第2章
第14条
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年を超える期間について締結してはならない。(以下略)
本条の罰則は使用者に対してのみ適用がある。
パーマネント美容院の見習者が見習期間終了後1年間は無条件でサービス勤務をする旨の契約は、見習期間と通算して1年を超える契約になるので本条違反。
高度の専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約については、当該労働者の有する高度の専門的知識等を必要とする業務に就く場合に限って契約期間の上限を5年とする労働契約を締結することが可能となるものであり、当該高度の専門的知識を必要とする業務に就いていない場合の契約期間の上限は3年であること。
高度の専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約については、当該労働者が当該専門的知識等を必要とする業務に就く者である場合であれば、いつでも5年以内の契約期間の労働契約を締結することができる。
使用者が労働者との間に期間の定めのない労働契約を締結している場合において、当該労働者との間の合意なく当該労働契約を有期労働契約に変更することはできない。
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第15条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。(以下略)
帰郷とは本人の住所は無論のこと、本人の到着地、父母その他親族の保護を受ける場合にはその者の住所迄帰る場合も含む。
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第17条
使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸しの債権と賃金を相殺してはならない。
労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融弁済期の繰上等で明らかに身分拘束を伴わないものは、労働することを条件とする債権には含まれない。
前借金でも貸付の原因、期間、金利の有無等を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが明白な場合には、本条の規定は適用されない。
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第18条
使用者は、労働契約に付随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。(第2項以下略)
単に協定又は届出手続きを怠っただけでは罰則の問題は生じないが、本条の要件を満たさず、これに違反して預金の受け入れを行った場合は、「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」第2条第1項にも違反することとなる。
退職積立金と称していても、使用者において保管管理するものは、本条の適用がある。
中途では払い戻しが出来ない約款附の据置貯金は無効、定期預金を中途で引きおろす場合においても、本条第4項後段の規定の適用がある。
金融機関が使用者としての立場において自らの労働者の委託を受けて、その預金の受入れを行う場合は、本条の適用がある。
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第20条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。(第2項以下略)
退職金の勤務年数が通算される等労働条件について著しい変更がなく実質的に雇用関係における権利義務の包括継承と認められる場合、定年後の再雇用により労働者の職制上の身分が変更したにすぎない場合の如きは本条にいう解雇にならない。
事業場が赤字のため閉鎖して労働者を使用者の責任において他の事業上へ斡旋就職せしめた場合においても、当該労働者が任意に退職を申し出ない限り本条の適用がある。
解雇の効力は予告手当てが支払われるまでは発生しないから予告手当ての支払いについて使用者と労働者との間に債権債務の関係が発生することなく、単にその限度で予告義務を免除するに止まるものである。従って法理上相殺の問題は生じない。右の理由により、前借関係とは別個に予告手当ての問題を取り扱うべきである。
形式的には雇用期間を定めた契約が反復更新されても、実質においては期間の定めのない労働関係と認められる場合は本条の解雇の予告を要する。
会社の採用通知が労働契約締結についての労働者の申込に対して労働契約を完成せしめる使用者の承諾の意思表示としてなされたものであれば、会社の採用通知によって労働契約は有効に成立し爾後における会社の採用取消は有効に成立した労働契約解除の通知であると解されるので、この場合には本条が適用される。又会社の採用通知が労働契約締結についての了承の意思表示ではなく、労働契約締結の予約であれば、その意思表示によっては未だ労働契約そのものは有効に成立せず、従って爾後における会社の採用取消通知は労働契約そのものの解除ではないから、この場合には本条の適用はない。
労働者が労働組合により除名されるに至った原因が、使用者との関係において本条第1項但書の事由に該当する場合には、解雇予告除外認定をして差し支えないが、クローズドショップ制の場合であっても組合から除名されたことのみによって本条但書の事由に該当するとは限らない。
「労働者の責めに帰すべき事由」とは、故意、過失、又はこれと同視すべき事由であり、勤務年限、勤務状況、労働者の地位職責等を考慮の上、法第20条の保護を与える必要のない程度に重大又は悪質なものであり従って又使用者をしてかかる労働者に30日前解雇の予告をなさしめることが当該事由と比較して均衡を失するようなものであるか否かによって判定される。
地方公務員法第29条第1項の規定に基づく懲戒免職処分についても本条の適用あり。
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第21条
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至った場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては、この限りでない。
失業対策事業で職業安定所の紹介で1ヶ月を超えて引き続き日雇労働者を使用した場合で、その後職業安定所の紹介がなかったために、その労働者を使用しなかったときは法第20条の適用はない。
労働契約が形式的に更新されても短期の雇用を数回に亘って更新し且つ同一作業に引き続き従事させる場合には実質的に期間の定めのない契約と同一に取扱うべきものであるから法第21条第2号に該当するものではない。
地方公務員法22条1項に規定する条件付採用期間は、本条4号の「試みの試用期間」と解されるので、条件付採用期間中の地方公務員が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は、本条の適用がある。
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第22条
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
「退職の事由」とは、自己都合退職、勧奨退職、解雇、定年退職等労働者が身分を失った事由を示すこと。また、解雇の場合には、当該解雇の理由も「退職の事由」に含まれる物であること。
解雇の理由については、具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当することを理由として解雇した場合には、就業規則の当該条項の内容及び当該事項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならないこと。
なお、解雇された労働者が解雇の事実のみについて使用者に証明書を請求した場合、使用者は法第22条第2項の規定により、解雇の理由を証明書に記載してはならず、解雇の事実のみを証明書に記載する義務があること。
退職時の証明は、労働者が請求した事項についての事実を記載した証明書を遅滞なく交付して初めて法第22条第1項の義務を履行したものと認められる。
また、労働者と使用者との間で退職の事由について見解の相違がある場合、使用者が自らの見解を証明書に記載し労働者の請求に対し遅滞なく交付すれば、基本的には法第22条第1項違反とはならないものであるが、それが虚偽であった場合(使用者がいったん労働者に示した事由と異なる場合等)には、前記と同様法第22条第1項の義務を果たしたことにはならないものと解する。
労働者が解雇予告期間中に当該解雇の理由について証明書を請求した場合は、その日以後に労働者が当該解雇以外の事由で退職した場合を除いて、使用者は、当該解雇予告の期間が経過した場合であっても、法第22条第2項に基づく証明書の交付義務を負う。この場合、労働者は、当該解雇予告の期間が経過したからといって、改めて法第22条第1項に基づき解雇の理由についての証明書を請求する必要はない。
法第22条第2項の規定は、解雇予告の義務がない即時解雇の場合には適用されない。この場合、即時解雇の通知後に労働者が解雇の理由についての証明書の請求した場合には、使用者は法第22条第1項に基づいて解雇の理由についての証明書の交付義務を負う。
解雇の理由については具体的に示す必要があり、就業規則の一定の条項に該当する事実が存在することを理由として解雇した場合は、就業規則の当該条項の内容及び当該条項に該当するに至った事実関係を証明書に記入しなければならない。