1年前の4月。私はひょんなことから家族旅行へ行く事となった。
家族旅行なんて久しぶりである。もう記憶がないくらい昔に行ったきりだったからだ。
そして、もう家族旅行にいくことはないだろう。
それは、一本の電話から始まった。
1年前私は就職活動真っ只中にいたのです。
そんな就職活動をしていた私は家でテレビを見ていたのです。
すると、電話が鳴りました。
「もしもし?」
「○○(私の名字)さんのお宅でしょうか?、私○○株式会社人事部の○○と申しますが、みさきさんいらっしゃいますか?」
○○株式会社・・・それは私が何の気なく受けてみた会社だった。
「はい。私ですが。」
「そうですか、あのですね、先日当社の一次選考の結果、次の最終選考を受けていただくことになりまして・・・。」
!!!
まじかいっ!!まじかい?○○株式会社!!!!
あたしは何の気なく受けただけなのに!!
「ありがとうございますっ!!よろしくお願いします。」
「それでですね、日付等はですね、後日封書をお送りいたしますので、それではよろしくお願いします。」
「はい。ありがとうございました。」
なんと、私は一次選考を通ってしまいました。なんだか申し訳ないような。しかし、自分の努力が認められたのでしょう。
良い方向に解釈した私は、封書を待ちました。
後日、封書が届きました。
そこには、最終選考の内容、日付、場所が書かれていました。
日時はその電話から1ヶ月後というものでした。
場所は、○○県でした。(県名はさけます。)
どうやら、○○株式会社、本社は○○県だそうで、そこまで来いとのことでした。
まあ私の住んでいるところからはあまり遠くないですし、旅行感覚で行こうと思っていました。
「なー、あたし○○株式会社の一次選考通ちゃった。」
「よかったなー。次は何?」
「もう最終選考だってさ。」
「もうかいっ!まあな、それで決まったらええやん。」
おかんに報告すると、おかんも心なしかうれしそうな顔をしました。
「んで、本社が○○県なんだって。だからちょっと行ってくるわ。」
「あんた大丈夫か?方向音痴やのに。」
「大丈夫でしょ。地図も入ってたし。」
その日は、何事も起こらずに私は眠りについたのでした。
次の日、おかんが突拍子もないことを言い出しました。
「なーみさき、あんたな、方向音痴やろ?」
「まあね、で?」
「で、一緒に行ったる。○○県まで」
!!!!
こいつは、こいつはなんてことを言いだすんだっ!!
ありえない。就職試験に親同伴だなんて。
「いいよ、来なくて。もう22だし。ちゃんと行けるから。」
「遠慮はいらんねん。親として心配やねん。」
「だーかーら、いいっつーの。」
「いや、もう決めてん。行くって。」
「勝手に決めるなっ!!なんでそうなるだよっ」
それから、おかんは何も言わなくなり、夕方おとんが帰ってきました。
「みさき、お父さんも一緒に行くからな。」
はっ?何言ってんの?この夫婦。
なんで就職試験に家族で行くんだよっ!!
「あんたもかよっ!!行かんでいいから。」
「でも、有給とるから。」
はぁ??まじで言ってんのかいっ!!父さんよっ!!テルよっ!!
有給使ってまでて。
「ちょっと、テルもおかんも来るてどういうことやっ!!」
「いいやんか。行きたいねんもん。」
「あたしは就職活動で行くんだよ?ついてこられても困るし。」
「はぁ???」
「えっ?」
おとんとおかんは顔を見合わせ、不思議そうな顔をしました。
「あんた何言うてんの?そりゃ○○県には行くで。行くけど、あんたは就職試験。うちらは観光に決まってるやろ。」
「じゃ、違う日に行けばいいじゃん。」
「アホ〜!一緒に行って、あんた試験終わったら合流したらええねん。家族旅行や。」
「父さんも有給とったから、試験頑張れや。」
!!!!
まじかいっ!!そんな企みがあったんかいっ!!
というわけで強引に家族旅行に行くことになりました。
うきうきのおかん。有給をとったおとん。複雑な気持ちのみさき。
こうしてみさき家の家族旅行が始まる。