憲法とは
1.憲法の意義
憲法とは国家権力の濫用を抑制し、国民の権利・自由を守る基本法である。
○国に対する個人の自立的領域の確立のため、国家権力抑制手段として憲法は生まれた。
2.憲法規範の特質
制限規範性:権力の濫用を防止し、人権保障を図るため憲法によって枠付けをした。
最高法規性:制限規範性を実用的なものにする→憲法に反する法律などは効力を有しない(98条)
* 憲法は個人の尊厳の理念を達成するための人権保障の体系であり、統治機構・憲法訴訟もこの人権保障のための手段である.
3.立憲主義
1) 近代立憲主義:人民の権利の保障と国家権力の抑制を目的とする。
2) 消極的国家:国家による干渉はできるだけ少なくする方が人権保障に役立つとする考え方=国家活動は必要最小限度の範囲にとどめる(自由放任主義)
動は必要最小限度の範囲にとどめる(自由放任主義)
資本主義の発達により貧富の差が拡大
↓ ↓
資本主義・自由主義+福祉主義 社会主義
3)現代立憲主義
・社会権の保障、国家による積極的な政策の実行…積極国家
4.憲法の変遷
1) 制定:民主主義に基づく憲法は国民の憲法制定権力によって制定される。
2) 改正:無限界説と限界説…限界説が通説→改正権が根本規範というべき人権宣言の基本原則を改変することは理論的に許されないと考えるから。Etc…
人権
1.人権の観念:人権とは人が人たることに基づいてとうぜんに有する権利で個々の人間に最高の価値を認める個人の尊厳という価値観を前提としている。
また人権は憲法や国家に与えられたものではない。
2.人権の類型
(1) 自由権:国家が個人の自立的領域に対して権力的に介入することを排除して個人の自由な意思決定と活動とを保障する人権
(2) 参政権:自由権の確保に仕える
(3) 社会権:社会的・経済的弱者を守るために保障されるに至った人権。しかし憲法を根拠として権利を請求できるものではなく立法による裏づけが必要。
以上を踏まえて包括的基本権・法の下の平等・自由権・受益権・参政権・社会権の6つに分けられる
* プログラム規定:裁判を受けるといった具体的権利を付与するものでなく、国家に対してその実現に努めるべき政治的・道徳的目標と指針を示すもの
* 制度的保障:憲法が一定の既存の制度に対して立法によってもその核心ないし本質内容を侵害してはならないという保障を与えているものをいう。
生命、自由および幸福追求権
個人の尊厳:個人の平等かつ独立な人格価値を承認すること・13条前段は国家が国民個人の人格価値を承認する。
1. 幸福追求権の法的性格
(1) 権利性否定説:13条はプログラム的性格しか持たず国政のあり方ないし基本的人権の関する通則的性格をもつにとどまる。すなはち実定法上の基本権は14条以下のものと限定。
(2) 権利性肯定説(通説):幸福追求権は、人格的生存に不可欠な権利を包摂する包括的権利である。
* 憲法は包括的権利としての性格を有していることから人権の発展・創設を予定しているということができ13条の幸福追求権は、新しい人権を包括的に保障する規定と考えるべき。
またこれによる人権は裁判規範性のある具体的権利である。ただしプライバシー権の請求権的側面は抽象的権利にとどまるものもある。
* 人格的利益説:新しい人権は個人の人格的生存に不可欠な権利に限られる
* 一般的自由説:幸福追求権は、あらゆる生活領域に関する行為に自由を内容とする。
2. プライバシー権
A説:私生活をみだりに公開されない権利 B説:自己に関する情報をコントロールする権利
B説にたつと情報収集段階でも権利侵害となる。またこの見解にたつとプライバシー権には自由権的側面(国家が個人の意思に反して接触を共用し、みだりにその人に関する情報を収集し
利用することが禁止される)と社会的側面(国家機関の保有する自己の情報の開示や訂正・削除を請求できる・争い有り)が生じる。 *A.B説とも保障される
3. 共有主体性
外国人の人権共有主体性は認められるのか
(1) 肯定説(通説):人権は前国家的性質を有する.憲法は国際協調主義をとる(前文3段、98条2)外国人も憲法の定める基本的人権の共有主体で有る.
