1班論文テーマ
「日本版シリコンバレー創出に向けて」
長引く景気の低迷と、ITバブルの崩壊の中で、わが国のベンチャービジネスは現在苦戦を強いられている。しかし、わが国の長期不況経済問題、また日本経済の空洞化問題を打破し、力強い成長軌道に乗っていくためには、全国各地でベンチャービジネスが生まれ、成長していくことが重要である。これまで様々なベンチャー支援策が投じられてきたが、それらの政策体系は必ずしも体系的・整合的ではなく、関係機関や各種団体の間での取り組みに連携と協調がかけており、日本は米国のシリコンバレーにおけるベンチャー支援の過程と比べて、それぞれの支援策に統一性がない傾向がみられる。ベンチャービジネスを定着させるためには、法律改正や資金提供による支援策や起業環境の整備がされる以上に、それぞれの支援策が総合的に機能していくことが重要だと我々は考える。そこで本稿では、支援策が総合的に機能している例として、米国のシリコンバレーを参考に、日本に適応したベンチャービジネスの総合的な支援体制の構築について考察していく。
まず第1章で日本のベンチャービジネスの現状を分析し、課題を確認する。第2章では、ベンチャー先進国である米国のシリコンバレー発展の経緯とベンチャー支援の仕組みを明らかにする。第3章では、第2章におけるシリコンバレーを参考に、日本のベンチャー支援の現状を分析し、日本版シリコンバレー創出の可能性を考察する。
1章から3章までをつうじて考察した結果、日本でも不完全とはいえベンチャーキャピタルをはじめとするベンチャー企業育成システムのここのパーツは徐々に揃いはじめている。しかし、未だ、シリコンバレーのようにシステム全体が総合的に機能しているとは言えないのが現状である。3章でも考察した日本のベンチャー支援は、動き出したばかり、または予定といったものもあり、事業の成果があがっているのかどうかを結論するにはまだ早く、事業の成果はこれから問われる。では何が欠けているのか。ベンチャー企業育成のシステムをトータルのものとして考え、国・都道府県・市町村などの行政機関が中心となり、各機関・各団体が連携と協調を図りながら事業の体系化・系統化と一体的な運営が必要であると我々は考える。ひとつひとつのパーツが存在しても、それらが全体として機能しなければ成果をあげることは難しい。全体として見て、欠けている市場インフラを補ってく努力を続けていかなければならない。日本も、シリコンバレーで有効に機能している仕組みを取り入れ、全国各地の産業集積地域の既存の集積をもとに、大学等の知的インフラの活用や、新事業創出などを目指す企業や起業家、さらにはビジネスインキュベータなどが一体的空間の中に集積し、一定の競争・協働環境のもとに連鎖的に新産業創出や技術革新が起こる空間を形成していかなければならない。また、ネットワーク機能を強化し、日本の各地域の特性・産業に適応した計画や方向性を理論的に検討し、それに応じたベンチャー企業育成システムを構築していくことが、日本版シリコンバレーの形成、そして日本のベンチャービジネスの発展を促すことになるだろう。