兼好法師
1283?〜1352?年
書名 徒然草
成立 作品の大部分が1330(元徳)3年から1331年(元弘元)秋(鎌倉の後期)にかけての約一年間になったとする説に対し、長期にわたり逐次成立したとする説もある。 これには、無常観、文体の変遷を根拠に、序段から30段あたりまでは1319年(元応元)ごろに執筆されていたとする2部説や、3回に分けられたとする3部説もある。
内容・構成 序のほかに243段。各段はそれぞれ独立した主題を持って書かれ、内容に応じて和漢混交文や和文を使いこなしている。その内容は、説話、処世訓など多岐にわたる。作者の目が人間生活のあらゆる部分に向かって光っていることを感じさせる。しかも、その目は時により、場合に応じて視点を変え、ある段では酒を賛美し、ある段ではその害を説くなどの矛盾が随所に見られる。しかし、それは社会や人間に限りない興味を抱く作者が、現実世界のさまざまな矛盾を眺めたときのいつわりのない生活感情の流露である。また、その矛盾を根底でつなぐものは、個人の体験や思考に裏打ちされた作者独自の無常観である。兼好は、無常の自覚を説き、また、世の無常を賛美する。こうした彼の無常観は、多彩な内容に焦点を与え、作品の価値を永遠のものにしている。
徒然草の序文
つれづれなるままに、日暮し硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかなく書きつくれば、あやしうるこそものぐるほしけれ。
<訳>
所在無さに任せて、終日硯に向かって、心に浮かんでは次々消えてゆくとりとめもないことどもを、何ということもなく書きつけると、妙に何かものにとりつかれたような気持ちになることだ。
<第一学習社カラー版新国語便覧より抜粋>