あれは、忘れもしない、一年前の真夏の夜の出来事だった。 私は夏は嫌いじゃない。でも暑さには弱い。 そんな私が、まさか心霊現象を体験することになろうとは・・・。 それは例年通り暑い夏だった。深夜まで起きていた私は、喉が渇いて1階に下りた。 深夜の我が家は、しんとしていて虫の飛ぶ音だけが聞こえていた。 鳥目の私は、ブーンというかすかな音だけを頼りに、冷蔵庫へ向かってゆっくりと歩いた。 普段なら、すぐ冷蔵庫へ行けるのだが、今回は違っていた。 ジャリ・・・みさきは何かを踏んだ。 鳥目の私は、一瞬何を踏んだのか分からなかった。しかし、何か特殊な 普段踏むことのないものを踏んだようなそんな気がした。 その特殊なそれは、いきなり鳴きだした。 「うぉぉーん・・・」 ビクつくみさき。動物なのか?猫か?犬か? 私は稲川淳二の怖い話を思い出した。 私はこう見えてというか、かなりのビビリ。 そのまま逃げ出そうとしたが、特殊なそれが動き出した!! 変なうめき声を出しながら。 私は思い切って電気をつけた。 パチッ 冷蔵庫の前にいたそれとは・・ おかんかよっ!! おかんでした。こんだけ怖い思いさせられたそれはおかんでした。 銃で打たれて死んだ熊のように倒れていたおかんでした。 「ち、ちょっとこんなとこで何してんのさっ!!」 「あー寝てんねん。」 「こ、ここでなんで寝るのさっ!!」 「あぁ?暑いねん。ここは涼しいねん。」 「でもさ・・・。」 うちはフローリングなんですよ。フローリングは冷たくて気持ちいいとのこと。 そして詳しく話を聞くと、毎年のようにここで寝ているそうです。 そして私が踏んだものは、寝ていて乱れていたおかんの髪の毛でした。 そりゃ真夜中に髪の毛踏んだらビビるわぃ!! 今年もまた夏がやってきた。 そしておかんはまたあそこで寝る。 我が家の夏の風物詩となった。 教訓:家にいるからといって何が起こるかわからない。 気を抜くな!! □余談□ おとんも喉が渇いて冷蔵庫に向かおうとして、おかんにつまずきびびったようです。 それでもやめないおかん。 もう本能です。あれは。