(2) 否定説:憲法第三章の標題が「国民の権利能力および義務」となっているため外国人は憲法の定める基本的人権の共有主体ではない。
○外国人が人権共有主体になりうるとしても共有できる人権の範囲はどこまでか
(1) 文言説:「何人も」もという文言が使われている規定は外国人にも及ぶが、「国民は」という文言が使われている規定は、国民に限定され外国人には及ばない
(2) 性質説(通説):憲法が保障する権利の性質により、適用ないし類推適用されるものと、そうではないものと区別する。
○ 参政権はみとめられるのか
(1) 否定説(通説):参政権は前国家的権利でない。外国人に保障することは、国民の自立的意思に基づいて運営される国民主権に反する。
(2) 肯定説(浦部):「国民主権」の原理の根拠にあるのは、一国の政治の有り方はそれに関心を持たざるを得ない人の意志に基づいて決定されるべきだと考える。
* 選挙権:外国人の選挙権が憲法上保障されないとして、法律によって外国人に選挙権を付与することまで禁止されるのか、法律による保証が許容されるか問題となる
(a) 国政・地方レベルともに禁止する説:国政、地方ともに選挙権は国民主権条項から派生する。また、15条1項における「国民」と93条2項における「住民」とは、質的に等しいものと考える。
(b) 地方レベルにおいては定住外国人に選挙権を保証することが許容されるとする説:認めても国民主権に反しない。住民自治の理念に適合する。住民とは外国人も含まれると解することができるから。
○ 社会権について
(1) 否定説:社会権は憲法上保障されない・社会権は国家の存在を前提とし、その個人の所属する国家によってまず保障されるべきもの。また国家の財政事情の影響を受けるから。
しかし、この説によっても法律で外国人に社会権を保障することは可能である。
(2) 憲法上保障されるとする説:社会権も固有の人権、生活を営む権利であるから。
○ 出入国の自由
(1) 入国の自由→否定(通説):入国の許否は、国家の自由裁量である。
(2) 出国の自由→肯定(通説):出国の自由は特に強く保障する必要がある。また国際協調主義にかなう。
(3) 再入国の自由
@ 肯定説:この場合はその人物の人柄、行動は日本国の既知事項であり生活の本拠地が日本である以上単なる入国とはことなる。生活の本拠地を我が国に有する外国人の再入国は日本への帰国として
一時的な海外旅行の自由と同視しうる。この自由がなければ日本に生活の本拠をおく外国人にとって出国が事実上不可能なものとなる。
A 否定説:入国の自由と同じ。
○ 在留の自由:憲法上我が国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求することが出きる権利を保障されているものではない。
4.人権共有主体性
(1) 未成年者の人権:人権は当然に享有する。しかし、現実的には選挙権がない、閲読の自由が制限されている→人権とは十分な判断能力のある成熟した市民を想定している。
ただし、制約は必要最小限でなくてはならない=限定されたパターナリスティック(後見的)な制約のみOK。
(2) 天皇・皇族の人権:天皇・皇族も日本の国籍を有する日本国民であるから、人権享有体性が肯定される。但し皇位の世襲と職務の特殊性から必要最小限の特例が認められる。
国政に関する権能を有しない天皇には、選挙権・被選挙権等の参政権は認められないと解されるし、その他に財産権、表現の自由などに対する一定の制約も、天皇の地位の世襲制と職務の特殊性からして
合理的であると考えられる。
(3) 法人:法人も自然人と同じく活動する社会的実態であり、構成員の個別の人権に分解することが非現実的な場合がある。法人は社会における重要な構成要素であるから、
人権規定も性質上可能な限り法人にも適用される。もっとも法人の人権行使が自然人の人権を不当に制限するものであってはならないという限界を持つ。
私人間効力(私人間適用)
(1) 無効力説:憲法の人権規定は私人には適用されない・基本的人権の保障は憲法に特別の定めが内限り対公権力のものである(公法私法の二元性を強調)←憲法の人権保障の趣旨が実質的に失われる
(2) 直接的容説:私人間に直接適用され、私人に対して直接憲法上の権利を主張できる・憲法は、公法・私法の両者に通ずる客観適法秩序である。←私的自治の原則を否定する。
(3) 間接適用説:私法の一般条項(90,709など)を媒介として人権の価値を私人間にも及ぼす・私人間に全く適用しないのは妥当ではない。直接適用すると私的自治を害する。
特別権力関係理論:特定の国民が特別の原因に基づいて国または地方公共団体と特別の関係に立つこと。
@ 法治主義が排除 A人権を法律なくして制限する B司法審査は及ばない。
例 在監者、公務員、国立大学の学生など
人権の限界
人権は永久不可侵→他人の人権との関係で制約される可能性が有る
(1) 内在的制約:人権の属性として人権に内在している制約=人権と人権が矛盾を生み出す運命的なもの
(2) 外在的制約:人権の外にある制約=政策的制約
公共の福祉が人権制約の原理!13条の解釈で考え方が変わる。
「二重の基準論」
何が許される制約で何が違憲な制約なのか明らかにする必要がある。公共の福祉の文言では人権がどれくらい制約されるか不明確。そこで違憲審査基準としてもう少し具体的にする。
すなわち精神的自由権は経済的自由権よりも厳しい規準で判断する:精神的自由権は民主政に不可欠であるから優越的な地位が有る。
違憲性判断基準
@ 文面審査:明確性の理論・文面だけから無効ではないか
A 目的・手段審査:立法の目的は合理的か、目的達成の手段は合理的か
LRAの基準 etc…
平等
形式的平等:全ての個人を均等に扱う=自由な活動の保障・国家による干渉を排除→法的、機会の平等
実質的平等:弱者を保護=全員に同等の自由と生存を実現・国家の介入→事実の、結果の平等
絶対的平等:人はみな同。⇔相対的平等