2班論文テーマ 「日本におけるコーポレート・ガバナンスの現状と課題」
〜内部チェック機能の確立に向けて〜
我が国においては1990年代に入って企業のコーポレート・ガバナンスが活発に議論されるようになった。それまではメインバンク制による株式の相互持ち合いが続けられてきた。そのため持ち合い株主以外の外部の一般投資家による経営への実質的な関与は少なく、その影響力も弱かった。外部からの影響力すなわち企業へのチェックが弱いことで、経営者の裁量範囲は拡大する、いわゆる経営者主義的な企業経営が確立しコーポレート・ガバナンスにはあまり関心が示されてこなかったといえる。
ところが最近になって、現実的な問題に直面し環境の変化にさらされ、現段階の経済や経営の状態を打開しようとする試みから日本でコーポレート・ガバナンス改革に踏み切る企業が増加してきている。
コーポレート・ガバナンスの構築に向けて、改革の必要性に迫られた企業が社外取締役や委員会制度等の導入といった改革をする一方で、機関投資家が議決権を行使し始めてきている。しかしその機能性や健全性においては、まだまだ問題点も多く、企業によってその動きも様々であり、明確な見通しはたっていない。他国のコーポレート・ガバナンスの単純な模倣ではなく、日本独自のコーポレート・ガバナンス構築に向けて、日本の現状を多方面から検証し、その問題点を浮き彫りにする必要がある。そして日本におけるコーポレート・ガバナンスの現状と問題点を考察することで今後の方向性を検討する。
まず第1章ではコーポレート・ガバナンスの定義と日本のコーポレート・ガバナンスの議論を確認する。第2章では日本におけるコーポレート・ガバナンスの現状を、その周辺環境とともに明らかにしていく。第3章ではコーポレート・ガバナンスの現状を、企業外部と内部とに分けて検証し、問題点を明らかにする。最後にまとめとして、日本におけるコーポレート・ガバナンスの今後の方向性を検討した結果、本稿で示したとおり、企業外部チェックに比べ企業内部チェック体制には問題点が多く、取り入れられた制度の適応性や機能性には課題があるといえる。アメリカ型のコーポレート・ガバナンスの長所を取り入れる過程においては、日本経済に適合するように問題点を理解し、それを生かすことができる環境を整備する必要がある。以上のことから日本におけるコーポレート・ガバナンスは模索・発展段階にあり抱える問題も多いが、日本におけるコーポレート・ガバナンスの今後の発展の担い手として、企業内部からのチェック構造の改革に期待したい。