3班論文テーマ 「日本の都市銀行のリテール・バンキング」
〜拡大の必要性〜



 バブル崩壊後、地価や株価の下落という資産デフレを発端に日本の経済は十年以上経った現在も景気は低迷している。こうした景気の低迷は、銀行に株式の評価損や不良債権問題、企業の資金需要の減退による仲介機能の低下により、経営は悪化の一途をたどっている。さらに19984月からスタートした日本版金融ビッグバンを受けて本格的な競争の時代を迎えるようになった都市銀行は生き残りをかけた経営戦略に乗り出した。その経営戦略の一つとして、リテール・バンキング業務を大きな目標に掲げている。
 リテール・バンキング業務はホールセール・バンキング業務に比べて一件あたりの取引コストは上昇するものの、取引数を増やすことによって、より収益が見込まれる。したがってリテール戦略はコスト削減と収益拡大が求められる業務なのである。内容としてインターネットバンキング、銀行と消費者金融専業会社の提携、住宅ローンにおける動きを考察してみる。インターネットバンキングは銀行側にとってはコスト削減ができ、24時間サービスが行えることなど顧客の利便性を上げる事ができるが、既存のATM利用者にとっては普及に伴う店舗統合により利便性は低下することや、セキュリティなど問題は残されている。銀行と消費者金融専業会社の提携はリテール部門において貸し出し収益拡大の可能性が見込める。何故なら銀行の持ち得なかった個人貸し出しに関するノウハウを提携により得ることができれば需要の増大が見込めるからである。今後は銀行と消費者金融専業会社の全国信用情報センター連合会における情報の交換が十分に行えるようになることが望まれる。銀行の住宅ローン業務においては住宅金融公庫廃止の受け皿として協調融資が注目されている。しかし顧客にとって利便性の低下、保険料が高くなるなど導入に至っての問題は残されている。諸問題はあるもののデフレ経済下においてリテール戦略によって収益が拡大することが期待できる。
 米銀は1980年代後半から1990年代にかけて低迷と奇跡的な復活を遂げた。その背景にリテール部門の拡充があったがそれは単に表面的な比重を移していったというわけではない。金融・資本市場の自由化による競争激化は米銀に生き残りという観念を作り出し、その中でみずからを特権的な金融インフラとしてとらえるのではなく、顧客に金融サービスや金融商品を提供することで存在する私企業として認識することが復活の大きな足がかりとなったのだ。リテール戦略は今後日本の都市銀行の大きな収益の柱になっていくであろう。しかし米銀型のリテール戦略を商品やサービスなどそのまま取りいれることは危険である。日本の都市銀行にとって必要なのは、銀行が金融サービス業であるという認識である。そのような認識を持つためにもリテール部門の拡充が必須である。

ゼミ活動のページへ戻る