|
『Dear My Friend』 仕事から帰ってポストを覗く、何時もとなんら変わりない。幾つかのダイレクトメール・・ 「なんなんだよ、俺の事勝手に商売に使うなよな・・・・」 今日はなんだか疲れているからもう怒る気力もない。小さくため息をつき何時もと変わらない エレベーターに乗り自分の階のボタンを押す。何時もと同じように鍵を開け、冷えたビールを探しあてて それを片手にベッドに倒れこむ。鞄と上着をほおり投げたお陰で部屋は余計に乱雑に見える。 「ちっくしょ〜・・・なんだよ・・・汚ねぇ・・・この部屋」 少し片付けるか・・やっとの思いで重い腰を上げるとそこにさっき鞄と一緒に放り投げた ダイレクトメールがある。っとその中に一つちゃんと直筆で書かれた自分当ての手紙を見つける 「あぁ?Dear My Friendだぁ?なんだ?誰からだよ?」 【Dear My Friend 突然手紙して悪いな。電話しても良かったんだけどさ、なんか照れくさくってよぉ ちょっとな、お前に聞いて欲しい事があってよ、・・・・・・】 差出し人は大学時代からの付き合いのある奴。何時もはメールすらまともにこない 面倒くさがり屋の悪友。確かあいつと同じ所に就職したんだよな・・同じサークルだった だけで飲み会ぐらいでしか話さない俺の鼻につくあいつと・・・この二人はまぁ 仲良かったけど、今でも仲良くやってんのかなぁ? 【・・・・ある人を見つけたんだ。彼女を見つけたのはいつだっけな、とにかく 天気が良くって夕日がすっげぇ綺麗だった日だよ。長くて綺麗な 黒髪のストレートが風に靡いてて ドキッとした。彼女は何かを真っ直ぐに 見てた。それから彼女の事を目で追いかけてばっかりなんだよ。 彼女の瞳にある強さ 彼女の声にある意思の強さ 華奢な身体なのにそれを感じさせない 照れくさいんだけど「虜になった」っていうのかな?それから何をしても 彼女を探して彼女がなにを思っているのかずっと知りたかったんだ。 それで気づいたんだ・・・・・憶えてるか?お前が「鼻につく」って言ってた奴。 彼女の瞳はあいつをみてる 彼女の声はあいつに向かってる 彼女は傷ついてる、でもそれをあいつに知られないように 強がっている・・・・それで、もう一つ気づいたんだ 俺彼女の事好きになってた。 彼女を振り向かせたい でもあいつを想ってる彼女をどうして俺に向けることが出来る? 悪いな、こんな話でよ、でもお前ならどうする? また電話するよ。サンキューな。】 「まったく、用件だけさっさと書いてこっちの事は一つも聞いてやしない・・・ っで。俺に何を言えと?手のかかる友人をもったな俺は・・しかも相手はあいつか。 しかたない、一言いってやるか。」 放り投げたままの鞄から携帯を探し出してメールの送信画面を呼び出す。 あいつのことだ、最後の一押しが欲しくて手紙をよこしたんだろう。 (何度この言葉をあいつに言っただろう。最初はあいつが俺に言ったんだ。 そんな事まぁ、確実に憶えてないだろうけどな。) 少し懐かしくて少し可笑しくて俺は少し笑いながらメールを送った。 『絶対なんてないんだ、諦めたらそれが最後だ!』 |