4班論文テーマ 我が国の証券市場の「信頼」創造に向けて
〜なぜペイオフ凍結解除で証券市場は資金を獲得できなかったのか〜
2002年4月に実施された定期性預金のペイオフ凍結解除は日本版金融ビッグ・バンにおける保護規制の緩和・撤廃といった一連の流れによるものである。これらの改革目的の一つが資金循環の効率化であり、預貯金偏重といわれるわが国の個人金融資産が証券市場へ流入することが期待された。しかし、その目的は未だ果たされていない。今回のペイオフ凍結解除後も個人の金融資産は定期性預金から決算制預金へシフトしただけで、証券市場へは向かっていないのが現状である。現在、銀行の金利はゼロに近い状態であるのにもかかわらず、日本国民は証券市場を避け続けている。
なぜ、わが国では証券市場に資産が流入しないのか。その原因は明確である。わが国の証券市場は、国民にとって大変透明性に欠けるものだからである。その経緯は主に、政府が銀行の力を強め証券市場を軽視していたために、市場の法整備が遅れたこと、発行企業がメインバンク制のもとで株主を軽視し、閉鎖的な経営を行ってきたこと、証券会社が経営努力を怠って、自らの信頼を欠くような不祥事を起こしてきたことによる。
世界最大の規模を誇る米国の証券市場は「投資家の保護」が市場活性の第一前提として考えられている。法による市場の整備を早期に行い、企業には十分な情報の開示を徹底させ、証券会社の違法な売買には厳重な処罰を課す。こうした形で投資家を保護し市場の「信頼」を構築することによって、投資家を市場へ呼び込むのだ。よって、わが国でも、証券市場が「信頼」を得るためには、発行体である企業の情報が正確かつ公正に開示され、さらに、その情報に厳しい目を向ける監査体制が創設されることが必要不可欠である。また、私達個人も自己の資産がどう運用されるべきなのかを、自己の判断で考えていく意識をそろそろもたなければならない。そして、二年後に延期された決算性預金ペイオフ凍結解除がわが国の資金循環構造の変化にとって有効にはたらくことに期待したい。