今、北朝鮮との間で問題になっていることの一つに国交正常化ということがあります。
国交正常化について「拉致問題解決なくして国交正常化はあり得ない」という考えが日本政府の主張です。結論から言うと、僕はこの考え方に反対です。
現在、日本は国交を結んでいない「国家」と交渉をしています。拉致問題の全面解決というものを考えた場合、まだ明らかにされていないけれども拉致された疑いがある方たちのことを無視できません。そうした方々の情報をすべて詳しく得るためには国交の樹立が必要不可欠でしょう。それは、より多くの情報を収集するためです。
国交がないために北朝鮮には日本大使館や日本総領事館などの政府機関がありません。北朝鮮の発表は信用がおけないというのが一般の見方です。僕も全面的ではないにしろ、情報操作はされているということを頭の片隅に置いて与えられた情報を解釈すべきだと思います。ならばなおさら、情報収集のために日本政府の機関を置かなければならないでしょう。
そのために、長い目で見れば、僕はまず国交を正常化した方が良いという考えを持っています。そして、朝鮮民主主義人民共和国という国家と話し合いをすべきです。
「あの国は独裁国家だし、日本の金(援助)が欲しいだけで話し合いなどできない」という考え方もあります。しかし、日本で拉致問題が取りざたされる中であまり目が向けられませんが、北朝鮮では何百万人とも言われる餓死者が出ています。その人たちを放っておいていいとは思えません。政治のためにそれらの人々を無視していいのでしょうか。いいはずはありません。
国交正常化はもちろん無条件では行いません。ただし、条件を付けるのは援助についてだけでいいと思います。援助はきちんと北朝鮮の貧しく、苦しんでいる人々の手に渡らなければいけません。そのために、北朝鮮の政府に援助するのでなく、NGOなどの機関に渡して、現地で炊き出しをするなどの住民への直接援助が行われるようにするということを条件にすべきです。
日本は北朝鮮と国交を結び、情報収集と同時に援助も行う。そして、同じように拉致問題を抱えている韓国と協力をして拉致について北朝鮮に説明と情報を求める。このようにして北朝鮮の中身をどんどん明らかにしていくことで、"未知の国"を理解していけます。相手への理解が深まれば、それは、核の問題など日本の安全保障の分野でも進展が期待できるようになるでしょう。
普段、私たちの生活でも、相手に対する理解が深まるごとにその友人とは仲良くなります。仲良くなれば自然と相手のことも考えるようになります。「国家」という単位ではそういったことができないのでしょうか。