日本より少ない漢民族の名字
 中国の漢民族は世界で最も早く名字ができた民族で、日本や観半島など、東アジア諸国の文化に大きな影響を及ぼしており、名字についても日本や韓国の名字の元となっています。
 中国では、紀元前10世紀ごろの「周」の時代にはすでに、一族のルーツを示す「姓」があり、周王朝は「姫」を姓としていました。
 周王朝は封建制度を採っていたため、天子は書く諸侯に土地を与えて国とし、それぞれの「氏」を名乗らせました。「氏」は日本の名字に当たり、「呂」「祖」など、約60の「氏」ができました。
 その後、貴族などにも「氏」が送られ、書く諸侯の重臣たちも与えられた土地から「氏」を作りました。中国では、「姓」と「氏」を使い分けており、孔子の「孔」は「氏」に当たり、「姓」は別にあります。
 このように「氏」の数は増えていきましたが、日本のように、勝手に地名を名字とすることは許されません。中国の歴史書に登場するすべての名字を数えても5600前後にしかならないそうです。現在、中国には3000種類の名字があるといわれていますが、そのうち漢民族の名字は2000前後と推定されるそうです。
 その中で、一番多い名字は「王」説と「李」説があり、ともに全漢民族の7〜8%程度を占めているそうです。中国の人口は12億以上、そのうちの9割が漢民族ですから、約8000万人が、「王」「李」いずれかの名字を名乗っている計算となります。なお、この二姓に「張」「趙」「劉」を加えた五つを、中国では「五大姓」と呼んでいます。
 また、首都の北京では「欧」が一番多く、南部の広東省では「梁」、台湾では「陳」が多いなど、地域的にかなり差があります。
※ この文章は森岡 浩 『名字の謎』 新潮OH!文庫 を出典として作成したものです。 
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