北陸中日新聞(2001年11月30日付 朝刊)
「つまらない」・・・文句ばかりじゃ変わらない
金沢大学の学生有志が、2002年度の正規授業を自ら企画している。テーマ設定から講師選びまでを
おぜん立てし、真に学生の求める授業を誕生させる狙いで、大学も試験ケースとして見守る。
統合、再編の枠組み論議が目立つ大学改革にあって、魅力ある教育に向けた一石を投じそうだ。
学ぶテーマ自ら決定
開講が予定されるのは、教養教育の総合科目。
「生と死を見つめて」「NPO(民間非営利組織)とNGO(非政府組織)」の二講座を前期、後期に分けて行う。
企画しているのは、医、理両学部を除く6学部の約10人に「学生企画委員会」(仮称)。
「学生のニーズにこたえるには、学生主体の改革が必要」という法学部の青野透教授の呼びかけで、
今年6月から活動している。
これまでの授業に物足りなさを感じていたメンバーらは2、30件の案を寄せ合った結果
「人の死に直面する現場を知りたい」「NPOやNGOの運営面の苦労を含めた実態を理解してほしい」などと、
講座のテーマを決めた。
その後、実質13回の授業内容を煮詰め、単位認定する担当教官には青野教授と医学部教授の2人に依頼。
外部講師を含めた各回の講師を人選しており、年末にも計画をまとめる。授業が始まれば、受講者アンケートなどで内容を点検する。
リーダー格の教育学部4年鎌田康裕さん(22)は「講師との交渉は難しいが、
ゼロから立ち上げるおもしろさがある。『つまらない』などと文句を言っているだけでは大学は変わらない」と
意気込み、同大大学院に進学後も携わるつもりだ。
こうした学生参画型授業は近年、全国でも東大など一部にとどまってきたが、教育力を高める手法として、
にわかに脚光を浴びている。金沢大の場合、教養教育機構研究調査部に所属する青野教授が個人的な試みとして提案、認められた。
青野教授は「大学生き残りの意味でも魅力ある授業が求められるが、教官が考えるだけでは限界がある。
学生の自発的な活動か、
学内の正式な機関として継続させたい」と話している。
学生は大学構成員
『学生参画授業論」の著書がある林義樹武蔵大教授(教育学)の話
学生参画授業への関心が大学改革の影響で広がりつつある。学生を大学教育の消費者と位置づけず、大学の構成員として
考え始めたようだ。将来は、高校までの間に「総合的な学習の時間」を経験して新しい感覚を持つ学生に対する受け皿にもなるだろう。
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