第6章 裁判(p347〜)

第1節 裁判の意義(p347〜)

1 裁判の意義(p347〜)

裁判…裁判機関の意思表示的な訴訟行為


2 裁判の種類(p348〜)

(1) 判決・決定・命令

判決は、裁判所の裁判であって、原則として口頭弁論にもとづいてすることを要する(43条1項)

決定は裁判所の裁判であるが、口頭弁論にもとづくことを要しない(43条2項)
命令は裁判官の裁判であるが、口頭弁論にもとづくことを要しない(43条2項)

判決・決定・命令の手続的差異
@判決→必ず理由を付することが必要である(44条1項)
 決定・命令→上訴を許さないものには理由を付する必要はない(44条2項)
A判決→控訴(372条)・上告(405条)が許される
 決定→抗告が許される(419条、433条)
 命令→準抗告が許される(429条)


(2) 終局裁判・非終局裁判

終局裁判…事件を当該審級から離脱させる効果を持つ裁判

非終局裁判…訴訟の継続進行を目的とする裁判


(3) 実体裁判・形式裁判

実体裁判…申立ての理由の有無について判断をなす裁判

形式裁判…申立ての有効・無効について判断をなす裁判
・管轄違いの判決(329条)
・公訴棄却の判決(338条)・決定(339条)
・免訴の判決(337条)


3 裁判の成立(p350〜)

(1) 内部的成立

裁判の内部的成立…裁判の意思表示内容が裁判機関の内部で決定すること

効果;裁判官が交替しても、公判手続を更新する必要はない


(2) 外部的成立

裁判の外部的成立…対外的にも判断内容が認識可能な状態に置かれること


(3) 裁判書


第2節 裁判の内容(p352〜)

1 総説(p352〜)

(1) 主文と理由

判決に理由を付する(44条1項)趣旨
@裁判機関の恣意を防止する保障機能
A裁判を受ける被告人を納得させる説得的機能
B不服申立てがあった場合に上訴審が原裁判の当否を審査するという審査機能


(2) 形式裁判の内容

338条4号の公訴棄却規定は、公訴が違法な場合に対する総括規定の役割を果たしている

免訴判決も形式裁判
・確定判決を経たとき(一事不再理効が発生したとき 337条1号)等
→非典型的訴訟条件の欠如がもはや国家刑罰権の発動を許さない程度に達しているときも免訴判決を言い渡す


2 有罪判決(p354〜)

(1) 有罪判決の内容

狭義の択一認定…別個の構成要件にわたる事実が択一関係にある場合であって、そのいずれかであることは確実であるが、そのいずれかが不明の場合に、そのいずれかと認定するような場合

q 狭義の択一認定の許容性?
a 否定説
∵択一認定を認めると「疑わしきは被告人の利益に」の原則に反する
∵合成的構成要件を設定したことになり罪刑法定主義に反する
∵嫌疑刑を科すことになる

cf. 被害者の死亡時期が不明であることから、死体遺棄罪か保護責任者遺棄罪のいずれかが成立するが、そのいずれであるかが明らかでない事案
挙証責任の法則に忠実であるかぎり、いずれも証明が十分でないものとして無罪の言渡しをするほかない


(2) 有罪判決の理由

問題1


3 無罪判決(p360〜)

(1) 無罪判決の内容

有罪の事実が証明されないときが無罪であり、無罪の事実が証明されたときが無罪のわけではない


(2) 補償


4 訴訟費用(p361〜)

国選弁護人の費用を被告人に負担させても憲法37条3項に反しない

告訴等により公訴の提起があった事件について、被告人が無罪または免訴の裁判を受けた場合において、告訴人に故意または重大な過失があったときは、その者に訴訟費用を負担させることができる(183条)


第3節 裁判の効力(p363〜)

1 裁判の効力(p363〜)

(1) 裁判の効力の意義

裁判の確定…裁判が通常の不服申立て方法によっては争いえなくなること


(2) 形式的確定力と実質的確定力(既判力)

内容的確定…裁判が形式的確定力をもつに至ったときは、裁判の意思表示内容が確定し、もはや動かし難いものとなること


2 確定力の理論(p365〜)

(1) 確定力の本質

訴訟法説
→既判力…確定裁判の後訴への影響(後訴への不可変更力=拘束力)
∵既判力制度によってはじめて確定裁判は規範たりうる


(2) 確定力の効果

q 形式裁判の拘束力?
a 肯定
∵形式裁判といえども終局判決であることには変わりはなく、矛盾判決を防止し、被告人の地位の安定を図る必要がある

q 被告人が形式裁判を得るについて偽装工作を用いた場合に、新証拠によって偽装工作の事実が判明しても拘束力が及ぶか?
 反対説 肯定
  ∵拘束力が及ばなくなる事情の変更とは、新証拠の発見ではなく、事実自体の変化でなければならない
a 否定
∵拘束力はもともと検察官の禁反言たる性質のものであるから、被告人には拘束力の要求資格がなければならない
 →被告人に重大な偽装工作がある場合にはこの要求資格が欠けており、検察官は前訴裁判の拘束力を受けることなく再訴が可能となる


第4節 一事不再理効の効力(p371〜)

1 一事不再理の効力と「二重の危険」(p371〜)

(1) 一事不再理効の根拠

q 一事不再理効の根拠?
a 二重の危険説(被告人が一度有罪判決を受ける危険・公判を受ける負担を受けたので再度の危険・負担を負わせることはできない 憲法39条)
∵被告人の人権保障
∵当事者主義の訴訟構造(256条6項、298条1項、312条1項)


(2) 一事不再理効と裁判の効力


2 一事不再理の効力の発生(p373〜)

(1) 一事不再理効の発生事由

@有罪・無罪の実体裁判に一事不再理効が発生する
A形式裁判のうち公訴棄却の裁判については一事不再理効は発生しない

q 免訴判決に一事不再理効が発生するか?(337条1号の「確定判決」に免訴判決が含まれるか?)
a 肯定説
∵免訴は訴因に内在する訴訟追行の利益がないときに言い渡すもの
 →訴訟を形式的に打ち切る裁判(形式裁判説)
 しかし、免訴は、一度このような事由が発生した以上、その訴因についてはおよそ訴訟追行を許さない趣旨


(2) 一事不再理効の発生時期


3 一事不再理の効力の範囲(p376〜)

(1) 客観的範囲

q 一事不再理の効力の客観的範囲?
a 公訴事実の同一性の範囲
∵公訴事実の同一性の範囲内で被告人が危険におかれた


(2) 時間的範囲・人的範囲

問題2



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