2、ベトナムの衣食住文化
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ベトナムの民族衣装の最も知られているものの一つとして、キン族の民族衣装であるアオザイがあげられる。。アオは「服」、ザイは「長い」の意味なので、アオザイは「長衣」という単純な意味だが、今では、立て襟で、両脇が割れて前後の布が膝下まで垂れ下がっている女性の服をさすのが普通である。アオザイには男用もあった。
アオザイもまた中国の影響を強く受けた衣装で、実質的に長袖のチーパオ(旗袍=チャイナドレス)にズボンを穿いたものにほかならない。もともとチーパオは、清朝(1616〜1912年)を建てた満族の民族衣装であった。満族は騎馬民族で、馬にまたがるために、裾の両脇が腰まで分かれた形の長衣が発達したといわれ、これの形が今のアオザイに残っている。また服が前あきになっておらず、肩のところでとめて、体の前面が一枚布になっているのも、馬に乗った際に風を入れない騎馬民族の工夫である。現在のバイク用の革ジャンパーの多くはこうした工夫をしている。立ち襟もまた防寒のための北方騎馬民族に特徴的な服装で、今なおモンゴル族の衣装に残っている。アオザイは布地を薄くしてなんとか暑さをしのげるようにしてあるが、本来ベトナムのような蒸し暑い国には適した形の服装ではない。実際にアオザイが導入される前は、腰巻きなどの農耕民族的な服装がキン族の伝統衣装であった。中国ですら清朝が建てられたのちにチャイナドレスが一般化したのであるから、中国の歴史においてもチャイナドレスは比較的新しい服飾である。ベトナムでアオザイが用いられはじめたのも、わずかにここ200年ほどのことである。
このアオザイは、あくまでもキン族であるベトナム人の族衣装で、各少数民族はそれぞれ独特の民族衣装を持っている。その特徴の一つは、手のこんだ、色ざやかな刺しゅうに見られる。履き物はサンダルや靴だが、農村では木のサンダルも使われている。
ベトナム人の女性がよくかぶっているノンという帽子は、日本の管笠に似ているが、材料は竹とブオンという植物の葉で作られている。(最近、若い女性はこのノンをかぶらなくなっている。)
アオザイ以外に、少数民族が持つ独特な民族衣装もある。とくに女性の民族衣装は、デザインが多様で色彩も独特であることが多い。タイ族は独自性のある色彩の衣服やマフラーを織っている。モン族の中には、きわめてサイケデリックな服飾を民族衣装としているグループがあるし、また独特な幾何学模様の蝋染めに長じた人々もいる。
現在のアオザイ・・・男用は現在はなくなっている。ハノイやフエやホーチミン市といった都会の高校では、女生徒の制服になっている。しかし、日常の活動にはあまり適していないため、特別な場合にしか着ないようである。たとえば、結婚式をはじめ、テトつまり旧正月、パーテイー、接客の時などである。普段は日本人の服装とあまり変わりはない。
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| タイ族の独自性のある 色彩の衣服やマフラー。 |
ザオ族の女性。座布団のような 大きなかぶりものをしている。 |
モン族の中でもっとも衣装が派手な花モン族の女性。ラオカイ省バックハーの市場。 |
A食
ベトナム人の食生活だが、これは日本人と同じで米が中心。この米の文化に、中国とフランスの食文化がミックスされたものが、ベトナム料理だとされている。材料は、鶏肉、豚肉、牛肉といった肉類や魚介類、野菜などのほとんどは、日本と同じである。ただ、香りの強いミント、シソ、ドクダミ、もやしなどをよく使う。調味料としては、塩や胡椒のほか、日本で醤油や味噌をよく使うように、ヌクマムという漁しょうを使用する。このヌクマムは魚を塩で漬け込み3ないし4ヶ月間発酵させて出る、上澄みの液である。秋田のシヨッツルに似ている。ベトナム料理は、「タイ料理ほど辛くなく、中国料理ほど油っこくない」と言われている。日本人の旅行者は、「口に合う」という人が多いという。またベトナム人は、朝と昼の食事は、軽いものをとる。たとえば、ベトナム風のうどん、フオー(米の粉から作られたうどん)などをよく食べる。そのほかには、きしめんのようなフゥティウ、その他中華麺などのヌードル系もしくは、フランスパンにニョックマムと香菜をプラスした具をはさむサンドウィッチ=バインミー、チャオというお粥なども選ばれる。一方、夕食には力を入れる。夕食は、肉か魚を使った料理に漬け物とスープを添え、茶碗は日本のものよりやや小さいが、普通3杯はおかわりをする。ご飯の上におかずをとって食べ、最後の一杯はスープをとって食べる。もちろん、食べる時は、日本、中国、朝鮮と同じように箸を使用する。ベトナム、とくにホーチミン市の人々は外で食事することが多く、家庭の主婦が朝食を屋台で食べている風景も日常のものとなっている。
←朝、昼食に良く食べられるベトナムラーメン。
B住
近代以前・・・ベトナムの家は、ベトナムの気候風土と日本のように地震がないという特徴から、日本の家とはだいぶ違う。また、ベトナムでも都会と農村ではだいぶ異なってくる。昔は、町を出ると土の壁にワラぶきの屋根、そして内は土間といった家が当たり前だった。
現在・・・ レンガの壁にカワラぶきの屋根、そしてタイル張りの床に高い天井の家に代わっっていきている。
ベトナムでは現在いわゆる西洋スタイルの生活が普通である。夏は、ベッドにゴザを敷いて寝る。冬でも毛布をかける程度で十分。ベッド ごとに蚊帳を吊る。
都会では、日本の団地やマンションのような住宅が増えつつある。都会でも農村でも経済発展とともに、住生活も変化している。しかし、山岳地帯に住む一部の少数民族は、今でも伝統的な高床式住宅を守っている。