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ポフツカワ物語
1991年6月 KM協会員の一人から南伊豆の石廊崎の熱帯植物園ジャングルパークの
ポフツカワの花のことを聞いた時、まさか日本にあるとはにわかに信じがたく、その
まま10年余が過ぎ今日に至った。それが昨年わが家でポフツカワの苗木を入手したこ
とで再燃し、この度ジャングルパークの支配人、後藤寛之氏から開花の知らせを受け
て実際に出向いてこの目で見て確かめることになった次第である。
さて小生夫妻は小学生の遠足のごとく興奮から前夜もほとんど眠れなくいつもより
早く目覚めてしまった。心ははやりすでに石廊崎にあった。
伊豆急下田駅での後藤氏の出迎えを受け、挨拶もそこそこに車に乗るや否やポフツ
カワの話となり、現時点での開花状況を伺い、小生の目で実際にどの程度の花つきか
確認することになった。数箇所に植樹されているらしく、案内された最初の場所はも
と当パークの堆肥置場だったところで、樹高12ないし13メートルもあろうか、ずいぶ
ん大きな樹に育っているのに驚いた。ただ一番気になっていた花つきは想像していた
よりもだいぶ少なかった。このとき後藤氏から間違いなくこれはポフツカワかどうか
の確認を問われ、すかさず小生が同意を示すと安心された。順次場所を変え案内され
て行き、その大きさから数回にわたって植樹されたことが判明した。開花の知らせか
ら約10日後であり、蕾などのつき具合から今が丁度最盛期と判断した。花つきは今一
にせよ、この樹が日本に、この石廊崎にあるだけでその意義は十分にあるわけで、ま
た再度後藤氏も本物のポフツカワかどうか、小生の言を待つまでは半信半疑な感があ
り、やっと安心された。
いずれにせよ、世界でもニュージーランドにしかなく、しかも年平均気温15度の北
島にしか育たなく、南島では見られないにもかかわらず、それが日本に、それもこの
石廊崎にあるということは大いに評価すべきことである。ニュージーランドと石廊崎
の共通点は海洋性気候であり、前者は年平均気温15度、後者は12度から13度で、冬で
も霜が降りない。ただ後者は夏の暑さが30度を越えるところが大いに異なり、このあ
たりに大きな問題があると思われる。今後解決していかなければならない点はこう
いった気候にどう対処するかである。百パーセントニュージーランドのようにとまで
はいかなくとも、もう少し花つきをよくするような研究にせまられよう。まだ取り木
によって増やす方法が端緒についたばかりである。今後の期待が待たれる。いかなる
協力もいとわない約束をして後藤氏と別れた。
薔薇物語
わが家の庭はバラで一杯である。
キャサリン・マンスフィールドはピース(黄色の花をつける)の孫にあたる。ピー
スはフランスのバラ作出の名門、メイヤン家の初代マダム・アントワーヌ・メイヤン
が1945年第二次世界大戦後、平和への希望を込めて名ずけられた。ピースは英語圏
で、ドイツではグロリア・ダイアに、イタリアではシィシィーにとリネーミング(再
命名)されるほど有名である。
バラといえばほぼ赤に代表されるように、キャサリンのように藤色は少なく、貴重
である。まして青はなく、現在その作出にしのぎをけずっているわけである。これが
実現すれば億万長者になるそうだ。キャサリンの藤色は黄色から作出される。キャサ
リンはやはり1974年にメイヤン家が元フランスの大統領シャルル・ドゥ・ゴールの死
を悼んで名ずけられ、南半球のニュージーランドへわたって、1979年に市場に出され
る時に、国民的な作家にちなんで、キャサリン・マンスフィールドとリネーミングさ
れた。藤色のバラには紫香、ブルームーン、ブルーシャトウなどあるが、やはり色合
い、形、香りなど少しずつ違う。とりわけキャサリンは香りがよろしい。ピ−ス、
キャサリンに次いで、わが家の庭にはセバスチャン・クナイプがまもなく咲くと思わ
れる。このバラはドイツのバート・ヴェリスホーフェンの町を一躍有名にした神父セ
バスチャン・クナイプにちなんで名ずけられた。作出 コルデス、1997年、優しい色
合いのクラシカルな、桃色の花を咲かせる。
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