屋久島旅行記


■6/9
  4時までアパートで解析+荷造り。研究室に戻って6時に実験を終わらせてから、焼きそばを食べて空港へ向かう。徹夜明けで寝ないように、電車の中でiPodを久しぶりに聴く。確か小雨が降っていたように思うが、空港までまったく濡れる心配はない。
  友人と落ち合ってカフェーで搭乗を待つ。飛行機では大分眠った、その間に海に潜る夢を見た。
  鹿児島空港は春の学会以来だから一年ぶり。航空券を失くして泣きそうになったが、駄々をこねたら手荷物を普通にもらうことができた。さつま揚げを食べながら、港へ向かう。少々の蒸し暑さ。焼きそばしか食べていないので空腹でめまいがする。黒豚の生姜焼き(高い割に少ない。南海の生姜焼きが恋しい)を食べてから、高速船に乗り込む。ここでもよく眠って、何だかぼんやりしたまま屋久島についた。
  おお!白い砂浜の広がるリゾート!!・・・という感じではなく、ごくごく凡庸な港である。その感じは若干、数年前に訪れた大島に似ている。ついさっき雨が上がったかのような路面。バスは宮之浦から、島の南端のJRホテルへ向かう。気づいたこと数点。乗客を乗せたままバスが給油する。乗客を乗せたままターミナルで運転手が5分ばかりいなくなる。
  JRホテルは海に面した岸壁に立つ5角柱形の建造物である。なかなか眺めがよく、ボウイが荷物を運んでくれるし夕刻にはギターの弾き語りが吹き抜けのロビーに響く。露天風呂の泉質は僕が感じるに強アルカリ性。いやにつるつるするということは、他の人のいろんなものが溶け出ているんだろう。夕食はコース料理。近くのAコープで酒やらなんやらを仕入れて、部屋でパンディエロを叩きつつ「太古 屋久の島」に酔う。
■6/10
  予報は曇りであったのでそこまで無理して朝風呂に入らずとも良いかと思い、7時半ごろ(?)まで寝る。G氏はロビーにいたので朝食まで屋久島の写真集を見る。夕食も豪華だったが、僕は朝食の一品一品の手の込みようからいって、後者に軍配を上げたい。特に、パンが旨い。
  雨が降るなかレンタカーを借りて、トーロキの滝、千尋の滝(霧で見えず)、ヤクスギランドを回る。僕の持っていた雨具の上は防水でないらしく、絞ったらぼとぼと滴が落ちるほど濡れたが、これも屋久島、対して気にしない。3時になりさすがに腹が減り、かつ丼(薄い)を食べて宿「杉の里」へ。一寸休んで海岸で得体の知れないものをいろいろ発見し、この気温ではなかなか海水浴は大変だと感じる。宿で洗濯。
  宿の料理はトビウオのから揚げや灰汁巻きその他大勢。腹が減ったのでご飯をいっぱい食べる。いっぱい食べてからのほうがよく飲める。で、11時頃まで(?)ぐだぐだして寝る。
■6/11
  8時に目が覚める。よく晴れている。今日は島をレンタカーで一周する。ガジュマル公園→一湊海水浴場→大浦の湯(麦茶と黒砂糖をもらう)→永田いなか浜(通過)→林道(シカ、サル数匹遭遇)→大川の滝(日本の滝100選)→平内海中温泉(冷やかし)→湯泊温泉(G氏による事故)→Aコープ→杉の里。
  昼に食べたハンバーガーみたいなのが異様に旨かった。10年ぶりくらいに泳いだ。泳ぎを忘れてしまっていて、素潜りもほぼ出来なくなっていた。ちょっと悲しい。小学生の時は潜るのは結構いけてると思ったのに。去年はずみで買った海パンがようやく役に立った。
  みんな疲れているらしくF氏はすぐに、G氏は少々もがいた後眠ってしまった。いっぱい飯を食べたのでだいぶ回復して、焼酎を心行くまで飲む。寝ているうちにこっそりと宿の雑記帳に旅の徒然を書き記しておいた。
■6/12
