Aは、20歳の息子Bが資産もないのに無職でいることに日ごろから小言を言っていたところ、BがCから500万円の借金をしていることを知り、その借金を返済してやりたいと考えた。しかし、Bは、「親の世話になりたくない。」と言って、これを拒否している。AがBの上記債務を消滅させてやるためには、いかなる法律的方法があるか。AC間に新たな合意を必要としない場合と必要とする場合とに分けて論ぜよ。 |
一 AC間に新たな合意を必要としない場合
1 まずは、弁済(474)が考えられる。
債務の弁済は第三者でもなし得るが、債務者の意思
に反する場合は、「利害の関係」を有さない第三者は
弁済できない(474U)。
そして、「利害の関係」とは、法律上のそれを言い、
事実上のそれは含まない。これは私的自治の下、いつ
弁済するかという債務者の純粋な自由意思はもちろん、
時効の利益や金銭の都合を考慮したものである。
従って、ABのように親子関係があるというのは事
実上の利害関係でしかないから、AはBの意思に反し
て弁済をすることはできない。
2 また、同様の見地より、代物弁済もできないと考える。
3 以上より、AC間に新たな合意を必要とせず、AがB
の債務を消滅させる方法はない。
二 AC間に新たな合意を必要とする場合
1 まず、AC間でBのCに対する債務の保証契約(446)
を締結することが考えられる。
保証契約は、債権者−保証人間で締結できるので、B
の意思は問題とならない。この場合、Aは保証債務を負
担するが、保証債務は自己の債務である以上、Bの意思
とは関係なく弁済できる。弁済すると、保証の付従性に
より、Bの債務も消滅する。(※)
従って、AはCと保証契約を締結する方法により、B
の債務を消滅させることができる。
2 次に、併存的債務引受の方法がある。
併存的債務引受とは、第三者が、債務者が債権者に負
うのと同一の債務を別個に負うものである。このように
保証に類似することから、債務者の意思に関わらず、債
権者−第三者間で締結することができる。この場合、債
務者とは連帯債務を負うことになるので、自己の債務を
弁済すれば、債務者の債務も消滅する。
従って、Aは併存的債務引受の方法により、Bの債務
を消滅させることができる。
3 このように、AC間で新たな合意がない場合は債務を
消滅させる方法がなく、AC間に新たな合意があれば、
債務を消滅させる方法があるのは、新たに債権者Cの確
実に弁済を受ける利益が考慮されたからと考える。
以上
※ 付従性は嘘。保証債務を弁済しただけでは主債務は消
滅しないわ…。