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ギブス

2002.3.21.作成
2002.4.21.更新

 

3月、今年は桜が咲くのがすごくはやい。
もう、満開で多分上野公園辺りは楽しく、
楽しくどんちゃん騒ぎをしていることだろう。
また、春が来た。
去年は自分もここにいたんだなぁと思いながら、不思議な気持ちで
新入生を眺める。

桜はただ咲くんじゃなくて、
いろいろな新しい変化をもたらし、
かすかに残っていた記憶をすくいあげて、回帰させる。
自分の人生のふくしゅうをさせる。
去年は新入生だったし、
その前は浪人生だった。
現役だった時のことなんて、もうほとんど覚えていない。
高校の時のことはもう漠然とした記憶の底の方に沈澱している。
ときどきふっと戻ってくる事があるけれど、
例えば放課後の長い時間、いったい何をしてたかなんて
全然思い出せない。
ちょうど、おとといの晩飯、
何を食べたか、とか
毎日とおってる道にいきなり空き地が出来た時
何が建っていたか、とか
を、簡単に思い出せそうで
思い出せないのと同じように、
昔、普段、ヒマな時間、
自分が何をしていたか
簡単に思い出せそうで
思い出せない。

日常だった事は思い出せない。
そうでなくても、大事な事も
日常にいる時は思い出さない
のに、冬から春になるその変化は
ただ単にわくわくさせるだけじゃない。
その新しい変化は新しい変化じゃなくて、
自分の人生におきてきたことを
よみがえらせて、復習させる。
ずっと先のことだと思っていた
「浪人」
の時期は
振り返ってみるといつのまにか来て
いつのまにか過ぎ去っていたようにも思う。
どんな生活をしていたのかなんて
もう全然覚えていないけれど、
浪人が始まった時の気持ちと、漠然とした意識は
去年、新入生としての希望に燃えていたはずの気持ちより
ずっとよく覚えている。
別に悲しいわけでもなかったし、不安ではあったけど
後悔していたわけでもない。
ただ、ちょっと呆然として、少し無気力で、でも、
危機感と義務感というか挑戦する気概みたいなもんも
無理して持っているようなフリをしたりしなかったりして、
なんで、梅田の駅で3時間もただ待っていたのか
覚えていないけど、覚えているような気がするのと
同じような気持ちだったような気がする。
帰りの長い電車の中で、
ぼーっと他の乗客を眺めていたのと
同じような気持ちなんだろうと
思ったりもする。

むしろ、今自分が感じている気持ちも
同じようなもんのような気がする
と、言うかひょっとしたら
ずっとそんな感じなのかもしれない。

また4月が来る。
そして、僕は同じ日のことを思い出す。