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3月27日
「同じ空の下」
昨日ミーティングをしなかったツケが回り、朝昼兼食後は16:00まで慌ただしかった。カレーをキャンプで作る案が急浮上し、みんなで同意し、準備不足は否めないものの見切り発車でやることになる。
ガガが遅刻。活動の時間がさらに減ってしまった…。
夕方、グロツカの難民キャンプに到着するやいなや計画が狂う。グロツカにはチビたちしかいなかったのだ。計画していたビーズなんて明らかに無理ということになった。
トイレを借りた後、急遽何をするかの話し合いをその場でする。時間は18:45まで。その最中にニノがバスケットのボールを持ってベンチに座ってこっちを見ていた。明らかにこの間みたいにバスケしようという視線を感じたものの、話し合いしていたので目を合わせないようにしていた。そうしたら、ガガから「あなたは外担当よー」みたいなこと言われる。
そこで、振り向いて「行こう!」っていう仕草をニノに向かってしたら“アイデ!(おいでよ)”と行ってくれた。
前回と同じようにニノやニコラ、ラディにドライバーや途中から来た女性を含めバスケをやる。やっているとニコラがマークの時に腰のあたりをくすぐってきた!だから、“ヤパンスキ、コチョコチョ(日本語ではこちょこちょって言うんだよー)”と言いながら仕返ししてやった。そんなルール無用の楽しきバスケ。
18:00過ぎくらいからは談話ムードに。ダンスを教えてくれたり、みんながカエルの歌を知っていたので輪唱したりした。もちろん、輪唱はうまくいかなかったけど。鳴き声の部分で「グワァグワァ」言って楽しんでいた。
18:30過ぎても中のカレー作りから何も連絡がこなかったので、みんなをまとめて家の方に向かうことにした。戻ったらカレーにはまだ時間がかかるとのこと。中は中でチビたちの相手などでてんやわんやの状態。外は俺ひとりで何とかするしかない雰囲気だった。
この時間で何しようかととまどっていた時、ふと上を見上げたらとても多くの星々がきれいにきらめいていた。驚き、素直に「きれいだ」と口から出た。オリオン座、北斗七星、カシオペア座…日本で見たのと同じ星空だった。
結局、活動は思いつかなかったので、そこでたわいもない話で談笑していた。
しばらくするとカレーができたらしく、メンバーのひとりがカレーをつけるパンを配りに来てくれた。隣にいたニノはなぜかパンを入らないと断った。俺は1切れパンをもらい半分にしてその片方をニノに差し出した。すると、ニノはそれを受け取らず、メンバーの配っていたパンを1つ手に取った。
パンをかじりながら2人で星を眺めていた。
つたない英語とセルビア語を合わせてこんな会話をした。
俺「日本でも同じ星が見えるよ。コソボから来たんだよね?」
ニノ“ダー(Yesのこと)”
俺「コソボでも同じものが見えた?」
ニノ“イシュト(同じということ)”
何だか不思議だった。空に見えるものは同じ。でも、日本とここではまるで状況が違う。コソボとこのキャンプでも見えるものは同じ。でも、ニノにとっての環境は大きく変わっただろう。自分の家がなくなり、土地を追われてここに今いるのだから。
帰りのバンの中ではみんな元気がなかった。どうやらカレーはうまくいかなかったらしい。こっちの人の口には合わなかったようだ。
調理の時に部屋を貸してくれた人が前回行ったベビー服の配布が1枚足りなかったから欲しいと言ってきたとメンバーのひとりが口にした。また、バンダナも欲しいと言ってきて渡してしまったと。
この言葉を聞いた時、頭をよぎったことがある。キャンプを訪問して行っている自分たちの活動について。キャンプの親たちは物が欲しいという現実的な目的のためにうちらを受け入れてくれているのではないか。もしかして、子どもたちも…。
自分たちができることは「勇気づけ」ということだけで、本当に必要とされている支援はやはり物でありお金なのかなとこの時思った。
帰宅後の反省会兼ミーティングでニノが活動前にバスケットボールを持ってうちらの緊急ミーティングが終わるのを待っていてくれたことを思い出した。あの時は活動の先行きを考えていて頭が回っていなかったが、あの時のニノのあの行為を落ち着いたその時に思い出したらものすごい嬉しさが込み上げてきた。ニノに聞いたわけではなく、自分の想像でしかないけど「待っていてくれた」のかなと。来るのを。(たまたまその時間にバスケをしようとしていただけかもしれないけど)。
そのミーティングではメンバーのひとりが、俺とニノが星空を見上げている姿が星空より美しかったよと言ってくれた。お世辞でも何でも嬉しかった。そして、勇気づけのみしかできない活動に疑問を抱いていた気持ちがだいぶ和らいだ。
ブッダにカレーを作るために借りた鍋を一時グロツカに勝手に貸してきてしまった。ブッダなら許してくれるだろうという甘えがあったのかも。
カレー作りは前回のグロツカでの活動の時には母親たちがたくさん来て活動を手伝ってくれたから今回もという甘えがあった結果ではないかと。
昨日はミーティングをしなかった。俺は危険と思いつつも「慣れって恐いなぁ」と笑顔で言っていたのを思いだした。恥ずかしい。
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