家族旅行後編。


前編はこちら。



というわけで、強引に家族旅行に行くことになったみさきと両親。

時はあっという間に立ち、家族旅行前日。


「みさき、いよいよ明日があんたの就職試験や。」

「緊張するわぁ。」

「あんた緊張しぃやもんな。ええこと教えたろか?これしたら緊張せぇへんで。」

「うん。何?」

「手にな、人っ書いて飲み込みや。3回な。3回やで。」

「古っ!!それ昔からあるやつじゃん。おかんのオリジナルはないんかいっ!!」

「ないわっ!(逆ギレ)あるわけないわっ!」

「(なんてやつだっ!!)まー頑張るよ。」

「言いそびれたけど、明日早朝5時起きやからな。早く寝ーや。」


そうして緊張しながらも床に着いたのでした。


試験当日。

緊張しぃな私はなんとか5時に目が覚め、スーツを来ていざ○○県へ。

おかんとおとんを従えながら。


そしてついに○○県に上陸。


「そや、みさき、こっからうちらとあんたは他人や。」

「は?」

「こっからは、あんたと同じように試験を受けにきた子がおるやろう。」

「おるだろうね。」

「誰が誰かわからへんこの地で3人で行動するのは恥ずかしい。」

「(あたしはずっと恥ずかしいわい!!)今さらかよっ」


そう言って、おかん達と私は同じ電車ながら別々のシートに座り、

まるで尾行されているかのように監視されながら目的地に向かったのでした。


事前におもむろに地図を広げ、


「あんたの試験会場はここや。うちらはここや。路線は同じや、

 ただ降りる駅が違うねん。」


そう言われていたので、

私はそそくさと自分の駅で降りようとした時、こっそりおかんを見てみると、

大きくうなずいていました。


「行ってこい、娘よ。例えここで不合格でもいいではないか。お前はよくやってきたよ。」


とでも行っているかのように。

見て見ぬフリをして、駅を降り、会場に向かっていると、

メールがきました。


「終わったら連絡よこせ。父。母。」


電報か。おとんはメールが以前から短文ではありましたが。


そして試験も終わり携帯の電源を入れ、問い合わせると、メールが5件ほど来ていました。


「今○○。行楽日和。」

「今○○。人多し。」

「今○○。土産買う。」

「今○○。次は○○」

「まだか?」


実況中継か?

やっとかい、5回目のメールでやっとあたしのこと聞いたんかい?


「もしもし?今終わったんだけど?今どこよ?」

「今?今○○。すぐ来いや。」

「おかんは?」

「ああ?うちや。今終わったんか?はよおいで。」

「どうやって行けばええの?」

「あんたが降りた駅にまず戻り。それから駅員に聞け。たぶん○○駅で降りたらええわ」

「聞くんかいっ!!あんたわからんのかい。」

「あまりわからん。ええからはよおいで。○○駅で待ってる。」


そういうと、電話を切られ、私はとぼとぼと駅へ向かって歩いて行ったのでした。

駅に着き、観光名所であるおかん達のいるところまでの道順を駅員さんに聞き

改めて私は電車に乗ったのです。


「○分の電車に乗る。○分くらいには着くよ。」


とメールを送ってみても、5分たっても連絡が来ない。


不安になりながらも、駅に到着。

駅にはおかんらしき人物はなし。

騙された?親に騙されたあたし?まさかあいつら・・・・


そう不安そうにしばらく椅子に座っていると、電話が鳴りました。


「もしもし?父さんだ。今どこだ?」

「メールしたじゃん。もう○○駅だよ。」

「メール来てないで。そうか、なら駅員さんに○○への行き方を聞いておいで。」

「センターだよ。センター問い合わせしてよっ!!あたし方向音痴だよ?」

「大丈夫観光名所だから。」


そう言っておかん達のところへ行くことに。

春とは言えど、行楽日和。もんすごい天気いいんですが。暑いんですが。

しかも私スーツなんですが。パンプスなんですが。どう考えても行楽する格好ではないんですが。


また駅員さんに聞いて、ようやく観光名所に着いた時、


おかんの両手には土産ものがどっさり。

首には私が貸してあげたデジカメがかかっていました。



今回の旅行は日帰り。

試験がけっこう長くまであったため、私達はここの観光を済ませると帰宅する予定でした。

というか、早朝で体がしんどいのに、試験で緊張してしまい、もうくたくたの私。

それに比べ、いろんなところを散策し、名所名所で土産と写真をとりまくりの

おかん達。

はるかに充実度が違うと思うんですが。


「あんた疲れてるみたいやな?」

「そりゃそうだろ」

「わかった。そうやんな。じゃ、ここで家族旅行の記念写真をとろう。」

「えっ??」

「とったら帰ろう。」

「あたしちょっとは観光したいよ。せっかくここまで来たんだよ。」

「ほんならちょこっとするか?」


ほんとにちょこっとでした。


そして、観光名所でなぜか私が真ん中になり記念写真が撮られました。


そしてくたくたになりながら帰宅したのでした。





それから一週間後、試験合否が封書できました。



私の手元には、不合格の通知と、笑顔満開のおかんとなぜか旅行にスーツで来たおとんに

挟まれた疲れ切ったスーツ姿の私の写真が残りました。



□余談□

デジカメの中の画像は、思いっきりおかんがメインでした。

おとんと一緒に移っているのもありましたがほぼおかん。

そして最後の一枚が家族写真でした。

その画像を印刷しろと後日おかんが迫ってきまして。

印刷したらとてもご機嫌でした。