
∵B身体拘束中の取調べの有用性・必要性
∵C取調室への出頭・滞留義務を肯定しても、被疑者に供述義務を課すわけではなく、供述拒否権を告知(198条2項)した上で行われる取調べならば、被疑者の黙秘権を侵害しない
a 取調受忍義務否定説
∵@逮捕・勾留の目的に取調べは含まれていないので、取調べのために出頭・滞留させることはできない
∵A取調受忍義務を肯定すれば、被疑者の黙秘権は侵害されることになる
∵B198条1項但書は、身柄拘束被疑者に出頭拒否・自由退去を認めることが、逮捕・勾留の効力自体を否定するものではない趣旨を注意的に明らかにしたにとどまると解釈することができる
余罪とは
同一被疑者・同一被告人の犯罪のうち、一定の手続に際してその基礎とされた犯罪以外の犯罪で、これと同時審判の可能性のあるもの
余罪取調べの許否
原則→取調べの範囲に制限はない
例外→違法な別件逮捕・勾留による取調べとなるような余罪取調べは許されない(令状主義潜脱説)
∵身柄拘束と取調べとは理論上完全に分離すべき
令状主義潜脱説の判断基準
本罪と余罪の関係、罪質・軽重の相違、余罪の嫌疑の程度、その取調べの態様などを総合して判断する
3 被疑者以外の者の取調べ
参考人の取調べの法的性質
任意処分であり、出頭拒否権・退去権がある
参考人の取調べに黙秘権の告知は必要か
不要
∵198条2項の準用はない
4 証人尋問
5 通訳・翻訳
刑事訴訟法・目次へ