  レンタカーを返しに行くとおっちゃんが宮之浦まで乗っけてってくれた。おかげで「晴耕雨読」に午前中に荷物を置かせてもらい、バスに駆け込んで白谷雲水峡へ。数時間の散歩なのでレベル2といったところ。バスはずんずん上へあがる。降りると少しひんやりしていて蚊もいない。長時間の山登りなのでチョット準備体操をする。一定のペースで膝に負担をかけなければどうということもなかろう。そこまで標高が高く酸素が薄いわけでもないので、一日程度なら、たぶんずっと歩いていても大丈夫だ。
  1時間ほど(?)歩いてもののけ姫の森に着く。確かに、森の緑が眩しいくらいである。晴れて森に日差しがよく差し込んでいたこともあり、ここで写真をたくさん撮った。シシ神さま(?)にも多数遭遇した。小屋で飯をもりもり食べて、標高1000m程の太鼓岩へ。たぶんここがアシタカがサン(だっけ?)と会話した岩のモデルなんじゃないかと思う。僕がついて少しすると、あっという間に濃いガスに辺りの山々は覆われてしまった。寄り道をしていたら帰りの最終バスに危うく乗り損ねるところで、最後のほうは少々急いだ。屋久杉はこれの2倍の時間か。まあなんとかなりそうだ。風呂に入って洗濯してカツオ1っ本買って僕は刺身を作る。G氏はゴーヤチャンプルーとあら汁を作る。「三岳」を飲んで明日の支度をぱぱっと済ませ、寝た。
■6/13
  4時くらいに起こされる、眠っ。ご飯とあら汁とゴーヤチャンプルーを少しずつ食べるが、油ものはあまりのどを通らないのでご飯を大きめのおにぎりにして弁当の他に持っていく。バスで登山口に行き、歩き始めたのは6時半。ガイド付きのグループが7割といったところか。下山が遅れることを見越したのか、レンタカーも多い。トロッコ道をさくさくと歩き出す。立ち止まっておにぎりを食べ、また歩き出す。外気はひんやり。トロッコ道はどこまで続くのか。あまり素晴らしい景色もなく黙々と淡々と歩く。無心に2,3時間平地を歩くのが一番気楽だ。
  トロッコ道が終わったのは10時ころであったように思う。ここから木の根が山道へ張り出すような歩きにくい道が続く。根を傷めることを恐れて歩道も少し高めの場所に作ってある。ウィルソン株へ。大王杉へ。夫婦杉へ。そして、縄文杉へ。時には急勾配もあり、渇きを潤す湧水地もあった。ここまで来ると鹿も猿もほとんどいない。ただ圧倒的な大きさの杉や植生植物が入り乱れている。僕はウィルソン株の中を川が流れているのが印象的だった。心地よい疲労感の中を、夕刻降り出した小雨を浴びつつ下山した。風呂に入って洗濯した後、その夜は地元の居酒屋で一杯。
■6/14
  今日はのんびり過ごす。レンタカーが来るまで一人で宮の浦を小1時間ぶらぶら歩いた。途中で中学生に飴をもらったり自販機のお兄さんにコーヒーをもらったりした。僕は何だかこういう場面が多いなあ。レンタカーでお土産を買いに行き、トビウオラーメン(絶対旨い)を食す。衝動買いでジェンベを買った。一息ついた後、車で五分の温泉へ。これまたアルカリ色の強い温泉。帰りに北インド風カレーを食べ、ウミガメの産卵を見に行く。直前まで少々激しく雨は降っていたが、いざカメを見に行く段になるとほとんど止んで晴れ間が顔を出した。黙って浜辺を歩く。ああ、海に背を向け一匹のウミガメが卵を産んでいた。数十キロ近い体から時折深い吐息が漏れる。涙を流していた。生命の何か熱いかたまりのような、我々があまり直面することのなくなったものを感じた。ウミガメが海に帰ってから、我々も黙って車に戻った。そんな最後の夜。
■6/15
  屋久島最終日。雑炊を作って荷造りをして、「晴耕雨読」を後にする。台所に飾ってあった色紙にはこう書かれていたように思う。
  Today, it is raining. It's pouring. But life is never boring.
  言い得て妙かな、C.W.ニコルさん。
  

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