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    2003年 X月O日       
  

                     古寺庵 ポン吉

 Nはテレビの前で絶句していた。テレビ画面には奇声を発しながら警備員に取り押さえられて
いるオレンジ色の服の男が写っていた・・・・・。
 時間を少し戻そう。去年、K国際大学を卒業したNは、広島の教育関係の会社に就職した。
1年が経ち仕事にもなれてきたとは言えやはり仕事はキツイ。クタクタになって家に帰った彼
は、いつものようにテレビを点けた。
 テレビには司会者の顔が心臓発作寸前の女の顔を見つめている画が写っている。そう、クイ
ズに正解しつづけると1000万がもらえるアノ番組である。

みの「ファイナル・アンサー?」
女「ファ、ファイナルアンサー」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下
略)。
みの「ザーンネン!」

同時に崩れ落ちる女、それを優しく抱きかえ慰めの言葉をかける司会者(挑戦者が男だと絶
対やらない)。
「それでは新しい挑戦者を決めましょう、問題・・・」その声と共に新しい挑戦者を決める予選ク
イズが行なわれる。
「さあ結果を見てみましょう!」同時に電光掲示板に正解を遅く答えた順に名前が並んでいく、
結果が出るとタイムは1秒を切っている。どうやら完全な幸運のようだ。「運も実力のうち」とば
かりに一人の男が奇声と共にガッツポーズを挙げた。と同時にテレビを見ていたNは凍りつい
た。
「お名前は?」司会者は男の名前を聞くが、Nはこの男を良く知っている。そう、大学時代にN
が所属していたサークルの部長を務めたアノ男である。
 Nが凍りついているのを尻目に番組はドンドン進んで行く 「1000万、獲得したら何に使いま
すか?」お決まりの質問をする司会者、「一生遊んで暮らします!」まじめな顔で非常識な答え
を言う男。
  Nはこの時点でテレビを消そうと思ったが、体が凍りついて手が動かない。
その間に番組はサクサクと進んでいく。

みの「それでは第一問!日本の首都は何処?A、大阪府 B、東京都 C,愛知県D,ニ
ューヨーク」
M(自信タップリに)「Eの山口!」

 男の答えにスタジオ中が苦笑いを浮かべる。呆れながら司会者は言う「・・・もう一度問題を
読みます」男は前より荒い口調で「Eの山口!!」別にこの男、ふざけている訳ではない。 単
に田舎で育った彼は山口の繁栄は大内の時代で終わった事を知らないのである。
Mの「・・・分からないなら、オーディエンス、50%50%、テレホンを使っていいですよ」やや、苦
しい作り笑いを浮かべながら司会者は男に他力に頼る事を進める。
M「・・・・じゃ、テレホンをお願いします」作り笑いに押され渋々テレホンを一問目から使う男。
「ハイ!今、お友達にネット回線でつながってます。貴方は30秒以内にお友達から答えを聞き
だしてください」その言葉と共に電光掲示板に軍服を着たボウズ頭が写っていた。

M「えーとね、Mっちゃん」男が質問を言う前に軍服の男は
まっちゃン「まんK! まNこ!! Mんこ!!! まっ(プツ)」・・・・

・・・・・沈黙が支配するスタジオ・・・・。
「・・そ、そういえば、応援の方が来てましたね!」苦し紛れに場の空気を変えようとする司会者
「確か貴方の大学のゼミ・・」「W田先生です」男が答えるとカメラは、客席の左端に座っている
ニキビ顔の男に向けられた。
「W田です・・・」下向いてボソッと答えたその男は、どう見ても大学の後輩O月だっ
た。・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 この後、この番組で何が起こったかNは知らない。途中で体は石と化し、意識は深い所をさま
よい、気が付けば時計は早朝を指していた。
 その日、Nは、いつもと同じ様に朝飯を取り、いつもと同じように会社に出勤し、いつもと同じ
朝を過ごした。新聞の一面を見なかったこといがいは・・・・・

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